ビタブリッドCヘアーは薄毛に効果ない育毛剤
ビタミンCの効果によってあたかも髪の毛が生えるような印象を与える宣伝方法で販売しているビタブリッドCヘアーという育毛剤があります。
元宮崎県知事の東国原英夫氏を広告塔に据えるなど積極的なプロモーションを行い一定の人気を得ているようですが、ハッキリいってビタブリッドCヘアーで髪の毛が生えることはありません。AGAには一切効果なし。
抗酸化作用があり真皮のコラーゲン生成をサポートするビタミンCは美容関連商品に多く使われる成分とあって、髪の毛にも良さそうな雰囲気がありますよね。しかしそれは大きな勘違い。
多くの芸能人を宣伝に用いるなど古典的な方法も目立つビタブリッドCヘアーが薄毛に効果がない理由と、隠された嘘に迫っていきます。
- ビタブリッドCヘアーとは
- ビタブリッドCヘアーの全成分
- ビタミンCはハゲに効果なし
- ビタブリッドCの特許は効果と関係がない
- ビタミンCの浸透を鵜呑みにするな
- 17型コラーゲンとビタミンC研究の嘘
- ビタミンC以外の有効な成分は?
- 有名人によるビタブリッドC推し騙されるな
- モンドセレクション最高金賞に意味なし
- ビタブリッドCヘアーはAGAに効かない
ビタブリッドCヘアーとは
ビタブリッドCヘアーを知らない人のために簡単に説明しておくと、この商品は医薬部外品の育毛剤…というか、メーカーは「発毛促進剤」を謳っていますね。
「発毛促進」とはいっても、フィナステリドやミノキシジルのような新たな髪の毛を生やす「発毛」とは別物。頭皮環境の改善などにり抜け毛を予防したり、今生えている髪の毛の成長をサポートする程度のもの。
このビタブリッドCヘアーの特徴は、他の育毛剤と違いビタミンCと亜鉛によるハイブリッドビタミンCなるものが頭皮に浸透し、髪の毛が生えるっぽい雰囲気を醸し出している点。もちろん生えないが。
また、使用を始める前にローションの中にパウダーを溶かし込むというのも特徴の一つ。2液などを自ら混合する商品は、生のビタミンCを用いる美容液などではたまに目にするが、育毛剤としては珍しい。
よりフレッシュなビタミンCを使って欲しいという配慮とも演出とも取れる。
とにもかくにもビタミンCのみがアイデンティティを支えていると言っても過言ではないビタブリッドCヘアー。無駄な育毛成分を馬鹿みたいな数配合することが正義と言わんばかりのチャップアップやブブカゼロなどに比べれば潔いが…
ビタブリッドCヘアーの全成分
ビタブリッドCヘアーが私たちのハゲにいかに無意味かを言及する前に、配合成分をハッキリさせるためまずは全成分を掲載しておきます。
ヘアーパウダー | ヘアートニック |
---|---|
酸化亜鉛 アスコルビン酸 ステアリン酸グリセリル ナイアシンアミド アルギニン システイン イノシトール 水 パンテノール アデノシン カフェイン ビオチン パルミトイルトリペプチド-1 アラントイン ビオチノイルトリペプチド-1 パルミトイルペンタペプチド-4 パルミトイルテトラペプチド-7 オレアノール酸 アロエベラカルス培養エキス ブドウカルス培養エキス モモカルス培養エキス トレハロース 加水分解シルク |
精製水 エタノール 1,3-ブチレングリコール モノオレイン酸ポリオキシエチレンソルビタン(20E.O.) ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 フェノキシエタノール dl-メントール D-パントテニルアルコール L-リシン塩酸塩 酢酸DL-α-トコフェロール クエン酸ナトリウム クエン酸 N-ステアロイルフィトスフィンゴシン ビオチン |
医薬部外品であるヘアートニックの中に化粧品であるヘアーパウダーを溶かし込む仕組み。
成分を見てみると、ヘアートニックのほうは育毛剤として最低限のものしか配合されていないことが分かります。一般的な育毛剤に使用される成分はほとんど見当たらない。つまり育毛剤らしい成分はパウダーに頼ることになります。
