IGF-1で発毛せず がんのリスクも

IGF-1で髪の毛は生えない

捏造が発覚したイソフラボン+カプサイシンのIGF-1理論をはじめ、育毛業界では成長因子であるIGF-1を育毛に結び付けようと必死。しかしこの成分は発毛効果を期待できないばかりか、がんのリスクを高める可能性があるって知ってましたか?

近年育毛関連商品でやたらと目にするIGF-1(インスリン様成長因子)は、細胞の増殖や分裂を促進させるとあって育毛業界でも引っ張りだこの人気成分。胡散臭さを醸し出すハーグ療法にも使われていますよね。

細胞分裂や増殖を促す成長紳因子と聞くと、「毛母細胞や毛乳頭細胞を増やしてくれそう」「育毛や発毛に効果的」といった印象を受ける人も多いことでしょう。

しかしこのホルモン、男性の薄毛のほとんどを占める男性型脱毛症(AGA)改善に対する科学的根拠がないばかりか、“がん”のリスクを高めるとされています。当然育毛関連業界はそのことに一切触れていませんけどね。

    目次
  1. IGF-1(インスリン様成長因子)とは?
  2. IGF-1に発毛効果は期待するな
  3. IGF-1を増やすとがんになる可能性も
    1. マウスによる検証では明らかな違いも
    2. 現状では乳がんと前立腺がんが議論の対象
  4. IGF-1は増やせばいいってものではない
  5. IGF-1で髪が生える根拠はない
    1. 頭皮に直接注入する方法ですら否定されている
    2. 育毛剤のIGF-1は一切効果なし
  6. IGF-1では髪は生えない

IGF-1(インスリン様成長因子)とは?

IGF-1(インスリン様成長因子)とは?

IGF-1(インスリン様成長因子)とは、膵臓で作られる「インスリン」に分子構造が酷似したホルモンを指します。

育毛業界では「成長ホルモン」という呼ばれ方をすることも多いIGF-1ですが、実際は“成長ホルモンの作用を仲介する分子”であり、微妙にニュアンスが異なる。

また、「インスリン」という名が付いていることから、血糖値を下げる作用があると思われがちであるものの、作用はインスリンとは異なり、体の成長や発育に関わるホルモンとなっています。

分子構造が似ているから「インスリン」という名が付いているだけ。

IGF-1に発毛効果は期待するな

IGF-1に発毛効果はない

IGF-1は成長ホルモンによって肝臓が刺激を受け分泌されるペプチドの一種で、皮膚や骨はもちろん、神経や臓器など様々な部位の成長を促進させます。

そのことから発毛にも効果を発揮するのではないかという話は以前から存在し、最も代表的なものに元名古屋市立大学医学研究科の教授であった岡嶋研二氏のイソフラボンとカプサイシンによるIGF-1理論があります。

これはイソフラボンとカプサイシンを同時に摂取することにより、IGF-1の分泌が促され育毛に繋がるという論文。しかしこの教授は後に捏造が発覚した19本の論文の責任著者だったことから停職6ヶ月の処分を受け退職しています。

捏造が発覚した論文にIGF-1に関するものが含まれていたかどうかなど詳細は分かっていないものの、19本のうち8本の論文に携わった助教授は懲戒解雇され、他の11本については詳細が明かされていない。

とりあえずIGF-1理論に壮大なケチがついたのは間違いない。

また、IGF-1はじめ様々な成長因子を頭皮に直接注入するハーグ療法育毛メソセラピーは医師が行っているため信用できそうな気もしますが、発毛に対する科学的根拠はなく、色々と問題がある高額医療。

キャピキシルを配合した育毛剤にも配合されているなど育毛業界を挙げてIGF-1を盛り上げる動きがあり、これに目を付けた育毛関連サイトがこぞって取り上げているため髪の毛が生えるという情報が独り歩きしているというのが実情。

現実にはIGF-1で髪が生えるというエビデンス(科学的根拠)はなく、数少ない論文は捏造に関わったとされる教授によるもの。ハーグ療法にしても、施術するAGAクリニックや、それらを紹介する育毛関連サイトが「極めて高い発毛率」と煽っているだけ。

まともな医師なら鼻で笑うレベル。

今ある髪の毛に多少コシが出る程度の効果であれば完全否定はしないが、IGF-1でハゲた部分に髪が生えるなんて思わない方がいい。

IGF-1を増やすとがんになる可能性も

IGF-1を増やすとがんになる可能性も

IGF-1によるがんリスクの上昇はかねてから世界中で議論されており、各国の様々な研究機関が検証を行っています。

IGF-1は骨や皮膚、筋肉や肝臓、腎臓などの成長を促進させる作用がありますが、その作用はがん細胞にも及ぶと見られているからです。

研究の1つにたんぱく質の摂取量に着目したものがあります。たんぱく質を摂取すると体内のIGF-1も増えるのですが、研究ではたんぱく質を多く摂取しIGF-1が10ng/ml増えると、50~65歳の人のがんの死亡率が9%上昇したとあります。

