一時期うんざりするほどCMを垂れ流していた発毛専門リーブ21。積極的な広告展開に加え、発毛日本一コンテストを開催するなど売り込みの余念がない同社ですが、発毛に科学的根拠は一切なく費用も常識外れの超高額。AGAにも効果なし。

医師が行うハーグ療法ですら、高額にもかかわらず期待できる効果は微々たるものなのに、ただの民間企業が医療機関の治療をはるかに上回る金を吸い上げ、根拠のない発毛を謳う…ある意味すごい。

怪しげなケアを行いつつ顧客にもホームケアを行わせ、ぼったくり価格のシャンプーや育毛剤を売りつけるその手法は驚愕の一言。にもかかわらず騙される人が後を絶たないのはなぜなのか不思議に感じる。

色々とトラブルを起こし、何度も裁判沙汰になっていることでも有名なリーブ21。その“魅力”に迫ってみましょう。

目次
1. リーブ21の発毛メカニズム
2. “副作用ゼロ”という嘘
3. 「終了がある」という幻想
4. 名ばかりの返金制度
5. 一切根本的な解決になっていない
6. 発毛剤をおすすめすることもあります
7. 色々と裁判を起こされている
8. 超高額なリーブ21の料金
9. リーブ21は絶対にやってはいけない

リーブ21の発毛メカニズム

とりあえずリーブ21がどういったものか知らないことには始まらないので、公式サイトや動画など一通り目を通してリーブ21のすごい発毛メカニズムを勉強してまいりました。

曰く、人間の持つ自然治癒力を活性化することで薄毛に立ち向かうらしく、13,800種に及ぶ天然由来の成分を研究し、その中から男性型脱毛症（AGA）に効果がある成分を厳選。それを用いて育毛剤やサプリメント、シャンプーを作ったとのこと。

本格的なコースでは自然・天然の成分を用いた施術を月2回行った上で、食事や生活習慣を改善するアドバイスを受け、発毛根拠がないホームケア機器を使って家でもケアを行えば、多くの方がフサフサになるらしいですよ。※発毛には個人差があります。

加えて、リーブ21が独自に開発した育毛剤を15,000～20,000円で購入し使用すると共に、高額かつ平凡なシャンプーや健康食品も併用すると、不思議なことに髪の毛フサフサになるらしいですよ。※発毛には個人差があります

様々な天然由来の成分を研究、厳選した成分を独自に配合した育毛剤の使用、頭皮に電流をあてる専用の発毛機器を用いることで髪の毛が生えると謳ってはいるものの、その具体的なメカニズムは謎に包まれています。

医薬品には欠かせない臨床試験も行っていないため、発毛の科学的根拠は皆無と言わざるを得ません。

■AGAに遺伝や体質は関係ないらしい

リーブ21が強調するのは、薄毛の原因は生活習慣や食生活、運動不足、ストレスなどが原因で薄毛になるという点で、そこに遺伝や体質といった文言は一切出てこない。

ちなみに、医学的には薄毛の原因であるジヒドロテストステロン（DHT）を作り出す5αリダクターゼという酵素の分泌量やDHTの感受性は遺伝によって大半が決まるとされており、世界的な常識となっている。

一方で、医学と全く関係のない一民間企業のリーブ21では、薄毛の原因は生活習慣などで自然治癒力が衰えた結果という。

一応、薄毛の原因物質としてDHTや5αリダクターゼという言葉が出ているので、リーブ21的には遺伝だろうが体質だろうが自然治癒力を高めれば弾き返せるという理論になるのか？

自然治癒力…胡散臭い民間療法がよく使う言葉の典型だな。目に見えないし数値化もできないから言いたい放題。

“副作用ゼロ”という嘘

リーブ21の公式サイトを覗いてみると、「副作用ゼロのAGA対策」という文字が躍っています。副作用がない…とても魅力的な言葉ですよね。しかし、常識的に考えてそんなことがありえるのか？

いいえ、ありえません。

例えばリーブ21の育毛剤「リーブトニック」。

世に溢れる育毛剤の多くは、フィナステリドやミノキシジルの副作用を槍玉に挙げ、「自社製品に副作用はほとんどない」と胸を張ります。でもそんなことは考えられないんですよね。

