自毛植毛の落とし穴 語られない真実
薄毛を改善する方法のひとつとして注目を集めている自毛植毛。自分の毛を移植することで親和性も良く、近年は技術も向上し定着率もかなり高まっているものの、デメリットが多いのも特徴。
自毛植毛のデメリットというと高額な費用がまず思い浮かぶ人も多いと思いますが、100万円くらい出すことができれば一生涯フサフサになる…なんて夢を見ていると痛い目を見ますよ。
自毛植毛は育毛剤同様非常に高額なアフィリエイト報酬が設定されているとあって必死におすすめするサイトも多く、当サイトのように悪い面を徹底的に書いている記事かと思いきや、最終的には自毛植毛のクリニックを紹介するというクソみたいな手法も散見されます。
そんな自毛植毛に都合の良い情報に騙されないため、どんなデメリットがあるのか、他のサイトではあまり書かない点などもしっかりと書いていきたいと思います。
育毛剤よりは効果があるという評価
まず、客観的かつ医学的に自毛植毛がどういった評価を得ているのか見てみます。
日本皮膚科学会による2010年の男性型脱毛症診療ガイドラインでの自毛植毛の評価はフィナステリドやミノキシジルといった発毛剤に次ぐ「行うよう勧められる」というもの。
市販の育毛剤は良くても「十分な根拠がない」レベルなので、それに比べれば効果は見込めるという判断なのでしょう。
それもそのはず、こと髪の毛を生やすという点のみにおいては発毛剤ですら絶対に効くとは言い切れないのに対し、自毛植毛は植えた株の大半で発毛が見込めるため、発毛効果のない育毛剤より評価が高くて当たり前。
ただし、確実には生えるものの多くのデメリットが隠れていますけどね。
自毛植毛のメリットといえば?
デメリットばかりを書くのはフェアではないので、まずは自毛植毛にどういったメリットがあるのかを触れておきましょう。
自毛植毛は男性型脱毛症(AGA)の原因であるジヒドロテストステロン(DHT)の影響を受けない後頭部などから髪の毛を毛根ごと採取し、それを薄毛部分に植え付けることで半永久的に発毛するようにする治療法。
かつては採取し植え付けた髪の毛(株)の定着率が低いという問題もありましたが、技術の進歩により現在は9割以上の定着率を誇り、植えた株の大半は発毛、しかもDHTの影響を受けない部位の株であるため、植えた部分に関しては将来にわたってハゲる心配はほとんどありません。
植毛終了後は特別なケアも必要なく、まさに自分の毛と同じような感覚を取り戻すことができる…それが自毛植毛の最大のメリットと言えます。
自毛植毛のデメリットの数々
一方で自毛植毛のデメリットは何なのか?
後頭部から薄毛部分に株を移植さえすれば、発毛剤や育毛剤のように使い続けたり何らかのケアをし続けたりする煩わしさもなく、しかも半永久的に生え続けるんだから理想の治療法のように感じますが…
■高額費用
まあ想像はつくと思いますが、自毛植毛の費用は高額です。
ちょびっとM字部分だけという場合でも数十万円は必要になり、ある程度広範囲になると100万円超えは確実です。
一度に植え付ける株数が多ければ多いほど1株当たりの単価は下がるものの、生え際から後頭部まで広範囲に行うと200~300万円は見ておかなければなりません。
■本数には限界がある
自毛植毛は基本的に手作業で植えていくため、1度に行える数は限界がありますし、また、自毛植毛は基本的に髪の毛を増やす魔法ではなく、後頭部など薄毛にならない部分からの移植となる性質上、本数にも限界があります。
一般的にその限界は5000~6000グラフト(10000~15000本)とされています。
■密度に限界がある
薄毛でない日本人の平均的な髪の毛の密度は1cm2あたり150~200本くらい。グラフト数(株数)に換算すると、1グラフトあたり平均2~2.5本くらいなので、70~80グラフトくらいになるでしょうか。
一般的な自毛植毛では1度に行えるのは1cm2あたり30グラフトくらいが限界とされ、当然スカスカ感があります。
一部クリニックでは「1cm2あたり80~100グラフト移植できる」と豪語していますが、狭い範囲に一度に移植すると定着率が悪化するのは世界的なスタンダードであり、現実的には1度で薄毛では人のようなフサフサになるのは不可能です。
また、ちょっと計算すれば分かりますが、仮にすごい技術力があって1cm2あたり80グラフト植えられたと仮定すれば100cm2(10㎝四方)で8000グラフト必要なことになり、上で書いている限界数を考えれば広範囲の薄毛には対応できません。
部分的なものであれば、植毛手術を2度3度繰り返すことで薄毛でない人の8割程度の密度にまで持っていけるものの、当然その分費用がかかることになります。
■薄毛は進行している
多くの先人が味わってきたように、AGAというのは基本的に進行する一方です。
自毛植毛のクリニックを紹介して高額な報酬を手に入れたい他サイトや自毛植毛を行うクリニックなどでは不自然なほど触れられていませんが、自毛植毛をしたって薄毛は当たり前のように進行するのです。
何が言いたいかというと、自毛植毛をしてから1~2年はある程度満足できるかもしれませんが、3年、4年と経って薄毛が進行してきたらどうなると思いますか?
そう、植毛部分は離れ小島になります。
仮に生え際やM字部分だけに自毛植毛を施したのであれば、その部分だけ髪が生えて後ろはハゲ…という悲しい状況になるでしょう。
つまり…
上図部分に自毛植毛を施したとしたら数年後には…
…こうなることになります。やっつけ仕事ですいません。
これを回避するには、手術後もフィナステリドやデュタステリドといった発毛剤を服用し薄毛の進行を食い止めるか、でなければ再び高額な費用を払っての再手術となります。
仮に再手術に踏み切ったとしても、また数年後には離れ小島になるのは言うまでもなく、自毛植毛の不自然さを隠すための再手術はAGAが進行しきって自前の髪が側頭部と後頭部だけになるまで続きます。
その費用、いくらになると思う?
金が腐るほどあるならやる価値もあるか
自毛植毛はおこなってしまえば後のケアは必要なく半永久的に生え続けることが最大のメリットで、育毛関連サイトもクリニックもそれを全面に出してプッシュしてきます
しかしケアが必要ないのは植毛した部分だけの話であり、その後も薄毛が進行すること、数年後には離れ小島で明らかに不自然になることには言及していません。
完全に薄毛が進行しきって生え際から頭頂部までツルツルの人で、かつ数百万円ポンと出せる人であればやる価値はあるかもしれませんが、中途半端な薄毛の人がやると必ず悲惨なことになります。
そしてその悲惨を食い止めるには結局発毛剤を使用し続けるか、数年ごとの再手術が必要になります。
100万200万払って薄毛が解消し、かつ進行も止まり一生涯にわたってフサフサというのであれば私も自毛植毛をおすすめしますが、薄毛の進行を食い止められない限りおかしな事になるのは火を見るよりも明らか。
ならばフィナステリドやミノキシジルといった発毛剤を使いある程度薄毛を改善しつつ、時間と共に自然かつ年相応に薄くなっていくほうが遥かに良いのではないでしょうか?
仮に今後革新的な薄毛治療が出てきたとしても、不可逆的な自毛植毛をやった後であれば対応できないという可能性もあります。
冒頭で取り上げた日本皮膚科学会の男性型脱毛症診療ガイドラインにおいて、自毛植毛が発毛剤より下の評価というのは、そういった点も含まれているのかもしれません。
育毛サイトやクリニックの甘い言葉に騙されて、その後の植毛スパイラルに陥らないようにくれぐれも気を付けて下さい。
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