「過剰な皮脂で薄毛になる」は100%嘘

頭皮の皮脂ではハゲない

つい一昔前まで頭皮の皮脂の存在は「悪」であり、薄毛を引き起こす大きな要因のひとつとされていました。月日は流れ、現在ではこの説は嘘だったという情報が散見されるようになるも、いまだに根強く残る頭皮の皮脂問題。

現在はネットや書籍などでも「皮脂でハゲることはない」と語られることが多くなり、我々ハゲに一種の安心感を与えてくれています。

しかし、それを十分理解していてもなお、洗髪時などは心のどこかで「皮脂をしっかり落として毛穴を綺麗にしなければ」という意識が働いてしまいませんか?

そう、頭では分かっていても植え付けられた「皮脂=悪者」という認識を払拭できていないというのが実情なのではないでしょうか?育毛業界に携わる私ですらそうなのですから、同様の感覚に見舞われている人は多いと思います。

ここでは論理的に皮脂と薄毛の関係を否定し、こんなバカげた説に振り回されないような意識改革をしていきたいと思います。

なぜ「過剰な皮脂=ハゲ」という説が広まったか

皮脂でハゲる説が広まった理由

つい数年前までは当たり前のように語られていた、頭皮の皮脂とハゲの関係。

頭皮の毛穴に皮脂が詰まることで髪の毛の成長を阻害し、髪が細くなったり抜け毛が増えたりして、結果薄毛になってしまうという論調がそこかしこに存在していましたよね。

なぜこんな説が広まったのか? 考えられる要因は大きく2つ。

薄毛に関して無知だった

昔は、いわゆる“専門家”なども、その実薄毛に対して無知だったという側面があったのは否定できないところでしょう。

近年でこそ男性型脱毛症(AGA)の原因が分かってきてはいるものの、以前はAGAを含め薄毛は生活習慣や食生活によって引き起こされるものという意識があったのは間違いありません。

その中で、不潔さを連想させる頭皮の皮脂が槍玉に挙げられるというのは分からない話ではありません。

毛穴が詰まれば、本来健やかに伸びるはずの髪の毛の成長が阻害される…毛穴に蓋をされれば髪の毛が成長しづらいと考えてしまうのは理解できますし、その説得力から広く知られるようになった…といったところでしょう。

しかし、常識的に考えれば毛穴は汗や皮脂を分泌する器官であり、皮脂が溢れている状況というのは“当たり前”なんですけどね。

薄毛に対し、何らかの分かりやすい理由が欲しかった層が飛びつき、それが半ば常識化したのでしょう。毛穴の皮脂で薄毛になるなんて科学的根拠は一切存在しないにもかかわらず。

商売するうえで都合が良かった

皮脂で毛穴が塞がれれば髪の毛の成長が阻害され薄毛になる―

非常に分かりやすい理由であり、しかもマイクロスコープなどを使用すれば、それを視覚的に提示できる…薄毛対策を商売にしている業者や企業にとって、これほど都合のいいことはありませんよね。

薄毛に悩む人にそういう印象を抱かせれば儲かる立場の人間…具体的にはシャンプーや育毛剤を販売するメーカーや育毛サロンなどがそれにあたります

毛穴の皮脂詰まり 右のような画像を見せられれば人間誰しも生理的に「汚い」「なんかヤバい」と感じるでしょうし、毛髪業界からしてみれば、客にそういった印象を抱かすことができればこっちのものです。

そしてこういった毛髪・頭皮チェックを実際に行っている業界といえば…そう、育毛サロンですよね。

「毛穴詰まってますね」「うちの施術を行えば綺麗に取り除けますよ」「毛穴を綺麗にした上でオリジナルの育毛剤を使えばしっかり浸透して…」なんてやりとりが、今でも全国の育毛サロンで繰り広げられています。

実際、毛穴にびっしりと付着する皮脂を見ると髪の毛の成長を阻害しそうに感じますし、逆にそれが取り除かれれば髪の毛はすくすくと健康に育ちそうな印象を受けるでしょう。これこそが狙いなのです。

1973年発売と長い歴を持つカロヤンはいまだに「頭皮の余分な脂を―」と謳っていますし、薄毛の原因が解明されてもなお様々な育毛関連商品や多くの美容室などが「余分な皮脂を取り除くことで育毛に繋がる」と説いている現実が。

育毛に携わる人間や髪の毛のプロがそう言うのですから、詳しくない人間が鵜呑みにするのは当然。しかし、それは育毛剤などの商品やケアというサービスの売り上げに直結するセールストークであり、背後にあるものは結局は“お金”なのです。

