Deeper3D 高いだけで発毛効果なし
育毛剤の成分としてずいぶん知名度が上がってきたキャピキシル5%に加え、リニューアル時に一部で「ミノキシジルの2倍の効果がある」といわれるリデンシルを5%配合したDeeper3Dですが、当然ながら発毛することはありません。
とはいえ、発毛はしないものの成分的にはかなり頑張っている印象があるのも事実。ですが価格は消費者に寄り添うことなく異様に高い。
1万円は下らないDeeper3Dに使われる最新の育毛成分をもってしても髪が生えないその理由とは?
Deeper3Dに配合されるキャピキシルの効果
Deeper3Dに5%配合される、今をときめくキャピキシルは「ミノキシジルの3倍の育毛効果」として一気に知名度を上げたという経緯があります。
「ミノキシジルの3倍」の根拠となっているのが開発元であるカナダのLUCAS MEYER COSMETICS社が発表している右のデータで、未処理の髪の毛にそれぞれミノキシジルとキャピキシルを使って毛の成長を調査したもの。
これだけ見ると確かにミノキシジルの3倍の効果が出ているように見えるものの、これは毛髪の組織を培養して行った実験であって人間の頭皮に塗って得たデータではありません。
実際に頭皮に使った臨床データでは右図のような結果になっています。
ここではミノキシジルではなくプラセボ(偽薬)との比較になっており、プラセボが4ヶ月で髪の密度が2%減少したのに対し、キャピキシルでは13%増えたというもの。
4ヶ月で13%…これでミノキシジルの3倍だと?
そもそも、ミノキシジルをはじめとした発毛成分が本領を発揮するのは4ヶ月目以降。効果の有無を判断するには、初期脱毛からヘアサイクルの正常化を経て健康な髪の毛が毛穴から顔を出し始めるまで…約6ヶ月必要になるというのは常識です。
4ヵ月で何が分かると?
LUCAS MEYER COSMETICS社が出しているデータはあくまでも開発メーカーが独自に試験したもの。外部機関によるものではないため信憑性という面で疑問符が付きます。
Deeper3Dをはじめキャピキシルを使っている育毛剤のすべては大規模かつ客観性のある臨床試験など厳密な検証を行わず、詳細なデータを一切開示していないことを考えると…まあ察しろということか。
ちなみにキャピキシルは厚生労働省に育毛成分として認可されてない化粧品成分。
リデンシルはミノキシジルの2倍効果…は嘘
Deeper3Dは2016年のリニューアルで新たに「リデンシル」という成分を配合しており、その濃度は5%と他のリデンシル配合育毛剤と比較しても高濃度となっています。
このリデンシル、スイスのInduchem(インデュケム)社が開発した成分で、育毛サイトなどでは「ミノキシジルの2倍の効果」などと謳われている。キャピキシルの3倍といいミノキシジルとの比較がうざすぎることこの上ない。
とりあえずミノキシジルと比べたうえで効果的に優れるというデータを開示すればアピールできるという安易な考えが見え隠れ。
で、このミノキシジルの2倍の効果とされる根拠らしきものが下図のデータ。
出典:REDENHAIR
これを見るに、未処理の状態からそれぞれミノキシジルとリデンシルを使うと2倍近い効果が出ているように感じるものの、これも上で書いたキャピキシル同様培養した細胞を用いたもので人間に使ったわけではない。
流行ってんのかこのパターン?
で、実際に人間で行った臨床試験はというと…
出典:REDENHAIR
このデータではプラセボ(偽薬)との比較になっていて、リデンシルは3ヶ月で9%髪が成長したと誇らしげに書いている。しかし数字が微妙なうえにプラセボでも8%改善している謎データ。さっきも似たようなこと書いた気がするな。
流行ってんのかこのパターン?
言うまでもなくこれも開発メーカーが出しているもので、Deeper3Dやバイタルウェーブなどリデンシルを配合している日本の育毛剤(化粧品)では詳細なデータを一切出していないのはキャピキシルと一緒。
そもそもキャピキシルもリデンシルもヒトに対する試験ではミノキシジルとの比較をしないのはなぜなのだろう?
