毛髪再生医療はハゲの根本的な解決にならない

毛髪再生医療は根本的な解決にならない

近年存在感を強めている毛髪再生医療。髪の毛の基となる毛包を大量生産できることから、発毛剤や自毛植毛に代わる次世代の発毛治療として期待を一身に集めています。しかし残念なことに根本的な解決にはならないという事実も。

2016年頃から資生堂や京セラが相次いで発表した毛髪再生医療は、私たちハゲに希望をもたらすものでした。薄毛治療の新たなステージと言っても過言ではないでしょう。

でもちょっと待って。内容を精査してみると必ずしも期待通りではありません。それは施術法であったり、費用であったり…

誰もが「ハゲ治療の本命」と称賛する毛髪生成医療。天邪鬼である私はこの次世代の薄毛治療法に噛みついてみたいと思います。

毛髪再生医療とは?

日本において毛髪再生医療の研究を行っているのは、大きく分けて2つのグループに分類されます。

ひとつは資生堂や東京医科大学、東邦大学が共同で研究を行う再生医療。そしてもうひとつは京セラと国立研究開発法人理化学研究所(理研)、オーガンテクノロジーズが開発する治療法です。

資生堂の毛髪再生医療

資生堂が中心となって研究を進めている毛髪再生医療は、男性型脱毛症(AGA)の影響を受けない後頭部から「毛球部毛根鞘細胞」を採取・培養して数を増やしたうえで、脱毛部分に移植するというもの。

資生堂の毛髪再生医療
出典:資生堂


現在行われている自毛植毛と違い、ごくわずかな量の採取でも培養することによって多くの毛球部毛根鞘細胞を作り出せることが大きなメリット。これにより移植できる数に制限がなくなります。

また、自分の細胞を用いることから拒絶反応のリスクが少なく、男女問わず治療が行えることも利点といえるでしょう。

2016年には臨床研究を開始したと発表があり、現在は実用化に向け研究が進んでいるものと思われます。

京セラ・理研の毛髪再生医療

一方、理研やオーガンテクノロジーズが中心となって研究をしている毛髪再生医療は、AGAを発症しない後頭部などから毛包を採取し培養。毛包原基を大量生産した上で薄毛部分に移植するというもの。

京セラ・理研の毛髪再生医療
出典:京セラ


資生堂の研究同様、髪の毛の基を大量に作りだすことができる点がメリット。移植の数に限界がある自毛植毛と違い少ない負担で多くの髪の毛を生み出すことができます。

マウスの背部に再生毛包原基を28個移植したところ、1平方センチメートルに124本の毛が生えたことが確認されているとのこと。人間の髪の毛が1平方センチメートあたり100~150本生えていることを考えると十分な量。

2018年7月からマウスなどを用い安全性を確かめる非臨床試験を行うと発表。この試験は2018年内に終了予定で、その後は臨床研究に移行するとされます。


資生堂と京セラの毛髪再生医療は細かいところで違いはあるものの、髪の毛の基を採取・培養することで最小限の負担で最大の効果が得られる点は共通しています。

それを聞くと確かに夢の治療法のように感じるが…

毛髪再生医療はAGAが治るわけではない

薄毛の有効な治療法として期待される毛髪再生医療。しかし、これだけ高い技術をもってしても所詮は対症療法。男性型脱毛症(AGA)を根本から治療するわけではないのです。

理由は簡単、AGAは強力な男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)によって引き起こされるのに対し、毛髪再生医療はただ単に髪の毛の基を薄毛部分に移植するだけだから。

「ハゲが治るんだからいいじゃん」。そう感じる人も多いことでしょう。しかし考えてみてください。AGAが治らないということは、治療後も進行を続ける現実を。

毛髪再生治療後も進行する薄毛

以前「自毛植毛の落とし穴 語られない真実」でも書いたことなのですが、自毛植毛はもちろん、最先端の毛髪再生医療を用いたからといってAGAが治るわけではないので、施術から数年後には異様な光景が広がることに。

