かつらや増毛を検討する前に知るべき現実

カツラや増毛の是非

育毛シャンプーを試し色々な発毛剤や育毛剤も使った。しかしどうしても髪が生えない。

薄毛の人がこういった残酷な現実に直面したとき、その後どういった選択をするのか?多くの場合は“諦めてハゲを受け入れる”という選択になると思いますが、中には髪の毛を諦めることができずかつらや増毛を検討する人もいるでしょう。

しかし本当にそれでいいのか?

確かにカツラや増毛は確実かつ手軽に髪の毛を増やすことができます。金に糸目をつけなければ若い頃のようなフサフサの髪の毛を手に入れることもできるでしょう。作り物ですが。

かつらや増毛はあなたにとって本当に必要なのか?その存在の是非も含めて徹底的に検証してみたいと思います。

かつらや増毛にはどんなメリットが?

あなたがかつらや増毛に興味を持った理由は何なのでしょうか?

薄毛に直面したとき、多くの人は育毛シャンプーや育毛剤の使用を検討するというデータがあります。ちゃんと下調べをした人であれば、医療機関などで発毛剤を手に入れ使用することでしょう。

市販の育毛シャンプーや育毛剤では男性型脱毛症(AGA)に効果がないので論外ですが、フィナステリド(商品名:プロペシア他)やザガーロ(商品名:ザガーロ他)であれば一定の発毛効果が見込めます。

しかし、その効果も「劇的」というには力不足で、多くのケースでは一定の改善に留まってしまうのが実情。人によってはまったく効果が出ない場合も。

発毛剤でも効果が出ないとなると、髪の毛を増やす手段として残されるのは自毛植毛やかつら、増毛あたりになってしまいますよね。

そう、かつらや増毛のメリットはなんといっても無尽蔵に髪の毛を増やせる点

自毛植毛の場合は「増やす」というより「生やす場所を変える」と言ったほうが適切で、髪の毛全体の本数が増えるわけではありません。一方でかつらや増毛は間違いなく増えます。1万本でも10万本でも。

いわゆる“つるっぱげ”でもフサフサになるのが大きな強みで、しかもそれが短時間で手に入る…それがかつらや増毛の最大のメリットといえるでしょう。

自信の回復

薄毛というのは恐ろしいもので、どんなイケメンであっても髪の毛が薄いと魅力が大幅にダウンしてしまいます。陰で「ハゲてなければ格好いいのに…」と言われること必至です。

人と話している時に相手の視線が一瞬頭に移ることに恐怖を感じたり、周囲の目がやたらと気になったり…こうやって男性としての自信が急速に失われていくことも。

しかし、かつらや増毛により以前のようなフサフサの髪の毛を取り戻すことでそういった“周囲の目”を気にしなくて済むように。

これによって男性として、人としての自信が取り戻せるのであれば、これは大きなメリットであるといえるのではないでしょうか。

かつらや増毛のデメリット

短時間で髪の毛を無尽蔵に増やせるのがかつらや増毛の最大かつ唯一のメリットであるのに対し、デメリットは数多く存在します。

どんなデメリットがあるのか詳しく見てみましょう。

凄まじい費用

かつらや増毛の物的なデメリットといえば高額な費用。

M字部分の薄毛に対するちょっとした増毛ですら数万円は下らず、また増毛は基本的に自毛に人工毛や人毛を結いつけるという性質上、1ヶ月に1回程度のメンテナンスが必ず必要になります。

これをやらないと自毛に結んだ部分がどんどん上に上がってきて面白い状況になってしまうからね。その増毛のメンテナンス費用は程度によって5,000~20,000円くらい。

かつらになると費用はもっと膨大に。

アートネイチャーやアデランスが主力にしている頭皮に貼り付けるタイプであれば、初期費用として最低でも数十万円はかかります。

しかも貼り付けるベース部分はコンマ数ミリと極めて薄いため耐久性に乏しく、定期的に買い替える必要があります。これがまた高い。メンテナンス費用も1ヶ月でおよそ10,000円~20,000円と高額に。

適当な店で被るタイプのかつらを買ってくれば安価に済むしメンテナンス料もかからないが、外れたりずれたりを気にする必要がある上に作り物感が凄まじく、周囲にあっさりと見抜かれてしまう。