ただ、いまだにこの「皮脂悪者説」を信じているプロもそれなりにいると推測され、良かれと思ってサービスを提供している場合も多々あると思いますから、悪質かどうかまでは判断できないことも付け加えておきます。

頭皮の皮脂が原因でハゲることはない

皮脂で薄毛になることはない

さて、では核心である皮脂と髪の毛の関係について書いていきましょう。

そもそも人間の毛穴は、異物が入ってこないようにするのと同時に皮膚を守るために常に皮脂が分泌されており、これは頭皮のみならず全身で行われています。

毛穴から皮脂が漏れ出ているのは極めて正常…というか、そうすることで皮膚を守るという、皮膚にとって必要な体の機能のひとつなのです。

そう、皮脂は髪の毛や皮膚を守ってくれる、絶対に必要な存在なのです。

また、毛穴から毛が生えている場合、常に伸びている毛と共に皮脂も押し出される状況にあることから、「汚たねー」と感じる上図の頭皮の状態は至って普通かつ当たり前なの。

むしろ、育毛サロンの施術後などに見せられるであろう綺麗な頭皮が“異常”。この状態は施術や洗髪直後だからありえるもので、数時間もすれば皮脂まみれの頭皮に逆戻り。でもこれが正常。

この皮脂まみれの毛穴の状態は、私達ハゲはもちろん剛毛フサフサの人も同様です。皮脂まみれの頭皮を薄毛の原因とするなら、2、3時間おきに髪の毛を洗っている人以外みんなハゲることになってしまうでしょう。

むしろ、2、3時間ごとに洗髪しようものなら、頭皮を守るはずの皮脂が常に切れている状態になり、外からの刺激に弱くなったり乾燥しやすくなったりして、角質層の下に位置する真皮にダメージを与えかねず、ハゲの原因にも。

■薄毛の原因はあくまでもDHT

毛髪関連企業は薄毛の原因として様々なものを提示し不安を煽りつつも、「対策をすれば治る」という希望を与え商品を売り込むのが常套手段であり、ここで取り上げている頭皮の皮脂もそのひとつ。

しかし、男性の薄毛の原因のほとんどはジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモン。遺伝によって決まる5αリダクターゼという酵素の分泌量でDHT生成量が決まり、毛母細胞内の男性ホルモン受容体がDHTの感受性を左右します。

極端な事を言ってしまえば、髪の毛や頭皮をどんなに乱暴に扱おうが、DHTが少なかったり感受性が悪かったりすればハゲることはありませんし、逆であればどれだけ入念なケアを心がけてもハゲます。容赦なく。

皮脂?なにそれ。

月並みなセリフではあるが、ほとんど入浴しないホームレスにもフサフサの人が多数存在することを考えれば、皮脂でハゲる論がいかにバカげたことが分かると思います。

皮脂で薄毛にはならないが注意点も

皮脂で髪の毛のボリュームがなくなる

皮脂によってAGAが引き起こされることは100%ないと断言できます。ただし、頭皮の皮脂が増えると髪の毛のボリュームが落ちるのは間違いありません。

これは皮脂が多くなっている時だけの一時的なもの。1日お風呂に入らないと髪の毛にまで脂が回りしっとりすることを思い浮かべれば分かりやすいかと。

皮脂によって薄毛になることはないものの、皮脂が多いと髪の毛のボリュームが抑えられてペタッとしてしまいますので、結果薄毛に見えるという可能性は否定できません。

まあ、毎日髪の毛を洗っていれば、こういった事態はほとんど起こりませんが。

皮脂による髪のボリューム減を抑えるには?

髪の毛を毎日洗っていたとしても、汗をかきやすい夏やスポーツをした後などは、どうしても髪がペタッとしがち。ある程度薄毛が進行しているようであれば、薄毛を際立たせてしまう結果にも。

それを回避するにはどうすればいいのか?

洗髪する

皮脂によって髪の毛のボリュームが落ちてきた際に、それをふわっとした状態に戻す最もベストな方法は「洗髪」です。髪の毛をシャンプーすれば、皮脂が落ちてボリュームが復活しますからね。

ただし、頻繁な洗髪というのは皮脂を奪いすぎてしまい、かえって頭皮に悪影響を与えることに繋がりかねません。適度に皮脂が存在する状態こそが頭皮にとって好ましいのです。