そう、移植していない部分の薄毛が進行し、移植部分が離れ小島になるのです。

AGAで最も多いM字ハゲを例に取りましょう。

M字部分の薄毛が気になってきたので毛髪再生医療でその部分を埋めたとします。治療が終わってから1~2年くらいは「フサフサになった!」と喜べることでしょう。

しかしそれも一時的です。なぜなら毛髪再生医療を用いて髪の毛を増やしたからといってAGAの進行は止まらないから。そう、数年後にはこうなります。

毛髪再生医療でもAGAは進行

後頭部の毛包を移植したM字部分は半永久的に生えるでしょう。しかしそれ以外の部分はハゲます。確実にハゲます。AGAの最終到達点は波平だからな。

毛髪再生治療後の不自然な状況を回避するには?

部分的な毛髪再生治療によって直面する不自然な髪の毛の状況を回避するにはどうすればいいのか?それにはいくつかの方法が考えられます。

  • 薄毛が進行するたびに追加施術
  • フィナステリドやミノキシジルを使用しAGAの進行を食い止める
  • 完全にハゲあがってから毛髪再生医療に取り組む
  • 気にしない

順に見ていきましょう。

薄毛が進行するたびに追加施術

AGAは発毛剤を使うなどの対応をしない限り、基本的に進行する一方です。ゆえに一部分だけ毛髪再生医療を行うと、数年後にはほぼ確実に“浮く”ことになります。

その対策として最もベストなのは数年おきに追加施術を行うこと。離れ小島が表面化する前にこまめに治療を繰り返すことで、最終的に生え際から頭頂部まで再生治療の髪の毛が埋め尽くすはず。

デメリットは言うまでもなく費用と手間。こまめに施術を行うことで余計な出費が増えるでしょうし、その手間も馬鹿にできません。

ある程度お金に余裕がある人か、もしくは「髪のためなら金は惜しまん」という強者以外にはおすすめできない。

発毛剤を使用しAGAの進行を食い止める

もっとも現実的な手段として挙げられるのが発毛剤の併用でしょうか。

毛髪再生医療によって現在の悩みを解消し、その後の進行はフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった発毛剤で食い止める。理に適っている。

費用面においては、医療機関でプロペシアやザガーロを処方してもらう場合、かなりの出費を覚悟する必要があるが、個人輸入でフィンペシアやカークランドを買えば出費はかなり抑えられる。

デメリットは確実ではないこと。

発毛剤の効果は個人差が大きく、効かない人は効かない。初めは効果があっても、その後徐々に薄毛が進行するパターンもあります。

そもそも、発毛剤の使用でAGAの進行を食い止めたり改善させたりすることができるなら、毛髪再生医療など行わず始めから発毛剤を使っておけばいいじゃんという話でもある。

多くの場合、フィナステリドやミノキシジルが効かない、もしくは副作用に懸念があるからこそ毛髪再生医療に救いを求めるわけで、施術後に発毛剤を使用するというのはある意味本末転倒か。

完全にハゲあがってから毛髪再生医療に取り組む

毛髪再生医療の費用や体への負担、手間を最小限に抑えたいなら、AGAが進行しきってから施術を行うのがベスト。離れ小島の心配もしなくて済みます。

つまり波平になってから施術するということ。

ただし、そこに至るまでは苦難の道が待っていますし、施術したらしたで“波平から一気にフサフサになる”という恐ろしく不自然な状況に陥ります。

それを回避するには、ある程度薄毛が進行したところで完全なスキンヘッドに移行し、完全に進行しきったところで毛髪再生医療。そしてその後は何食わぬ顔で髪の毛を生やし始めるというのが理想的か。

10年20年かけてハゲあがっていく状況を許容できればな。

気にしない

最強の解決法、それは離れ小島になろうがなんだろうが気にしないこと。「元からこの髪形ですが何か?」くらい開き直ることができれば、余計な費用も手間もストレスも不必要になる。

だったら始めから何もするなよ…という話ではあるが、時間の経過とともにハゲを受け入れ、「追加施術とかしなくてもいいか」という境地に到達する場合もあるでしょう。

でもさすがに離れ小島は不自然だから、スキンヘッドで。

資生堂の毛髪再生医療は期待できない?