実際にヘアーパウダーを見てみると、ビタブリッドCヘアーの肝である酸化亜鉛とアスコルビン酸(ビタミンC)、複数のアミノ酸、ペプチド、アデノシン、オレアノール酸などが確認できる。
ヘアートニックとヘアーパウダー両方の成分は育毛剤としてはやや異質。ネットを中心に販売する育毛剤の流行りともいえる植物由来成分は少量のみである一方、女性が肌に使う美容液に含まれるような成分が多い印象。
まあ、何が入っていたって髪の毛が生えるわけではないが。
ビタミンCはハゲに効果なし
ビタブリッドCヘアーの全成分に対する感想が終わったところでいきなり核心に触れます。この育毛剤の目玉ともいえるビタミンCで髪の毛が生えることはありません。
もちろんそこにはいくつかの根拠があります。ひとつずつ紹介していきましょう。
AGAメカニズムにビタミンCが介入する余地はない
私たち男性の薄毛の9割以上は男性型脱毛症(AGA)と呼ばれるもの。生え際やM字部分から頭頂部にかけての髪の毛のみが抜け落ちる一方、側頭部や後頭部は影響を受けずフサフサのまま残るのが特徴のハゲ方。
世のハゲ男性を見渡してみると、ほぼ例外なくこれですよね。波平というか斉藤さんというか角野卓造というか…
このAGAの原因はジヒドロテストステロン(DHT)という強力な男性ホルモンにあります。そしてこのDHTを作り出すのが、代表的な男性ホルモンであるテストステロンと5αリダクターゼという酵素。
テストステロンが5αリダクターゼと結びつくことで生成されたDHTが毛根にある毛乳頭細胞内で男性ホルモン受容体と結合し髪の毛の成長を阻害する…これがAGAのメカニズムになります。
そして、DHT生成のカギを握る5αリダクターゼの分泌量や、男性ホルモン受容体の感受性は遺伝によって決定されるというのが分かってきています。ゆえに根本的な解決策が見つからないのが実情。
現在は5αリダクターゼを阻害するフィナステリドやデュタステリドがAGAに対する最も有力な治療法となっていますが、その発毛効果を持続させるためには薬を飲み続けなければならないという欠点も。
こんな状況にあってビタブリッドCヘアーに配合されるビタミンCに何ができるというのか。AGAのメカニズムを見てもビタミンが介入できる余地は一切ありません。
ちなみに、DHTを原因とするAGAは男性の薄毛のほとんどを占めていますが、女性の薄毛で最も多いのもDHTを原因とする女性男性型脱毛症(FAGA)とされています。つまりビタブリッドCヘアーは女性の薄毛にも効かない。
ビタミンCで髪が生えるという科学的根拠は皆無
ビタブリッドCヘアーの公式サイトを見てみると、ビタミンCによって髪の毛が生えそうな印象を与える文言が目立ちます。
しかしビタミンCを摂取または塗布して髪の毛が生えるという根拠は一切存在しません。そもそもビタミンCと発毛を関連付けた研究すらほとんど存在しないのが実情。
一部育毛サイトなどでは「ビタミンCの抗酸化作用が毛乳頭細胞や毛母細胞を老化させる活性酸素を除去することで髪の毛の成長を促進させる」といったことを書いている場合がありますが、何の根拠もありません。
また、ビタミンCには真皮のハリや弾力を支えるコラーゲンやエラスチンの生成をサポートする作用があることから、「頭皮を柔らかくするなど環境を整え育毛させる」なんて話も聞きます。しかしこれも一切根拠がない。
ビタミンCと発毛・育毛の関連性について研究が行われていないにもかかわらず、ビタミンCが持つ作用から勝手に効果を想像・捏造し、あたかも事実のように書き連ねているに過ぎないのです。
まあ、ビタブリッドCヘアーの公式サイトをよく見れば「頭皮環境をの改善に特化した商品」と書いてあり、発毛を謳った商品では決してないんですけどね。でも紛らわしいことは間違いない。
ビタブリッドCの特許は効果と関係がない
ビタブリッドCのビタミンC技術が特許を取得している点は大きな売りのひとつになっているようです。特許というのは革新的な技術を開発したものに一定期間独占権を与えるものであり、効果とは全く別問題。
