男性の薄毛原因のほとんどは遺伝

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ハゲの原因は遺伝がすべて

「男性がハゲてしまう原因は遺伝が大きく影響している」

父親の寂しい髪の毛を見て「俺も将来的にはああなるんだろうな…」と感じたり、どんな薄毛対策をしても効果が見えなかったりで、「やはりハゲは遺伝なのか…」と肌で感じている人は多いのではないでしょうか。

一方でネット上に踊る薄毛サイトや書籍には「生活習慣や食生活を改善すればハゲは治る」「遺伝や体質の影響はそれほど大きくない」という、我々ハゲに期待を持たせる文言が目に付くと思います。

実際のところハゲと遺伝の関係はどのくらい強いものなのでしょうか?

男性のハゲの大半や遺伝や体質によるもの

薄毛は遺伝するのか?

まず結論から書くと、男性のハゲの原因は遺伝や体質がほとんどです。

身も蓋もないうえ希望を断ち切るような印象を受けるかもしれません。しかし「これに気を付ければハゲは治る」「この成分を摂れば薄毛は改善する」といった希望を持たせる文言は商品や本を売りたいがためのセールストーク。

実際は男性のハゲのほとんどが遺伝と思って間違いありません

なぜそう言い切れるのか?

それはこのサイトとは別の薄毛関連サイトで育毛剤をバンバン売っている私の経験はもちろん、当サイトは育毛剤やサプリメントを売りつける気はまったくないこと、そして遺伝説を裏付ける根拠があるからです。

遺伝によって親から受け継ぐハゲの詳しいメカニズムについて紹介しましょう。

ハゲの遺伝子は顕性遺伝(優性遺伝)?

ハゲは優性遺伝なのか

「遺伝」と一口に言ってもその伝わり方は様々です。

中でも「顕性遺伝(優性遺伝)」や「潜性遺伝(劣性遺伝)」という言葉は聞いたことがある人も多いのではないでしょうか?そして「ハゲは顕性遺伝(優性遺伝)」なんて噂を聞いたことはありませんか?

まずは優性遺伝・劣性遺伝について簡単に説明しておきましょう。

潜性遺伝(劣性遺伝)は両親とも対象となる遺伝子を保有しており、なおかつそのの遺伝子を持つ染色体を両親から受け継いだ場合のみ発症するもの

単純な確率では両親とも対象の遺伝子を1つずつ持っているケースでは25%の発症率。どちらかが遺伝子を持っていなければ発症確率は当然ながら0%。可能性としてはかなり少ないと言えるでしょう。

一方、「顕性遺伝(優性遺伝)」は両親から受け継いだ染色体のどちらかに薄毛の要素があればAGAを発症するというもので、仮の両親が1つずつ薄毛の遺伝子を持っているとするなら、薄毛になる確率は75%と跳ね上がります。

ハゲの顕性遺伝(優性遺伝)と劣性遺伝

もし薄毛が優性遺伝だとしたら、両親のどちらかからハゲの遺伝子を受け取れば無条件で薄毛になってしまうことに。しかしこれは正しいとはいえません。なぜなら基本的に薄毛は劣性遺伝だからです。

しかし事はそう単純ではありません。「女性はX染色体を2つ保有する」「男性はXとY染色体を1つずつ保有する」という性質があるため、上記の25%、75%という考え方は必ずしも薄毛には当てはまらないのです。

もうちょっと詳しく見ていきましょう。

優性遺伝なのは5αリダクターゼ活性

5αリダクターゼ活性は優性遺伝

ハゲが優性遺伝といわれる一つの理由に、AGAの原因物質である「5αリダクターゼ」の分泌量に遺伝が関わっており、それが優性遺伝(顕性遺伝)とされるからなのかもしれません。

男性の薄毛の9割以上を占める男性型脱毛症(AGA)は、誰もが持っている「テストステロン」という男性ホルモンと「5αリダクターゼ(5α還元酵素)」が結びついて作り出される「ジヒドロテストステロン(DHT)」によって発症します。

