M字ハゲを治すにはどうすればいい?
男性が悩む薄毛の9割が男性型脱毛症(AGA)。その中でも特に代表的なハゲ方が生え際の両サイドが上がっていくM字ハゲ。AGAの中でも特に治療が難しいとされ、対応に苦慮している人も多いのではないでしょうか?
ネット上の育毛サイトではチャップアップやイクオスといった育毛剤が効果的という意見が溢れていますが、実際はそれら育毛剤でM字ハゲが治ることはありません。
AGAに対して無駄と言わざるを得ない育毛剤を使用している間にもM字ハゲはどんどん進行し、手遅れになる可能性すらあるのです。
そういった無駄な情報や行為を徹底的に排除し、M字ハゲが治るというエビデンス(科学的根拠)があるものだけを紹介していきます。
M字ハゲとは
そもそもM字ハゲとはどういったものなのでしょうか?
男性の薄毛のほとんどは男性型脱毛症(AGA)に分類され、その中でも生え際から薄くなるパターンと、頭頂部から薄くなるパターンに大別されます。
生え際から薄くなるAGAの場合、反り込み部分から脱毛していくケースが多く、正面から見た際に生え際が「M」に見えることから「M字ハゲ」と呼ばれることに。ドラゴンボールのベジータを思い浮かべれば分かりやすい。
AGAの中でM字ハゲがどれほど多いかというと…
出典:薄毛・ハゲ治療ラボ
AGAの40%程度がM字ハゲという調査結果が。
周囲をハゲを見渡しても、「あいつ生え際ヤベぇ」と感じる人が多いのではないでしょうか?私のハゲもまさにこのタイプですし。
生え際から薄くなるM字ハゲも頭頂部が薄くなるO字ハゲも同じAGA。であればAGA治療薬であるプロペシア(成分:フィナステリド)やザガーロ(成分:デュタステリド)を使えば改善するような気がしますよね。
しかし事はそう単純ではありません。頭頂部のハゲに比べM字ハゲは治りにくいというのがハゲ共の共通認識だからです。
育毛剤がM字ハゲに「効果なし」と言い切れる根拠
AGAというのは男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が原因と特定された脱毛症であり、対症療法とはいえエビデンス(科学的根拠)がある治療法が確立されています。
それは医療機関で処方されるフィナステリド(商品名:プロペシア)とデュタステリド(商品名:ザガーロ)、そしてリアップシリーズなど市販されているミノキシジル外用薬の3つ。この3つの成分は厳しい臨床試験を経て髪の毛が生えると厚生労働省に認められいるのです。
内服薬であるフィナステリドとデュタステリド、そして外用薬としてのミノキシジル以外はAGAに効果があると認められないもの…つまり発毛根拠が一切ないもの。市販の育毛剤などその典型。
客観的かつ統計学的な有用性が求められる臨床試験はおろか、自社での検証すらほとんどの育毛剤は行っておらず、ハッキリ言ってしまえば髪の毛が生えるっぽい雰囲気を演出しているだけの水。
にもかかわらずこれら育毛剤が多くの育毛サイトでおすすめされるのは、育毛サイト運営者に対し成果型の高額報酬を設定しているからに他なりません。
育毛剤が効かないメカニズム
なぜ育毛剤がAGAやM字ハゲに効果がないのか?こういったゴミに騙される人が少しでも減るよう、もうちょっと詳しく触れます。
M字ハゲを含めたAGAというのは男性ホルモンの一種であるジヒドロテストステロン(DHT)が原因。そしてこのDHTは男性ホルモンであるテストステロンと、5αリダクターゼという酵素が結びついて作り出されます。
つまり、AGAの治療を考えた場合、DHTを作らせないことが重要になるのです。
発毛成分であるフィナステリドとデュタステリドは5αリダクターゼの働きを阻害する作用があり、それによってDHTの量を大幅に減らすことができます。これがAGA治療薬である所以。
一方、もう一つの発毛成分であるミノキシジルはフィナステリドやデュタステリドのようなDHTを減らす作用はありません。しかしこの成分には毛包や毛母細胞の働きかけ発毛を強力に促す効果が認められています。
AGAによる脱毛や髪の毛の成長阻害をミノキシジルの作用で強引に止め、発毛させると言えば分かりやすいか。
じゃあ市販の育毛剤は?
