サクセス育毛トニックで毛は生えない
ハゲや薄毛とは無縁の人でも知っているであろう育毛剤や発毛剤といえばCMをバンバン流しているリアップとサクセスが挙げられ、特にサクセスの育毛トニックは約30年にも及ぶ長い歴史から知名度も抜群。ですが発毛効果は一切ありません。
「いきなり言い切ったな」
そう感じる人もいらっしゃるかもしれませんが、そもそもサクセスは“育毛”トニックと謳ってはいるものの抜け毛の防止がメインの商品であるうえに、成分を見ればどう考えても発毛しないことは明らか。
一切発毛効果なしのサクセス育毛トニック。同商品はそもそも発毛を目的作られたものではなく、男性型脱毛症(AGA)の改善に使おうと考える人が表れないようその中身に迫ってみたいと思います。
サクセス育毛トニックの成分
育毛剤を語るには中身を見ないと分からないので、まずはサクセス育毛トニックの全成分を見てみます。
サクセス育毛トニック |
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トランス-3,4’-ジメチル-3-ヒドロキシフラバノン(t-フラバノン) ニコチン酸アミド ピロクトン オラミン エタノール 水 二酸化炭素 ユーカリエキス 黄杞エキス トウガラシエキス メントール dl-カンフル BG ヒドロキシプロピルセルロース イソノナン酸イソノニル 乳酸 無水エタノール |
…かなり少ないです。
とはいえ育毛・発毛関連商品というのは成分の数が重要なわけではありません。例えば髪の毛の生えるプロペシアやザガーロといった発毛剤は1種類の成分しか使っていないのに十分な発毛効果がありますよね。
成分の多さが正義というイメージはイクオスやチャップアップなどインターネットを中心に販売する育毛剤が作り出した印象操作であり、現実的には効果のある成分に特化したほうがいいに決まっています。
だからといってサクセスに効果があるというわけではありませんけどね。
サクセス育毛トニックの価格は1,000円前後。他の育毛剤の価格を鑑みればコストパフォーマンスは良いといえるのかもしれません。だって医薬部外品の育毛剤である以上どれも抜け毛予防や発毛促進程度の効果しかないのですから。
であれば安いに越したことはありません。どうせ金を無駄にするなら、その額は少ない方が傷が少なくて済むという後ろ向きな理由ですけどね。
サクセス育毛トニックの有効成分
サクセス育毛トニックの成分をもう少し詳しく見てみましょうか。
上記の赤字部分の3種が有効成分。グリチルリチン酸ジカリウムやセンブリエキスといったものばかりが幅を利かせている、ネット専売の高くて生えない育毛剤に慣れている身としては聞き覚えのない成分ばかり。
チャップアップやイクオス、ブブカといった育毛剤に毒された人から見ると「ゴミばかりじゃん」と感じるかもしれません。しかし必ずしもそうとは言い切れないのです。
一応もう少し掘り下げてみると…
■トランス-3,4’-ジメチル-3-ヒドロキシフラバノン(t-フラバノン)
t-フラバノンはサクセスを販売する花王が独自に開発した育毛成分で、西洋オトギリソウのエキスを由来としています。
オトギリソウ(弟切草)といえば昔の怖いゲームを思い出しますね。
効果としては毛母細胞に作用することによって薄毛を進行させる「TGF-β」というたんぱく質の働きを抑制するというもので、抜け毛を防止するとともに髪が太くなる…ということらしい。
ちなみにこの成分、日本皮膚科学会の「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン2017年版」で評価されており「行ってもよい」という微妙な評価を頂いている。