参照サイト:日経Gooday

一方、IGF-1が顕著に減少する65歳以上はたんぱく質を積極的に摂ったほうが死亡リスクが減るという結果も。このあたり、判断が難しいところですね。

マウスによる検証では明らかな違いも

腫瘍を移植したマウスでも実験を行っており、移植後に高たんぱく質の食事を摂取していたグループのマウスに比べ、低たんぱく質食でIGF-1を減らしたグループでは平均78%も腫瘍が小さくなっていたという結果に。

その後食事を低たんぱく質から元の食事に戻したら再びがん細胞が増えだすという結果に、がんの進行にIGF-1が大きく関わっていると結論付けています。

こちらはあくまでもマウスでの実験であるため人間に当てはまるかどうかは未知数ながら、世界各国でこういった研究が行われているのは事実です。

以前、IGF-1を増やす乳製品を多く摂るとガンリスクが高まるという説が飛び交った時期もありましたしね。

ちなみに、糖尿病患者は肥満細胞のインスリン抵抗性などによってインスリンやIGF-1が増える高インスリン血症になり、がんのリスクが上がることが知られています。

IGF-1を猛プッシュする育毛関連業界は、とにかくこれを増やせば髪の毛が生える、薄毛が改善するような印象を抱かせると共に、がんのリスクに関しては一切触れていませんけどね。

現状では乳がんと前立腺がんが議論の対象

IGF-1とがんの関連性については様々な研究が行われているものの、現状で関連性について議論が活発なのは「乳がん」と「前立腺がん」の2つ。

薄毛を気にする人の多くは男性であるため、乳がんのリスクはほとんどない一方、前立腺がんは男性特有のがんであり、男性のみで見れば最も発症数の多いがんとなっています。他のがんに比べ予後は悪くないんですけどね。

育毛剤やハーグ療法などに使用されるIGF-1の量など微々たるものでしょうから、がんのリスクが高まる可能性は極めて低いものの、手放しで褒められる成分ではないことも確か。

利益最優先でこういった不都合な情報を開示しない点も、育毛業界の闇といえるのではないでしょうか。

IGF-1は増やせばいいってものではない

IGF-1は多ければ多いほど良いわけではない

IGF-1がハゲ改善に効果があるかどうかはさておき、様々な部位の成長を促す作用を持つ同成分が体にとって必要なものであることは疑いようがありません。

しかし、増えすぎればがん細胞の増殖にも寄与してしまう可能性があるため、「多ければ多いほどいい」というものではないのも確か。

育毛に関連したIGF-1を増やす行為でどの程度濃度が上昇するのか分かりませんが、先述した「10ug/ml増えるとがんでの脂肪率が9%上昇した」という研究結果を見るに、IGF-1が一定量以上になるとがんのリスクが上昇する可能性は否定できない。

だからといって体を作る上で欠かせない成長因子を減らす過ぎるのも問題で、結局は「適度」という言葉に落ち着きます。

薄毛を気にする人の多くは体内のIGF-1がまだまだ豊富な30代40代だと思われ、何の考えもなく闇雲にこれを増やしていいものなのか?

そのあたりをどう考えているのか毛髪業界の人間に聞いてみたい。

当社の商品では体に悪影響を及ぼすほど劇的にIGF-1を増やす作用はありません」とでも言うのかね? なら髪の毛への影響もほとんどないんだろうな。

ちなみに、近年ブームになっている筋トレでもIGF-1は増える。IGF-1などの成長因子が筋肥大に寄与しているとのこと。

でも筋トレしてもハゲは治らない。それどころか、マッチョはハゲが多い印象すらある。(根拠なし)つまりはそういうことなんだろう。

IGF-1で髪が生える根拠はない

IGF-1で髪が生える根拠はない

これまで書いてきたIGF-1のがんへの影響はまだまだ研究段階であり、普段の生活の中で特に意識するレベルのものではありません。

ただし、何かしらの行為によりIGF-1を過度に増やすことでハゲが治ると思っているなら大間違いだし、相応のリスクがあることも知っておく必要があります。

なぜなら、IGF-1による育毛・発毛効果を客観的に示したデータや論文はほとんど存在しない一方で、がんに関するものは世界中から上がってきているのですから。

IGF-1に育毛・発毛根拠がないという点について、もう少し詳しく解説しましょう。

頭皮に直接注入する方法ですら否定されている

近年、ハーグ療法に代表されるように、多くのAGAクリニックにおいてIGF-1などの成長因子などを頭皮に直接注入する施術が行われるようになりました。

角質層までしか浸透しない育毛剤に配合されるIGF-1とは違い、ハーグ療法や育毛メソセラピーは頭皮に直接注入するわけですから、その効果はどう考えても育毛剤のそれよりはるかに高いはずですよね。

