薄毛に良い食べ物・悪い食べ物の嘘

薄毛に良い食べ物・悪い食べ物の嘘

自分が薄毛になっていることに気付いた時の衝撃は凄まじいもの。そしてその状況をどうにかしようと多くの人が取り組むのが生活習慣や食生活の改善です。

とりわけ注目されるのが食事や食べ物。人間の体は食べ物から摂取する栄養でできていると言っても過言ではないことから、薄毛に良い食べ物や悪い食べ物を気にする人が非常に多くなっており、それらを紹介するサイトも多数。

しかし、薄毛の改善に効果がある食べ物や、逆に悪化させる食べ物って本当に存在するのでしょうか? 巷に溢れる“薄毛に良い食べ物・悪い食べ物”の嘘と真実に切り込んでいきたいと思います。

薄毛に良い食べ物の代表格は嘘だらけ

薄毛に良いとされる食べ物は多数存在します。

特に育毛サプリメントに積極的に配合される成分を多く含む食べ物や食材は薄毛やハゲに効果的とされ重用される傾向に。育毛サプリメントって薄毛への効果に科学的根拠が一切ないただの栄養補助食品なんですけどね。

まずは薄毛に良い、効果があるとされる食べ物の真実を見てみましょう。

レバー

レバーで薄毛は改善しない

髪の毛の99%は「ケラチン」というたんぱく質でできており、そのケラチンは体内において18種のアミノ酸を合成して作られます。その合成に必要なものの代表として挙げられるのはミネラルである「亜鉛」。

それだけにアミノ酸と亜鉛というのは育毛サプリメントのド定番成分。そしてこれらを多く含む食べ物の代表格が「レバー」なのです。成分構成に若干の違いはあるものの、牛・豚・鶏のいずれのレバーも栄養満点。

動物の肝臓であるレバーがたんぱく質(アミノ酸)豊富なのは言うまでもないと思います。亜鉛についても牛や豚のレバーであれば100g食べるだけで1日に必要な量の70%程度が摂取できる優秀食材。

また、同じく育毛サプリメントに必ずといっていいほど配合されるビタミンB群も豊富。ビタミンB群はケラチンの生成を助けるなど育毛の補助的な作用があるとしてハゲに効果があると信じられています。

これらを多量に含むレバーが薄毛や育毛に効果的と言われるのは必然なのかも。

しかし、よほどのベジタリアン・ビーガンでもない限りアミノ酸やビタミンB群が不足する状況は考えにくく、またアミノ酸や亜鉛、ビタミンB群を多量に摂っても薄毛に対する効果は一切望めないというのが現実。

そもそもアミノ酸や亜鉛、ビタミンB群の摂取により薄毛が改善したというデータは世界中見渡しても存在しません。髪の毛が作られる順序や成分を逆算し想像だけで“良い”と吹聴しているだけ。何の根拠もないのです。

よく考えてみてください。私たち人間の多くは肉好きですよね。レバーに限らず肉…特に牛肉にはアミノ酸やビタミンB群、亜鉛が豊富なのです。そう、つまりみんなアミノ酸やビタミンB群が豊富な肉を食べているにもかかわらずハゲている。

亜鉛の摂取量が極端に少ないことで発症する亜鉛欠乏症による脱毛症でもない限り、亜鉛で髪の毛が生えることはない。ちなみに亜鉛欠乏症になると髪の毛のみならず体毛も薄くなるから一目瞭然。私たちが悩むAGAとは全くの別物です。

レバーを食べて薄毛が改善すれば苦労しないよ。

納豆

納豆は薄毛に良い?

納豆の原料は「畑の肉」と評される大豆だけに、たんぱく質が非常に豊富であり、レバーほどではないにしろビタミンB群や亜鉛もしっかりと含まれていることから、薄毛に良い食べ物としてよく挙げられています。

また大豆は女性ホルモンであるエストロゲンと同様の働きをする「イソフラボン」が豊富というのも大きな理由。エストロゲンは女性の美しい髪を作り出す源泉であり、薄毛の改善・予防に一役買っていると推測されているからです。

がしかし、たんぱく質(アミノ酸)や亜鉛、ビタミンB群を摂ったからといって薄毛が改善することはない点はレバーと一緒。虎の子のイソフラボンに関しても、これを摂取して薄毛が改善するという科学的根拠は存在しません。

そもそも私自身若い頃からほぼ毎朝納豆を食べていたが30歳前後で余裕のハゲですよ。納豆が薄毛に良い? 馬鹿も休み休み言え。

豆腐

薄毛改善に豆腐は効果あり?