外用薬として用いられるミノキシジルには頭皮への刺激性があり、炎症やかゆみ、紅斑が現れることがあります。

しかし、炎症などを引き起こす成分はミノキシジルのみではなく、リーブトニックにも使用されているエタノールやBG、グリセリンなどでも起こりえるのです。

そもそも、効果や副作用を客観的に洗い出す臨床試験を行っていないのに、なぜ「副作用ゼロ」と断言できるのか。その根拠すら明らかになっていない。

様々な天然成分を配合した育毛剤だから副作用もない？ そんな嘘を平然と言ってのけるあたり、さすがはリーブ21。

「終了がある」という幻想

リーブ21の目的は、頭皮や身体、心をトータル的に整えることで自分の髪が生える環境を作り出すことにあると謳われています。だから、それが達成されれば発毛コースは終了するのだと。

一般的に、医療機関で処方されるフィナステリドやデュタステリドといった、AGAの原因物質の生成を抑制する発毛剤は、服用している期間のみ効果を発揮するため、根本的な治療にはなり得ません。

故に、発毛剤の効果で生えた髪を維持するためには、半永久的に飲み続ける必要があるのです。この事実により、発毛剤の使用を躊躇する人も多いのではないでしょうか。

一方、リーブ21の施術には終わりがあり、以後は何もしなくても髪の毛が生え続ける…なんとも魅力的な話ですよね。

しかし、男性の薄毛のほとんどを占めるAGAは、母親から受け継ぐX染色体に含まれるアンドロゲンレセプターの感受性が発症を左右することが分かっています。

また、AGAの原因物質であるジヒドロテストステロン（DHT）を作り出す「5α-リダクターゼ」の分泌量は遺伝によって決定されるというのが医学界の常識。

つまり、AGAは遺伝によって引き起こされるものであるのは疑いようがなく、そこに心身の健康や頭皮環境など入り込む余地はない。

にもかかわらず、リーブ21は「頭皮、身体、心を整えることで自分の髪が生えてくる」と的外れなことを言い、あまつさえ「リーブ21の発毛には終了がある」とのたまう。

遺伝によって発症する病気は様々あれど、これを根本的に治療する方法はほとんど確立されていないというのに。

これはもう、医学への挑戦…どころか、生物のメカニズムを根底から否定する行為ですよね。しかもそこに根拠は存在しないのだから、ある意味宗教じみている。

名ばかりの返金制度

リーブ21では効果が出なかった際には施術料の返金に応じるとしている。

しかし、条件は「1年以上のトータルコース、エメラルドコース、オウサムクラス、グレイスクラスの各コースを受けられて、コース終了時点で効果がなかった場合、施術料を全額返金する制度です」とある。

これらのコースは本格的なケアを行うもので、かなりの費用が必要になる。これより1つ下の比較的ライト発毛促進コースというプランで1ヶ月約8万円と聞けば、これらのコースの費用が想像つくだろうか。

もちろんこの料金には育毛剤やシャンプー、健康食品は含まれていないため、トータルではもっと高くなりますし、返金の対象は「施術料」なので、商品購入のお金は一切帰ってこない。

また、後述しますが、2006年にリーブ21を受けた男性が返金を求めて裁判を起こし勝訴しており、その中で語られた施術費は4年で490万円。商品購入代金も合わせると680万円也。

ちなみに、この裁判でリーブ21側は「必ず生えるとは言っておらず個人差があることは伝えた」と反論しています。

そこでリーブ21の発毛の定義を見てみると「リーブ21の「発毛」とは施術前と施術後の写真を比較し、脱毛部分にあきらかに黒い髪が生えている、またはあきらかに毛量の増加が客観的に認められることと定義します」とあり、1年以上の高額なコースで効果がなかった場合は返金に応じるとしています。

しかし、ここでは「発毛の定義を満たさなかった場合」ではなく「効果がなかった場合」としている点がミソ。

産毛だろうが数本だろうがちょっとでも生えれば「効果があった」と頑なに主張し、返金に応じない姿勢。

一切根本的な解決になっていない

リーブ21は頭皮や心身を内外から整えることで薄毛を根本的に解決するという。

しかし、それには年単位に及ぶ施術やケアが必要になり、万が一発毛したとしてもリーブ21を止めれば薄毛に逆戻り。リーブ21は「発毛コースには終了がある」と謳っているが、「終了しても生え続ける」とは言っていないからね。

根本的な解決ってのはフサフサかつケアの必要がない状態を指すんじゃない？

薄毛の原因は5αリダクターゼが作り出すDHTなので、5αリダクターゼの分泌や感受性を半永久的に抑制したり、DHTの生成を生涯にわたって抑えてこその根本的な解決だろうに。

