AGAと薄毛は似て非なるもの!具体的な違いは?

AGAと薄毛は違う

「以前より髪の毛が薄くなってきている…」男性のほとんどは遅かれ早かれこの問題に直面することになり、それが発覚した時の衝撃と絶望感は筆舌に尽くしがたいもの。そして半数以上の男性は何らかの対策を講じるとされています。

「どうすればいいのか?」「なぜハゲるのか?」そういった疑問を解消すべく様々な育毛サイトや育毛剤を調べる人も多いでしょう。そうすると必ず目にするのが「薄毛」と「AGA」の文字。

AGAは男性型脱毛症を指すことから、私たちは男性がかかる脱毛症だと直感的に理解できるはず。そして「薄毛」もほぼおなじものなのだろうという認識の人も多いのではないでしょうか。

しかし、この2つの文言には明確な違いがあり、「薄毛」という言葉を巧みに使い、AGAに効果がない育毛関連商品を売りつけようとする育毛剤メーカーや育毛サイトが多数存在します。

AGAと薄毛の違いとは?

育毛業界が「薄毛」という文言によって消費者を欺き、効きもしない育毛剤やスカルプシャンプー、育毛サプリメントなどの販売に繋げようとしていることを理解してもらうには、まずAGAと薄毛の違いについて説明する必要があります。

まずはこれらの言葉が持つ意味を解説しましょう。

AGAとは

AGA(男性型脱毛症)は「Androgenetic Alopecia」の略で、男性ホルモンによって引き起こされる脱毛症という意味になります。

AGAの原因はその名の通り男性ホルモン。

男性らしい体を作り出す代表的な男性ホルモンであるテストステロンと、5αリダクターゼという還元酵素が結びつくことによって生成される「ジヒドロテストステロン(DHT)」という、より強力な男性ホルモンが引き起こします。

このDHTが毛乳頭細胞内で男性ホルモン受容体と結合すると脱毛を促す物質を放出、それによって髪の毛が薄くなってしまうのです。その脱毛因子として有力とみられるのがTGF-βとされます。

AGAのメカニズム

AGAの特徴は生え際などの前頭部からつむじ付近の頭頂部のみがハゲるという点。ハゲている男性のほとんどは後頭部や側頭部の髪の毛はフサフサですよね。それもそのはず、AGAは男性の薄毛の9割以上を占めているとされますからね。

また、DHTはヒゲや体毛にも強い影響を与えています。しかし髪の毛と違い濃くする方に働くという特徴が。DHTはなぜ前頭部から後頭部のみ脱毛させる方向に働くのかまでは解明されいないようです。

ハゲこそが男性らしい形態だと遺伝子に刻まれているのか?

そしてここからが重要な点なのですが、AGAの原因であるDHTを作り出す5αリダクターゼの分泌量や、毛乳頭細胞内の男性ホルモン受容体の感受性は遺伝によって決定されるというのが医学的な常識。

そのため、常識的な医師のほとんどはAGA治療に際し「生活習慣を見直してください」なんて根拠のないことは言いません。

薄毛とは

一方で「薄毛」とはなんなのか?

これは髪の毛が薄くなる症状全般を指します。代表的なものを挙げると…

  • AGA
  • 円形脱毛症
  • 脂漏性皮膚炎
  • 粃糠性脱毛症
  • 薬の副作用による脱毛症
  • その他原因不明のハゲ

つまり薄毛とはAGAを含めたすべてのハゲ。

育毛剤などスカルプケア商品のサイトを見たことがある人であれば散々目にしている言葉でしょう。しかし前述したように男性の薄毛のほとんどはAGAです。薄毛に直面し今現在これを見ている人もおそらくそうでしょう。

AGAも含まれる薄毛ですが、原因は大きく異なります。AGAが男性ホルモンが原因なのに対し、円形脱毛症は自己免疫疾患、脂漏性皮膚炎は生活環境や遺伝、ストレスなどが絡み合った疾患とされます。

男性の薄毛のほとんどはAGAながら、あえて「薄毛」という言葉を使う点にカラクリが隠されています。(理由は後述)