これらに配合される成分は、育毛効果が認められたものでも頭皮の血行促進や抗炎症作用しかなく、発毛剤のように髪の毛を生やす効果はありません。それ以外の成分にいたっては「なんとなく髪の毛や頭皮に良さそう」程度のもの。
しかも、ミノキシジルは分子量やデータなどから頭皮に浸透すると証明されているのに対し、育毛剤は浸透する保証もない。…というか、医薬部外品や化粧品である以上、頭皮の奥底まで浸透しないのが前提。
世界中で発毛効果があると認められているフィナステリドやミノキシジルですら改善は難しいとされるM字ハゲ。市販の育毛剤でどうにかなるはずもない。
M字ハゲを治したいなら育毛剤という選択肢は捨ててください。
M字ハゲ治療の最有力はプロペシアだが…
ではM字ハゲの治療について本題に入ります。
AGAであるM字ハゲの治療は第一選択薬としてプロペシアやフィンペシアといったフィナステリド内服薬が用いられるのが一般的。
実際、2005年のプロペシア発売時に添付された臨床試験の結果において、生え際(前頭部)への効果が実証されています。
これを見ると2年目以降は頭頂部の薄毛より前頭部の薄毛の方が改善率が高くなっている。しかしこの臨床試験結果とは裏腹に「プロペシアはM字ハゲにほとんど効果がない」という声が多かったりする。
しかもこういった意見、金のためにチャップアップなどの育毛剤を売りたい育毛サイトがよく用いる、発毛剤を徹底的に叩くゴミ記事で書かれているものではなく、ハゲらによって情報交換が活発に行われている5ch(2ch)での声だから、信憑性はそれなりにあると見ていいでしょう。
頭頂部ハゲにしろM字ハゲにしろ、DHTが原因で引き起こされている点に変わりはないので、「プロペシア(フィナステリド)はM字ハゲに効果がない」という理屈は通らない気がしますが…
生え際やM字部分は頭頂部と違い鏡を見るとすぐに目に入る場所。そのため過度に気になって改善していないように感じるだけのような気もします。メカニズム的にもエビデンス的にもフィナステリドやデュタステリドがM字に効かないという理由は見つからない。
ただ、実際の使用者の声はフィナステリドやデュタステリドはM字ハゲに効果がないというものが多い。そんな根拠はないのだが、だからといってこういった声を無視することもできないといったところでしょうか。
とはいえM字ハゲの治療を考えた時、フィナステリドやデュタステリドが最有力であることに変わりはありませんけどね。
M字にはミノキシジル外用薬がベストという説も
M字ハゲの治療は本来であればプロペシアやザガーロといった内服薬の発毛剤が第一選択薬になるものの、M字ハゲに対する効果に懐疑的な見方をする人も多い。そういった場合に次なる選択肢として挙げられるのがミノキシジル外用薬です。
本来であれば、ミノキシジルを頭皮に塗る外用薬よりAGAの原因であるDHTを大幅に減少させるフィナステリドやデュタステリドのほうが効果が高いと考えるほうが自然。しかしM字ハゲに関してはミノキシジル外用薬を推す声も多くなっています。
ミノキシジルは元々血圧を下げる薬として開発されたものですが、これを服用した人の多くに体中の毛が濃くなる多毛症の副作用が見られたため、その後発毛剤としても使われるようになったという経緯があります。
ただ、内服薬として使用すると血圧低下やめまい、動悸などの副作用が考えられるため、発毛効果を頭皮に集中させ、かつ副作用のリスクを減らした外用薬のみ発毛剤として認可されています。
ミノキシジル外用薬の場合、M字ハゲの部分に直接塗れるので、そこが「M字ハゲに効果的」とされる理由なのかもしれません。プロペシアなどの内服薬の場合、その成分は全身に回ってしまいますからね。
となると、日本においては選択肢は大正製薬のリアップしかありません。
しかし、リアップシリーズは旗艦モデルであるリアップX5プラスでもミノキシジル5%。この濃度は世界標準ではあるものの、生え際から髪の毛を生やさせるには力不足だという声も。
そういった人達はフォリックスFR15やFR16といったアメリカ製の高濃度ミノキシジル外用薬に手を出す傾向に。
M字ハゲ改善のためにミノキシジル外用薬を使用する際は、とりあえず5%のものを使用し、思うような効果が出ない場合は高濃度のものを検討してもいいのかもしれません。
M字ハゲに自毛植毛は?
フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルに次いでAGAに効果的とされるのが自毛植毛です。
AGAの影響を受けない後頭部や側頭部から薄毛部分に髪の毛を移植する自毛植毛は、考えようによっては最も確実に髪の毛を増やす方法と言えるのかもしれません。
特に自毛植毛は生え際やM字部分に使用されることが多く、移植するという都合上本数には限りがあるものの、ある程度のM字ハゲまでは十分にカバーすることが可能。
ただし、自毛植毛には様々なデメリットも存在します。
1度の施術で終わりではない
自毛植毛はその名の通りAGAの影響を受けない自分の毛を薄毛部分に移植するため、一見すると根本的な解決になるような印象を受けます。
しかし考えてみてください。
後頭部などからM字部分に髪の毛を移植すれば、その部分からは半永久的に髪の毛が生えますよね。しかしAGAの進行が止まるわけではありません。
移植した髪の毛はAGAによって抜けてしまうことはないものの、それ以外の髪の毛はAGAの影響を受け、徐々に薄毛範囲が広がっていきます。
そうすると、数年後にはどうなる?
移植した両サイドのM字部分だけが離れ小島のように残り、それより上の髪の毛はAGAの影響によって薄毛に。そりゃもう悲しいほど不自然な状態になります。
その不自然な状態を解消するには定期的に植毛を行う必要があり、最終的には前頭部から後頭部まで植毛を行うか、途中で施術を放棄する選択を迫られることに。
仮に生え際から後頭部まですべてを植毛で補うとしても、後頭部や側頭部から移植できる数には限りがあるため、フサフサとはほど遠い状態になってしまうでしょう。
高額な費用
AGAの進行が止まらないことによる不自然さと並び自毛植毛のデメリットとして挙げられるのが費用です。
自毛植毛の費用はよほど狭い範囲でない限り100万円を超えることは珍しくなく、AGAの進行に合わせて施術を繰り返せば最終的には数百万円の出費になるでしょう。
医療機関で処方されるプロペシアを使用する場合、1ヶ月約7,000円程度かかることから10年間で約85万円。しかし個人輸入で同成分のフィンペシアなどを購入すれば10年間使用しても15万円程度で収まります。
個人輸入の是非はさておき、発毛剤には様々な選択肢がある一方、自毛植毛はどうやっても高額な費用がかかってしまいます。途中で止めると明らかに不自然な髪形になってしまうし。
短期的に見ればM字ハゲ治療の最善策に感じる自毛植毛も、長期的な視点になると大きな問題をはらんでいるといえます。
【番外編】M字ハゲにミノキシジルタブレット
M字ハゲの治療法として医学的に有効とされているものは、フィナステリド内服薬とデュタステリド内服薬、ミノキシジル外用薬といった発毛剤に加え、外科的な手法となる自毛植毛のみとなっています。
しかしハゲ猛者の間では、M字ハゲに対しこれら以上に効果的とされる方法があるのをご存知ですか?そう、ミノキシジルタブレット(ミノキシジル内服薬)です。
ミノキシジル外用薬の項目でも触れた通り、ミノキシジルは本来血圧を下げるための内服薬です。その副作用であり発毛剤として使用される理由にもなっている多毛症は、内服薬において最も強く現れるのは想像に難くないでしょう。
ただ、多毛症は体毛を含め全身の毛が濃くなる作用。ミノキシジルタブレットはM字ハゲ改善において最も有力とする意見が多いものの、同時に体毛も濃くなります。
また、ミノキシジルを発毛剤として認めているのはあくまでも外用薬のみ。副作用リスクを無視できないミノキシジル内服薬を発毛剤として認めている国はひとつも存在しません。
とはいえ、現状ではこれを超えるM字ハゲ改善の薬はないんですよね…
ミノキシジルタブレットは臨床試験を行っていないため、発毛するという科学的根拠はない。しかし、かつて内服薬としてミノキシジルを使用した結果多毛症が発現し、それによって発毛剤に転用された歴史が覆るわけではない。
科学的根拠がないため、あくまでも「例外」としますが、AGA対策の最終手段としてミノキシジルタブレットを用いる人が多いのもまた事実です。
M字ハゲを治す最善策は?
M字ハゲを治す方法として主にエビデンスがあるものをここまで取り上げてきました。結論としては何を使えばいいのでしょうか?
