ジフェンヒドラミンHClは発毛効果なし
ジフェンヒドラミンHCl(塩酸ジフェンヒドラミン)という成分をご存知でしょうか?
このジフェンヒドラミンHCl(塩酸ジフェンヒドラミン)、様々な育毛剤の有効成分として使用されていますが、正直なところ「ハゲを馬鹿にしてるのか?」と感じてしまうほどお門違いな成分と言わざるを得ません。
育毛剤を名乗るためには厚生労働省に「有効成分」とて承認された成分を一定量配合しなければならず、ジフェンヒドラミンHClが使い勝手のいい成分というのはある程度理解できますが…薄毛に対し何の意味があるの?
にもかかわらずジフェンヒドラミンHClは、ウェブを中心に販売している育毛剤の中でも屈指の人気を誇る複数の商品において、有効成分として使用されている事実も。
このジフェンヒドラミンHClが髪の毛にとっていかに必要のないものなのか、なぜチャップアップやイクオスEXプラスなど人気育毛剤に使われるのかなど、ジフェンヒドラミンHClの気になる点を鋭く解説していきましょう。
ジフェンヒドラミンHClの効果とは?
育毛剤の有効成分として見かけることが多い「ジフェンヒドラミンHCl(塩酸ジフェンヒドラミン)」。具体的にどういった効果のある成分なのでしょうか?
有効成分として認められているくらいだからそれなりの効果がありそうですよね。
■アレルギー症状を抑える
日本国民の約3割が何らかのアレルギーを持っているといわれる昨今。
様々なアレルギー症状が出る背景には「ヒスタミン」という物質が関わっています。そんなアレルギーを抑制するために抗ヒスタミン作用のあるジフェンヒドラミンHClが使われることがあるのです。
特に風邪や花粉症などによる鼻水やくしゃみを抑える目的で使用されることが多い。
ということは、くしゃみの衝撃や鼻をかむ際に力んだ拍子に抜けてしまう可能性がある髪の毛を、ジフェンヒドラミンが守ってくれるかもしれない。超心強い。
ちなみに皮膚に塗布する外用薬で使うジフェンヒドラミン入りの塗り薬などもあり、そちらはじん麻疹や湿疹、虫さされなどに使用されています。
育毛剤の有効成分として使用される“建前”は、「アレルギーなどによる炎症を抑え頭皮環境を維持・改善する」といったところでしょうか。
私達が悩まされている男性型脱毛症(AGA)にアレルギーや炎症はまったく関係ないため、ジフェンヒドラミンHClは完全に無意味なんですよね。
■眠気
ジフェンヒドラミンHClは服用することで眠気が出ることでも知られています。
一般的に薬の副作用による眠気は嫌われる傾向にあるものの、ジフェンヒドラミンHClの場合それを逆手にとって睡眠導入剤として使われることがあり、市販の睡眠改善薬「ドリエル」もその一つ。
「睡眠不足はハゲの原因になるからよく寝とけ」という育毛剤メーカーからの愛あるメッセージなのかもしれない。
はっきり言ってしまえば、睡眠不足で薄毛になることはないし、そもそも眠気が出るのは内服薬での話であり、頭皮に塗布する外用剤で眠気が出ることなどありえないんですけどね。
ジフェンヒドラミンHClの効果はこの程度。
外用薬の場合、アレルギーを抑える効果があるため、頭皮の軽い炎症や、育毛剤に含まれるエタノールなどの成分によるアレルギー反応を抑えるために配合されていると思って間違いありません。
しかし、脂漏性皮膚炎やひこう性脱毛症など重度の皮膚炎による薄毛の場合、ジフェンヒドラミンHCl程度の作用・効果では話になりません。ケトコナゾールなどの抗真菌薬を使う必要があります。
つまり皮膚科に行って薬を貰ってこなければ治らない。
男性の薄毛の9割以上を占めるAGAの原因はジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンであるため、アレルギーや皮膚炎は関係ないし、仮に重度の皮膚炎で薄毛になっているのであればジフェンヒドラミンHClでは意味がない。
どんな薄毛に対しても役に立たない、それがジフェンヒドラミンHClなのです。
チャップアップやイクオスに使われる理由
AGAに対し無力なジフェンヒドラミンHCl。しかし、育毛剤とサプリメントのセットが人気のチャップアップやイクオスEXプラスには有効成分として使用されているんですよね。(表記は塩酸ジフェンヒドラミン)
「ネット上で屈指の人気を誇る育毛剤に使われているんだから、それなりの効果があるのだろう」なんて考えたらダメですよ。これら育毛剤に使用される背景には大人の都合が存在するのですから。
チャップアップやイクオスEXプラスは元々「天真堂」というメーカーの「ソヴール08」という、M-034はじめ31種の成分が配合されている他ブランド向けの商品(OEM商品)をそのまま使用していたという経緯が。
今はチャップアップもイクオスEXプラスも数多くの成分を追加し「脱ソヴール08」を実現しているものの、ベースはあくまでもソヴール08であるうえ、製造販売元は現在も天真堂であることもあり、成分は非常に似通っています。
有効成分もそのまま、もしくは追加されただけであるため、チャップアップやイクオスEXプラスは今でも発毛効果はおろか育毛効果すら期待できないジフェンヒドラミンを使用し続けています。
また、ジフェンヒドラミンHClは安価という点も大きいのでしょう。チャップアップやイクオスEXプラスは数多くの成分を配合していることを売りにしているため、一つひとつの成分のコストをいかに抑えるかが重要になってきますからね。
絶対生えないジフェンヒドラミンHCl
育毛剤の中の成分にはジフェンヒドラミンHClのように抗炎症作用や抗アレルギー作用がある成分が多数配合されています。
これら成分、建前は「髪の毛の土台となる頭皮環境の改善」である一方、我々が治したいのは男性の薄毛の大半を占めるAGA。しかし頭皮環境を整えたからといってAGAが改善することはありえません。
なぜなら、AGAは5αリダクターゼとテストステロンが結びついて生成されるジヒドロテストステロンが(DHT)が引き起こしているのですから。
これに抗い髪の毛を生やすには、現状5αリダクターゼの作用を強力に阻害するフィナステリドとデュタステリド、そして強力な発毛作用により毛母細胞や毛乳頭細胞の分裂・増殖を促すミノキシジルしかありません。
ジフェンヒドラミンHCl? 名前だけ聞くと何やら強そうな印象を受ける。しかしAGAに対する改善効果は望めません。
ジフェンヒドラミンHClのみならず育毛剤の成分全般に言えることですが、髪の毛が生える、AGAが改善するというエビデンス(科学的根拠)があるものは皆無。薄毛を治したいなら、医薬品である発毛剤しか選択肢がないのです。
ジフェンヒドラミンHClに限らず、AGAに対し育毛剤は無力。その事実を心に刻み正しい選択をすることが薄毛改善の第一歩なのです。
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