かつらだとバレたらハゲ以上に冷ややかな目に晒されるであろう。陰での呼び名は「かつら」で決定ですよ。

これを避けるためにはオーダーメイドなどそれなりのクオリティのかつらや増毛を検討する必要があり、費用もかさんでいくことに。

メンテナンスの手間

大手企業でかつらを購入したり増毛したりするとメンテナンスは必須。大手毛髪メーカーはこのメンテナンス料が大きな収入源であるため、これが不要になるような商品は開発しないだろうしな。

そしてこのメンテナンスがかなりの手間。

かつらメーカーの店舗では多くの場合カットなども行っているため「散髪と一緒にやればたいした手間ではない」なんて謳っていたりするが、そんなことはない。

かつらや増毛を行う大手メーカーでも全国の店舗数は300に満たない。そのほとんどは大都市圏または県庁所在地、比較的大きな街に限られるため、近くに店舗が存在しなければ移動時間だけでもかなりかかってしまうでしょう。

しかもメンテナンスは月1回。一般的な髪の毛のカットであれば2~3ヶ月放置しても問題ないが、かつらや増毛をしている以上1ヶ月に1回のメンテナンスは必須になる。住んでいる場所によっては半日潰れることもざら。

メンテナンス費用もさることながら、この手間は地味にきつい。

どんどん範囲が広がる

男性の薄毛のほとんどを占めるAGAは、プロペシアやザガーロといった治療薬を使わない限り一方的に進行します。確実にじわじわと。

そんなAGAに対しかつらや増毛を施術するとどうなるのか?

完全に頭を覆うかつらでもない限りどんどん費用が膨らむことになります。

増毛にせよ接着式のかつらにせよ基本的にはピンポイントでの施術にになるため、AGAが進行し薄毛部分が広がれば施術の範囲も広がっていくことになります。それをしないと施術した部分だけ離れ小島になるという悲しい状況に。

髪の毛を維持するには追加料金を払い範囲を広げる必要があり、それは「もうこれ以上ハゲない」という波平レベルの完成形になるか、もしくはハゲを受け入れ施術を中止するまで続くことになるでしょう。

薄毛が広がるたびに対応を迫られ、その都度数十万円単位のお金がかかる…経済的にも心理的にも大きな負担となって乗りかかってくるでしょう。

罪悪感と後ろめたさ

そもそもハゲ部分に作り物の髪の毛をくっつけて人を欺いているという点に罪悪感はないのか? それで恋愛でもしようものならある意味詐欺ですよ。バレたとき女性から「この詐欺野郎!」と罵られること必至です。

女性の化粧も似たようなものだろう」と感じる人もいるかもしれませんが、一般的に常識として認知されている女性の化粧を、失笑と嫌悪感の対象であるかつらや増毛と比べるのはナンセンス。

かつらを被って表面上はフサフサになったとしても「ああ、周囲を欺いているんだな…」と罪悪感や後ろめたさを感じるくらいならやらないほうがずっといい。びっくりするくらい高い費用を出すことになるのだからなおさら。

自信の回復に繋がらない

個人的にこれが重要。

かつらや増毛のメリットとして「自信の回復」を取り上げましたが、かつらや増毛で髪の毛が増えたとして、あなたは本当に男性として、人としての自信を取り戻すことができますか?

かつらメーカーのCMを見ると、薄毛男性がかつらや増毛によりフサフサになって「本当の自分を取り戻すことができました!」なんて言っていたりするが、本当のお前はハゲだからな。

かつらや増毛を用いることによって周囲の目を気にすることがなくなり、本当の意味で自信を取り戻すことができたというのであれば良いでしょう。しかし作り物の髪の毛で本当に自信を取り戻すことができますか?

むしろ虚しいだけじゃない?

