発毛や育毛に血行促進が欠かせないという嘘

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血行促進で髪の毛は生えない

育毛剤や育毛サプリメントなどの商品紹介を見ていると必ずと言っていいほど目にするのが「血行促進効果による育毛」。頭皮の血流が薄毛改善に大きな影響を与えるような言い回しですが、実際はハゲに対し何の意味も持ちません。

ハゲと血行については私が生まれる前から関連性が取りざたされ、それは今現在も脈々と受け継がれいます。しかしハッキリ言ってしまえば「血行促進でハゲが治る」など都市伝説レベル。

根拠?もちろんあります。

血行促進による育毛などといったスカルプケア商品の嘘に騙される人が少しでも減るよう、髪の毛と血流に関して詳しく取り上げていきます。

血行促進で髪が生えるとされる理由と嘘

育毛剤には必ずと言っていいほど血行促進作用がある成分が複数配合されており、その効果によってあたかも髪の毛が生えそうな雰囲気を作り出しています。

そもそも血行促進効果で髪が生えるっていうのはどんな理由があるのか?

酸素や栄養を供給する

頭皮への血行促進で必ず持ち上がるのが「栄養や酸素を頭皮に行き渡らせる」というものではないでしょうか。育毛や発毛について調べている人であれば、こういった文言をうんざりするほど目にしてきたことでしょう。

髪の毛はケラチンというたんぱく質で構成されており、そのケラチンは18種のアミノ酸を体内で合成して作られる。そしてそのケラチン合成には亜鉛やビタミンB群などが必要…こんな話を聞いたことはありませんか?

これらはすべて事実。だからこそ髪の毛を育てるにはたんぱく質(アミノ酸)やビタミン、ミネラルが必要で、それをしっかりと供給するには頭皮の血行促進が重要になる…確かに説得力があるように感じます。

だがそれは嘘。大嘘。

考えてみてください。今これを見ているあなたがハゲていると仮定して、頭部すべてが薄くなっていますか?頭頂部や生え際のみじゃありませんか?また、ヒゲや眉毛などの毛も薄くなっていますか?

頭皮(頭部)への血行が悪くなって薄毛になっているというのであれば、髪の毛やヒゲ、まつ毛眉毛、耳毛に至るまですべての毛が薄くならないと説明が付きません。しかしそんなことはありませんよね。

理由は簡単、我々のハゲは男性型脱毛症(AGA)だから。

仮にAGAでないとしても薄毛に血行は一切関係ありません。円形脱毛症しかり、脂漏性皮膚炎しかり、粃糠(ひこう)性脱毛症しかり。血行を良くしたからといって髪の毛が生えるなんて科学的根拠は存在しないのです。

まあ、壊死するほど止血してしまえば別ですけどね。そうなればハゲるうんぬんの前に10秒で脳が酸欠で意識を失い、5分後には死ぬから安心です。ハゲの心配もしなくて済む。

血行を悪くした方が髪が生える?

もう何年か前になりますが、「血行を良くするとむしろハゲる」という、ちょっと興味深い記事が日刊SPA!に掲載されました。それがこちら。

戦前、頭皮に向かう血管を縛ってしまう実験も行われました。太い血管を全部縛っても、細い血管は繋がっているので、頭皮が腐ったりはしないんです。実験の結果、血行を悪くした人の70%くらいの人に髪が増えるという結果が見られました。

ただし、半年くらいすると元に戻ってしまったんです。血管のバイパスがまた太くなり、頭皮に行く血流が供給されて再びハゲる。結局、その治療法は良くないという結論になったんです
出典:日刊SPA!

これを提唱したのは東京メモリアルクリニックの院長で、氏いわく血行を良くするとテストステロンの働きが活発化され、AGAの原因であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成が促進されるため、むしろハゲやすくなるのだとか。

そんな考え方もあるのか…

この院長が語る戦前の実験の真偽は不明ですし、実際に行われていたとしても詳細が分からないので“根拠”とは程遠い。正直相当胡散臭いと言わざるを得ない。

しかし、一切の科学的根拠がないのに定型文のように右へならえで「血行促進で生える」と書いている連中よりかはずいぶんまし。出所は不明だが一応検証らしいこともしているわけだし。

まあ、意図的に血行を悪くするというのは健康面に悪影響がありそうですし現実的ではありません。ただ、馬鹿みたいに「血流ガー」と唱えている連中へのアンチテーゼとしては面白いかもしれない。

ミノキシジルは血行促進で発毛させるわけではない

ミノキシジルの発毛効果は血行促進と無関係

頭皮の血行を良くすることで髪の毛が生えるという、何の根拠もない説。もしかしたら発毛成分であるミノキシジルの影響もあるのかもしれません。

大正製薬のリアップがCMでミノキシジルの名を出していることもあって、発毛剤としてある程度の知名度を獲得したであろう同成分。しかしミノキシジルは本来血圧を下げるための血管拡張剤という事実が。

血管を広げて血圧を下げるミノキシジルを使用すると、当然ながら血行は良くなります。内服、外用問わずです。

そんなこともあり、ミノキシジルが持つ高い発毛効果は血行促進作用によるものという勘違いが横行。同成分の発毛メカニズムが完全に解明されていないこともあり、いまだに「ミノキシジルの血行促進効果で髪が生える」とのたまうサイトが非常に多い。

