フィナステリド外用薬は発毛効果なし?

フィナステリド外用薬は効果なし?

かつてアメリカのジェンヘアーというブランドから販売されていたフィナステリド0.25%を主成分とする外用薬がありましたが、2017年に販売が終了しフィナステリドを主成分とした外用薬は姿を消しました。

しかし2018年6月に新たに発売されたリグロースラボには、ジェンヘアーを髣髴とさせる0.25%のフィナステリド外用薬がラインナップ。再び頭皮に塗布するフィナステリドが脚光を浴びることに。

そうなってくると気になるのは「フィナステリドを外用で使って発毛効果があるのか?」という点。フィナステリドは世界的に発毛効果が認められているとはいえ、それはあくまでも内服薬での話ですからね。

フィナステリド外用薬で髪の毛は本当に生えるのか?副作用はどうなのか?気になる点について疑問に答えていきたいと思います。

    目次
  1. フィナステリドの作用とは
  2. フィナステリド外用薬に発毛の科学的根拠はない
  3. 経皮吸収されるフィナステリド
  4. 臨床試験データが効果を実証?
  5. 副作用の少なさは大きなメリット
    1. フィナステリド外用薬の副作用リスクは極めて低い
    2. 家族がいる場合の使用には細心の注意を
  6. デュタステリド外用薬にも発毛効果はあるの?
  7. フィナステリド外用薬の効果に関する総評
  8. フィナステリドを用いた外用薬

フィナステリドの作用とは

フィナステリド外用薬に興味がある人はこの薬の作用をご存知の方も多いと思いますが、中にはよく分からないという人もいると思いますので、おさらいも兼ねて簡単に説明しておきたいと思います。

フィナステリドは元々前立腺肥大症の治療薬として開発されたもので、その作用は男性ホルモンであるテストステロンと5αリダクターゼ(5α還元酵素)が結合して生み出されるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制するというもの。

男性のみが罹患する前立腺肥大症はこのDHTによって引き起こされるため、それを作り出す元となる5αリダクターゼを阻害しDHTの生成を抑える目的で開発されたのです。正式な作用名は「5α-還元酵素Ⅱ型阻害薬」。

フィナステリド外用薬は効果なし?

その後、男性型脱毛症(AGA)もDHTが原因で引き起こされることが確認され、フィナステリドは発毛剤としても使用されるようになり今日に至ります。製品名はプロペシアやフィンペシアが有名ですね。

ちなみに日本ではフィナステリドを前立腺肥大症治療薬としては認可していません。

余談ですが、2015年に発毛剤として認可されたザガーロの主成分デュタステリドもフィナステリド同様前立腺肥大症の治療薬で、5α-還元酵素1型/2型阻害薬。こちらは前立腺肥大症の治療薬として日本でも認可されています。

ただし、これらが発毛剤として認められているのは内服薬。頭皮に塗布する外用のフィナステリドを発毛剤として認めている国は存在しません。

フィナステリド外用薬に発毛の科学的根拠はない

日本の厚生労働省やアメリカの食品医薬品局(FDA)をはじめ、多くの国々で発毛効果が認められているフィナステリド。しかし外用薬に発毛効果があると認めている国は存在しません。

それはなぜか?

端的に言ってしまえば、外用フィナステリドは深く研究されておらず、厳密かつ客観的な臨床試験も行なわれていないから。

発毛剤が公的機関に発毛効果を認められるには、目的の薬を使用する群とプラセボ群(偽薬群)にそれぞれ数百人規模の被験者を割り当て、かつ医師も被験者もどの薬を使ったか分からない二重盲検試験によって客観的な効果と副作用を洗い出す臨床試験(治験)が必要になります。

しかしそれを行うためには膨大な費用と期間が必要に。現実的に考えてそれなりの規模を持った製薬会社でないと認可にこぎつけるのは難しいでしょう。

プロペシアを開発したメルク社(MSD社)はフィナステリド外用薬の開発を行うも製品化に断念したとの情報も。真偽のほどはもちろん、仮にそれが本当だとして、どうして販売に至らなかったのかは不明。

そんなこともあり、臨床試験によって効果を実証されていないフィナステリド外用薬には発毛のエビデンス(科学的根拠)がありません。

それでも複数の外用薬に配合されているフィナステリド。それはつまり一定の効果が期待できると見られているからなのでしょう。

経皮吸収されるフィナステリド

フィナステリドは経皮吸収する

臨床試験が行われていないフィナステリド外用薬の発毛効果には科学的根拠がないとされます。しかし薬の特性などを見るに、発毛効果が期待できる理由を見つけることができます。

その前提として触れておきたいのが吸収に関することになります。

フィナステリドは妊婦や子供が触ると生殖器の成長に障害が出る恐れがあるため、これらの人は触れることすら禁忌とされています。それは裏を返せば経皮吸収するということ。

人間の体を守っている角質層を通過し肌の奥まで浸透するには、健康な皮膚の場合「分子量500以下」という条件が必要になります。そしてフィナステリドの分子量は372。そういった点においても経皮吸収すると見て間違いありません。

ちなみに、外用発毛剤として用いられるミノキシジルの分子量は209です。

経皮吸収されたからといって、それが発毛に直接関与するとは限らないものの、角質層すら突破できないチャップアップやフィンジア、イクオスといった市販の育毛剤より遥かに効果が期待できるのは言うまでもない。

臨床試験データが効果を実証?

