SHEEサプリメントに発毛効果なし?

SHEEサプリメントに発毛効果なし

新しい成分が生み出されては消え、また別の新たな成分が登場―そんな状況を繰り返している育毛業界。そんな分野においてまた新たな成分がを配合したサプリメントが登場しました。その名も「SHEEサプリメント」。

「ナトゥールシン・ビュリクシール」という聞き慣れない成分を配合したこのSHEEサプリメントは発毛剤であるフィナステリドと同等レベルの5αリダクターゼ阻害作用があるとか。

…なんか既視感があるな…

ハゲ大国であるイタリアで登場したビュリクシール配合のSHEEサプリメント。これで本当に薄毛が改善するのか、発毛効果はいかほどなのか詳しく検証していきたいと思います。

    目次
  1. SHEEサプリメントとは?
  2. ビュリクシールとは
  3. SHEEサプリメントの効果
  4. SHEEサプリメントの副作用
  5. SHEEサプリでハゲは治るの?
  6. SHEEサプリのメリットデメリット
  7. SHEEサプリメントのまとめ

SHEEサプリメントとは?

SHEEサプリメントとはイタリアのROELMI社が開発した新しい育毛成分「ナトゥールシン・ビュリクシール」を配合した日本製の育毛サプリメント。

厳密にはビュリクシール+ヒハツエキスのサプリメントということになります。

培養細胞を用いた試験のほかヒトに対する臨床試験により効果を実証し、世界的に著明な学術誌に取り上げられたというのが大きな売り。裏を返せばそれしか誇るものがない商品ということに。

イタリアのROELMI社からライセンスを受け日本のベンチャー企業が外部工場に製造を委託して生産しているサプリメント。ネット上にはこういった商品が溢れており、どれも宣伝ばかりで効果がないものばかり。

SHEEサプリメントは果たして…

ビュリクシールとは

SHEEサプリメントの配合されるスカルプ成分は極めて明朗。ビュリクシールとヒハツエキスのみ。ヒハツエキスは多くの育毛サプリメントに配合されているとあってご存知の方も多いでしょう。

そして注目のビュリクシールはというと、実は6つの成分を組み合わせた複合成分だったりします。セイヨウアカマツ球果エキスやチャ葉エキス、塩化亜鉛などを組み合わせたリデンシルみたいなものか。

ビュリクシールを構成する成分を見てみると…

  • ノコギリヤシ油
  • ボラージ油
  • 亜麻仁油
  • 小麦胚芽油
  • ライ麦エキス
  • 欧州松樹皮エキス

ノコギリヤシ…SHEEサプリメントが「フィナステリドと同等の5αリダクターゼ阻害効果がある」と謳っている点に既視感を覚えたのはノコギリヤシと謳い文句が一緒だからか。実際入ってるし。

ビュリクシールの特徴は必須脂肪酸であるオメガ3やオメガ6を含有する亜麻仁油やボラージ油に加え、抗酸化作用を持つビタミンEが豊富な小麦胚芽油、そして5αリダクターゼ阻害作用があるとされるノコギリヤシを組み合わせたこと。

そしてこれらの複合体が発毛成分フィナステリドと同等の5αリダクターゼ阻害作用を持つことを突き止めた点に集約されます。

非常に胡散臭いですね。

SHEEサプリメントの効果

ではSHEEサプリメントにどの程度の育毛・発毛効果があるのか、メーカー側が行った試験の内容などを見ながら検証していきます。

5αリダクターゼ阻害効果

私達の薄毛のほとんどは男性型脱毛症(AGA)と呼ばれるものです。

AGAは男性ホルモンであるテストステロンと5αリダクターゼという酵素が結びついて生み出されるジヒドロテストステロン(DHT)によって引き起こされ、頭頂部から前頭部にかけてのみ脱毛が起きるのが特徴。

そのためテストステロンからDHTを作り出す5αリダクターゼを阻害しDHTの量を減らすことがAGA治療の基本的な考え。そのために使用されるのが発毛剤であるフィナステリドやデュタステリドなのです。

SHEEサプリメントはそんなフィナステリドと同等の5αリダクターゼ阻害作用があることが大きな特徴。それは培養細胞を用いた試験において証明されているとされます。

SHEEサプリの5αリダクターゼ阻害効果
出典:https://h-aga.com/bc/bcjapan.pdf


これはDHTの量を示したもので、少ないほど優秀ということになります。6本のグラフの内訳は左から見ると…

  • CTR-(未処理)
  • フィナステリド1μg/ml
  • Serenoa repens40μg/ml(ノコギリヤシ)
  • 栄養複合体30μg/ml(ナトゥールシン・ビュリクシール)
  • 栄養複合体60μg/ml(〃)
  • 栄養複合体100μg/ml(〃)