どんなにテストステロンを多く保有していたとしても、5αリダクターゼが少なければDHTの生成は限定的に。逆に5αリダクターゼが多ければDHTは多量に作られることになります。

そしてこの5αリダクターゼの分泌量を決める遺伝子は父親、母親どちらも保有しているとされ、どちらかが活性の高い遺伝子を持っており、かつそれが片方でも遺伝すれば、その子は「5αリダクターゼ活性が高い」ということに。

父親、母親どちらか一方から5αリダクターゼ活性を受け継ぐだけでAGAの原因であるDHTが生成されやすい環境になってしまう…そういった点においては確かに「DHTの量は優性遺伝(顕性遺伝)で決まる」と言えるのかもしれません。

ハゲの遺伝子は母方のX染色体に

ハゲは母方から遺伝する

しかし、薄毛のメカニズムというのは複雑で、必ずしも「5αリダクターゼやDHTが多い=ハゲ」とはならないからややこしい。

AGAというのは5αリダクターゼによってDHTが作られ、それが毛乳頭細胞内で男性ホルモン受容体(アンドロゲンレセプター)と結びついて初めて発症します。そして男性ホルモン受容体の量や感度を決定するのはX染色体なのです。

X染色体というのは男性が1つ、女性が2つ持っているもので、男性のみ保有するY染色体にはアンドロゲンレセプターに関する遺伝子はないとされています。

男性であれば父親から受け継ぐ染色体は自動的に「Y染色体」となり、母親からX染色体を受け継ぐことに。ということはこちらも優性遺伝? そのあたりの詳しい話は後述します。

とりあえずまとめると、AGAの発症に関わる要素は大きく分けて2つ。

  • ■5αリダクターゼが生み出すDHTの量
  • ■DHTの感受性を決定するアンドロゲンレセプターの量

男性型脱毛症(AGA)は、男性が豊富に持つホルモンであるテストステロンと5αリダクターゼという酵素が結びついて作り出されるジヒドロテストステロン(DHT)によって引き起こされます。

しかし、いくらDHTが多くてもそれに反応しなければ薄毛にならないわけで、その感受性を左右するのがアンドロゲンレセプター。そしてこれの感受性や量を決定する遺伝子はX染色体上に存在しています。

これを踏まえると薄毛遺伝のメカニズムが見えてきます。

DHTの感受性は伴性劣性遺伝

DHTの感受性は伴性劣勢遺伝

さて、ここで冒頭に触れた「薄毛は劣性遺伝」の話に繋がります。

X染色体にあるDHTに対する感受性の遺伝子。これは基本的に劣性遺伝とされます。両親からひとつずつ受け継ぐ染色体の両方ともがDHTに対する感受性が高い場合に限り薄毛になる…というもの。

父親と母親双方からDHTに対する感受性が高い遺伝子を受け継がない限り薄毛にはならない…仮にそうだとしたらそう簡単に薄毛になるとは考えづらいですよね。しかしここには大きなカラクリが。

DHTに高い感受性を示す遺伝子は確かに2つ揃わないと発現しない劣性遺伝(潜性遺伝)です。しかしそれはX染色体を2つ受け継いだ場合の話。つまり女性を対象にしたものなのです。

X染色体を2つ所有する女性と異なり男性はY染色体とX染色体をひとつずつ保有しており、Y染色体に関しては父親のものをそのまま受け継ぎ、X染色体は母親が持つ2つの中のいずれかを受け継ぐことに。

つまり男性はX染色体にあるDHTの感受性に関する遺伝子をひとつしか受け継がないことになりますよね。そうなった場合、2つ揃わないと発現しない劣性遺伝に当てはまることはない…とは限りません。

X染色体を2つ持つ女性の場合は双方に対象の遺伝子がなければ発現しないが、Y染色体とX染色体ひとつずつ持つ男性の場合、Xに対象となる遺伝子があると無条件で発現するケースがあるのです。