リーブ21を止めた後に再び薄毛になったところで「自己責任」と片付けるのだろうな。当然返金に応じる義務はないから泣き寝入り。

発毛剤をおすすめすることもあります

リーブ21では長期間にわたって効果が出ないような頑固な薄毛に対しては医薬品をおすすめすることがあると明記している。

出典:リーブ21公式サイト

いやいや、ちょっと待て。

リーブ21のすんごい施術や育毛剤、ホームケア機器を使っても髪の毛が生えない場合、発毛剤であるプロペシアやミノキシジルを使わせるの？ その効果により発毛したら「ほーら、うちの技術すごいでしょう」っていう流れなのか？

発毛剤の効果とはいえリーブ21利用中に髪の毛が生えた事実があるから、後で「効果が無かったから金返せ」と申し出ても「生えたから返金保証の対象外です」って突っぱねる算段だったのだろうか？

ちなみに、この記述は少なくとも2019年頃まで公式サイトの「よくあるご質問」の最後に掲載されていたが、現在は削除されています。

「副作用ゼロの発毛」を謳っておきながら「医薬品をおすすめすることもあります」じゃあ、「うちの技術力はその程度です」と言っているようなものだからね。

考えようによっては、この記述がある頃は「うちの施術でどうにもならない場合は、最悪発毛剤を使っても発毛させたい」という、薄毛の人に寄り添おうという気概があったとも受け取れる。

それが削除された現在は…まあ、うん、リーブ21の技術が進歩して、医薬品の発毛剤など必要なくなったんだよ、きっと。

色々と裁判を起こされている

常識的な感覚を持っていれば、リーブ21が行う一切の科学的根拠がない発毛は明らかに怪しいと感じるのは自然なこと。色々と裁判を起こされている点からも「なんか怪しいんだよな…」と感じることでしょう。

リーブ21絡みの裁判でもっとも有名なのは、上でも少し触れたように4年間続けてほとんど髪が生えなかった男性によって2006年に起こされた、慰謝料・返金請求の裁判で、報道では以下のようになっています。

このように、この男性は4年間で施術料490万円、商品購入代金を合わせると680万円支払ったとされ、それだけ払っても少し生えた程度というあたりにリーブ21の実力が垣間見える。

次に女性支店長による2009年の裁判。

リーブ21の企業姿勢がハッキリと見て取れる裁判。

無理をしてでも会員契約をしろと上司に強いられていることを、CMでお馴染みの岡村勝正社長に訴えたところ、次の日に支店長からオペレーターに降格させられた…つまり、リーブ21の強引な会員勧誘は社長含め会社ぐるみだったということ。

残念なのはこの裁判の顛末がどこを調べても載っていないこと。結局ある程度のところで和解したという事なのか？

最後に、比較的新しい2017年の裁判

もっとも気になるのは裁判の内容より最後の40％というところ。

この文面の「顧客に返金した割合から計算」という点、その詳細は語られていなため、具体的な40％という数字をはじき出した計算法は分かりませんが、裁判長の「偽ったとまでは言えない」という、微妙な表現が引っかかる。

この文面を見ると「発毛率95％」というのは「＝返金しなかった人」と受け取れる。

返金を申し出なかった顧客や、返金を申し出てもリーブ21側がそれに応じなかった顧客の割合が95％で、リーブ21はそれを「発毛率」と謳っているらしい。そんな計算が認められるのかよ。

それでは「発毛しなかったけど仕方がない」と諦めた人も発毛したことになる。

実際、2008年頃に流されていたリーブ21のCMでは、岡村勝正社長自ら「3.4％の課題」というボードを掲げ「残念ながら3.4％のお客様に発毛を実感してもらえませんでした」と言っていた。

そこには「返金対象コースを終了されてたお客様3863名中、返金したお客様130名の割合（2007年度）」とはっきり書いている。

「返金しなかった人＝発毛した人」という強引な解釈により、現在の発毛率98％が達成されているわけね。

控えめという美徳を持つ日本人を逆手に取った数字か。なんかムカムカするぞ。

超高額なリーブ21の料金

リーブ21は公式サイトにおいて、手軽な3つのプランについては基本的な施術の料金を提示しています。まずはその料金表を見てみましょう。

コース	1回の料金
AGA対策施術	16,500円（税込）
エメラルド施術	16,500円（税込）
育毛施術	8,800円（税込）

本気で発毛させたいようであれば、1回16,500円のコースを週1～2回行うのが一般的とのこと。

そして、リーブ21が発表している「発毛を実感するまでの期間は？」というアンケートによると、3ヶ月未満…9％、3ヶ月～6ヶ月…24％、6ヶ月～12ヶ月…47％、1年～2年…17％、2年以上…3％という結果らしい。