納豆と同様に大豆から作られる豆腐もまた薄毛に良いとされています。

その理由は概ね納豆と同じ。豊富なアミノ酸に加え亜鉛などのミネラル、ビタミンB群などが豊富なことに加え、イソフラボンが豊富であることが育毛に効果的と考えられている大きな要因。

ゆえに、冷静に分析すれば納豆同様薄毛に効果がないことが分かるはず。アミノ酸や亜鉛、イソフラボンをせっせと摂ったところで髪は生えません。

玉ねぎ

玉ねぎは薄毛に効かない

一時期話題になった玉ねぎの育毛効果をご存知ですか?

玉ねぎの匂いの成分でもある「アリシン」には血液をサラサラにする作用があるため、玉ねぎを積極的に食べると頭皮への血流が改善し発毛促進する…というのがその理由。

一見もっともらしい理由に聞こえますが、頭皮の血行を良くしたからといって薄毛が改善しないことは、先人がせっせと頭皮マッサージを行うもまったく無意味だったことを見ても明らか。「意味なし」と切り捨てる専門家も多数。

また玉ねぎに含まれる抗酸化物質ケルセチンが頭皮の老化を改善したり防いだりした結果として薄毛の改善に繋がるとも。

抗酸化物質で薄毛改善…もはやオカルトだな。

キムチ

キムチの薄毛改善効果は?

カプサイシンによる血行促進効果が薄毛に効果的といういう説は根強い。そのためカプサイシンが豊富なとうがらしを手軽に摂ることができるキムチは育毛に良いとされています。

だから血行促進は意味がないと…

また、一時はイソフラボンとカプサイシンの相乗効果によりIGF-1(インスリン様成長因子)が分泌され薄毛を改善する…という論文が注目を集めたことも。これを提唱していた教授は後に捏造により退職に追い込まれてしまいましたけどね。

最近になってキムチに豊富に含まれる乳酸菌などが薄毛改善に役立つなんて情報も。ここにもオカルトが存在していますねぇ。嘘でもいいからこういっておけばハゲが買ってくれるかもしれない的な?

くれぐれもこういった根拠なない情報に騙されないように。

薄毛に悪い食べ物の嘘

薄毛に良いとされる食べ物がある一方で、当然ながら“悪い”とされる食べ物も存在します。要はハゲを助長する食品ということですね。

薄毛を悪化させるとしてよく取り上げられる食べ物とはどういったものなのか? そしてそれがいかに荒唐無稽な嘘かを取り上げたいと思います。

肉で薄毛にはならない

肉には脂質が多く、摂りすぎると皮脂が過剰に分泌され頭皮環境が悪化、結果薄毛の原因になったり悪化させたりといった説をよく目にします。また肉ばかり食べているとビタミンやミネラルが不足するとも。

いやいや、肉にはビタミンもミネラルも豊富だからね。下手な野菜よりよっぽど多い。肉類を食べても摂取することができないビタミンなんてビタミンCくらいのもの。イメージで「ミネラルやビタミンが不足する」って言ってるだけだよね?

肉に含まれる脂質を摂りすぎると頭皮の皮脂が増えるというが、そもそも皮脂が薄毛の原因ではないことは科学的に証明されている。

皮脂が毛穴を塞いでしまうと髪の毛の成長を阻害するなんてもっともらしい説が一般化していますが、そもそも皮脂は毛穴から分泌されるもの。毛穴の中は常に皮脂で満たされており、洗髪後数時間もすれば溢れ出てくるのが普通。

例えばニキビ。皮脂が溜まって炎症を起こすほどがっつり毛穴が詰まっているにもかかわらず毛は生えてきますよね。しっかりとした芯(角栓)があってもそうなのですから、頭皮に皮脂がちょっと多くなったからといってハゲるはずもない。

肉は不健康な食材、野菜は健康的な食材という昔ながらの固定観念が「肉=ハゲ」という図式を作り出しているに過ぎません。

肉の脂質で薄毛が悪化する…ちょっと何言ってるか分からない。

お酒

お酒でハゲるは嘘

多量に飲むことで確実に体を蝕むお酒。肝臓や食道、口腔、咽頭などのがんを引き起こす原因のひとつとしても知られていますよね。

アルコールが体に入ると、まず肝臓がそれを分解しようとします。その際にビタミンB群や亜鉛などのミネラルを消費してしまいます。髪の毛の基となるケラチンの合成に欠かせない栄養素が失われる…つまり薄毛になると。

加えてアルコールを分解する過程で生み出される毒性の強いアセトアルデヒドも薄毛を悪化させるという説も。アセトアルデヒドが男性型脱毛症(AGA)の原因であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を促すんだって。

アホくさ…どこにそんな根拠があるんだか。

アルコール分解の過程でビタミンやミネラルを消費するという点についても、ケラチンの合成に支障が出るほど消費するわけがない。もし本当にそうなのであれば、体中の毛や爪が無くなることになるはず。しかしそんなことはありえませんよね。

お酒を飲んでも薄毛になったり悪化したりしないことは多くの医師や専門家が断言している。安心して飲め。浴びるほど。

お菓子

お菓子を食べると薄毛になる?