ビタブリッドCヘアー以外にもポリピュアEXやプランテルEX(特許出願中)など、特許をひとつの売りにしている育毛剤が散見されますが、特許は効果を担保するものではなく発毛とは無関係なのです。
ビタブリッドCヘアーの特許はというと、亜鉛を使うことによって壊れやすく酸化しやすいビタミンCの安定化が実現できたこと、またその製造方法について。言うまでもなく効果とは関係ない。
そもそも特許というのは審査に際し効果を検証するようなことはしない。実現可能そうなアイデアだけでも特許が取得できることがそれを物語っていますよね。データを検証しないから捏造が多いという背景もあります。
つまり、ビタブリッドCヘアーが胸を張る特許など、私たちハゲにとってどうでもいい問題。そんなもんに心血注ぐくらいなら、客観的な臨床試験を行い発毛データを提示しろと声を大にして言いたい。
ビタミンCの浸透を鵜呑みにするな
ビタミンCがハゲに効果があるかはさておき、同成分が頭皮にしっかりと浸透するというのがビタブリッドCヘアーの生命線。だって、ビタミンCに特化しているはずなのに、それが浸透しなければ本末転倒ですからね。
ただ、一般的にビタミンCは浸透いないことで知られている。
浸透しないビタミンC
頭皮をはじめ皮膚というのは厚さ0.02mmの角質層によって保護されています。この角質層は幾重にも重なる非常に優秀なバリアで、これを突破し奥に浸透するには分子量500以下という条件をクリアする必要があります。
ビタミンC(アスコルビン酸)の分子量は176.12と角質層の中に浸透するには十分な小ささではあるものの、ビタミンCはほとんど浸透しないというのが常識。なぜならビタミンCは非常に壊れやすく浸透する前に酸化・破壊されてしまうから。
そのため、化粧品などに配合されるビタミンCの多くは加工を施した「ビタミンC誘導体」と呼ばれるもの。これにより安定性を高め、浸透した後に生体反応によってビタミンCが切り離され効果を発揮するという仕組み。
つまり、何らかの加工や浸透技術を用いない限り、ビタミンCは経皮吸収されないのです。
ビタブリッドCの浸透技術に疑問
一方、ビタブリッドCヘアーはビタミンC誘導体を用いていません。
前述した特許技術である亜鉛とビタミンCのハイブリッド構造から、皮膚から放出される汗や老廃物と取り込む代わりにイオンの力でビタミンCが放出され、皮膚の奥に浸透するとかしないとか。
この方式は「イオン交換方式」と呼ぶらしく、数多くの高級サロンで使用されている技術だとのこと。すごいぞビタブリッドCヘアー!
ただし浸透するのは角質層までだがな。
そもそも医薬部外品は角質層の下にまで浸透することを想定してはいません。厳格な臨床試験(治験)を行う医薬品と違い、効果や副作用、安全性が担保されていない医薬部外品の成分が真皮に到達すると何らかの有害事象が引き起こされるかもしれないといのもその理由のひとつ。
ビタブリッドCヘアーはじめ多くの育毛剤が「頭皮の奥に浸透」と謳っているが、実際は角質層を突破できないし、させるべきではないというのが実情なのです。
ビタミンCの分子量は角質層を通過できる条件を満たす大きさではありますが、壊れやすく不安定である点に変わりはなく、亜鉛とのハイブリッドビタミンCからイオン交換方式によってどこまで浸透させることができるのかは未知数。
もう少し直接的な表現を使うのであれば、この特許やイオン交換方式による浸透はメーカーが勝手に謳っていることであり、実際に浸透するという根拠やデータに乏しいと言わざるを得ない。
今時の育毛剤は、やれ「ナノ化」だの「〇〇理論」だのといって自社製品の浸透性をアピールするのだよ。しかしそれを実証するものは存在せず、またそういった育毛剤で髪の毛が生えることもない。
ビタミンCが浸透するかは分からない。仮に浸透したとしてもビタミンCで髪の毛が生えることはない。その状況でビタブリッドCヘアーのどこに期待しろと?