ある程度の人を集める必要がある臨床試験はコストがかかるからミノキシジル群を省いているのか、それともミノキシジルと比較したら都合が悪いことがあるのか…
あるいは、ミノキシジルも含めて試験したらミノキシジルの方が優秀な成績を収めたからあえて除外している…なんて可能性すら疑ってしまう。
ちなみにリデンシルはキャピキシルと違い厚生労働省によって「医薬部外品の育毛剤に配合してもよい」と規定されている成分です。
だからどうした?…という話ではあるが。
■ミノキシジルの2倍の発毛効果は絶対にない
リニューアルで新配合のプロキャピルも効果なし
Deeper3Dは2019年8月のリニューアルにおいて、リデンシルに続きプロキャピルも配合しています。「なんだそりゃ?」という人も多いと思いますので、詳細を知りたい人は下記記事を参照してください。
Deeper3Dに配合されるプロキャピルもキャピキシルやリデンシル同様複数の成分で構成されており、これらの相乗効果により髪の毛を成長させると開発メーカーであるフランスのSederma社(セダーマ社)は仰っております。
そして、お決まりの社内試験により確認された効果はなんとミノキシジルと同等!!…あれ、なんか控えめだな。
プロキャピルの主要成分のひとつである「オレアノール酸」には男性型脱毛症(AGA)の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)を作り出す1型と2型の5αリダクターゼを阻害する作用があるとされます。
本当にⅠ型2型双方の阻害効果があるなら、日本において2015年に発毛剤として承認されたデュタステリドと同じということになりますが、それを裏付けるだけの明確な根拠には一切触れていません。
また、プロキャピル構成成分のひとつ「ビオチノイルトリペプチド-1」を培養毛包に添加した試験ではミノキシジルと同等の効果があったとされます。
ただしこれもキャピキシルやリデンシル同様培養細胞を用いた試験。
キャピキシルやリデンシルが培養細胞の段階でミノキシジルの数倍効果があったにもかかわらず、実際にヒトが使用した場合たいした効果が出ないことを考えると、プロキャピルの効果には疑問を抱かざるを得ません。
ちなみにこのプロキャピル、最大16%の高濃度ミノキシジルが特徴的なフォリックスシリーズにも配合されていますが、発毛効果に科学的根拠がないことからあくまでもミノキシジルの補助的なポジション…というか気休め。
そもそも、Deeper3Dはキャピキシルもリデンシルも“5%”と含有量を明記しているのに、なんで新たに配合したプロキャピルについては含有量を公表してないんだろう?
結局、Deeper3Dのメーカーとしてもプロキャピルには大した期待をしていないのかもしれない。もしくはリニューアルが相次ぐ他の育毛剤に埋もれないために行った苦し紛れの成分追加か。
Deeper3Dの10種類の成長因子の効果は?
Deeper3Dは育毛剤っぽい化粧品としては最多となる10種の成長因子を配合しており、100万円以上かかることもザラであるハーグ療法と同じ品質のものを使用していると公言している。
…というか、2019年8月のリニューアルまで成長因子は8種だったため、リニューアルで2種類追加したらしい。ということで、何が追加されたのちょっと調べてみた。
- ヒトオリゴペプチド‐5
- 合成遺伝子組換ヒトポリペプチド‐31
- ヒトオリゴペプチド‐13
- プラセンタエキス
- 加水分解アナツバメ巣エキス
- アセチルデカペプチド‐3
- 水溶性プロテオグリカン
- オクタペプチド‐2
- トリペプチド-1銅(新)
- ビオチノイルトリペプチド-1(新)
これがDeeper3Dに従来から配合されている8種と、リニューアルで追加された2種となっています。