前述のようにフィナステリド外用薬は大規模な臨床試験を行っていないため、厚生労働省やアメリカFDAなどの機関に発毛剤として認められていません。

しかし小規模な臨床試験は行われており、その中で効果を確認しています。

2014年に海外の研究誌で発表された内容によると、ミノキシジル5%の外用薬に対し、ミノキシジル5%+フィナステリド0.1%の外用薬は有意に高い効果を示したとされます。

ミノキシジル5%群51名、ミノキシジル5%+フィナステリド0.1%群51名で行われた臨床試験の結果は以下のようになっています。

ミノ5%+フィナ0.1% ミノキシジル5%
著明改善 14 6
中等度改善 19 16
軽度改善 11 18
変化なし 5 10
減少 2 1

「ホントかよ」と疑いたくなるほどの絶大な効果。ちなみにその論文はこちらで見ることができます。→https://www.omicsonline.org/

もしこれを鵜呑みにするのであれば、高濃度ミノキシジルよりフィナステリド0.1%のほうが効果が期待できるかもしれない。

ただ、二重盲検試験でもなければプラセボ(偽薬)を用いているわけでもない。先入観などが入る余地があることを考えるに、これを鵜呑みにするべきではない。

ただ、フィナステリドが経皮吸収されることを考えれば一定の効果は期待できるかもしれません。実際、海外にはフィナステリドを配合した外用薬が複数存在し、一定の評価を得ていますからね。

副作用の少なさは大きなメリット

フィナステリド外用薬の副作用

プロペシアやフィンペシアに代表されるフィナステリド内服薬は世界的に発毛効果を認められた強力な発毛剤ですが、それだけに副作用に対する懸念も存在します。

フィナステリド内服薬の主な副作用は以下の通り。

  • 性欲減退
  • 勃起不全
  • 精液の質低下
  • 肝機能障害
  • 女性化乳房

フィナステリドの副作用のほとんどは性欲減退と勃起障害が占め、肝機能障害など重篤なものはごく稀。全体の副作用発現率はプロペシア承認時で約5%。思いのほか低い印象を抱くのではないでしょうか。

前立腺肥大症治療薬でのフィナステリドの場合、1日の限度量は5mgなのに対し、プロペシアなど発毛剤の限度量は1mg。そんなこともあって医師からは「安全性の高い薬」という認識であるプロペシア。

しかし、男たるもの性欲減退や勃起障害は避けたいのが本音。

フィナステリド外用薬の副作用リスクは極めて低い

男性ホルモンの生成を抑制するだけあって性機能障害の副作用が出ることもあるフィナステリド内服薬に対し、外用薬はそういったリスクが大幅に減少することが確認されています。

前述した臨床試験においても副作用や有害事象は確認されなかったとあります。

本来血管拡張剤でそれなりの副作用リスクがあるミノキシジルですら、外用薬になれば頭皮のかゆみや炎症程度の副作用しか出ないことを考えれば、フィナステリド外用薬に副作用がほとんどないのは説得力がある。

妊婦や子供は触れることも禁忌とされていることから、局所的な使用においても血液に乗って全身を巡る可能性は否定できません。しかし成人男性であればその影響は無視できるレベルということなのでしょう。

家族がいる場合の使用には細心の注意を

フィナステリドは男性ホルモンであるDHTの生成を強く抑制する作用があるため、胎児や男児の生殖器の成長を阻害する恐れが。そのため、女性や子供の使用は禁じられています。

また、経皮吸収されることもあって妊婦や小児は触れることすら禁忌。

とはいえ、プロペシアやフィンペシアなどのフィナステリド内服薬は錠剤がコーティングされているので、分割をしない限り問題になることはありません。

しかしフィナステリドが配合された外用薬はそうもいきません。

ローションタイプであれば使用時に飛散する可能性があるうえ、使用後に頭皮で薬剤が乾燥しフィナステリドが舞う恐れも。結果妊婦や子供に付着したり吸い込んだりするリスクを考慮する必要があります。

そのため、妊娠の可能性がある女性や子供と同居している場合、フィナステリドやデュタステリドを配合した外用薬の使用は避けたほうが無難でしょう。

デュタステリド外用薬にも発毛効果はあるの?

フィナステリドは経皮吸収する

フィナステリド外用薬に一定の発毛効果が期待できると仮定するなら、作用をよりパワーアップさせたデュタステリドの外用薬にも効果が期待できるのでしょうか?