最新の毛髪再生医療とてAGAを治すことはできません。しかしそれ以前に毛髪再生医療自体の信頼性に疑問が残るデータも。

資生堂はカナダの企業「レプリセル・ライフ・サイエンス社」と業務提携を行っており、同社の毛球部毛根鞘細胞を用いた毛髪再生技術はレプリセル社のもの。

この毛球部毛根鞘細胞を用いた毛髪再生治療はレプリセル社でも16名を対象に試験を行っており、6ヶ月間で髪の毛の密度が5%以上増加した被験者は10名とのこと。つまり62.5%の人に5%以上の密度増加が見られています。

髪の密度5%以上?

薄毛でない人の1平方センチメートルあたりの髪の毛の本数は100~150本。仮に150本だとして、その5%は7.5本。…7.5本だと?

例えばミノキシジル5%の外用発毛剤は、約150名に使用した臨床試験において1平方センチメートルあたり平均約22本増えるというデータが示されています。ミノキシジル1%ですら15本ほど増える。

で、資生堂の毛球部毛根鞘細胞を用いた毛髪再生医療は7.5本以上の増加が62.5%?

あくまでも「5%以上の増加」となっていますので、中には50%くらい増えた人がいる…とは思えないが、ある程度のばらつきがあるのだろう。ただ、あえて5%を持ち出しているあたり、思いのほか厳しい結果だったのかもしれない。

加えて、3人に1人はその程度の効果すら望めない。大丈夫か?これは過去のデータなので、今現在はもっと高い効果を示すのかもしれませんが、なんとも不安にさせる数字ですよね。

これはどういうことなんだろう?培養した毛球部毛根鞘細胞を薄毛部分に注入しても、大した効果は望めないということなのか。

資生堂の研究内容をよくよく見てみると、「脱毛症や薄毛に悩む患者さんの頭皮組織から採取した毛球部毛根鞘細胞を培養した後、脱毛部位に移植(注入)、脱毛部位の毛包を再活性化させ、脱毛部位の健康な毛髪の成長を促します」とある。

「脱毛部位の毛包を再活性化」ということは、髪の毛を移植する自毛植毛より怪しげ成長因子や栄養素を注入するハーグ療法育毛メソセラピーに近いのかも。

だとしたら確かに過度な期待はできない。毛髪密度が5%以上増加した人が62.5%程度というのも頷ける。

現状を見るに、京セラや理研が研究する毛髪再生医療のほうが期待できそうです。

毛髪再生医療は万能ではない

ハゲが今か今かと待ち焦がれる毛髪再生医療。

最先端の技術と特許を用い髪の毛の基を培養することで、自毛植毛の大きなデメリットであった「移植できる数の限界」を解消。事実上際限なく増やすことが可能になるはず。

植えられる密度に関しても、従来の自毛植毛より高密度で移植できる可能性を秘めています。そう、毛髪再生医療が実用化されれば本当の意味でのフサフサが手に入るかもしれないのです。

ただ、薄毛部分に移植するという点において自毛植毛と大差ないという見方も。

資生堂や京セラ、理研などが研究を進める毛髪再生医療は高い技術を用いた次世代の薄毛治療法とはいえ、ハゲた部分に髪の基を埋め込むという対症療法。AGAを根本から改善させるものではありません。

AGAの進行が止まらない以上、完全にハゲあがってから治療を行わない限り施術しても薄毛の恐怖は付きまといますし、それを解消させるには追加施術が必要になります。

そもそも、資生堂の毛髪再生医療は大した効果が望めない恐れも。もしかしたら追加施術以前の問題になりそうでもある。下手すりゃ数年後には「毛髪再生医療は効果なし」という記事を書いているかも。

ただ、京セラと理研、オーガンテクノロジーズが研究を行っているものに関しては期待できそうでもあります。実際マウスに毛がボーボー生えてるし。

とりあえず私たちができることは、確かな技術が登場するまで発毛剤を使って毛根や髪の毛を可能な限り残しておくことでしょうか。

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