ダブルインパクト 生えない超高価育毛サプリ

ダブルインパクトのIGF-1理論は信用できない

イソフラボンとカプサイシンを摂取することでIGF-1を増やす育毛法は、一時メディアなどに取り上げられ話題になりました。「ダブルインパクト」という育毛サプリはまさにそれを取り入れた商品ですが、当然こんなもので髪は生えません。

このダブルインパクト、イソフラボンとカプサイシンによるIGF-1(インスリン様成長因子)分泌を提唱した名古屋市立大学医学研究科教授の岡嶋研二教授の理論を使用しているとあって信頼性、注目度共に高いものでした。

しかしこれには色々とケチがついてしまい、宣伝方法にもいろいろと問題があることが露呈、しかも「発毛しない」「薄毛は治らない」という、つっこみどころ満載のネタ的な商品に成り下がってしまった印象。

なぜダブルインパクトで髪は生えないのか? 詳しく解説していきましょう。

ダブルインパクトの全成分

ダブルインパクトはイソフラボンとカプサイシンが別のボトルに入っている形になっており、この2つだけのシンプルセットと、これにローヤルゼリーと亜鉛を加えたスタンダードセットがあります。

ここではダブルインパクトの象徴ともいえるイソフラボンとカプサイシンのシンプルセットに絞って紹介していきます。

まずはこの2つの全成分から見てみましょう。

カプサイシンボトル イソフラボンボトル

香辛料抽出物(カプサイシン)
オリーブ油
グリセリン
被包剤(ゼラチン)


大豆胚芽抽出物(イソフラボン)
コーンスターチ
ショ糖脂肪酸エステル
被包剤(プルラン)
着色料(二酸化チタン)

これを見ても分かるように、主要な成分はカプサイシンとイソフラボンのみ。

これだけシンプルな成分構成となると、この組み合わせに相当な自信があるという見方もできます。しかしその根拠を見てみると…

■カプサイシンとイソフラボンの発毛メカニズム

カプサイシンとイソフラボンを一緒に摂取することで育毛効果があるとされるIGF-1(インスリン様成長因子)を増やすとして注目された理論。

大豆に含まれるイソフラボンを摂取することで、IGF-1の生成を促す「CGRP」という物質を増やし、唐辛子に含まれるカプサイシンが知覚神経を刺激し毛根でIGF-1を放出。

IGF-1は髪の毛をはじめ人体の若返り効果を持っているため、カプサイシンとイソフラボンによるIGF-1の増加が発毛に繋がるとされる。

これだけ見るともっともらしく感じます。大学教授が提唱する理論という信頼性の高さも相まって一気に広まり、ダブルインパクトに限らず多くの育毛サプリメントがカプサイシンとイソフラボンを含有するという動きが活発化しました。

しかしこの理論、後に豪快なケチが付くことに。

カプ+イソを提唱した教授は捏造により失職

この理論を提唱した岡嶋教授は熊本大学の元助教授で、後に名古屋市立大学の教授になりますが、平成23年に名古屋市立大学及び熊本大学において、複数の研究者の研究活動において不正や改ざんが疑われるという申立書が提出されます。

その中で19編の論文に改ざんなどの不正が見つかり、その19編すべてにおいて責任著者だったのが件の岡嶋元教授なのです。

これらについて岡嶋元教授が直接関与した証拠は見つからなかったものの、不正が行われた論文は数人の著者によって書かれたにも関わらず、すべてにおいて責任著者は岡嶋元教授という不自然さ。

そういった背景から岡嶋元教授が不正に気付いていないとは考えられないと結論付けられ、8編の筆頭著者だった原田元准教授が懲戒解雇、岡嶋研二教授には停職6ヶ月が言い渡され、その後退職しています。

1人の部下が不正をおこなっていたのであればまだしも、それが複数人となれば上司である岡嶋元教授から何らかの働きかけがあったと考えるのが妥当。

そんな人間が提唱する発毛メカニズムに信憑性などありませんよね。

ちなみに、このメカニズムは一応特許を取っていますが、実験で使用されたのはマウスであって人間ではありません

人間ではなくマウスです。大事なことなので2回書きました。

現在は岡嶋元教授に関する情報はほとんど削除

岡嶋元教授が関与していた疑いがある捏造問題発覚後も、ダブルインパクトの公式サイトではIGF-1理論の提唱者として同教授を紹介していました。

現在ダブルインパクトの宣伝ページでは岡嶋元教授に関する記述は見当たらないものの、IGF-1育毛理論を紹介するページではその名を確認することができます。

参照サイト:コスデミー

ちなみに、ダブルインパクトを販売するコスデミー(旧コスメティックアカデミー)の公式サイトでは、捏造問題や、それが原因で名古屋市立大学を退職したことには言及しておりません。当たり前か。

