育毛シャンプーは無意味 発毛に効果なし
ネットショップやドラッグストアでは非常に多くの“育毛シャンプー”と呼ばれるものが市場に出回っており、髪の毛が生えそうな印象を与える文言で私たちを惑わしています。しかし発毛にとってこれら商品は無駄・無意味なものなのです。
3,000~4,000円の値札を下げた高額なスカルプケアシャンプーを売りたいばかりに、メーカー自体が薬機法(薬事法)スレスレ…どころか完全に違反している表現を用い消費者に訴えかけている商品も散見されます。
育毛関連サイトに至っては薬機法に抵触しない“個人の感想”を逆手に取り、「髪の毛が生える」「発毛」という明らかな嘘を書くものも多く、もはややりたい放題。
主要な育毛シャンプーに関しては、商品ごとに発毛効果やAGA改善効果がないことを詳しく紹介していますが、何しろ数が多すぎてカバーしきれないのが現状。
「薄毛をどうにかしたくて高い育毛シャンプーを使っているのに、治るどころか進行する一方だよ…」という悲劇に見舞われる人を少しでも減らすために、育毛シャンプーの嘘・真実を暴いていきましょう。
シャンプーに“育毛”という分野はない
大手の某スカルプシャンプーが積極的にCM展開していることもあって、ある程度定着している感がある“育毛シャンプー”という言葉。
育毛剤であれば厚生労働省により認可された有効成分を、規定量配合することで「医薬部外品の育毛剤」として売り出すことができ、育毛や発毛促進、抜け毛予防などの表現を使うことができます。
ただし、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった発毛剤のように「発毛」「髪が生える」という表現を使うことはできませんし、実際生えない。本当にびっくりするくらい生えない。
ちなみにキャピキシルを用いたDeeper3Dやザスカルプ5.0Cなどの“育毛剤”は、薬機法的には育毛剤ですらないただの化粧品なので、発毛促進効果や育毛効果、抜け毛予防すら謳えませんし、発毛効果もまったく期待できない。
では本題の育毛シャンプーはどうか?
シャンプーでも医薬部外品の承認を受けることは可能であるものの、薬機法上「育毛シャンプー」というカテゴリはありませんし、育毛剤のそれとは違い発毛促進効果や育毛効果、抜け毛予防の効果を謳うことはできません。
医薬部外品の薬用シャンプーにしても、許されるのは髪の毛を健やかに保つ、フケ・かゆみを防ぐなどの表現に留まり、髪の毛の成長に関する効果・効能を謳うことは禁じられているのです。
育毛シャンプーを販売する各メーカーのホームページを見ると、明らかに違反している表現がそこかしこに存在しますけどね。
しかも、プレミアムブラックシャンプーやモンゴ流シャンプーなど比較的人気のシャンプーはただの化粧品。最も有名であろうアンファーのスカルプDは一応医薬部外品の薬用シャンプーですが、発毛・育毛効果は期待できない。
重要な事なのでもう一度書きます。
たとえ医薬部外品の薬用シャンプーであっても、育毛効果や発毛促進、抜け毛予防といったを謳うことはできず、毛髪や頭皮を健やかに保つ程度の表現が限度。当然ながら薄毛を改善させる効果などあるはずもない。
そう、育毛シャンプーなど存在しないのです。
これを知った上で各メーカーのホームページを見てみると、回りくどい表現やぼかす表現を使いながら育毛効果を匂わせようと必死なことが伺えて面白い。
育毛シャンプーの成分は浸透しない
育毛シャンプーは界面活性剤(洗浄成分)以外に、育毛剤でも使われるような様々な天然成分を配合し、それが頭皮の奥底まで浸透して薄毛を改善してくれそうな雰囲気を漂わせていますよね。
多くの商品ではご丁寧に「洗髪後3~5分くらい放置しパックすることで成分が浸透する」的なことまで書いています。
では実際にどこまで浸透すると思いますか?