トリペプチド-1銅か…これもプロキャピル同様フォリックスシリーズに使用されている成分。後追い感がハンパない。とはいえフォリックスはガチの発毛剤、Deeper3Dはただの気休め養毛剤なので土俵は全く違うが。
そもそもこの成長因子を頭皮に使う方法、頭皮に注入するハーグ療法ですら批判的・否定的な声が多いのに、頭皮に塗布する育毛剤で発毛効果が出ることは考えられません。
医師が施術するハーグ療法ですら日本皮膚科学会が策定している男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインにおいて推奨されていませんしね。
キャピキシルを配合する育毛剤っぽい化粧品の多くは何かしらの成長因子を配合していることを売りにしています。しかし明確なデータを提示しているものは皆無。少なくとも開発メーカーがデータを開示しているキャピキシルやリデンシル以上に胡散臭い。
10種類の成長因子の中には馬プラセンタも。これはミノキシジルとデュタステリドを配合した発毛剤5HP・7HPにも配合されています。
ただしその内容には雲泥の差が。5HP/7HPは内容量の1.67%…1000mgという高濃度で配合され含有量も明記されているのに対し、Deeper3Dはどれだけ配合されているのか全く分からない。
常識的に考えれば含有量が明記してあるキャピキシルとリデンシル以外は極めて少量しか配合されていないはず。高濃度だったらそれを宣伝効果にするために含有量を表示するだろうしね。
そもそもキャピキシル系の育毛剤は化粧品であるため発毛効果など一切ないし謳えもしない。消費者のことを考えるなら宣伝ばかりに金をかけてないで多少は臨床試験しろよと言いたい。
■当然発毛根拠も一切ない
Deeper3Dは化粧品
Deeper3Dはいわゆる「育毛剤」と思っている人も多いのではないでしょうか。しかしそれは大きな勘違いです。
育毛剤というのは厚生労働省が承認している有効成分を規定量配合したものを指します。センブリエキスやグリチルリチン酸、ニンジンエキスなどが有効成分にあたり、それをクリアしたものが“医薬部外品の育毛剤”を名乗ることができます。
一方、有効成分を規定量配合していなかったり、医薬部外品に使用することが認められていない成分を使用していたりすると“育毛剤”と名乗ることはできず、カテゴリ的には“化粧品の養毛剤”ということに。
キャピキシルは医薬部外品に配合することが認められていないため、キャピキシルを配合している時点ですべて化粧品なのです。もちろんDeeper3Dも化粧品。
医薬部外品の育毛剤ですら薄毛になってしまった部分から新たな髪が生える効果はありません。育毛剤に期待できる効果は、今ある髪の毛を健やかに保つ、成長を促進させる程度のもの。
一方の化粧品はというと…頭皮を健やかに保つ、髪の毛にハリやコシを出すくらいしか期待できない。Deeper3Dはそんな化粧品にカテゴライズされているのです。
これらはあくまでも宣伝や表示的な規制であって、育毛剤や化粧品だからといって発毛効果がないと言い切れるものではありません。
しかし、これらに配合されている成分は発毛に対する科学的根拠はほとんどなく、また発毛剤として認めている国も存在しないという現実が。成分の効果は営利目的のメーカーが都合のいいように謳っているに過ぎないのです。
世界的に発毛効果が認められているフィナステリドやミノキシジルといった成分が存在し、それを使用した発毛剤が存在するにもかかわらず、キャピキシルやリデンシルといった胡散臭い成分を配合した化粧品を使う理由はどこにあるのか?
しかも価格は発毛剤よりはるかに高価ときている。
「高いものは良いものだ」と勘違いしている人間を惹きつけるためにあえて高価にしているのか?馬鹿らしい話である。
Deeper3Dに副作用はある?