薬機法に抵触しそうな表現を使っている

ダブルインパクトのホームページを見てまず驚いたのは、医薬部外品の育毛剤ですらない、ただの健康補助食品にも関わらず薬機法(旧薬事法)に抵触しそうな表現を使っていること。

ダブルインパクトは薬事法違反
出典:コスデミー公式サイト


医薬部外品の育毛剤ですら「発毛」「髪が生える」という表現は薬機法違反。この表現が認められているのはフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルの3つの発毛成分のみのはず。

ダブルインパクトはただのサプリメントにもかかわらず「発毛」「生える」という表現を使っているのにはビックリしました。

発毛に関しては「90%」という表現だから許される? 「生える」と書いているだけで「髪が生える」とは書いてないから許される?

このあたりの微妙なニュアンスについては私も白黒付けるだけの知識は持ち合わせていませんが、一般論から言えば非常識かつ法令遵守の観念が希薄としか言いようがない。コスデミーはコンプライアンスなどクソくらえなのか?

医薬部外品の育毛剤ですら許されるのは「育毛」「発毛促進」まで。ただのサプリメントにこういった表現を使う時点でこの企業は信用できない。

「生える」という表現は削除したが…

上記の表現は薬機法違反ということに気付いたのか、指摘を受けたのかは分からないが、現在「生える」という文字は削除されています。代わりに「髪活」なるわけの分からない表現を用いています。

ただ…

「生える」と謳うダブルインパクト
出典:コスデミー公式サイト


以前の薬機法違反的な宣伝文句がタブに残ってますから!

「生える」という表現を用いた画像は新たなものに差し替えたが、ページのタイトルはそのまんまだから、こうやってタブには「生えるサプリメント」と表示されちゃうんですよね。雑な仕事ですね。

ダブルインパクトを使用しても髪は生えないし、公式サイトにおいてこういったずさんな管理しか行われていない点からも、誠実さや信頼性は皆無。

イソフラボンの限度量をオーバー

ダブルインパクトはカプサイシンとイソフラボン以外これといった成分は配合されていませんが、それだけに虎の子のイソフラボンに関しては含有量がしっかりと記述してあります。

で、含有量が明記してあるイソフラボン、1粒あたり25mgを配合しており、1日に3粒飲むとされていますから、ダブルインパクトで摂取できるイソフラボンの1日の合計は75mgという計算になります。

しかしこのイソフラボン、厚生労働省では1日の摂取上限目安を70~75mgと設定しており、その中でサプリメントや健康食品などで摂取するイソフラボンの量は1日30mgを上限としています。

サプリメントにおけるイソフラボンの1日の上限
出典:大豆イソフラボンを含む特定保健用食品等の取扱いに関する指針


つまりダブルインパクトの1日75mgというのは1日の上限いっぱいの含有量であり、食事のことまで考えれば厚生労働省が推奨する摂取量を毎日オーバーするのは確実です。

常識的な企業であれば厚生労働省の見解を遵守し、1日分30mgを超えるような配合は行わないものですが、ダブルインパクトはそんなものどうでもいいらしく、「他社と違い1粒で25mgも入っているぜ!」と誇らしげに書いている。

ダブルインパクトのイソフラボンは過剰摂取
出典:コスデミー公式サイト


厚生労働省は過剰摂取を懸念して「健康食品での摂取は1日30mg以内とするべき」としているのに、それすら守れない。消費者の健康より自社の製品の優位性をアピールすることの方が重要らしい。

国の見解が異なる外国製のサプリメントというのであれば話は分かるが…なんなんだろう、このサプリメント。

エビデンスがないイソフラボン+カプサイシン

ダブルインパクトのイソフラボンに過剰摂取の恐れがあるとはいっても、イソフラボンを基準量以上に摂取した際の悪影響はよく分かっていませんし、過剰気味に摂ることによって薄毛が治るなら、私達ハゲにとってはむしろウエルカムですよね。

