タバコでハゲる心配はほとんどない

タバコでハゲるは嘘

相次ぐタバコの値上げや健康意識の高まり、タバコに対する許容度の低下などを背景に近年喫煙率は下がる一方。全体の喫煙率は20%を割り込んでいます。

しかし薄毛が一番気になるであろう30~50代の男性の場合喫煙率は30~40%あり、昔に比べれば下がったもののいまだそれなりに高い喫煙率になっています。

「百害あって一利なし」と言われるくらい体に悪いことばかりのタバコですから、当然のように髪にも悪影響がありそうなものですし、多くの育毛関連サイトや書籍でも「タバコはハゲの元」と書かれています。

しかし、果たして本当にそうなのでしょうか?実はタバコとハゲを関連付けるデータというのは存在しないという事実も。

    目次
  1. なぜタバコを吸うとハゲると言われるのか
    1. 血行が悪くなる
    2. ビタミンが破壊される
    3. ジヒドロテストステロン(DHT)が増える
  2. 根拠がないタバコでハゲる論
    1. 血行が悪くなってハゲるという根拠はどこにもない
    2. ビタミンCが破壊されてもハゲない
    3. DHTが増える根拠に乏しい
  3. iQOSなどの加熱式タバコはハゲる?
  4. 結論!タバコを吸ってもハゲない

なぜタバコを吸うとハゲると言われるのか

「タバコを吸うとハゲる」。もはや常識になりつつあり育毛サイトでは定型文のように用いられるこの文言。そう言われる理由は主に3つあります。

血行が悪くなる

ひとつはタバコを吸うことによって起こる血管の収縮によって頭皮への血行が悪くなり、栄養や酸素が行き渡らなくなること。まあ誰もが考え付きそうなことでもあります。

様々なサイトで「タバコ一本で血管の収縮は2時間続く」なんて書いてありますが、それは血液中のニコチン濃度の半減期の話であり、実際に血管が収縮する時間は10~20分程度とされます。

ただ、1本につき10~20分程度とはいえ毎日20本くらい吸うとすればその時間は200~400時間…つまり1日24時間中3時間強~7時間弱もの間血行が悪くなっていることになります。

それだけ長時間にわたって頭皮の血行が悪くなるというのであれば、確かにハゲそうな印象を受けますが…

ビタミンが破壊される

タバコを吸うとビタミンが破壊・消費され、特にビタミンCの消費が顕著であるというのは有名な話。

ネットなどで調べると、これまた定型文のように「タバコ1本で25~100mgのビタミンCが~」と、口裏を合わせたかのように同じことばかり書いています。実際にご覧になった人も多いのではないでしょうか?

確かに喫煙によってビタミンCが失われるのが事実。それは多くの研究や試験によって示された明確な科学的根拠がありますからね。

抗酸化作用があり、かつ真皮のコラーゲン、エラスチンなどの生成に関わるビタミンCが失われれば、髪の毛に悪影響がありそうと考えるも分からなくはない。

ジヒドロテストステロン(DHT)が増える

喫煙と薄毛の関係で最も気になるのがAGA(男性型脱毛症)の最大の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)が増えるという話。

海外の大学の研究機関が行った調査では非喫煙者に比べ喫煙者は非喫煙者に比べ平均してDHTが13%多いという結果が出ています。もしこれが本当なら気になる問題ではあります。

根拠がないタバコでハゲる論

タバコを吸ってもハゲない

タバコを吸うことによって薄毛になる理由を見ていくと、非常に説得力が強いものが並んでいると感じます。健康にとって悪影響でしかない喫煙は髪の毛にも悪いと考えるのはある意味で自然といえる。

しかし、必ずしもそうとは言い切れないんですよね。タバコと薄毛を関連付けるとされる上記理由の反論を書いていきましょう。

血行が悪くなってハゲるという根拠はどこにもない

遥か昔から頭皮の血行は髪の毛の成長に影響を与えると考えられてきました。ハゲ治療が進歩した今日においても頭皮マッサージが有効とされるのは今でも血行促進が髪に良いと信じられているから。

しかし、血行を促進させて髪の毛が生えたという研究やデータが一切存在しない事実はほとんど知られていません。ついでにタバコによって血行が悪くなった結果ハゲたという根拠も。

数少ない発毛効果が認められている成分の一つにミノキシジルがあります。これは本来血管を広げることによって血圧を下げる降圧剤として開発されたもので、血流を促す作用もあります。

そのため、ミノキシジルは強い血行促進作用によって薄毛を改善させると思っている人も多くなっていますが、それは大きな勘違い。他の血管拡張剤では発毛効果が見られないことからもそれは明らかなのです。

考えてみてください。私たちが悩まされている男性型脱毛症(AGA)は頭頂部や前頭部しかハゲませんよね。頭皮の血行が原因で薄毛になるのであれば、側頭部や後頭部もハゲなければ理屈が通りません。

頭部には髪の毛以外にもヒゲや眉毛、まつ毛などの毛があるのに、血行の影響を受けるのは頭頂部と前頭部だけなんてどう考えてもおかしな話。

じゃあなぜ頭頂部と前頭部しかハゲないのか?理由は簡単、全身においてこの部分にのみ男性ホルモンであるジヒドロテストステロン(DHT)の影響で抜け毛や脱毛を促す作用が働くから。