かつらや増毛によって男として、人間としての自信が回復し仕事や恋愛に積極的になれるというのであれば、高額な費用以上のものを得られるかもしれません。しかし場合によってはハゲを隠している自分に劣等感を抱き自信を失う可能性もある。

費用対効果を考える上でここが一番重要になってきますので、今一度自分に問いかけてみてください。

脱毛症診療ガイドラインで一定の評価

私は基本的にかつらも増毛もおすすめしません。なぜなら初期費用やメンテナンス料、追加料金が非常に高額な上に「偽り感」が強いから。

それは薄毛治療の専門家や医師も同意見…かと思いきや、2017年に日本皮膚科学会が策定した男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでは、驚くべきことにかつらに言及している。

その評価はこちら。

医師によるかつらの評価

治療のガイドラインにおいてかつらに言及するというのには違和感を感じますよね。実際にガイドラインで述べられている内容を見てみましょう。

26名の男性被験者を対象とした、かつら使用前後にアンケート調査を実施した症例集積研究において、 患者のQOL満足度を客観的に示すPIADSとVASは、PIADSにおいて、使用前を0として使用後はtotal score 30.77と有意に向上していた。またPIADS、VASによる満足度の変化に正の相関を示した。かつらの着用による副作用は特に報告されなかった。

20名の女性被験者を対象とした、かつら使用前後にアンケート調査を実施した症例集積研究において、患者のQOLを客観的示すPIADSは、使用前を0として、使用後はtotal score 32.55と有意に向上した。VASにより満足度の変化を調べたが、PIADSの評価項目には相 関しなかった。また、PIDASとTajima’s scoreによる重症度は相関しなかった。女性被験者では、かつらの使用により重症度に関わらずQOLは向上したが、QOLが向上しても満足度が高まる結果ではなかった。かつらの着用による副作用は特に報告されなかった。

以上より、かつら着用は脱毛症状を改善するものではないが、通常の治療により改善しない場合や、QOLが低下している場合に行ってもよいことにする。

分かりにくい表記を外し若干編集しています。

全体的に見てみると、薄毛の人がかつらを着用することでQOL(生活の質)は向上するものの、満足度に関しては女性は向上しなかったということになります。

つまり、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった発毛剤の使用でも薄毛が改善せず、その薄毛によって生活の質が低下している場合はかつらの着用を検討してもよいという結論か。

まあそうでしょうね。

いたって当たり前のことを医学的な見地から検証した結果、やっぱり当たり前の結論にたどり着きましたという例。良くも悪くも。

かつらや増毛では根本的解決にならない

今現在薄毛を改善すると認められている治療法というのは、フィナステリドやデュタステリドといった発毛剤を頂点に、自毛植毛やアデノシンあたりが挙げられます。育毛剤とかハーグ療法は認められていないから除外。

最も効果的とされるフィナステリドやデュタステリドは、AGAの原因であるジヒドロテストステロン(DHT)を作り出す5αリダクターゼ(5α還元酵素)を阻害するため、一見すると根本的な治療法のように感じます。

しかし、これらですら使用を中止すれば元の薄毛に戻ってしまうため、根本的な解決法とは言い切れない面も。

現状では根本的改善に最も近そうである自毛植毛も、薄毛の進行にあわせて追加施術しないと不自然になるなど根治には程遠い。側頭部や後頭部から毛包を採取して移植するという都合上、増やせる本数にも限りがありますしね。

つまり、現在の治療法ではAGAの完治は不可能なのです。それでも発毛剤や自毛植毛は自分の毛を生やすことができるという点に大きなアドバンテージがあるといっていいでしょう。

一方、かつらや増毛は作り物の髪の毛を頭皮に乗せるだけ。女性の化粧に例えれば、もはや美人のマスクを被っているのと変わらないレベルです。

かつらや増毛によってあなたにどれほどのメリットがありますか? それは多岐にわたるデメリットを払拭して余りあるほどのものですか?

かつらを使用したり増毛したりすることで人生が豊かになるのであれば止めはしません。しかしそこに不安や迷いを感じるのであれば今一度冷静に検討してみてください。

発毛剤であれば少しでも早く使用することがAGA改善のカギになるが、かつらや増毛はいつやっても同じ結果になるのだから焦る必要がないというのは地味にメリットなのかもしれません。

前述した通り、まずはフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった発毛剤を使用し、それでも思うような効果が出なかった時に、初めてかつらや増毛を検討すればいいのではないでしょうか。

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