しかし、イソフラボンやカプサイシンを摂取して男性型脱毛症(AGA)が治るなんてエビデンス(科学的根拠)は存在しませんし、そもそもイソフラボンとカプサイシンを摂取してIGF-1が増加するという根拠も極めて乏しい。

前述したとおりイソフラボンとカプサイシンの組み合わせでIGF-1が増加すると訴えているのは、捏造問題が発覚した岡嶋氏のみ。それ以外に検証した試験データは存在しませんし、岡嶋氏の論文自体が捏造の可能性も考えられる。

仮に岡嶋氏による試験データが本物だとしても、人間の頭皮とは明らかに異なり、かつAGAとは無縁のマウスを対象にした試験結果では、どんなに優れた結果が得られたとしてもエビデンス(科学的根拠)とは呼べない。

「特許を取っているんだから、それなりに信用できるのでは?」と感じる人もいるでしょう。しかし特許と科学的根拠は別物。 「国立健康・栄養研究所」でもこういった記述が見られました。

特許と科学的根拠は別物
出典:健康食品の基礎知識


特許は発明やアイデアを保証するものであり、その効果や根拠を保証するものではないのです。つまりダブルインパクトが採用している特許技術のIGF-1理論は科学的根拠にはなりえないということ。

研究データや論文はマウスを用いた岡嶋氏の1編のみで、捏造の可能性あり。しかも対象はマウス…ハゲを馬鹿にするのもいい加減にしろよ。

ダブルインパクトの価格が凄まじく高価

さて、ここまでダブルインパクトのツッコミどころを色々と書いてきました。そして最後を締めくくるのは価格になります。

購入プラン 初回 価格
単品購入 10,800円(税込)
定期コース 5,400円(税込) 9,720円(税込)

カプサイシンとイソフラボンしか入っていないサプリメントが10,000円だぜ!

カプサイシンやイソフラボンなんてネイチャーメイドなど海外製のお徳用サプリメントであれば、両方買ったって1ヶ月2,000円くらいに収まるのに、ダブルインパクトは10,000円。確かにインパクトはすごい、悪い意味で。

一応イソフラボンとカプサイシンの含有量をおさらいしておくと、イソフラボンは1粒25mgで1日3粒が摂取目安であるため、1日分は75mg。カプサイシンは1粒1mgで1日6粒推奨なので、1日分は6mgとなっています。

いずれも推奨量の摂取で1ヶ月分。3ヶ月分くらい入っているならまだしも、たった1ヶ月分のイソフラボンとカプサイシンが10,000円か…

捏造が疑われる元教授が提唱し、発毛効果すらないのに10,000円。こんな厚顔無恥なサプリメントにはなかなか出会えないですよ。

絶対に使うなダブルインパクト

とにかく、調べれば調べるほどため息しか出ないダブルインパクト。

そもそもハゲは遺伝の要素が大きいため抗うには強力な発毛効果が必要になる。そんな状況の中で育毛系サプリメントで髪が生えるはずがない。しかもダブルインパクトはつっこみどころ満載である一方、エビデンスの欠片も存在しない。

薬機法(薬事法)はクソくらえ、厚生労働省が決める上限量もクソくらえ。捏造が明るみに出た元教授の理論を今でも振りかざして価格は10,000円。

一応書いておくが、イソフラボンサプリメントの1日の限度量30mgというのは、納豆1パックや豆腐半丁に含まれるイソフラボンの含有量より少ない。

つまり毎日納豆を食べていればサプリメントなんて飲む必要すらないということになり、しかも納豆にはビタミンB群や亜鉛、アミノ酸など髪の成長に必要とされる栄養素も豊富。

イソフラボンとカプサイシンを摂取したいなら、毎日キムチ納豆でも食べていれば十分。イソフラボンとカプサイシン以外にも多くの栄養を摂取できるため髪の毛のみならず健康面でもプラスになるし、お財布にも優しい。

まあ、キムチ納豆で薄毛が治れば苦労はしないけどね。

ダブルインパクトに限らず、イソフラボンやカプサイシンを摂取しても髪の毛が生えることはありません。本気で発毛させたいなら素直に発毛剤を使うようにしましょう。

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