ザガーロはプロペシア超える次世代発毛剤

次世代発毛剤ザガーロ

育毛の歴史を変えたプロペシアが2005年に発売されて以降、ハゲの救世主として長らく君臨していましたが、10年後となる2015年に承認されたザガーロの登場で発毛剤のスタンダードが変わる可能性が。

日本において「髪の毛が生える」「発毛する」と認められた発毛成分は、1999年に発売されたリアップシリーズの主成分であるミノキシジルと、プロペシアの主成分フィナステリドの2種類のみでしたが、2015年9月にザガーロが認可され第3の発毛成分として「デュタステリド」が日の目を見ることに。

このザガーロ、認可を受けてから紆余曲折があり発売時期が遅れましたが、2016年6月になってやっと販売にこぎつけました。

発毛剤の歴史を変える可能性があるこのザガーロについて、効果や副作用、価格に至るまで詳しく解説していきます。

ザガーロとは?

ザガーロはデュタステリドを主成分とする薄毛治療の新しい薬で、2015年9月28日に厚生労働省から正式に認可を受けた第3の発毛剤。

主成分であるデュタステリドは、プロペシアのフィナステリド同様「前立腺肥大症」の治療薬として使用されていた経緯があり、前立腺肥大症と男性型脱毛症(AGA)の原因が同じということもあって発毛剤に転用されたのもフィナステリドと同じ。

その作用や効果は後述しますが、簡単に言えばフィナステリドの効果をさらに高めたのがデュタステリドということで、次世代の発毛剤として注目されています。

2015年9月28日に認可を受けたザガーロは同年11月24日に発売されるはずでした。しかし、販売元のグラクソ・スミスクライン社が製造委託しているフランスの工場で問題が発生し生産できない状態が続いたため、発売は大幅に延期されることに。

2016年6月13日にやっと発売にこぎつけはしたものの、発売前からケチが付いた感のあるザガーロ。果たしてどういった薬なのでしょうか?

ザガーロの作用

上でも少し書きましたが、プロペシアの主成分であるフィナステリドとザガーロのデュタステリドは、どちらも元々は前立腺肥大症の治療薬から発毛剤に転用されたという経緯を持っています。

なぜかというと、前立腺肥大症とAGAの原因が同じだから。

前立腺肥大症は男性ホルモンの1つである「ジヒドロテストステロン(DHT)」の働きにより発症・悪化し、これを作り出すのが「5αリダクターゼ(5α-還元酵素)」という酵素。これが男性ホルモン「テストステロン」に作用してDHTが生成されます。

そしてこのDHTは男性の薄毛の大半を占めるAGAを引き起こす元凶。

DHTは髪の毛を作り出す毛根の中の毛乳頭細胞内にある受容体と結合し毛母細胞の成長を阻害、結果ヘアサイクルが極端に短くなり薄毛になってしまうのです。

そのDHTを作り出す元となる5αリダクターゼの働きを阻害し、DHTの生成を抑制する働きを持つのが件のフィナステリドやデュタステリドなのです。

DHT生成を抑制

プロペシアの主成分フィナステリドやザガーロの主成分デュタステリドは上図のように5αリダクターゼを阻害することでAGAの原因となるDHTを作らせないようにする作用は一緒。

じゃあどっち使っても同じじゃん」という印象を持たれるかもしれませんが、この2つには明確な違いがあります。

それは、フィナステリドが2型の5αリダクターゼしか阻害しないのに対し、デュタステリドは1型と2型両方を阻害する点

DHT阻害効果

パッケージを見ても分かるように、プロペシアには「5α-還元酵素Ⅱ型阻害薬」と書かれているのに対し、ザガーロには「5α還元酵素1型/2型阻害薬」と書かれていますよね。

ザガーロのデュタステリドは1型への阻害効果もあることからフィナステリドの1.5~1.6倍の発毛効果があるとされる薄毛の新たな救世主なのです。

ザガーロの具体的な効果

1.5倍とか言われてもピンとこない」という人も多いと思いますので、ザガーロの臨床試験のデータからそのあたりを紐解いてみましょう。

ザガーロは医薬品とあって認可を取得するにあたり臨床試験を行っており、その試験では効果や副作用の程度を見るための比較対象としてプラセボ(偽薬)はもちろん、プロペシアと同等のフィナステリド1mgも使用しています。

その結果がこちら。

ザガーロの発毛効果
出典:グラクソ・スミスクライン社公式サイト


この試験では直径2.54cm円内における軟毛でない髪の毛の増加量を調べており、141人に対して使用されたフィナステリドでは平均56.5本増加したのに対し、ザガーロ0.5mg群では150人の平均増加量が89.6本と優位性が示される結果に。

