プロキャピルに発毛効果はない
プロキャピルというフランス発の育毛成分が一部で注目を集めている。
この成分はフランスの化粧品メーカーSederma社(セダーマ社)が開発した成分で、化粧品や育毛剤に使用されることのある成分。
売りは「ミノキシジルと同等の育毛効果!」。…って、なんか聞き覚えのあるフレーズですよね。
キャピキシルとかリデンシルとかピディオキシジルとか、ミノキシジルと比較している成分は数あれど、実際に使用して同成分以上の効果はもちろん、満足な発毛効果を得られたなんて話は聞いたことがない。
そんな胡散臭いプロキャピル。日本の育毛剤などでも見かけるようになっており気になっている人もいるでしょうから、「効果ねぇ…」と悲しむ人が少しでも減るように、この成分の真実を余すことなく紹介していきしょう。
プロキャピルはどういった成分?
プロキャピルは前述のようにフランスの化粧品メーカーが製造した成分で、キャピキシルやリデンシル同様複数の成分で構成されています。
- BG
- 水
- PPG-26ブテス-26
- PEG-40水添ヒマシ油
- アピゲニン
- オレアノール酸
- ビオチノイルトリペプチド-1
これだけ見てもよく分からないが、肝になるのは「アピゲニン」「オレアノール酸」「ビオチノイルトリペプチド-1」の3つで、培養した毛包細胞での実験や臨床試験的なことまで行っているあたり、“言ったもん勝ち”日本の成分よりかはましな印象を受けます。
でも、この「外国の化粧品メーカー」「培養細胞を用いた内部試験」「人の頭皮を用いた内部試験」「ミノキシジルと比較」というあたり、高いだけで発毛しないキャピキシルやリデンシルとまったく同じ展開なんですよね。
正直そういうのは食傷気味なんですが、プロキャピルは一応「注目の育毛成分」ということですから、取り上げないわけにはいかない。
プロキャピルの発毛根拠は?
育毛成分ですらないただの化粧品成分であるプロキャピルの「発毛効果」を検証するなど愚の骨頂ながら、メーカーがそういったデータを出している以上検証の余地はあります。
プロキャピルにはどういった作用やメカニズムがあるというのか?
デュタステリドと同様の効果?
プロキャピルのカギとなる成分は3つあると書きましたが、そのうち「オレアノール酸」には1型、2型の5αリダクターゼを阻害する効果があるという。
5αリダクターゼ阻害効果といえばプロペシアやフィンペシアに代表されるフィナステリドが有名。しかしフィナステリドには2型への阻害効果しかなく、1型も阻害するとなるとザガーロの主成分「デュタステリド」と同じということになります。
薄毛の原因のほとんどを占める男性型脱毛症(AGA)はテストステロンと5αリダクターゼが結合して生まれるジヒドロテストステロン(DHT)が原因で引き起こされます。
このDHT生成の関わる5αリダクターゼは2型が60~70%、1型が30~40%影響するとされていますので、2型の阻害効果しかないフィナステリドに比べデュタステリドは1.5~1.6倍の効果が期待できる。
そして、プロキャピルに含まれるオレアノール酸はデュタステリドと同じく1型2型の5αリダクターゼを阻害するとのこと。
ただし、5αリダクターゼを阻害したという客観的なデータは存在しないがな。だったらデュタステリドを配合した外用薬である5HP・7HPを塗ったほうがよっぽど信頼できないか?
毛包の血行を促進
主要成分のひとつ「アピゲニン」には毛包の血行を改善する効果があるらしく、「頭皮に十分な栄養や酸素が行き渡るねー」というお決まりの展開か?
だから、血行促進で髪の毛が生えれば苦労しないと何度も…
ミノキシジルと同等の育毛効果?
「ビオチノイルトリペプチド-1」を配合したプロキャピルには驚くべき効果があるらしく、培養毛包細胞を用い同じ濃度のミノキシジルと比較した試験では同等の効果が出たとされています。
プロキャピルのメカニズムを解説したサイトが言葉足らずでいまいちよく分からないのですが、培養した毛包細胞に14日間プロキャピル1%とミノキシジル1%を使用した場合、共に58%の成長促進作用が見られ、プロキャピル2.5%のものだと121%になるとのこと。
上の図はプロキャピルの方が成長が早いことを表しているのかな?