それを「伴性劣性遺伝」と呼びます。この遺伝が関わる病気として比較的有名なものは、発症する子供のほとんどが男児である筋ジストロフィーが挙げられます。

薄毛になる人の割合が女性より男性の方が圧倒的に多い理由がそこにあるのです。

「自分が将来ハゲるかどうかは母方を見ろ」なんて言われるように、X染色体を貰うことになる母方の遺伝が重要になってきます。

アンドロゲンレセプターの重要性

薄毛はアンドロゲンレセプターの感受性が左右する

ここまでの話をまとめると薄毛の遺伝は大きく以下の2つの要素で成り立ちます。

  • 両親から受け継ぐ5αリダクターゼの分泌量
  • 母親から受け継ぐアンドロゲンレセプターの感受性

この2つが薄毛に大きく関わることになります。しかし極論では5αリダクターゼやDHTの量はどうでもいいことになります。なぜならDHTがどんなに多くとも、受容体が反応しなければ意味がないからです。

例えばDHTが毛乳頭細胞内に1000個存在したとしても、受容体の数が10個であれば髪の毛への影響は限定的。一方でDHTが100個だったとしても、アンドロゲンレセプターが100個あれば影響は大きくなりますよね。

AGAになるかどうかは5αリダクターゼやDHTの量より“DHTに反応するかどうか”が何より重要。これが「ハゲは母方からの遺伝」と言われる所以です。

やっかいなのは、少なくとも現状の技術や医療ではアンドロゲンレセプターの感受性をコントロールすることができないという点。

病気の治療薬の中には、特定の受容体と原因物質が結合するのを阻害するために、先回りして受容体を埋めてしまうようなものも存在しますが、アンドロゲンレセプターに先回りして結合してくれるような薬は存在しないのです。

そうなると、おのずと対応は限られてきますよね。

遺伝や体質による薄毛を改善するには

遺伝による薄毛を改善するには

男性のハゲの多くを占める遺伝性の薄毛は体質的なものなので、抗うのは極めて困難と言わざるを得ません。…というか、現状では根本的な治療は不可能といっても過言ではないでしょう。

これほど強固なものが頭皮に塗布する育毛剤の保湿成分や抗炎症作用で改善するわけがないというのは何となく想像がつくのではないでしょうか。

正直なところ発毛剤のミノキシジルでさえ外用薬では心許ない。ある程度の発毛効果を期待するにはフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルを併用するのがセオリー。

特に医療機関で処方されるフィナステリドやデュタステリドがカギを握ります。

DHT生成を抑制するフィナステリド・デュタステリド

前述したとおり、現在の医療・技術ではアンドロゲンレセプターの感受性を弱めたり、機能自体を止めたりするようなことは不可能です。つまり母方から遺伝する薄毛の要素は対応のしようがないのです。

しかし、アンドロゲンレセプターへの対応は無理でも、レセプターと結合することによって薄毛を引き起こすDHTを減らすことは現在の医療でも可能なのです。それを実現するのがフィナステリドとデュタステリド。

この2つの治療薬はどちらも本来は「前立腺肥大症」という病気の治療薬。男性だけが持つ前立腺という臓器は肥大することで様々な排尿トラブルを引き起こすこの病気、実は男性型脱毛症(AGA)と原因物質が同じなのです。

そう、ジヒドロテストステロン(DHT)ですね。

フィナステリドやデュタステリドはテストステロンと結びついてDHTを作り出す「5αリダクターゼ」の働きを阻害し、前立腺脱毛症の原因であるDHTの生成を抑制する作用があります。それはAGAを改善する事にも繋がります。

アンドロゲンレセプターの働きを阻害することはできませんが、フィナステリドやデュタステリドを用いれば、アンドロゲンレセプターに結合して薄毛を引き起こすDHTの生成を抑制することはできるのです。

薄毛は遺伝と体質。それ以外の何ものでもありません。

世の中やネット上にはハゲに関する様々な情報が溢れています。原因はストレスだの食生活だの、喫煙だの。しかしそれらでAGAになるなんてエビデンス(科学的根拠)は一切ありません。ただの妄想と言っても差し支えないレベル。

様々な育毛関連商品メーカーや育毛サロンが自社製品を売るために口にするもっともらしい謳い文句に騙されず、科学的根拠が存在する発毛剤で治療を行うようにしてください。

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