倍率にすると1.58倍となり、これがデュタステリドがフィナステリドの1.5~1.6倍の発毛効果があるとされる根拠になっています。

また、毛髪の太さに関してもフィナステリドの1.45倍太くなることが示され、ここでもデュタステリドの育毛効果が勝る結果に。

キャピキシルなどの胡散臭い育毛成分と違い、培養細胞ではなく実際の薄毛男性に用い、かつプラセボ(偽薬)を用いた上ですべての群において150人前後で試験している点からも信頼性は非常に高い。

ただし、確かに複数の臨床試験で効果を実証しているとはいえ、長年の実績やデータの積み重ねがあり、かつ世界的に発毛剤として使用されているフィナステリドに比べると信頼性に劣るのも確か。

このあたりはこれから実績を積み重ねていけばいいのですが…現在デュタステリドを発毛剤として認めている国は日本と韓国のみであるうえに価格も高く、思いのほか普及に時間がかかっている印象を受けます。

良い薬なんですけどねぇ…

副作用はプロペシアより強い?

次に、多くの人が気になっているであろう副作用について。

ザガーロはプロペシアより高い発毛・育毛効果を示すとあって、「副作用も強いんじゃ…」という懸念を抱いている人も多いのではないでしょうか。

上記同様ザガーロの臨床試験での副作用のデータを見てみると…

プラセボ群 フィナステリド1mg群 ザガーロ0.1mg群 ザガーロ0.5mg群
評価症例数 181 179 188 184
副作用発現例数(発現率) 27(15%) 35(20%) 39(21%) 30(16%)
副作用名 発現症例数(発現率)
生殖系および乳房障害 8(4%) 18(10%) 10(5%) 14(8%)
勃起不全 6(3%) 10(6%) 6(3%) 10(5%)
射精不能 2(1%) 3(2%) 2(1%) 1(<1%)
射精障害 1(<1%) 2(1%) 3(2%) 2(1%)
精神障害 5(3%) 9(5%) 14(7%) 4(2%)
リビドー減退 2(1%) 7(4%) 9(5%) 4(2%)
胃腸障害 8(4%) 3(2%) 6(3%) 4(2%)
腹痛 2(1%) 0 3(2%) 0
臨床検査 5(3%) 4(2%) 6(3%) 5(3%)
精液量減少 0 0 3(2%) 2(1%)
感染症および寄生虫症 0 1(<1%) 1(<1%) 3(2%)
鼻咽頭炎 0 1(<1%) 0 3(2%)

このデータを見る限りプロペシア(フィナステリド)との差はほとんど見受けられず、ザガーロ0.5mgに至っては何故か副作用の発現率が少なくなる現象も。ただしこれは誤差の範囲内と思われます。

副作用の多くはフィナステリド同様性欲減退(リビドー減退)や勃起障害が主で、有意な差は見られません。

副作用全体の発現率は約20%となっていて、これを多いと見るか少ないと見るかは各々の判断にお任せしますが、最も注目して欲しいのはプラセボ群の15%

プラセボ群というのはザガーロだと聞かされて服用した薬が実は何の効果もない偽薬である被験者群の事で、181人に対して実に27人もの人に副作用の症状が出ています。

これが思い込みによるプラシーボ効果のすごいところで、何の作用もないはずの薬でさえ「性機能障害の副作用があるザガーロ」と思って飲むと、あるはずのない副作用がこれだけの人に現れるのです。

当然、実際に発毛剤を飲んだ群にもプラシーボ効果による副作用が相当数含まれていると思われ、これをフィナステリドやザガーロを服用した群に当てはめると、これら発毛剤の実質の副作用発現率は5%程度ということになります。

この数字はプロペシアの臨床試験時の副作用発現率とほぼイコールとなるため、思い込み効果さえなければザガーロの副作用発現率は5%程度、多く見積もっても10%未満と見ていいのではないでしょうか。

一番のネックは価格

次世代の発毛剤として期待されるザガーロですが、一番のネックは価格です。

商品名 内容量 価格
プロペシア 28錠 7,000円前後
プロペシアジェネリック 28錠 5,000円前後
ザガーロ 30錠 10,000円前後

プロペシアの1.5倍の効果があるという触れ込みのザガーロですが、価格も1.5倍の1ヶ月1万円前後と、負担はかなり大きくなります。

最近になって発売されたファイザーやサワイの正式なプロペシアジェネリックと比較すると価格や約2倍。AGA外来や皮膚科での処方になりますから、初診料や再診料、処方代がかかることも考えると費用はさらに高くなります。

薬価が高い上に保険適用外ということで、仕方がないことではありますが…あまりにも高い…

発毛効果としては非常に期待できるものですが、この価格では普及もあまり進まないのではないかと心配になってきます。

ザガーロを安く購入するには?