「行ってもよい」というと一定の効果がありそうな印象を受けるが、これは2017年版のガイドラインになって表現が替わったからであり、以前の2010年版ガイドラインのC1評価は「行ってもよいが、十分な根拠がない」というもの。つまりそういうこと。
ただし、このガイドラインを見てもらえば分かるが、ネット上で絶賛されているセンブリエキスやグリチルリチン酸ジカリウムなどは評価の対象にすらなっていませんよね。一方で1,000円程度のサクセスの有効成分は評価されている。
評価自体は微妙ながら脱毛症診療ガイドラインにおいて審査の対象になっているということは、ある程度しっかりとした試験を行っている証拠。
実際、t-フラバノンを用いた育毛剤を30週間使用した結果、53.1%の人が軽度改善以上の結果を残しているとある。これは他の市販の育毛剤の数値34.8%、プラセボ(偽薬)の17.9%より有意に高い結果。
この試験は非ランダム化試験で規模もそれほど大きくないため、医薬品の臨床試験に比べれば信頼性や客観性で大きく劣る。また結果もミノキシジル外用薬の改善率98%に比べれば大した事はない。
しかし、薄毛に対しまったく試験を行ってないセンブリエキスやグリチルリチン酸ジカリウムに比べれば遥かに信頼できるのも確か。まあこれらはただの化粧品成分だから当然なんですけどね。
t-フラバノンは薄毛が改善するといるだけのエビデンス(科学的根拠)があるとは言えませんが、そのへんに転がっている育毛剤の有効成分に比べればましなのは間違いないでしょう。
決しておすすめはしませんけどね。
■ニコチン酸アミド
ネット専売育毛剤では聞きなれない有効成分その2。
ニコチン酸アミドはビタミンB群の一種で抗炎症作用や血行促進作用がある成分。基本的にはパントテン酸欠乏症やニコチン酸欠乏症などの治療目的に内服する薬としての使用が一般的で、外用薬としての効果はあまり期待できない。
上で挙げた2017年の男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインにおいて、育毛成分として初めてB評価を得たアデノシンに比較対象としてかませ犬に選ばれたこともあるちょっと不遇な成分でもあります。
ちなみにその時のデータがこれ。
ニコチン酸アミドは昔から育毛剤の成分として使われてきた歴史があり、かつ大した効果がないことから比較対象として選ばれたのでしょう。こう見ると成績はそれほど悪くないんですけどね。アデノシンと比べるとアレというだけで。
この数字を見ても分かるように、まったく無意味な成分というわけではありません。育毛剤の成分として見ればt-フラバノン同様センブリエキスやグリチルリチン酸ジカリウムよりずっとまし。
育毛剤の成分としては比較的歴史があるのも確かなので、髪の毛を生やす効果は無くても頭皮環境を改善する効果ならある程度は期待できるかも。
とはいえ、ミノキシジルに比べれば気休めにもならん成分ですけどね。
■ピロクトン オラミン
ネット専売育毛剤では聞きなれない有効成分その3。
殺菌作用がありフケを防止する成分として医薬部外品に登録されていて、抗菌効果による頭皮環境の改善を目的とする成分。
抗炎症作用があるとされるグリチルリチン酸ジカリウムほど無能ではないが、ケトコナゾールのような強い殺菌力があるわけでもない、いわば中間的な位置付けになるでしょうか。
育毛剤の有効成分は抗炎症作用なや抗菌作用といったものが目に付くが、いうまでもなくこれらの効果で髪の毛が生えることはありません。
サクセス育毛トニックのその他の成分は?
有効成分は「t-フラバノンの効果によって抜け毛が防止できるかもね」程度として、その他の成分に目を向け育毛成分とおぼしきものを挙げてみると…
- ユーカリエキス
- 黄杞エキス
- トウガラシエキス
- メントール
…こんだけ?
