モンゴ流シャンプーの表現に違和感
髪を生やす発毛効果はもちろん育毛効果すらないシャンプーに驚くほど高価な価格を引っさげている商品はイクオスブラックシャンプーはじめ腐るほど存在しますが、その典型のひとつがモンゴ流シャンプーEX。
モンゴ流といえば「ミノキシジルの3倍の育毛効果」というわけの分からない触れ込みで注目されるキャピキシルを配合し、育毛剤っぽい化粧品を約14,000円という高額で販売するDeeper3Dが真っ先に思い浮かぶアレなブランド。
育毛剤ですらないただの化粧品に発毛効果を匂わせ高額で売りつけるブランドが販売するシャンプーですから、当然こちらも同様の手法で高く買わせる方法なんだろうなと推測されますよね。
そんなモンゴ流シャンプーEXがどんな売り文句で高いシャンプーを買わせようとするのか、失笑覚悟で取り上げてみたいと思います。
モンゴ流シャンプーEXはどんな成分?
では具体的にモンゴ流シャンプーEXにはどんな成分が入っているのか?
モンゴ流シャンプーEX | |
---|---|
成分 | 水 ラウリン酸ポリグリセリル-10 ラウラミドDEA ラウロイルメチルアラニンNa オレフィン(C14-16)スルホン酸Na グリセリン ココイルグルタミン酸TEA ポリクオタニウム-10 ココイルメチルタウリンNa コカミドプロピルベタイン デシルグルコシド ラウレス-4カルボン酸Na (メタクリル酸グリセリルアミドエチル/メタクリル酸ステアリル)コポリマー ヒアルロン酸ヒドロキシプロピルトリモニウム カプリロイルグリシン ポリグルタミン酸 ココイルアルギニンエチルPCA 加水分解ケラチン グリチルリチン酸2K イラクサ根エキス イラクサ葉エキス セイヨウイラクサ葉エキス ユッカグラウカ根エキス ヒポファエラムノイデス果実油 シスタンケツブロサ茎エキス プテロカルプスマルスピウム樹皮エキス マグワ根皮エキス グアバ葉エキス ゲンチアナ根エキス カキタンニン キダチアロエ葉エキス センブリエキス カンゾウ根エキス サンショウ果皮エキス ホホバ種子油 ビワ葉エキス ケンフェリアパルビフロラ根茎エキス チョウジエキス ザクロ果実エキス ダイズ種子エキス オウゴン根エキス ヒオウギエキス ベルゲニアリグラタ根エキス プエラリアミリフィカ根エキス クズ根エキス 香料 グルタミン酸 カルボキシメチルキトサンサクシナミド 1,2-ヘキサンジオール BG ラウロイルグルタミン酸ジ(フィトステリル/オクチルドデシル) グルコース ソルビトール PEG-2カプリリルアミン PEG-150 水添レシチン 銅クロロフィリンNa ジステアリン酸グリコール ラウレス-3 塩化Na クエン酸 クエン酸Na グリシン 硫酸亜鉛 コハク酸2Na メタリン酸Na 酸化Mg メントール プロパンジオール フェノキシエタノール エタノール |
また無駄に多いな…
天然植物成分を26種配合しているという触れ込みだが、それらはすべて保湿効果や抗炎症作用程度の凡庸な成分で、数分で洗い流すシャンプーにおいて発毛効果はもちろん育毛効果すら見込めないので、とりあえずスルー。
一応洗浄成分だけは取り上げておきましょうか。
■モンゴ流シャンプーEXの洗浄成分
最新のモンゴ流シャンプーに含まれる洗浄成分は以下のもの。
- ■ラウリン酸ポリグリセリル-10は
- ■ラウラミドDEA
- ■ラウロイルメチルアラニンNa
- ■オレフィン(C14-16)スルホン酸Na
- ■ココイルグルタミン酸TEA
- ■ココイルメチルタウリンNa
- ■コカミドプロピルベタイン
- ■デシルグルコシド
- ■ラウレス-4カルボン酸Na
- ■ココイルアルギニンエチルPCA
なんか妙に界面活性剤(洗浄成分)が多いな…
アミノ酸系の洗浄成分も入っていることから分類上は「アミノ酸系」となるのかもしれませんが、界面活性剤の種類を見るとベタイン系、高級アルコール系など幅広く使用している事が伺えます。
モンゴ流シャンプーEXは洗浄成分のみならずその他の成分も非常に多く含まれており、「いっぱい入れときゃバランスよく効きそうなイメージを演出できる」という戦略なのか?
■多くの成分でバランスよく効くは大間違い
発毛剤であるプロペシアのフィナステリドやミノキシジルをはじめ、効果の高い医薬品は特定の成分に特化し効果を高めます。それとは逆に育毛剤に代表される医薬部外品やキャピキシル系の化粧品はとにかく多くの成分を突っ込む傾向にありますよね。同じくモンゴ流のDeeper3D然り。
育毛剤のイクオスやチャップアップなども「多くの成分を入れることが正義」とばかりに60種を超える成分を入れていますが、発毛根拠の一切ない成分を50も60も入れてお茶を濁すより、効果的な成分に特化する方が遥かに効率が良く、しっかりと効くことは病院で処方される数多の薬を見れば明らか。
モンゴ流シャンプーの無駄に多い洗浄成分や自然由来とする成分を見ていると、そう感じずにはいられません。
モンゴル人のハゲの少なさに着毛(笑)
モンゴ流はその名の通りモンゴル人の薄毛率の低さに着目しているブランド。
モンゴル人は日本人と同じく起源をもつモンゴロイドにもかかわらず、薄毛やハゲの人はほとんどいない事から、洗髪に使用するユッカなどの植物を使用すればハゲが防止できるのではないかという理論を下図のような新聞記事の切り抜きを使ってまで紹介している。
出典:モンゴ流公式サイト
なんじゃそりゃ?