治療法にも大きな違いが

AGAとそれ以外の薄毛の治療法は大きく異なります。…というか、まったく違う。

どう違うかというと…

AGAの治療法

男性型脱毛症(AGA)は世界中の多くの男性が苦しめられる脱毛症とあって、様々な研究や治療が行われています。しかし厳格な臨床試験を経てエビデンス(科学的根拠)を示し「AGAに有効」と認められた治療法はごくわずか。

日本においての現状を見てみましょう。下図は2017年に日本皮膚科学会が策定した男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン。

男性型脱毛症診療ガイドライン

AGAの治療薬として専門家が高い評価を示しているのがフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジル。これら3つの成分は厚生労働省から「発毛する・毛を生やす」と認められています。

このうちフィナステリドとデュタステリドは、AGAの原因となる男性ホルモンDHTの生成に関わる5αリダクターゼの働きを阻害する作用により薄毛を治療。

血清中のDHT濃度をフィナステリドで約7割、デュタステリドにいたっては約9割減少させることが分かっているからです。原因となるDHTを減らし正常なヘアサイクルを取り戻すという理にかなった治療法。

一方、ミノキシジルはこれら2つの成分とは異なり、毛母細胞の増殖を促進させることで髪の毛を生やします。分かりやすく言うと、AGAによる脱毛作用以上の強力な発毛力で強引に生やすといったところか。

現代の医学において客観的に効果が実証され、もっともベストとされるのがフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルを用いた治療なのです。

当然ながら、睡眠不足や運動不足などの生活習慣や食生活を改善したからといってAGAは絶対に治りません。ここ重要ですよ。

AGA以外の薄毛の治療法

一方AGA以外の薄毛の治療とはどういったものなのか?

AGAでは男性ホルモンであるDHTを抑制するフィナステリドやデュタステリドが有力な治療法でしたが、円形脱毛症や脂漏性脱毛症にこれらを使用することはありません。

あえていうなら、円形脱毛症にミノキシジルが効いたというデータが一部にあるものの、その根拠は弱く医療現場においてミノキシジルが使用されることない。

円形脱毛症であればステロイドや免疫療法が用いられ、脂漏性皮膚炎ならやはりステロイドやケトコナゾールなどが選択される。

注目したいのは、多岐にわたる薄毛の中には生活習慣や頭皮環境が影響して引き起こされるものがあり、それらを改善すれば薄毛が治る可能性があるという点。

例えば牽引性脱毛症であれば、ポニーテールやオールバックなど髪の毛に強い力をかける髪形を改めれば治癒する可能性がありますし、脂漏性皮膚炎や粃糠性脱毛症は生活習慣も要因のひとつではないかと見られています。

AGAと違い、生活習慣や食生活を改めれば治る可能性がある症状も含まれる…それがいわゆる「薄毛」なのです。

育毛剤は「AGAに効果がある」とは言わない

さて、問題はここからです。

AGAと薄毛の大きな違いを踏まえた上で改めて育毛剤やスカルプシャンプー、育毛サプリメントなどの公式サイトを見てみてください。そこには薄毛に対する効果は謳われていても、AGAに対する効果は一切謳われていないはず。

ギリギリの間接的表現としてDHTや5αリダクターゼに言及するくらいか。

それはなぜか?答えは簡単、育毛剤や育毛サプリメントなどにAGAに対し効果が認められる成分は一切入っていないから。医薬部外品の育毛剤がAGAへの効果が認められている医薬品のフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルを使うことはできませんからね。

中には「5αリダクターゼや脱毛因子をブロックする」なんて謳っているものもありますが、ここに根拠は一切ありません。原料品メーカーが培養細胞を用いて行うしょぼい試験のみを根拠にそんなことを謳うのです。

ちなみに、育毛剤のような頭皮に塗布する外用薬の成分で5αリダクターゼを阻害すると認められているものは世界中見渡してもひとつも存在しません。唯一の外用発毛成分ミノキシジルは5αリダクターゼを阻害するわけではないからね。