まあ育毛成分なんて3種だろうが60種だろうが発毛効果など無いんだから数の問題ではないものの、市販の育毛剤としてはさすがにスカスカ感は否めない。まあ1,000円という価格を考えれば十分頑張っている気もしますが…
面倒くさいのでザザッと紹介すると、ユーカリエキスと黄杞エキスは抗炎症作用や殺菌作用、トウガラシエキスとメントールは血行促進作用って感じになります。
そもそも育毛トニックの主な目的というのは血行促進による抜け毛予防とスカッとする清涼感。であるなら、トウガラシエキスやメントールによる血行促進作用は理にかなっている。メントールには清涼感もありますしね。
もちろんこの程度で男性型脱毛症(AGA)が改善することは100%ありえない。しかし気持ちが良くて気休めにもなるのであればそう悪くないのかもしれません。
…まあそんな程度の成分。
サクセス育毛トニックを使うメリットは?
サクセス育毛トニックの最大のメリットは価格が安いこと。
1本1,000円前後で買えるというのは、高いだけで一切髪は生えないイクオスやチャップアップなどのネット専売育毛剤に比べればかなり良心的。
「使わないよりはまし」という気休め程度に育毛剤を使うのであれば、圧倒的に安いサクセスを使った方がいいのは言うまでもありません。どうせ育毛剤じゃ髪は生えないんだし。
抜け毛予防などの育毛効果を期待するならなおさら。ネット専売の育毛剤に多く使われるセンブリエキスやグリチルリチン酸ジカリウムといった有効成分に比べればサクセス育毛トニックのt-フラバノンのほうが育毛成分としての信頼性は高い。
またメントールなどをジェット噴射することによるひんやり感やシュワっとした使用感は清涼感や爽快感抜群で気持ちがよく「なんか血行とか良くなっていそう」という印象を抱かせるのは事実。
低価格で薄毛が治りそうな錯覚と気持ちよさを得られるコストパフォーマンスが最大の強みといえます。
ただしそれは「日本製にこだわるなら」という前提の話。海外製の商品に目を向ければ強い発毛効果がありつつサクセスより安いものがいくらでも存在する。このあたりは後述します。
サクセス育毛トニックに副作用は?
サクセス育毛トニックに副作用は基本的にない。
クソ高い他の育毛剤に比べて圧倒的に安いため、当サイトでゴミみたいな育毛剤を紹介する際たびたび言及する「高い金を出して一切効果がないことが最大の副作用」といったような懐への負担も少ない。
もちろん髪を生やす効果は一切ないが。
ただし、エタノールにアレルギーがある人も稀に存在しますので、そういった人は頭皮に何らかの症状が出る可能性があります。これを副作用というのかどうかは微妙なところですけどね。
また、育毛トニックというのは一般的な外用薬に比べ刺激が強いため、人によっては頭皮のかゆみや紅斑がでる可能性も。本来必要のない刺激を頭皮に与えるのですから、何らかの異常が出る可能性があるのは仕方ないところか。
発毛効果がなくAGAが改善することはないのに副作用が出る可能性はゼロではない…ある意味悪夢ではある。
サクセス育毛トニックの総評・まとめ
サクセス育毛トニックは公式に「抜け毛予防」と謳っていますし、そもそもが育毛剤のくくりなので毛を生やす効果は一切ありません。
なので髪を生やしたいという目的で使うのは完全に間違いです。
またサクセス育毛トニックは一般的な育毛剤と違い1ヶ月1,000円くらいで使えるという点は大きなメリットであるものの、しっかりとした発毛効果があるフィンペシアやミノキシジルタブレットも1ヶ月あたり1000円くらいで使えます。
これら発毛剤の副作用が嫌だという人は、リアップと同じく5%のミノキシジルを配合する外用薬リグロースラボM5なら1本あたり1,700円くらいで買えますし、外用薬であるため副作用もほとんどないというメリットも。
つまりサクセス育毛トニックは安価なぶん他の育毛剤に比べお金の無駄にはならないものの、ハゲを治したいのであればこんなもの使っている場合じゃねぇよという話ではある。
これを使っても薄毛やハゲは進行し遠からず取り返しがつかなくなるので、本気でハゲを治療したいのであればちゃんと発毛剤を使うようにして下さい。
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