そもそも現代のモンゴル人の顔は日本人に比べて平坦かつ細目の人が多く、どちらかというと中国人や朝鮮人に近い。遺伝子的にもハッキリと異なっていることが証明されている。
太古のモンゴル人を起点にしているという点は一緒かもしれないが、今や生活習慣も文化も遺伝子も違う日本人とモンゴル人を比べて「ハゲが少ないのはユッカのおかげ」とか、もう狂気の沙汰。
単一民族と言われる日本人ですら薄毛になる人とならない人がいるのに、モンゴル人と日本人を比べるなんてナンセンスもいいところ。
じゃあ、まずは日本人がモンゴル人と同じくユッカなどを使って薄毛が改善したという客観的なデータを持ってこい…という話である。
言うまでもなく毛が生えないモンゴ流シャンプー
もはや議論の余地もない事だが、モンゴ流シャンプーをはじめ、いわゆる育毛シャンプーと呼ばれるものを使って髪の毛が生えることは120%ありえない。
しかし、それをハッキリと謳ってしまうと売り上げに大きく響くため、あの手この手を使って髪の毛が生えそうな雰囲気を演出するのが育毛シャンプーの常套手段で、モンゴ流シャンプーの「モンゴロイドうんぬん」もその類。
ただ、それを除けば「髪の毛にハリ・コシを与える」という表現に留めているこのシャンプーはまだ良心的と言えます。
スカルプDなんて薄毛の原因ジヒドロテストステロン(DHT)の生成に大きく関わる5αリダクターゼに働きかけるという、発毛効果すら匂わせる表現を使っているからね。それに比べればモンゴ流シャンプーの表現にそれほどの悪質さは感じない。
しかしそれはあくまでもシャンプーだけの話。
■コンディショナーを併用すると髪が太くなるらしい
シャンプーに関しては比較的抑えた表現ならが、コンディショナーになると状況は変わってきます。
出典:モンゴ流公式サイト
上図を見ても分かるようにハッキリと「髪を太くする」と明記している。
化粧品は効果・効能を表記できないはずと記憶しています。医薬部外品である育毛剤であれば「髪を太くする」という表現を使うものも散見されますが、化粧品のコンディショナーでこの表現って問題ないのか?
というか、薬機法(薬事法)において「髪が太くなる」という表現は、厳密には医薬部外品の育毛剤でも使ってはいけないことになっている。
「保湿成分の浸透力により」との注意書きがあるあたり、成分が浸透して太くなるなら問題ないのかな?潤いを保つ、ハリコシを与えるという表現であれば確かに認められているが…
「成分が浸透して36%太くなる」…化粧品のスカルプシャンプーというカテゴリから考えるに、なんとも微妙な表現。
…ま、育毛関連商品が薬機法に抵触する表現を使うなんざ日常茶飯事だけどね。
最近になって公式サイトを見てみたら、「浸透する」「36%太くなる」という表現は削除され、ハリやコシを与えるという表現に留めている。こういった対応は好感が持てます。
Deeper3D同様価格はかなり高い
発毛効果があると勘違いさせる過剰な表現は抑えている印象のモンゴ流シャンプーEXですが、価格面においては容赦ない。
商品名 | 内容量 | 価格 |
---|---|---|
モンゴ流シャンプーEX400ml | 400ml | 4,980円(税込) |
モンゴ流シャンプーEX200ml | 200ml | 2,750円(税込) |
400ml定期購入 | 400ml | 4,480円(税込) |
比較対象としては同じく400mlのプレミアムブラックシャンプーあたりが妥当で、それと比べると単品、定期共にモンゴ流シャンプーEXのほうが200円ほど安くなっています。
しかし、それはシャンプーのみの比較であり、プレミアムブラックシャンプーはリンス不要のオールインワンなのに対し、モンゴ流シャンプーはコンディショナーをシャンプーと同値の4,980円で販売するという手法を取っている。
しかも、「コンディショナーを使うとシャンプーだけに比べて36%髪の毛が太くなる」とのたまい、医薬部外品ですらない化粧品シャンプーの分際で発毛効果レベルの表現を用いコンディショナーを買わせようとしています。
ちなみにセットで買うと、ちょっとお得な8,640円。
これで新たな髪は1mmも生えないんだから、どこのブルジョワをターゲットにしているんだか。
何を目的に育毛関連商品を使うのか考えよう
この記事を見ているという事は少なからずモンゴ流シャンプーEXに興味を持っている人だと思います。そういう人は何を目的にこのシャンプーを検討しているのか今一度自分に問いかけてみて下さい。
薄毛が気になりだして「とりあえず気休めでもいいから手っ取り早く何らかの行動を」というのであれば育毛シャンプーで「薄毛対策している感」を得るのもいいでしょう。
しかし、本気で薄毛を治したい・改善したいと考えているのであれば、発毛効果はもちろん育毛効果すらないスカルプシャンプーでは話になりません。
これはモンゴ流シャンプーに限ったことではありませんが、シャンプーで男性型脱毛症(AGA)が改善することは100%ないのです。
「もしかしたらAGAではなく、別の原因で薄毛になっているのかも…」という淡い期待を抱いているなら、そんな希望は捨てて下さい。男性の薄毛の9割以上は進行する一方のAGA。
手をこまねいている間にどんどんハゲていきます。
薄毛に気付いたなら一刻も早いAGA治療。それを可能にするのは科学的・世界的に見てもフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルを用いた治療法しかありません。
今ある髪の毛に多少でもハリやコシがでればいいというのであればモンゴ流シャンプーの使用を止めるようなことはしませんが、AGAを改善したいのであればスカルプシャンプーを使っている暇はないぞ。
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