副作用リスクは出費を考え、もっとも万人におすすめできる順番はというと…
- 1.ミノキシジル外用薬
- 2.フィナステリド内服薬
- 3.デュタステリド内服薬
- 4.ミノキシジルタブレット
- 5.自毛植毛
ひとつずつ見ていきます。
ミノキシジル外用薬
この中で最も副作用リスクが低いのはミノキシジル外用薬。本来は降圧剤とはいえ、塗布する外用薬であれば有害事象が起きても頭皮のかゆみや炎症程度で済むため手軽に試すことができます。
大正製薬のリアップX5プラスは日本製ということもあって最も信頼性が高いが、8,140円と高価な上にミノキシジルは5%。
5%のものであれば、私ならアメリカの大型スーパーコストコのPBであるカークランドを使う。個人輸入で購入すれば1本あたり1,600円前後であるうえ信頼性も高いから。
また、M字ハゲ対策のミノキシジル外用薬の中で一番評価が高いのはフォリックスFR16。
外用薬としても最も高濃度となるミノキシジル16%で、しかもM字部分に塗っても垂れないクリームタイプというのがポイント。M字ハゲ対策として現状これを上回るミノキシジル外用薬はないでしょう。
フィナステリド内服薬
次に選択肢に入るのはフィナステリド内服薬です。
ミノキシジル外用薬とフィナステリド内服薬は世界的に発毛効果が認められている医薬品なので信頼性は抜群。M字ハゲには効かないという声も聞かれますが、少なくとも臨床試験においては好成績を残しています。
より信頼性を重視するなら、医療機関を受診し先発薬であるプロペシアを処方してもらうのがベター。ただ1ヶ月約7,000円という費用に二の足を踏むのであれば、8分の1程度の価格で収まるフィンペシアやフィナロイドを使用するのも手。
デュタステリド内服薬
M字ハゲに対しフィナステリド内服薬で思うような効果が出ない場合はデュタステリド内服薬に乗り換えるという選択肢もあります。
デュタステリド(ザガーロ)は2015年に厚生労働省に認可された発毛剤で、フィナステリドに比べ5αリダクターゼをより広範囲に阻害するため、1.6倍ほどの効果があるとされています。
男性ホルモンDHTの生成を抑制するため、フィナステリド同様性欲減退や勃起障害といった性機能障害の副作用が出る恐れがあるものの、その頻度はそれほど高くありません。
安心感を最優先にするなら医療機関でザガーロ(1ヶ月約10,000円)を、費用対効果を重視するなら1ヶ月1,500円程度のベルトリドを選択するといいでしょう。
ミノキシジルタブレット
それでもダメなら…あえてミノキシジルタブレットを挙げておきましょうか。
発毛剤としてのエビデンスはないため、本来であればおすすめするようなものではないのですが、ハゲ猛者の間ではフィナステリドとミノキシジルタブレットの組み合わせは「ミノフィナ」と呼ばれる鉄板の組み合わせ。
M字ハゲに対してはフィナステリドやデュタステリドといった5αリダクターゼ阻害薬よりミノキシジルの方が効果的とする意見が根強いため、状況によっては最善の選択になるかもしれません。
ただし、本来は血圧を下げる薬なので、めまいや動悸、血圧低下といった副作用のリスクがあることも忘れずに。これらを感じたら早急に使用を中止したほうがいいでしょう。
ミノキシジルタブレットは発毛剤として認可されていないものの、一部のAGAクリニックでは処方も行なっています。ただ、医療機関で処方してもらうと非常に高価であるうえ、個人輸入で購入できるものと同じである場合も多いため、ミノキシジルタブレットに関しては個人輸入がベストか。
副作用のリスクがあるため、一度は医療機関を受診し医師の判断を仰いだほうが良いのは言うまでもないが。
自毛植毛
最後は自毛植毛。
施術費用が高額であることに加え、これをやってしまうと今後有力な治療法が出てきたとしても適用できない可能性があるため、最後の選択としました。
自毛消耗の最大のメリットは、植えたところからは半永久的に髪の毛が生えるという点。その場所に関してはメンテナンスの手間もほとんどないですしね。
M字部分であれば範囲も広くないため、費用が抑えられるのも魅力か。
とはいえ、植毛部分以外はAGAの進行が続くため、定期的に植毛を行わないと極めて不自然な髪形になります。そういったわずらわしさや費用を許容できるのであれば、有力な選択肢となり得るでしょう。
ここまで取り上げたM字対策の方法はフィナステリドとデュタステリド以外は併用が可能です。本気の人間は「フィナステリド+ミノキシジル外用薬+ミノタブ」なんて場合も。
自毛植毛するにしても、施術後に発毛剤を使用することでAGAの進行を食い止められる可能性が高まります。
M字ハゲは最もポピュラーな薄毛の形態ながら、治療が難しいことでも知られています。間違っても育毛剤などという気休め商品には手を出さないように。
育毛サイトの口車に乗り育毛剤を使った結果、AGAが進行し手遅れになったとしても誰も責任を取ってくれませんからね。
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