でも、培養細胞でミノキシジルの2倍の効果が出たとするリデンシルや、3倍のキャピキシルが存在するから、それに比べるとパンチ力に劣るのは間違いない。
そもそも、そのキャピキシルやリデンシルですら都合の良い自社データしか存在せず、使用した人からは「効かない」との声が相次ぎ、医療関係者からは鼻で笑われるレベルの成分。
ああ、そういえばプロキャピルと全く同じキャッチフレーズのM-034というアレな成分があったね。あれはまともなデータすら存在しない面白成分だが。
■オレアノール酸を使うくらいならデュタステリドを
プロキャピルに副作用はある?
プロキャピルは自然由来成分で副作用はない…とされている。
しかしこれは製造メーカーやプロキャピル製品を販売している業者のの言い分。
日本ではあまり知られていない成分であるため、海外の情報を探そうと英語で「side effect(副作用)」「procapil(プロキャピル)」と調べると、「マウスに摂取させたケースではプロキャピルの主要成分オレアノール酸によって肝臓の損傷が引き起こされた」という情報も。
同時に、アピゲニンでは低濃度で顕著な細胞毒性を示したとも。
まあ、その情報自体信憑性には疑問符が付きますし、仮に多少の副作用があったとしても外用薬で使用している分には目に見えた副作用が出ることはないでしょう。
、ミノキシジルですら外用薬では頭皮のかゆみや発疹程度の副作用しか出ないのですから、プロキャピルで皮膚以外に何らかの症状が出ることはまず考えられない。
プロキャピルに対する個人的見解
ここまでプロキャピルについて色々と書いてきましたが、ぶっちゃけどの程度の効果が期待できるのでしょうか?
日本の育毛サイトはもちろん、英語で書かれているサイトの多くはプロキャピルの事を「副作用がなく高い発毛効果が望める成分」と紹介しています。
開発メーカーが出しているデータを含めそれら鵜呑みにするなら、ミノキシジルと同レベルの効果が期待できるのでしょう。
しかし冷静になって考えてみましょう。
日本では何の発毛効果も客観的なデータもないM-034やキャピキシル、ピディオキシジルなどが多くのサイトで絶賛されていますよね。しかしこれらは育毛剤を売りたい人間たちが書いた提灯記事。
プロキャピルのことを絶賛している海外のサイトを見ると、同成分を配合した育毛剤やシャンプーなどのネット販売を行うサイトや業者などが占めており、しかも書いてある内容は判を押したように同じ事ばかり。
上でも書いたように「1型2型5αリダクターゼの阻害効果」「ミノキシジルと同等」といった文言は製造メーカーの言い分や内部データであり、客観性は乏しいと言わざるを得ません。
ミノキシジルと比較し必死にアピールしているキャピキシルやリデンシル、M-034といった成分が軒並み発毛しないこと、高い効果があるというわりに日本の厚生労働省に当たる米の食品医薬品局(FDA)など、公的機関から発毛効果を認められていないことを考えればおのずと答えは出てくる。
まあ、抜け毛を予防したり今現在ある髪の毛の成長を促進させる程度の効果ならあるかもしれませんが、私たちハゲが望んでいる効果はそれじゃない。
この手の成分、もう飽きた。
■キャピキシルやリデンシルと同様に発毛効果は期待できない
プロキャピルに発毛効果は期待するな
プロキャピルは海外ではある程度使われているのかもしれませんが、日本において知名度は低く、Amazonや一部メーカーなどで若干胡散臭い商品が売られている程度。
ただ、悲しくなるくらい発毛根拠に乏しい日本の育毛成分に限界が来た場合はキャピキシルなどと同様に使われだす可能性はあります。
また、ミノキシジル濃度最大16%を誇り最強発毛剤として名高いポラリスに代わって発売されたフォリックスシリーズにはこのプロキャピルが補助的な成分として配合されています。
高濃度ミノキシジルやフィナステリド、アデノシンの次いで紹介されるなど「おまけ」的な扱いなので、「多少効果があればラッキー」くらいのスタンスで十分。
上でも書いたように、1型2型5αリダクターゼを阻害するとされるオレアノール酸を含んだプロキャピルを塗るくらいなら、本気の発毛成分であるデュタステリドを配合した5HP/7HPを使っとけと言いたい。
…まあ、デュタステリドといえど頭皮に塗布した場合の効果に関しては未知数と言わざるを得ないのですが、どこの馬の骨とも分からない成分よりは100倍マシかと。
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