Deeper3Dに副作用はあるのか?まあないでしょう。
常識的に考えれば発毛する成分は一切入っていない、ハゲに新たな髪を生やす効果はないんだから副作用なんてあるはずがない。
ただ、発毛成分でない、育毛成分ですらないものがほとんどを占める化粧品のDeeper3Dは、当然ながら臨床試験で副作用の有無を確認していない。ゆえに副作用があるかどうかは厳密には“分からない”というのが実情。
これは副作用の有無を調べる必要すらない程度の成分しか配合していないことも意味している。まあつまりそういうこと。
もしキャピキシルやリデンシルにミノキシジルの〇倍の発毛効果があるのであれば一定の副作用リスクが存在すると見るのが自然。それだけ強い効果があるわけですから、薬学的に副作用がないほうがおかしい。
にもかかわらず副作用に言及していないし、言及するまでもないDeeper3Dの効果は推して知るべしといったところか。
ただ、こういったローションにはほぼエタノールが使用されているため、これにアレルギー反応を示す人であれば頭皮になんらかの副作用が出る可能性があります。
Deeper3Dの驚きの価格
では次にDeeper3Dの価格を見てみます。
商品名 | 内容量 | 価格 |
---|---|---|
単品購入 | 60ml | 14,630円 |
定期コース | 60ml | 14,630円 |
たけ~。
しかも定期コースも単品購入も価格は一緒。定期コースでは回を追うごとに徐々に安くなるシステムではあるものの、最高に割引されても10,780円。1年以上続けても1万円を切ることはない。
一般的な育毛剤も定価で12,000円とか15,000円とかザラ。しかしそれはあくまでもお得感を演出するもので、定期コースになると半額とかになることも少なくないんですけどね。Deeper3Dは強気だね。化粧品の分際で。
このDeeper3D、実は2019年8月のリニューアルに際し値上げしている。元々は定価14,850円、実質14,100円でしたが、現在は定価15,400円、実質14,630円。割引も少なくプレミアム感を演出している印象。
これを「正しい定価を表示している」と受け取るか「ぼったくり」と受け取るかはその人次第だと思いますが、個人的に育毛剤1本で15,000円とか信じられない。
ああ違った、化粧品だった。
医療機関で処方される発毛剤プロペシアやザガーロだってそこまで高くはない。保険適用外とはいえプロペシアで約7,000円、ザガーロで9,000~10,000円くらい。
クソ高いプロペシアとリアップX5プラスの組み合わせですら15,000円。つまりDeeper3Dと同じ価格ということに。
ちなみに、個人輸入で海外の発毛剤を購入すると、ザガーロジェネリックとミノキシジルタブレット、ミノキシジル16%の最強外用薬フォリックスFR16をすべて使用しても1ヶ月あたり8,000円もしない。
プロペシアジェネリックと、リアップX5プラスと同じ成分であるミノキシジル5%のリグロースラボM5の組み合わせなら1ヵ月2,500円程度だ。一方Deeper3Dは単品で15,000円弱…
発毛効果も育毛効果も担保されない化粧品に15,000円…そうですか。
出費と発毛効果なしを覚悟するならDeeper3Dを
一応誤解なきように書いておくとキャピキシル5%に加えリデンシル5%、成長因子10種という点はかなり頑張っているなと感じています。スカルプケアローションというカテゴリの中では相対的に…という前提ですけどね。
現状ではリデンシルの濃度も成長因子の数も業界最多だしね。
ただDeeper3Dは育毛剤と違い厚生労働省が認可する有効成分を規定量配合していないため化粧品扱い。
医薬部外品の育毛剤であれば認められた有効成分を決められた量配合しているため最低限の効果…といっても髪がちょっと太くなったり抜け毛が少し減る程度は担保されているのですが、化粧品はそれこそ玉石混交。
発毛効果を実証できない成分ばかりのDeeper3Dに15,000円出すというのは私から見れば信じられないし、そこまで高い金を出す覚悟があるなら素直にフィナorデュタ+ミノタブ+フォリックスを試せよと言いたい。
すべて発毛剤だから副作用が出るリスクはあるが、これでまったく効果が出ない人間はほとんどおらず、ある程度の薄毛レベルならフサフサに戻る可能性すらある。しかも3つすべて使っても8千円にも満たない。
副作用は死んでも嫌だ。副作用がないのであれば発毛効果がなかろうが高かろうが構わないというのならDeeper3Dもいいんじゃない?というレベル。
より発毛効果を求めるならフォリックスFR16を
現在、頭皮に直接塗布する外用剤の中で最も効果が高いのがフォリックスFR16。
リアップX5プラスの5倍超にあたる濃度16%のミノキシジルを基本とし、2017年に日本皮膚科学会から一定の発毛効果が認められたアデノシン、プロペシアに代表されるフィナステリドも配合。
また、Deeper3Dが新たに配合したプロキャピルやトリペプチド-1銅も以前から配合しているなど一歩…どころか百歩先を行く最強発毛剤となっています。
様々な育毛剤や発毛剤を試して結果が出ず悩んでいる人は、諦める前に一度フォリックスFR16を使うべき。これを使ってダメなら…外用剤ではもはや限界。内服薬に力を入れるべき状況と結論付けられるでしょう。
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