ほとんどのAGAクリニックや皮膚科では9,000~10,000円という値付けが行われているザガーロ。どうにかして安く購入する方法はないのでしょうか?

ザガーロに限らず、日本で発毛剤として承認されているプロペシアやそのジェネリックなどは健康保険を適用できないことから薬価の規定がありません。つまり医療機関の“言い値”ということになります。

そのため、診療ガイドラインにのっとり科学的根拠のある薬物療法をメインにしている医療機関は、診療費や薬代が主な収入源なので価格は高い傾向に。

一方、高額かつ胡散臭いハーグ療法やオリジナルの商品などを積極展開するAGAクリニックはザガーロなど発毛剤の価格を抑えていることも。安価な発毛剤で釣っておいて高額な治療を勧めるという手口ですね。

そういった高額治療で稼ごうとするAGAクリニックを上手に利用すれば30日分を8,000円程度で手に入れることも可能。ただし、丸め込まれて高額治療に手を出さないよう注意する必要はありますが。

医療機関で処方されるザガーロ以外は使いたくない。でもできるだけ安く購入したいというのであれば、様々な薄毛治療法を展開しているAGAクリニックが狙い目です。

個人輸入という選択肢も?

日本ではやたらと高価なザガーロですが、海外製のデュタステリド内服薬を個人輸入で購入すれば圧倒的に安く買うことができます。

主要な海外製のデュタステリド内服薬の価格はというと…

商品名 内容量 価格 1錠あたりの価格
ベルトリド 100錠 6,357円 64円
デュプロスト 100錠 6,956円 70円
デュタス 300錠 16,499円 55円
アボダート 30錠 4,466円 149円
ザガーロ 30錠 9,000~10,000円 300~333円
(2024年1月現在)  

1錠当たりの単価はデュタスが最も安いものの、1箱300錠とあまりにも量が多いのが欠点か。価格と内容量的にバランスが良いのはベルトリドで、3箱(300錠)を同時に購入すると割引が効いてデュタスより安くなるというメリットも。

価格的に日本のザガーロの6分の1程度で購入できるため、経済的負担はグッと抑えることができます。近年は円安に振れていることもあって、一時より高くなってしまったのは残念なところではありますが。

ただし、これらはインドの世界的な大手製薬会社製とはいえ、特許が切れていないデュタステリド内服薬を勝手に作っているという背景があり、そこに懸念を抱く人も少なくないと思われます。

そういった場合はアボダートを検討してみて下さい。

アボダートとザガーロは同一商品

アボダートはザガーロと同じグラクソ・スミスクライン社製の正規品で、日本でも「アボルブ」という名で前立腺肥大症の治療薬として認可・使用されています。

ザガーロとアボダート

内容はザガーロと全く同じデュタステリド0.5mgで、カプセルの色と文字を変えただけのもの。日本のAGAクリニックでもザガーロ発売前にアボルブを処方していたケースが散見され、現在も患者の負担軽減のためにザガーロより若干安いアボルブが処方されたりすることもあります。

日本のアボルブはザガーロより安いとはいえ8,000円前後。それが海外のアボダートの場合4,500円程度で購入できるので、海外製ジェネリックは心配だがお金もあまり出せないという場合は検討してみて下さい。

プロペシアに限界を感じている人は試してみるべき

プロペシアやミノキシジルが配合されたリアップはハゲの希望の星になりましたが、発毛剤が効くかどうかは個人差も大きく、プロペシアでは満足する結果が得られなかったという人もいるでしょう。

そういった場合、これまではミノキシジルタブレットを併用するなど薬の増量で対応するケースが多かったものの、ザガーロの登場によってプロペシアからの切り替えのみで薄毛改善効果や育毛・発毛効果を得られる可能性が出てきました。

もちろん、さらなる効果を望むなら併用ということになりますが、プロペシア含めフィナステリド内服薬に限界を感じている人はザガーロの使用を検討してみて下さい。

とはいえ高価な価格は大きな欠点でもありますので、とにかく安く使いたい場合はベルトリドを、正規品の信頼性は妥協できないという場合はアボダートも視野に入れると選択肢が大きく広がるはず。

もちろん、信頼性においては日本の医療機関で処方されるザガーロに勝るものはありませので、ご自身が捻出できる金額やポリシーと相談して適切な選択を行うようにしましょう。

ベルトリド100錠の詳細

アボダート0.5mgの詳細

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