見ての通りフィナステリドが最も高い効果を発揮していますが、ノコギリヤシやビュリクシール100μg/mlもそれに匹敵する数字となっています。

これがSHEEサプリメントにフィナステリドと同等レベルの5αリダクターゼ阻害作用があるという根拠になっているのです。

ただ現実問題として培養した細胞と実際の人間では結果が異なるケースが大半。

培養細胞を用い発毛剤ミノキシジルに対し同等以上の効果があるという結果を得られた成分は数あれど、実際に使用すると全く役に立たないものばかりなのが良い例。キャピキシルとかリデンシルとかピディオキシジルとか…

実際この実験ではフィナステリドに次いでノコギリヤシが良い成績を収めていますが、いざノコギリヤシサプリメントを飲むとAGAにはほとんど効果がない。事実ノコギリヤシがフィナステリドに大きく劣ることは臨床試験で実証されています。

そんなノコギリヤシを配合し、かつノコギリヤシより成績の悪いビュリクシール。しかもほとんど参考にならない培養細胞。どこに期待する要素があるのだろうか?

ビュリクシールの臨床試験結果

ところがどっこい、ビュリクシールはヒトに対する臨床試験においても高い効果を示していたりします。薄毛に悩む男性15名、女性15名に対し6ヶ月間行った臨床試験の結果がこちら。

毛髪密度 男性(%) 女性(%) 合計(%)
大幅に減少 0 0 0
中等度に減少 0 0 0
わずかに減少 6.7 6.7 6.7
変化なし 13.3 6.7 10.0
わずかに増加 20.0 26.7 23.3
中等度に増加 33.3 26.7 30.0
大幅に増加 26.7 33.3 30.0

発毛剤であるミノキシジル5%の臨床試験では6ヶ月の段階で著明改善が2.1%、中等度改善が47.9%、軽度改善が41.7%であることを考えると、ビュリクシールってすごいね~。もはやミノキシジルを圧倒してるね~。

しかしこのビュリクシールの試験、色々と曖昧で信憑性が皆無なんですよね。

まず男女30名の中で男性の薄毛のほとんどを占めるAGAは9名、女性の薄毛では最も多い女性男性型脱毛症(FAGA)は3名の計12名。つまりビュリクシールが阻害するはずの5αリダクターゼが原因の薄毛の割合は40%に過ぎず、この時点で雲行きが怪しい。

また試験の対象人数が30名というのはあまりにも少なすぎる。医薬品の発毛剤であれば最低でも数百人レベルの被験者を用意します。

加えて試験内容も非盲検試験…つまり被験者は育毛っぽい効果があるサプリメントを使うことを事前に認識していることになります。

厳密な臨床試験では先入観を排除するためにプラセボ(偽薬)を使用する群と対象商品を使用する群を同じ人数用意し、かつ医師も被験者もどちらを使用しているか分からない二重盲検法で行われる。

事実、これらの試験は都合のいいデータばかりを抽出しがちな自社データであるにもかかわらず論文の締めくくりには「あくまでも予備試験」とし、今後の無作為試験およびプラセボ対照試験の必要性を明言しています。

SHEEサプリメントをプッシュしているサイトはこの試験の結果から「科学的根拠がある」と鼻息が荒いが、こんな低レベルな試験結果が根拠となるなら世の中発毛剤だらけになるし、ハゲも激減してるはず。

参考資料程度の価値がせいぜい。

SHEEサプリメントの副作用

副作用について販売メーカーは明言を避けていますが、SHEEサプリメントには副作用がないとされます。ビュリクシールの論文においても「有害事象は報告されなかった」と明記してあるため基本的に副作用は存在しないのでしょう。

しかし考えてもみてください。SHEEサプリメントの主成分ともいえるビュリクシールはフィナステリドに匹敵する5αリダクターゼ阻害効果やDHT生成抑制作用があるのですよね。

であればフィナステリド同様性欲減退や勃起障害といった副作用の可能性が存在しないとつじつまが合わない。

なぜなら、フィナステリド並に5αリダクターゼを阻害するということはAGAの原因であるDHTの生成を強力に抑制することになるから。男性ホルモンであるDHTが少なくなれば性機能障害のリスクは必ず存在するはず。

にもかかわらずSHEEサプリメントには副作用や有害事象がないらしい。効果はしっかりとあるのに副作用はないなんて虫がいい話は存在しません。医薬品であるフィナステリドと同等の効果があるのであればなおさら。

副作用がないのであればそれは効果がないことを意味しています。

SHEEサプリでハゲは治るの?