肌の奥にまで浸透するには主に2つの条件があります。化粧品などに詳しい人ならご存知かもしれませんね。
- 油分にも水分にも親和性がある
- 分子量が500以下
シャンプーは界面活性剤が主な成分ですから頭皮の油分に対する親和性は十分。しかし問題は「分子量500以下」という点。
化粧品の保湿成分としてよく使われるコラーゲンの分子量はおよそ10万~30万、ヒアルロン酸は100万程度と高分子で、現実問題として分子量500以下というのはナノレベルの技術が必要。
これはシャンプーに限った話ではなく育毛剤にも当てはまります。
「頭皮に浸透」と書いてあるものの横には必ず小さく「※」が振ってあり、下の方に「※角質層(角層)まで」と書かれていることでしょう。ナノ技術による高い浸透力を売りにしている育毛剤ですら必ずです。
これは薬機法において、化粧品や医薬部外品は角質層までの浸透力しか想定しておらず、角質層の通り抜けるような表現を使ってはいけないことになっているから。
ちなみに角質層ってこれよ。
表皮の中でも一番上に位置している角質層の厚みは0.02mmで、育毛成分はここまでしか浸透しないことになります。
当然毛根ははるか下…
「いやいや、さすがにもっと浸透するだろう」と思ったあなた、以前イギリスのバース大学の教授が示した面白い研究結果がありますよ。
その中では20~200ナノメートルのポリスチレンナノ粒子に発光性を持たせ皮膚に接触させ観察した結果、角質層すら通過できないことが判明しています。
そんなもんなんです。
分子量というのは成分ごとに異なるため、必ずしも角質層を通過しないとは言い切れないものの、仮に育毛シャンプーに配合されている成分が角質層を通過したとしても、それら成分に発毛効果はないため何の意味もない。
アミノ酸系洗浄成分で薄毛は改善しない
育毛シャンプーのほぼ100%は洗浄成分にアミノ酸系を使っています。
安価なシャンプーに使われることが多い「高級アルコール系(石油系)界面活性剤」は、洗浄力が強すぎるため頭皮の皮脂を過剰に除去してしまい、頭皮の環境を悪化させてしまうから…というのがメーカーの言い分。
一方でアミノ酸系の界面活性剤はマイルドな洗浄力なので、頭皮を保護する皮脂を適度に残し頭皮に優しいと。
確かに頭皮に限らず、皮脂によって皮膚は体内の水分が蒸発してしまうのを防いでいます。また、皮脂は外からの刺激から保護している側面もあるため、この説明には説得力があるように感じます。
しかし、体の皮膚に比べ皮脂の分泌量が多い頭皮を、多少洗浄力の強いシャンプーで1日1回洗ったからといって頭皮環境が悪化することなどほとんど考えられませんし、ましてやそれで薄毛になるなんてナンセンスもいいところ。
仮にフケやかゆみがある、炎症が酷くて毛が抜けてきたというのであれば、それは皮膚科に行って治すべきもの。
そういったケースは男性の薄毛の9割以上を占める男性型脱毛症(AGA)ではなく、脂漏性皮膚炎やひこう性脱毛症の可能性が高いので、ステロイドやケトコナゾール配合のクリームを使うなど、しっかり治療すれば治ります。
しかし、残念ながらアミノ酸系シャンプーでこれら皮膚炎が治ることはありませんし、何度も書いているようにAGAが改善することもありません。
つまり、健康な男性であれば高級アルコール系シャンプーを使っても頭皮が荒れたりハゲたりすることはないし、AGAであれば高級アルコール系を使おうがアミノ酸系を使おうがまったく関係なく進行します。
このように、いわゆる「育毛シャンプー」というものは、「何のために存在しているんだよ!」とつっこみたくなる、役に立たない代物なのです。
髪が生えるシャンプーは存在しないのか
世の中には様々な種類の育毛系シャンプーが存在しています。ドラッグストアの男性用シャンプー売り場に行けば、色々な商品を見つけることができるでしょう。しかしその中に発毛効果やAGA改善効果がある商品は一つとして存在しません。
では、多少なりとも薄毛改善に期待が持てるシャンプーは存在しないのでしょうか? 答えは「NOを若干含んだYES」といったところでしょうか。
まず、世界的に見てもAGAを改善させるだけの効果を持ったシャンプーは存在しません。
しかし、白癬や水虫、カンジダ症、脂漏性皮膚炎などの治療に用いられるケトコナゾールを2%配合したシャンプーに関しては、AGA患者への臨床試験が複数行われ、一定の効果を示したという結果が出ています。
ただし、それはすべて小規模な試験とあって、エビデンス(科学的根拠)と呼ぶにはあまりにも弱く、またその結果も「フィナステリドやミノキシジルの補助的な効果がある可能性を示唆」というレベルのもの。
しかもその研究結果は1998年と古いため、信頼性に乏しいと言わざるを得ません。
ただ、ケトコナゾールを頭皮に塗布した試験において一定の発毛効果が得られたという研究結果が複数存在することから、ケトコナゾールを2%配合したシャンプーに対し「まったく効果がない」とは言い切れないのも事実。
実際、ケトコナゾールを配合した海外製のシャンプーは、薄毛に悩む人に人気の商品となっていますしね。特に、内容量が多く価格も安いケトコロストシャンプーは高い人気を誇っています。
少なくとも、化粧品成分を適当に配合しただけの日本の育毛シャンプーより“可能性”があるのは確か。それが微々たるものだったとしても、某有名スカルプシャンプーなどを使用するよりは100倍ましかと。
薄毛の不安は発毛剤でしか解決しない
育毛業界に限ったことではないものの、育毛剤や育毛シャンプーは薄毛の人の不安を煽り、足元を見て高く売りつけるのがビジネスモデル。
AGA治療に効果を発揮するのは発毛剤以外存在しないことは多くの臨床試験で明らかになっています。しかし、あの手この手で発毛剤に不信感を持たせつつ、生えもしない育毛剤に発毛効果があるかのように錯覚させ買わせようとするのです。
育毛シャンプーも同様で、薄毛に悩む男性に希望を持たせるようなことを書き連ね、時に薬機法違反の表現も使いながら市販のシャンプーの10倍の値段で売る。
宗教における壺や水晶と一緒で、信じる者は救われる…はずない。
男性の薄毛の9割以上を占めるAGAは、遺伝による男性ホルモンの感受性などが大きく関わっており、いわゆる育毛シャンプーで改善することは100%ありません。
仮に頭皮に重度の炎症やおびただしい量のフケがあり、それが原因で脱毛しているのであれば、アミノ酸系シャンプーでは完全な力不足。皮膚科を受診し、ケトコナゾールやステロイドの外用薬を処方してもらってください。
そう、前述したように、育毛シャンプーとは「薄毛は治せない」「炎症も治せない」「価格は高価」という、何の役にも立たないうえに出費ばかりがかさむ無駄な商品なのです。ま、育毛剤もだが。
薄毛を治したいのであれば、シャンプーにお金をかけずに、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった発毛剤を使用するようにしましょう。それが最も無駄がない、発毛への一番の近道です。
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