5αリダクターゼに言及している育毛剤は、ハゲの悩みに付け込みAGAが治ると錯覚させる詐欺的な商品と思って差し支えありません。

薄毛を改善するという文言は滑稽

ただ、そういったややグレーな詐欺的表現を使うのは一部育毛剤のみ。多くの育毛剤はAGAやDHTに言及せず「薄毛」という表現を使います。

ここまで読んできた人なら理由は分かりますよね。そう、医薬品の分野であるAGAの改善は謳えないが、AGAを含む「薄毛」という表現を使うことで、AGAにも効くという印象を植え付けられるから

ミスリードですよね。

私たち男性が悩む薄毛のほとんどはAGA。しかし育毛関連商品がいう「薄毛」にAGAは含まれない。なぜならAGAに効果がある成分は一切入っていないから。

さらに突っ込むなら、AGA以外の薄毛…円形脱毛症や脂漏性皮膚炎などにも育毛剤は効果を発揮しません。それらの有効な治療薬はほとんどが医薬品ですからね。

じゃあ育毛剤はどんな薄毛に効果があるのか?

医薬部外品である育毛剤は抜け毛の予防や頭皮環境の改善に対しての効果を謳うことが認められています。ですから、なんとなく薄毛を予防するような雰囲気?気休め?そんなフワッとした商品。

もちろんAGAによる抜け毛には無意味。

多岐にわたる薄毛の中には、育毛剤で多少の効果が期待できるものもある…かもね?という位置付けなのです。

生活習慣改善でAGAは治らない

生活習慣の改善でAGAは治らない

上でも少し書きましたが、多くの育毛サイトや育毛剤メーカーは生活習慣を見直すことで薄毛の改善が見込めるといいます。そう、薄毛ね。

主にネット上において「薄毛=AGA」という印象操作が行われているため、多くの人は生活習慣の改善がAGA治療に寄与すると思っているのではないでしょうか。しかしこれ、壮大な勘違い。

生活習慣や食生活を見直すことによって改善される薄毛というのはごくごく僅かです。そんな限られたものですら「改善する可能性がある」程度のもの。AGAに対し生活習慣の改善は無意味とはっきり語る専門家も多く存在します。

にもかかわらず、AGAを含む多くの薄毛が生活習慣の改善によって治ると錯覚させるのには理由があります。それは自分の努力次第で薄毛は治ると勘違いさせ、それを強力にサポートするのが育毛剤やスカルプシャンプーだと思わせたいから。

薄毛の改善には生活習慣の見直し効果的です」という見慣れた文言。これを過不足ない正しい文章に置き換えると「ごく一部の薄毛においては生活習慣の見直しが効果を発揮する可能性があります」となります。

ほんの一部の薄毛にのみ効果を示す可能性が存在するだけなのに、それをあたかもすべてに当てはまるように書く…「薄毛」って何とも都合のいい言葉ですよね。

これが育毛業界の実態です。

AGA=薄毛ではないことを肝に銘じる

育毛業界において非常に都合のいい「薄毛」という言葉。これによって多くのハゲが騙され、効きもしない育毛関連商品を購入している現実があります。

最後にもう一度書きます。

私たちが悩まされている薄毛の9割以上は男性型脱毛症(AGA)であり、生活習慣や育毛剤で改善するとされる薄毛とは似て非なるもの。「AGA=薄毛」ではないということを絶対に忘れないでください。

そして、そういった印象操作を行うメーカーやサイトには騙されないでください。

現状でAGAに効果があると認められている成分は、プロペシアに代表されるフィナステリド、ザガーロの主成分デュタステリド、そしてリアップシリーズなどに配合されるミノキシジルのみです。

それらAGA治療薬を病院で処方してもらうか、個人輸入で購入するかは各々の判断にお任せします。ただし、詐欺まがいの育毛関連商品には絶対に手を出さないでください。金の無駄です。

どうにかしてこれをもっと広めたいんだが…当サイトだけでは力不足か…

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