糖質が多いお菓子やジュースを多量に摂ると薄毛になるらしい。

曰く、糖質を大量に摂ることによって血糖値が急上昇し血液がドロドロに。頭皮への血流が悪くなるばかりか、皮脂の分泌も増えて頭皮環境を悪化させるとかなんとか。どのサイトを見ても「お菓子の糖質が―」で一貫している。

なぜお菓子が槍玉に? 私達が摂取する糖質の多くはご飯やパンといった炭水化物なんだけどね。

糖質の摂り過ぎが体に悪影響を及ぼすのは否定しようのない事実。ただし、それが薄毛に関係しているかどうかと問われれば、答えはNO。

血糖値が上昇して薄毛が誘発されるなんて話は聞いたことがないし、糖質の過剰摂取で皮脂が増えたところで髪の毛の成長には何ら影響を与えないのは前述の通り。

とはいえ、経験則から男女問わず肥満の人に薄毛が多い印象があるのも確か。

肥満と薄毛の関係についての研究や論文は複数存在するものの、関連性が認められたもの、認められなかったものが混在し明確な結論は出ていません。とりあえず太って良いことなど1つもないのは間違いない。

糖質の多量摂取により肥満になり、それが薄毛を誘発する可能性を高める…という観点であれば、炭水化物やお菓子の糖質を摂りすぎることでハゲを引き起こすという話も間違いとは言い切れないのかもしれません。

辛い食べ物

辛い食べ物を食べ過ぎるとハゲになるの?

辛い食べ物など刺激が強いものを摂取すると、発汗作用により頭皮に皮脂が増え薄毛を悪化させるらしい。

じゃあキムチのカプサイシンもダメじゃん!なんだこの矛盾は。

発汗するということは血行促進効果があることを意味していると思うんだが…まあ血行が良くなっても薄毛が改善することはありえないんだけどね。

たんぱく質やビタミンB群、亜鉛を積極的に摂ることが大事と言っておきながら、一方で肉の食べ過ぎはダメだったり、とうがらしのカプサイシンが薄毛に効くとのたまいつつ刺激物は食べちゃダメだったり…一貫性がないな。

薄毛は食べ物が引き起こすものではない

ここまで読んできた人であればもうお気付きだろう。食事や食べ物によって薄毛になったりハゲが悪化したりといったことは考えにくいことに。

男性の薄毛の9割以上を占めている男性型脱毛症(AGA)は代表的な男性ホルモンであるテストステロンと、「5αリダクターゼ」という酵素が結びついて作り出されるジヒドロテストステロン(DHT)が原因で引き起こされます。

AGAのメカニズム

5αリダクターゼの分泌量や、DHTに対する感受性は遺伝によって決定されることから、薄毛の原因に食事や食べ物が入り込む余地はないのです。

食べ物が関与する可能性がある薄毛を挙げるとすれば、極度の亜鉛不足が引き起こす亜鉛欠乏症による脱毛か、あるいはアレルギー体質の人が発症することも多い粃糠性脱毛症あたりか。

これらにって引き起こされる薄毛は全身もしくは頭皮全体に及びます。側頭部や後頭部の髪の毛はフサフサなのに前頭部から頭頂部にかけて薄毛になっている、男性の典型的なハゲは100%AGA。

それなら食べ物は全く関係ないから安心(?)してください。

ハゲを気にせず食事を思いきり楽しもう

食事は楽しいもの。美味しいものを食べたり飲んだりすることが人生最高の喜びという人もいるでしょう。それだけに薄毛を気にして食べ物を選ぶというのは避けたいところ。

幸い、私たちを悩ますAGAは良くも悪くも食べ物の影響を受けません。思う存分好きなものを食べてください。

ただし、前述したとおり肥満によって引き起こされる糖尿病や高血圧といったメタボリックシンドロームとAGAには関連性があるという研究が複数存在し、“根拠”とまでは呼べないものの一定の相関性を示すデータも存在します。

好きなものを食べてもいいが、薄毛への影響を考えるなら食べ過ぎによる肥満は避けたほうが無難かもしれません。

ま、ハゲるほどのデブであれば薄毛による醜さなど誤差の範囲内か。多くの女性は自力ではどうにもならない薄毛より、自堕落や不摂生がもたらす肥満を嫌悪しますからね。

好きなものを欲望の赴くままに貪りたいのであれば薄毛を気にするべきではありませんし、薄毛を気にするようであれば食事の量だけは気を付けるようにしましょう。それが結論になるでしょうか。

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