これを見ると、ほとんどの人は3ヶ月～2年で発毛を実感することになる。ただ「発毛を実感したからハイ終了」というわけではないだろうから、現実的には6ヶ月～2年くらいの施術期間がボリュームゾーンとなるでしょう。

1回の施術が16,500円として、単純に費用を計算してみると…3ヶ月12週、6ヶ月25週、1年50週で計算。

期間	料金
3ヶ月	週1回	週2回
	198,000円	396,000円
6ヶ月	週1回	週2回
	412,500円	825,000円
1年	週1回	週2回
	825,000円	1,650,000円
2年	週1回	週2回
	1,650,000円	3,300,000円
3年	週1回	週2回
	2,475,000円	4,950,000円

…いやもうすごいね、高額な自毛植毛やかつらですら霞む超高額。

「いくらなんでもここまで高くないだろう」と感じる人もいるかもしれません。しかし前述した裁判を起こした男性は、4年間で施術費用を490万円支払っていることを考えると、決して大げさな金額ではないことが分かると思います。

ある程度の回数分をまとめて契約すると一定の割引があるという話もあるので、それを加味しつつ1年間みっちり通うとなると100万円前後、2年で250万円前後といったところでしょうか。

しかしこれはあくまでも施術費用。さらにリーブ21オリジナルの育毛トニックやシャンプーを購入するとなると、上記施術費用の約1.5倍くらいの出費を覚悟しておく必要があるでしょう。

もはや常軌を逸している。正義感の強い女性支店長が訴えたくなるのも頷ける。

がん治療などでも、藁にもすがりたい患者の足元を見て甘く囁く、科学的根拠の全くない高額な民間療法が横行していますよね。リーブ21にも同種の臭いがプンプンする。

リーブ21は絶対にやってはいけない

リーブ21は自然治癒力を高め薄毛を治すなんてもっともらしいことを謳っていますが、遺伝や体質が原因のほとんどを占める男性型脱毛症（AGA）はそんな生ぬるいもので改善するようなものではない。

そもそも、リーブ21の施術では効果が出ない強固な薄毛には、プロペシアやミノキシジルといった医薬品を紹介することもあると謳っていた時点で、発毛剤の方が効果があると認めているようなもの。

産毛が多少生えただけでも「発毛効果はあった」として返金には応じないなど明らかに悪質ですし、発毛率98％という数字も「返金に応じない＝発毛した」という強引な印象操作によるもの。

「5α-DHTの影響が特に強い一部のお客様の場合、医薬品をおすすめすることがあります」というなら、発毛剤を使えばいいじゃない。

副作用が怖い？ 高い効果があるものには必ず副作用が存在します。副作用がない一方で高い効果が望めるなどという“夢の治療法”は存在しないのだよ。

そもそも医師の介在しないサービスで「発毛」を謳うのは薬機法に違反しないのか？…という疑問がわくが、こういったサービスにこの法律は適用されないのか。

国の方でも何らかの対策をしろよと言いたいですよね。

リーブ21に行くくらいなら、悪質でないAGAクリニックや皮膚科を受診しプロペシアやザガーロを処方してもらった方が遥かにいい。だってリーブ21自体も発毛剤に頼っているふしがあるくらいなのですから。

日本の医療機関で処方されるプロペシア（フィナステリド）やザガーロ（デュタステリド）が海外製のジェネリックに比べて高価なのは間違いありませんが、それでも年間10万円前後で済みます。

当サイトも広告収入で運営している以上、サイト内のリンクを踏んでもらって海外製のジェネリックを買って欲しいのは確か。

ただ、当サイトの本分は、薄毛の人が胡散臭い育毛剤や育毛サロンなど、育毛関連サービスに騙されてお金や時間を無駄にすることを回避し、正しい発毛を行ってもらうことにあります。

リーブ21に行くくらいなら、ぜひ一度AGAクリニックや、AGAにも対応している皮膚科を受診してみて下さい。

発毛剤の副作用、言うほど大したことないよ。