血行?まったく関係がありません。

ビタミンCが破壊されてもハゲない

タバコを1本吸うと体内のビタミンCは25mg消費され、4本吸えば1日に必要な摂取量とされる100mgが失われてしまうとされます。

多くのデータが示していることからこれに関しては間違いないのでしょう。しかし「ビタミンCが失われることでハゲる」「ビタミンCを摂ればハゲない」なんてデータや根拠は一切存在しません。

ビタミンCについては、以前これを全面に押し出す育毛剤ビタブリッドCヘアーの批評をする際にぶった切っておりますので、興味がある人は参照してみてください。

ビタミンCには抗酸化作用があり、かつ皮膚の弾力やハリに欠かせないコラーゲンやエラスチンの生成を促すとあって髪の毛にも好影響を与えそうではありますが、ホルモンの影響でハゲるAGAには何の関係もないのです。

DHTが増える根拠に乏しい

タバコとハゲの関係について、様々なサイトで取り上げられているものに「喫煙によりDHTが13%増える」というものがあります。

この根拠として必ず挙げられるのは「ハーバード大学の調査によって非喫煙者に比べ喫煙者の血中DHTは13%多かった」というもの。

前述した血行やビタミンCと違い、AGAの直接的な原因であるDHTが増えるというのであれば信憑性は一気に増しますよね。

しかし、この「ハーバード大学の調査」というものが見当たらない現実が。

ちゃんとした研究によって示されたものであれば論文が存在するはずですが、世界中の論文が集められた英語サイトを探してみても喫煙とDHTの関連について研究したものは1件も見当たらない。出典やソースを示している育毛サイトも皆無。

また、仮にこの調査が本当だとしても、1回の調査だけで示されたデータではあまりにも信憑性に欠ける。調査の条件すら示されておらず、公平さに欠けるのは間違いありません。

例えばタバコを吸う人は缶コーヒーを好む傾向にありますよね。この缶コーヒーがDHTを増やしいてる可能性もあるわけです。まったくの同条件で試験をしなければ意味がないのです。

そもそも、この調査の結果として「DHTを13%増やす」という点ばかりがピックアップされますが、男性らしい太く強い髪の毛を作り出すとされるテストステロンも9%増加していることはあまり語られません。

調査の信憑性すら怪しいうえに、その調査の一部分だけを切り出して「ハゲの原因」とするのはフェアじゃない。いわゆる情報操作というやつですね。

タバコが髪の毛に悪影響を与える“可能性”は示唆している点は否定しません。しかしそれを裏付けるだけの根拠はあまりにも乏しい。

…フサフサのヘビースモーカーなんて腐るほど存在するしなー。

iQOSなどの加熱式タバコはハゲる?

アイコスなど加熱式タバコでハゲる?

これまでタバコといえば「紙巻きタバコ」を指すのが一般的でした。…一部のブルジョワジーにとっては葉巻も含まれるのかもしれないが。

しかし、近年急速に普及し無視できない存在になってきたのが加熱式タバコ。フィリップモリスのiQOSやJTのプルームテック、ブリティッシュ・アメリカン・タバコのグローなどがそれにあたります。

これら加熱式タバコが髪の毛にどういった影響を与えるのかも気になるところ。

しかし…結論から言うと影響はまったく見通せないというのが本音。紙巻きタバコですらほとんど影響がないのですから、より害が少ないとされる加熱式タバコでハゲるとは考えられませんが…

ただし、iQOSを販売するフィリップモリスは従来の紙巻きタバコに比べ有害物質を9割削減したといいますが、一部有害物質に関しては紙巻きタバコより多かったとする研究機関も存在。

詳細な害についてもデータは乏しいと言わざるを得ません。紙巻きタバコとは仕組みが違うため、これまでとは異なる害や影響が出る恐れも否定できない。

でもまあ、有害物質の塊でもあるタールが少ないという売り文句が本当であるなら、紙巻きタバコより影響が少ないと見るのが自然でしょうか。

百害あって一利なしと言われる紙巻きタバコですら薄毛の要因になることは考えづらい現状において、iQOSやグロー、プルームテックなどの加熱式タバコを吸うことによってハゲる可能性はほぼゼロと結論付けていいでしょう。

結論!タバコを吸ってもハゲない

タバコが体に悪いのは疑いようがなく、それが全身の様々な場所に悪影響を与えるのも間違いないでしょう。

とはいえ、様々な要因によって変化するホルモンバランスが薄毛の原因になりうる女性であればまだしも、男性の薄毛の原因は遺伝と生まれ持った体質がほとんど。

タバコと薄毛を関連付けるデータがあまりにも乏しい現状では、タバコを吸うからハゲる、薄毛が進行するという可能性はほとんどないと言わざるを得ない。

タバコを止めてハゲが治ったなんて話を聞いたことはありませんし、タバコを吸う人間にハゲが多いというイメージもなく、腹が立つほどフサフサの人間が喫煙者なんてよくある話。

「無理に禁煙してストレスでハゲた」なんて、これまた胡散臭い都市伝説を耳にすることもありますし、基本的にタバコが髪の毛に与える影響を心配する必要はないでしょう。

ただし、タバコが髪の毛にとってマイナスになる可能性は100%否定できないのに対し、プラスになることはまず考えられないのも事実。小さな可能性もしらみつぶしにしたいのであれば禁煙したほうが精神衛生上良いと思います。

タバコは止められない、しかしハゲは気になる…そういった場合は加熱式タバコを検討するのもあり。もしくは医療機関でも処方される禁煙補助薬チャンピックスを使い禁煙するかのどちらか。

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