ミノキシジルを使うことによってなぜ発毛するのかについては完全解明とはいかないものの、かなりの部分が分かってきています。

それは毛包を刺激し成長因子が増えるという説や、毛母細胞に働きかけ増殖を促すという説など完全に統一はされていませんが、少なくとも血行促進作用が発毛に関与していないことは間違いありません。

それはミノキシジル以外の降圧剤では発毛が見られないことでも説明が付きます。血行促進作用で本当に髪が生えるなら、他の降圧剤や血管拡張剤でも発毛が見られるはずですからね。

しかし、こういった事実を知らない無知な人間がミノキシジルの発毛効果を血流改善によるものだと勝手に思い込むことで間違った情報が拡散、いまだに血行と薄毛の関連性が堂々と謳われる一因になっていると考えられます。

今一度書きます。ミノキシジルの発毛効果は血行促進作用によるものではない。

血行と男性型脱毛症(AGA)は関連性がない

血行が良くなったからといって髪の毛が生えないと言い切れる理由はまだある。それは男性型脱毛症(AGA)の原因にあります。

AGAというのは、男性ホルモンであるテストステロンが5αリダクターゼという酵素と結びついて作りだされるジヒドロテストステロン(DHT)が原因です。

そして、5αリダクターゼの分泌量や毛乳頭細胞内にある男性ホルモン受容体の感受性は遺伝によって決定します。つまることろAGAの原因はほぼ100%遺伝ということになり、そこに血行が入り込む余地は一切ありません。

このAGA、男性の薄毛の9割以上を占めるとされます。特徴は後頭部や側頭部の髪の毛は薄くならず、生え際から頭頂部のみが薄くなること。薄毛男性のほとんどはこの特徴にあてはまるはず。

AGAを改善させるためには、フィナステリドかデュタステリドでDHTを作り出す酵素「5αリダクターゼ」を阻害するか、もしくは高い発毛効果によって半ば力業で髪の毛を生やすミノキシジルを使用するしか方法はありません。

万が一これ以外の薄毛だったとしたら、円形脱毛症や脂漏性皮膚炎、はたまた何らかの薬の副作用も考えられます。しかしこれらもすべて血流とは関係がない。

血流改善で育毛や発毛をさせるなど滑稽すぎて話にならん。

血行神話は育毛業界が作り出したものか

血行による育毛神話は業界が作り出した

血行を良くすることで育毛や発毛に繋げるという話は大昔から存在しましたし、ミノキシジルの影響もあっていまだに語り継がれている感があります。

しかし、この都市伝説がいまだに現役である最大の理由は育毛関連商品を製造・販売しているメーカーによる戦略もあるのかもしれません。

というのも、医薬品の発毛成分フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルが使えない医薬部外品の育毛剤や化粧品、スカルプシャンプーなどは、センブリエキスやニンジンエキスなど血行促進作用がある成分への依存が強くなります。

仮に「薄毛改善に血行促進は無意味」という事実が広がれば、そういった成分をかなりの割合で使用する育毛剤やスカルプシャンプーの商品価値が下がることは想像に難くない。

これまでは育毛業界の実情を知っている人間だけが「何の意味もない血行促進に力を入れている水が1万円(笑)」と鼻で笑っていたものが、多くの消費者にまで広がってしまう可能性があるのです。

それはチャップアップなどの育毛剤を売って高額な報酬を受け取りたい育毛関連サイトも同様。血行促進によって薄毛が治る…そういうことにしておかないと育毛業界に身を置く人間が困るのです。

消費者にとっては迷惑以外の何ものでもないがな。

血行促進はハゲに効果なし

血行促進が抜け毛予防や薄毛改善に効果があるという風潮が広がっていますが、これは真っ赤な嘘。無知な人間や育毛業界が作り出した都市伝説なのです。

ましてや男性の薄毛のほとんどを占めるAGAには無意味。メカニズム的に血流の改善が治療に寄与することは考えられませんし、そもそも薄毛と血行を関連付けた研究やデータすらない。アホらしくて誰もやらないんだろう。

育毛剤、頭皮マッサージ、有酸素運動、ストレス解消…血行促進による発毛・育毛効果を謳うものは多数存在しますが、信用しないようにしてください。時間と金の無駄です。

AGAに詳しいまともな専門家の多くは「生活習慣の改善など意味がない。AGAの治療は発毛剤を使う以外方法はない」と口を揃えます。企業の口車に乗らないようにして欲しいとも。

血行促進で髪が生えるという幻想は、巨大な育毛業界に巣食う拝金主義の企業や育毛サイトなどによって作成・維持され、今日まで都合よく利用されています。しかし実態は薄毛の一切の効果なし

薄毛というのは非常に強いコンプレックスを生み出し、かつ人に相談しにくい点も相まって、人知れず大金をはたいて対策に乗り出す人が多いのが特徴。企業にしてみればドル箱ですよね。

血行促進などといった言葉に踊らされ、発毛にとってゴミレベルの育毛関連商品に散財することなく、髪が生える唯一の対策である発毛剤に辿り着ける人が1人でも増えることを祈るばかり。

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