では核心に迫りましょう。SHEEサプリメントでハゲは治るのかどうか。

結論からいえばSHEEサプリメントでハゲが治ることは100%ありえません。AGAに対し一切の効果なしと断言できます。

前述したように開発メーカーが行った小規模の試験において実証されたとする効果は何の根拠にもなりません。学術誌に掲載された点についても同様。かの有名なSTAP細胞の事件を思い出せば分かりやすいか。

SHEEサプリメントの売りはフィナステリドと同様に5αリダクターゼ阻害作用となっていることからもノコギリヤシが大きなウェイトを占めているのは明白。

しかしそのノコギリヤシは、AGAと同じくDHTによって発症する前立腺肥大症の男性369名を対象にした試験においてプラセボ(偽薬)と同等の効果しか得られなかったという結果が出ており、同様の試験結果が複数報告されています。

そもそもノコギリヤシがAGAに効いたという試験結果はほとんど存在しません。あえて挙げるならノコギリヤシを2年間使用した結果38%に改善が見られたというしょぼいやつくらいでしょうか。

そもそもサプリメントって医薬品はおろか医薬部外品の育毛剤ですらない、ただの健康補助食品。そこに何の責任も発生しません。事実公式サイトでは「育毛」や「発毛」はおろか、「髪の毛」や「ヘア」という言葉を一切使わない徹底ぶり。

要は客が勝手に髪の毛が生えると解釈するよう仕向けているのです。

SHEEサプリメントはAGAクリニックが取り扱っていることをひとつの売りにしているものの、その数はたったの2院。そもそも医者が科学的根拠のないサプリメントを勧めるって…裏に金の臭いしかしないわ。

SHEEサプリのメリットデメリット

それでもどうしてもSHEEサプリメントが気になるという人もいるのではないでしょうか。そういった人に向けSHEEサプリメントを使用することのメリットデメリットを明確にしておきます。

SHEEサプリメントのメリット

  • 副作用がない(らしい)
  • 安心の日本製
  • 発毛剤と併用できる
  • ハゲが治らなくても「サプリメントだから…」と言い訳できる

SHEEサプリメントのデメリット

  • ハゲが治らない
  • ハゲが進行する
  • お買い得な1万円
  • 専門家や医師、ガチ発毛勢に鼻で笑われる

SHEEサプリメントは素晴らしい商品だけに一長一短といったところですね。大した成分が入っていないにもかかわらず定期コースで1万円というのは非常に良心的。ダイソーなどでノコギリヤシサプリ買えば100円なのにね。

特筆すべきはやはり副作用がない点でしょうか。フィナステリドやミノキシジルといった発毛剤はその効果の高さゆえに副作用リスクがどうしても付きまといます。その点SHEEサプリメントは安心してお使いいただけます。効果もないけど。

新しい商品だけに色々と配慮されている印象がありますね。

SHEEサプリメントのまとめ

鳴り物入りで登場したSHEEサプリメント。ハゲ大国であるイタリアの企業が開発したナトゥールシン・ビュリクシールに注目が集まりますが、その中身は極めて凡庸な成分を組み合わせただけのもの。

ごくごく一部のAGAクリニックで取り扱っていたり学術誌に自社データを掲載したりと実績作りに躍起な印象。しかし肝心の中身はしょせんはサプリメント…健康補助食品です。

これでイタリアのハゲがどのくらい減るのか注目したいところ。

SHEEサプリメントを自分が運営するサイトのリンク経由で売ると6,000円超の報酬が受け取れるとあって様々なサイトがこぞっておすすめしています。こういった提灯記事には騙されないようにしてください。

SHEEサプリメントに限らず、新たな育毛商品が出るたびに高額な報酬をエサにサイト運営者に絶賛記事を書かせ、ハゲに悩む人を食い物にする…こういった手法が繰り返されています。

育毛業界は本当に腐っていますね。

世界的にAGAに対する発毛効果が認められているのはフィナステリドとデュタステリド、ミノキシジル以外に存在しません。くだらないサプリメントで時間とお金を無駄にしないよう心から願います。

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