1日2回以上髪の毛を洗うようであれば、毎回頭皮をしっかりと洗うのではなく、メインの入浴以外は軽めに洗い、一定の皮脂は残すよう意識しましょう。

それでも十分ボリュームは回復するはずです。

水やお湯で軽く流す

皮脂による髪のボリューム減を手っ取り早く回復するベストの方法は、「水やお湯で軽く洗う」という方法です。

これであれば皮脂を取り去ってしまうことを防ぐことができますし、シャンプーを使わないため場所を選ばず、短時間で済むというメリットも。

ただし、シャンプーの成分による髪の毛の補修効果や、しっとりさせる効果とは無縁であることから、キューティクルが開き強い引っ掛かりが発生するため、どちらかというと「バサバサになる」と言ったほうが正しいかもしれません。

それだけに、乾いた後の髪の毛のボリューム感はシャンプー後以上のものになりますけどね。

髪の毛が薄くなってきた人にとっては、このボリューム感は癖になるかも…

普段からリンスを使わない

シャンプー後にはリンスやコンディショナー。

シャンプーとリンス(コンディショナー)はワンセットだという意識が強く存在し、なんの疑問も持たずにシャンプー後にリンスやコンディショナーを使用している人も多いのではないでしょうか。

しかし、リンスやコンディショナーには髪の毛をサラサラにするシリコンが配合されていることが多く、また髪をコーティングしキューティクルを整える作用があるため、基本的にこれらを使用すると髪の毛のボリュームは減少します。

髪の毛に少しでもボリュームを出したいと考えるのであれば、リンスやコンディショナーは使用しないほうがいいでしょう。実際、私も薄毛が気になりだしてからリンスやコンディショナーは使わないようになりました。

これらを使わないと髪の毛はちょっとキシキシゴワゴワしがちではあるものの、それはボリューム増の裏返し。

リンスやコンディショナーを使用しなかったとしても薄毛の根本的な解決にはなりませんが、これらをわざわざ使ってまでボリュームを減らすことはないかな~というのが本音になるでしょうか。

過剰な皮脂でハゲるという説は大嘘

何十年も前から薄毛の原因とされてきた頭皮や毛穴の皮脂汚れ。しかし、毛穴に詰まった皮脂によって薄毛やAGAになるという科学的根拠は一切存在しませんし、実際皮脂ごときで髪の毛の成長は止まることはありません。

とはいえ、長年にわたって信じられてきた「皮脂による薄毛の原因説」は根強く、いまだに皮脂が薄毛の原因だとする育毛サロンや育毛剤メーカーは多いという現実があります。

髪の毛の周辺や頭皮、毛穴に皮脂が付着している、生理的に「汚い」と感じる映像を用い、「皮脂=薄毛」という印象操作に成功した毛髪業界は相当潤ったことでしょう。

特にアートネイチャーやリーブ21といった育毛サロンでは、客に対し実際に汚れた頭皮を見せることができるのですから、その効果は絶大ですよね。

しかし、近年は高価なシャンプーを製造・販売するメーカーを中心に、「高級アルコール系の洗浄成分を使った市販のシャンプーでは皮脂を過剰に落とし過ぎてしまう」と謳いだし、皮脂を落とし過ぎないアミノ酸系洗浄成分が良いという流れに。

結局は“皮脂悪者派”も“皮脂必要派”も、自社が儲けるための行動なんですけどね。振り回されるこっちはたまったものではない。

過剰な皮脂が原因でハゲることはないし、1日1回に入浴で安価な高級アルコール系のシャンプーで髪を洗ったところでハゲることも絶対にありません。

男性にとって薄毛は今後の人生を左右するほどの大きなインパクトがあります。それだけに育毛関連メーカーにとって育毛関連商品というのはドル箱。

これらメーカーにとって重要なのは、“薄毛対策として効果があるかどうか”“事実かどうか”ではなく「真偽はさておき消費者を信じさせれば勝ち」なのだから質が悪い。

東証1部に上場するような企業の多くが、それらしい理由を持ち出して情報操作しハゲに金を使わせる…これがまかり通っているのが現実です。

今現在、髪の毛の治療に関わるもので信用できるのは、厚生労働省が医薬品として認可し医学的にも世界的にも効果が認められているフィナステリドやミノキシジルといった発毛剤のみです。

そして、男性の薄毛の9割を占める男性型脱毛症(AGA)の原因にしても、5αリダクターゼが生み出すDHT以外に科学的根拠があるものはありません。頭皮の皮脂によって薄毛になるなどという説に根拠はないのです。

薄毛男性の悩みは深いだけに、ものすごいお金を生み出します。そういった背景から毛髪業界は嘘にまみれている…そういう認識を持ち、情報の取捨選択をしっかりと行えるだけの知識を身に付けるようにしましょう。

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