結論から言えば十分期待できるかと。

ザガーロやアボダートの主成分であるデュタステリドの作用はフィナステリドと基本的に一緒。違いは2型の5αリダクターゼ阻害効果しかないフィナステリドに対し、デュタステリドは1型と2型の5αリダクターゼを阻害する点。

これによりデュタステリドはフィナステリドの1.6倍ほどの効果があるとされます。

フィナステリド同様女性や子供が触れることは禁止されていますし、製造・販売を行うグラクソ・スミスクライン社が公表する注意事項にはっきりと「本剤は経皮吸収する」と明記してあります。ちなみにデュタステリドの分子量は528。

フィナステリドと同じ作用、同じように経皮吸収される点を鑑みるに、デュタステリドを頭皮に塗布しても一定の効果が見込める可能性はあります。

ただ、基本的な作用は同じとはいえ、外用としての発毛効果に関しフィナステリド以上に科学的根拠がないのもまた事実ですが。

フィナステリド外用薬の効果に関する総評

プロペシアやフィンペシアといったフィナステリド内服薬に高い発毛効果があるのは疑いようがないものの、外用となればまた話は別。

大規模かつ厳格な臨床試験が行われていない以上、フィナステリド外用薬に発毛効果があると断言することはできません。デュタステリドであればなおさら。

しかし、経皮吸収するという事実、小規模とはいえ臨床試験において一定の効果を確認していることなどを鑑みるに、可能性という点においては市販の育毛剤より遥かに期待できるのも確か。

フィナステリドやデュタステリド内服薬、ミノキシジルタブレットなどは発毛効果が高い一方で副作用も懸念する人も多いでしょう。しかし外用薬として発毛効果が認められているのはミノキシジルのみ。

副作用リスクを懸念し内服薬を避けてはいるものの、ミノキシジル外用薬の効果に限界を感じている…そんな状況においてフィナステリド外用薬はひとつの選択肢に入るのではないでしょうか。

幸い、フィナステリドを外用薬に用いている商品はすべてアメリカ製。信頼性においてインド製のプロペシアジェネリックやザガーロジェネリックより高いと見ることができます。

フィナステリドを頭皮に塗布してどこまで効果があるかは未知数の部分が多いものの、あえて内服薬を避けている人は検討してみてはいかがでしょうか。

フィナステリドを用いた外用薬

フィナステリドを外用薬に配合した発毛剤は決して多くありませんが、それでも複数の商品を確認しています。代表的なものをいくつか紹介しておきますので、参考にしてください。

リグロースラボFIN25

フィナステリド配合リグロースラボFIN25 外用薬にフィナステリドを配合した商品の多くはミノキシジルの補助的な意味合いが強いのですが、リグロースラボFIN25はフィナステリドを主成分とした珍しい外用薬。

しかも育毛・発毛成分はフィナステリドのみという、ある意味潔さを感じる商品。シンプルな成分構成であるためか、価格は2,200円と安価なのも嬉しい。

ミノキシジル外用薬を使用して効果を実感できず、かつプロペシアやフィンペシアといった内服薬は使いたくない人は一度試してみてもいいかもしれません。

リグロースラボFIN25の詳細

フォリックスFR16

フォリックスFR16のフィナステリド ミノキシジル16%にフィナステリド、アデノシンなど、臨床試験において一定の発毛効果が認められた成分をこれでもかと詰め込む最強外用薬フォリックスFR16。

効果面でこれ以上の外用薬は存在しないので、今後のステップアップ余地を残すためにもいきなりこれを使うのはおすすめしません。あくまでも他の外用薬で効果を実感できなかった人用。

また、フォリックスFR16はシリーズ唯一のクリームタイプとなっています。垂れないことからM字や生え際の薄毛には最も適しているものの、髪の毛が残っている頭頂部などには使いづらい可能性も。

フォリックスFR16の詳細

フォリックスFR12

フィナステリド含有のフォリックスFR12 ミノキシジルに加えフィナステリド、アデノシン、トリペプチド-1銅など、成分的にはフォリックスFR16とほぼ同じながら、ミノキシジルが12%という点で若干マイルドに仕上げられているフォリックスFR12。

ステップアップとしてフォリックスFR16という選択肢を残すという意味でも有用。ただ、フォリックスFR16と同じ価格なのが玉に瑕。

フォリックスFR16と違いローションタイプなので、頭頂部の薄毛に適しています。M字部分と頭頂部両方に使いたい場合は使い分けたほうがいいかもしれません。

フォリックスFR12の詳細

5HP/7HP

デュタステリド配合5HP/7HP 5HP/7HPはフィナステリドではなくデュタステリドを0.1%配合した珍しいミノキシジル外用薬。5HPはミノキシジル5%、7HPは同7%になっています。

前述したようにミノキシジル5%+フィナステリド0.1%の外用薬は高い効果を発揮。どなれば、フィナステリドの1.6倍の効果があるとされるデュタステリド0.1%の5HP/7HPにも期待が集まります。

高濃度ミノキシジルが売りのフォリックスと同等の5,000円前後という価格はネックながら、リアップX5プラスに比べれば遥かに安い。デュタステリドの効き目次第ではフォリックスに匹敵する効果も。

7HPの詳細

高い効果で人気の発毛剤

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