17型コラーゲンとビタミンC研究の嘘
ビタブリッドCヘアーのビタミンCに対するこだわりは強いらしく、研究によってなんと髪の毛の成長に欠かせない17型コラーゲンを増やす作用を確認したと鼻息が荒い。
■17型コラーゲンとは
2016年に東京医科歯科大学が、17型コラーゲンの減少により髪の毛が細く薄くなり、最終的には失われてしまうことを突き止めたと発表したことで注目を集める物質。
同時に17型コラーゲンの減少を抑制することで脱毛を抑えることが確認されており、今後同成分を用いた治療薬が開発される可能性も示唆。
ただ、発表から数年たった現在になってもその後の追加情報は出てきておらず、17型コラーゲンによる薄毛治療の先は見えない状況といえる。
東京医科歯科大学が17型コラーゲン減少による薄毛と、減少抑制による脱毛予防を発表したことでこれに関連した商品が次々と発売され、ビタブリッドCヘアーもそれに乗っかった形になるでしょうか。
エビデンスとは程遠いデータ
ビタブリッドCヘアーを販売するメーカー曰く、北海道薬科大学との共同研究により、ビタミンCを塗布することで17型コラーゲンをつくる遺伝子の発現が多く観察されたとあります。
その試験内容は、ビタミンCを体内で合成できないマウスを作り出し、ビタミンCを投与しない群、経口投与群、塗布群それぞれに5匹を割り当て経過を観察するというもの。その結果がこれ。
出典:ビタブリッドC
上段がビタミンC非投与群、中段がビタミンC投与群、そして下段が塗布群となっています。こう見るとビタミンC欠乏により毛が成長していないことが確認できます。
実際、この研究においてビタミンCが無くなるとマウスの育毛速度が遅くなる可能性が示唆されたとある。17型コラーゲンに関しては、ビタミンC投与群や塗布群に比べ非投与群は明らかに少なかったとも。
しかし、この研究には色々と穴があるんですよね。
マウスの試験による信頼性の問題
マウスやラットを用い安全性や効果を検証する試験というのは世界的に極めて一般的であり、臨床試験の前段階において実施されることが多くなっています。少なくとも培養毛包を用いたものよりかは信頼できるでしょう。
しかし、マウスを用いた試験において効果や安全性を確認した後、ヒトに対する臨床試験で思うような効果が出なかった例は枚挙にいとまがありません。
効果に対する科学的根拠というのは、比較対象としてプラセボ(偽薬)を用い数百人規模の人間に使用する試験で有意な差が出て初めて生まれるもの。少数のマウスに対する効果など根拠とは程遠い。
また、人間と違いマウスは本来アスコルビン酸(ビタミンC)を体内で合成できるという点においても、この試験の信頼性を低くしている気がする。
ビタミンCを体内で合成できるマウスに対し、人間と同じようにビタミンCを合成できないよう意図的な操作を行い試験したとしても作用が人間と同じとは限らない。
ビタミンCを作り出すことを前提としたマウスと、外部から摂取することが前提の人間ではビタミンCの欠乏や反応が大きく異なる可能性も考えられるからです。
とりあえず人間で試験してから出直してこい。
17型コラーゲンの後付け感が満載
ビタブリッドCヘアーを販売する企業と北海道薬科大学の共同研究の結論を見るに、ビタミンC投与によって17型コラーゲンが増え、結果としてマウスの毛が生えたという風に解釈できます。
しかしそれは本当なのだろうか?
東京医科歯科大学の発表によると、17型コラーゲンは毛の成長に欠かせない物質という見方ができる。これが減少することで毛が細くなり、最終的には失われてしまうと書いていますしね。
であるなら、ビタミンCによって17型コラーゲンが増えたわけではなく、過剰なビタミンC欠乏症を改善した結果毛が正常に生えるなかで17型コラーゲンが増えたという考え方ができる。
そもそもビタミンCを合成させず一切の摂取を行わないというありえない状況において毛の成長が著しく遅れれば、そりゃ17型コラーゲンも減少するだろうよ。まともな状態じゃないのだから。
異常な状態と正常な状態を比べて「17型コラーゲンが増えたでしょ」というのは明らかにおかしいと感じる。
食事を与えずガリガリになった状態にしてからジャンクフードを与え、ある程度太った段階で「ほら、ジャンクフードのお陰で肌のハリツヤが良くなったでしょ」と言われて納得できる?そんなレベルの話。
ビタブリッドCヘアーと北海道薬科大学の共同研究が行われたのは2017年。東京医科歯科大学が17型コラーゲンの研究を発表したのが2016年。
「ああ、なるほどな」という感じ。
人間のビタミンC摂取量は概ね足りている
上記マウスの試験内容を見ると、育毛や発毛に対しビタミンCが重要であるという印象を受けます。ビタミンCを摂取していない群の毛の成長は明らかに遅くなっていますからね。
しかしこれはあくまでも極端な例。なぜなら、成人のビタミンC推奨摂取量100mgに対し、実際の平均摂取量も100mg前後で推移しているから。つまりよほど偏った食事をしていない限りビタミンCは足りているのです。
いわゆるビタミンC欠乏症というのは1日10mg以下を数週間にわたって続ける必要があるなど、極めて稀な疾患。
ビタブリッドCヘアーの研究のように、ビタミンCを一切投与しない群と十分に投与した群のマウスを比べて「ほーらビタミンCはこんなに重要なんだよ」というのは明らかな印象操作。
ちなみにビタミンC欠乏症(壊血病)で脱毛を引き起こすなんて事実はありません。上記マウスを見ても、ビタミンCを投与されていない群でも剃っていない部分以外は毛がしっかりと生えていることが確認できるはず。
ビタミンCを一切摂取しないというありえない状況においても、「毛の成長が遅くなる可能性がある」程度のものなのです。
ビタミンC以外の有効な成分は?