しかし、日本皮膚科学会が策定している「男性型および女性型脱毛症診療ガイドライン」において、これら頭皮に直接注入する治療法は明確に否定されています。

ガイドラインによるハーグ療法の評価

理由は、「安全性なども含め、その有効性は決して十分に検証されているとはいえない」というもの。

それを物語るように、高い成功率を謳うAGAクリニックや育毛サイトに対し、実際にハーグ療法を行った人の生の声は「効かない」「あまり効果がない」というものが非常に多くなっています。

しかも、多くのAGAクリニックでは「より高い効果を得るため」と称し、プロペシアやミノキシジルの併用を推奨。

世界的に高価が実証されている発毛剤を併用することで、ハーグ療法の効果の低さを覆い隠すことができるうえ、ハーグ療法で髪の毛が生えたと錯覚させることもできる。しかも発毛剤の売上も期待できるなど、AGAクリニックにとっていい事ずくめ。

なんともバカらしい話である。

育毛剤のIGF-1は一切効果なし

頭皮に直接IGF-1などを注入する方法ですら効果は限定的。それでも一応「発毛に効果がある」という結論に達した試験や研究が存在するのも確か。もちろんエビデンスと呼べるレベルのものではないが。

一方で育毛剤に配合されるIGF-1はどうなのか? 正直、「水と何ら変わりない役立たず」と言わざるを得ません。

育毛剤に配合されるIGF-1や、いわゆる「イソフラボン+カプサイシン」などの接種による増えるとされるIGF-1について、育毛関連サイトなどではあたかも効果があるように書きたてていると思います。

「知覚神経を刺激してIGF-1を増やす」「毛母細胞や毛乳頭細胞に作用する」など、いかにももっともらしい文言が踊っていますよね。中にはIGF-1を産生する育毛剤として特許を取得している商品すら存在する。

しかし、先述したようにイソフラボン+カプサイシン理論を提唱した教授は、多くの論文捏造に関わっている可能性があるとして重い処分を受けており、その信憑性には大きな疑問符が付きまといます。

そもそも、この理論は件の元教授が毛髪関連メーカーやTV番組などの力を借りごり押しして広まっただけであり、この元教授以外に実証した人間は存在しない。いわゆる“言ったもん勝ち状態”である。

それでもまだ「体内のIGF-1を増やす」と言っている分だけ説得力はある。しかし、IGF-1を育毛剤に配合し、頭皮に塗布して育毛・発毛させようというのはあまりにも無理がある。

実際、IGF-1を頭皮に塗布して効果を確認したという論文や研究結果は存在しない。もし仮にそれなりに信憑性のある科学的根拠があるなら、日本皮膚科学会が脱毛症診療ガイドラインに加えているだろうよ。

「成長因子」という、なんとなく髪の毛に良さそうな成分を配合することで育毛・発毛効果がありそうな印象を抱かせる“雰囲気成分”と言って差し支えないかと。

IGF-1で髪の毛が生えると謳う育毛関連商品や育毛サイトは数多く存在するものの、そこに科学的根拠はありませんので鵜呑みにしないようにして下さい。

IGF-1では髪は生えない

「〇〇でIGF-1を増やし育毛する」なんて記述をよく目にする昨今。

抗がん剤の副作用から読み解く薄毛の原因」でも書いているように、体内のIGF-1を増やすことで本当に毛を生やす効果があるなら、髪の毛のみならず全身の毛が濃くならなと説明が付かないと思いませんか?

加えて、IGF-1を標榜する治療法や育毛剤ってやたらと高価なんですよね。

医師が施術するハーグ療法は数十万~百万円コースですし、IGF-1を配合する育毛剤は軒並み1万円を超えている。しかも明確な化学的根拠はないのだから、「どこに存在理由があるんだ?」というのが正直なところ。

薄毛に効果があると実証された試験結果が膨大な数存在する発毛剤より高い、IGF-1配合の育毛剤。

進行する一方のAGAは時間との勝負。こんな無駄なものにお金と時間をかける余裕などないのです。IGF-1に寄り道などせず、最短距離で発毛が期待できるフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった発毛剤を使うべきと断言できます。

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