商品名が示すとおりビタミンCと亜鉛がもたらすハイブリッドビタミンCがビタブリッドCの生命線。ここにすべてをかけていると言っても過言ではないでしょう。
ただ、ビタミンCと酸化亜鉛以外も複数の成分が配合されているのも事実。とはいえその中で目を引く成分がほとんど存在しません。ま、発毛効果が一切ない育毛剤なのだから当たり前だけど。
そんな中、1つだけ注目したい成分が存在します。それがアデノシン。
育毛剤に使われる成分は数あれど、フィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルの3つの発毛成分以外に一定の発毛効果が認められた成分というのはアデノシンのみという事実があります。
これは2017年に日本皮膚科学会が策定した男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン。つまりはAGAやFAGAに効果的な治療法のガイドラインということですね。
この中でアデノシンは、3件の試験により細い毛が減少する一方で太い毛が有意に増えることが確認されたとして、3つの発毛成分以外では唯一の「B:行うよう勧める」という高評価を得ています。
ただし、それぞれの試験は被験者が38~101名と決して多くはなく、エビデンス(科学的根拠)と呼ぶにはいささか心もとない。
また、これらの試験では太毛が増えたことが確認されているものの、一方で本数には変化がなかったと明記してあります。ゆえに、新たな髪の毛を生やす「発毛効果」というよりは、今ある毛の成長を促す「育毛効果」と言ったほうが適切かと。
アデノシンの含有量が分からない問題点も
ビタブリッドCヘアーには確かにアデノシンが配合されていますが、その含有量が全く分からないのも大きな問題。
前述の3件の試験においてはアデノシンの濃度がしっかりと記されているのに対し、ビタブリッドCヘアーのアデノシンは濃度が明記されていません。…それを言ったら虎の子のビタミンCですら不明ですけどね。
基本的に含有量が分からない成分というのは信用すべきでない。高濃度であるなら宣伝としてそれを前面に押し出すはずで、それをしないということはカスみたいな量しか入っていないと考えるのが自然。
医薬品の主成分には必ず成分含有量が記載されていますよね。そうでなければ効果や副作用が計算できないから。
それをしないビタブリッドCヘアーのアデノシン。一定の発毛効果が認めらえているとはいえ、どの程度入っているか分からない以上期待すべきではない。
有名人によるビタブリッドC推し騙されるな
ビタブリッドCヘアーといえば東国原英夫氏をはじめ多くの有名人を広告塔として起用しているのが特徴。
公式サイトを見てみると、JOYさんや布施博さん、長州力さん、辰巳琢朗さん、DaiGoさんなどなど、名だたる著名人がビタブリッドCヘアーを手に写真に写っている。
…だから何?
テレビショッピングなどを見ていても感じるが、無駄に有名人を使うよね。「有名人が使っている=高い効果がある」と感じる人が一定数存在するのだろうか?
「金を持っていて様々な選択肢が用意されている有名人が使っているから、それは優れた商品」という考え?
言っておくが、有名人は“ただ手に持って写真に写っているだけ”であり、使っている保証などないからな。「私は何年もこの商品を使っていますが、最高です」なんて言っているのはほとんど嘘と思っていい。
そもそも東国原さん、ハゲ治ってないよ。
東国原氏の画像を検証してみた
ビタブリッドCヘアーの広告塔である東国原英夫氏はツイッターにおいてビタブリッドCヘアーを使用した自身の頭部の状況を撮影しこう述べています。
「自分では実感なかったけど、写真でみると生えた」、と。
その際に用いられた写真がこちらです。
出典:twitter
こう見ると右側は確かに髪の毛が増えているようにも見えます。しかし右側は明らかに照明が暗いですよね。暗ければ髪の毛が多く見えるのは当然。
というわけで、真実を明らかにするために画像を明るく加工してみました。そうすると…
髪の毛は多少伸びているが、髪の毛は決して増えていないことが分かる。ついでに右図のつむじの位置を見るに、左に比べやや下から撮影しており、意図的に薄毛部分を目立たなくしている印象すらある。
こうやって明るくしてみると、生えているどころかむしろ薄くなっている気がするのは私の思い過ごしでしょうか。だって髪の毛はやや伸びているのに薄毛部分はむしろ薄く見えるのですから。
これを見てもビタブリッドCヘアーの効果や東国原氏の言い分を信用する気になれますか?
モンドセレクション最高金賞に意味なし
ビタブリッドCヘアーはモンドセレクションで最高金賞を受賞しているらしい。
「あのモンドセレクションの最高金賞!すごい!」と感じる人は、一度モンドセレクションがどういったものか調べてみるといい。なんの権威もない金で買える賞だということが分かるでしょう。
ベルギーの運営団体に約15万円払って審査を依頼すれば9割が何らかの賞を受賞し、うち6割は金賞か最高金賞というザル賞。しかもモンドセレクションに応募する商品の約7割は日本企業のもの。
モンドセレクションを主宰する団体は同賞に対する過剰な神話が存在する日本のお陰で潤っていると言っても過言ではない。アホらしい。
そもそもモンドセレクションは効果を検証するものではない。記載されている内容が事実かどうか、使用感はどうかなど、上っ面だけを審査するもの。特許同様ビタブリッドCヘアーの効果を認めるものではない。ビタブリッドCヘアーのAGAへの効果?絶対に調べていないから安心しろ。
というか日本のモンドセレクション神話、どうにかしろよ。日本人ってこういう「権威がありそうなもの」に弱い国民性なのかねぇ。
ビタブリッドCヘアーはAGAに効かない
AGAとビタミンCを関連付けたデータや研究など一切存在しないのに、やたらとこれをプッシュし薄毛に効きそうな雰囲気を作り出しているビタブリッドCヘアー。いうまでもなく発毛効果なし。AGAには100%効かない。
よく考えてみてください。もしビタミンCが不足していることで薄毛になっているのだとしたら、全身の毛が薄くなっているはずですよね。しかし実際は違うはず。頭頂部や前頭部だけが薄くなっているのではないですか?
そもそもビタミンCが不足したってハゲないし、ビタミンCで治ることもない。
17型コラーゲンの話にしたって、2016年に東京医科歯科大学が研究を発表し注目を集めたことから、後付けで強引にこじつけた感が満載。いわゆる便乗。
実際、2017年には東京医科歯科大学の研究チームが「17型コラーゲンを謳う商品に気を付けろ」と注意喚起しているほどですしね。
最後に、勘違いしてほしくない点として、ビタブリッドCヘアーの公式サイトや関連サイトでは一切「発毛」「毛が生える」とは謳っていないこと。もちろん「AGAに効く」とも書いていない。それをすると躍起法違反になるから当たり前だが。
ただ、それっぽい雰囲気を醸し出し、消費者に勘違いさせるよう誘導しているのは確か。それはビタブリッドCヘアーに限らずどの育毛剤にもいえることですけどね。
私たち消費者はそういったミスリードを誘う文言に騙されず、正確な情報を読み取る知識が必要になります。強いコンプレックスに悩む人間の足元を見る育毛関連商品であればなおさらです。
今現在、髪の毛が生える、AGAが改善すると認められているものはフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルの3つの発毛剤以外に存在しません。
効果がない育毛剤に寄り道して薄毛を進行させ手遅れになる前に、適切な発毛剤を使用するようにしてください。
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