銅ペプチドに発毛効果はある?ない?
育毛や美容分野でたびたび見かけるトリペプチド-1銅という成分。「銅ペプチド」とも呼ばれ、特に育毛に関連した商品に使われています。それだけに銅ペプチドで髪の毛が生えるのかどうか気になるところ。
この成分について調べてみると、育毛剤や発毛剤、AGAクリニックが提供する胡散臭い育毛メソセラピーなどで使用され、あたかも高い効果があるよう謳っています。
実際、外国においては銅ペプチドを配合した育毛剤やシャンプーが散見され、一定の評価を得ているようにも見えます。
銅ペプチド(トリペプチド-1銅)には私たちが望むような発毛効果はあるのか?海外の研究などから紐解いていきたいと思います。
銅ペプチドの効果とは?
そもそも銅ペプチドってなんなのか? 銅ペプチド(トリペプチド-1銅)とは、3つのアミノ酸に銅を加えたものと定義されています。
育毛分野において謳われる銅ペプチドの作用・効果はというと…
5αリダクターゼ阻害作用
私たちが悩まされている薄毛のほとんどは男性型脱毛症(AGA)です。
このAGAは、男性ホルモンであるテストステロンと5αリダクターゼ(5α還元酵素)が結びついて作り出されるジヒドロテストステロン(DHT)が毛乳頭細胞内の男性ホルモン受容体と結合することにより引き起こされます。
銅ペプチドには5αリダクターゼを阻害する作用があるとされ、AGAの原因であるDHTの生成を抑制する効果が期待されています。
…5αリダクターゼ阻害作用があると謳う成分は数多くあれど、実際にそれが実証されているのはフィナステリドとデュタステリドのみだんだけどな。
髪の成長期の延長と休止期の短縮
銅ペプチドにはたんぱく質を修復する作用があり、それによって髪の毛の成長期を伸ばす一方、休止期を短縮するとされます。
AGAによる薄毛はヘアサイクルの乱れが大きな要因となっています。そのヘアサイクルを正常化できればハゲが改善するというのは理に適っている。
事実ならな。
銅ペプチド(トリペプチド-1銅)の試験データ
薄毛に対し銅ペプチドがどれほどの効果があるのか量るためには、それを用いた試験や臨床データを見ていく必要があります。
というわけで、銅ペプチド(トリペプチド-1銅)についていろいろと調べてみた。
ミノキシジルと同等の効果?
発毛成分であるミノキシジルと銅ペプチドを比較した試験において、ミノキシジル外用薬の一般的な濃度である5%と同等の効果がったとするデータや、2%ミノキシジルより効果があったとする結果があります。
これが事実なのであれば発毛効果を期待できる成分ということになりますが、詳細な試験内容を見つけ出すことはできませんでした。
銅ペプチドのように「ミノキシジルと同等の効果」とか「〇倍の効果」を謳う成分は複数存在しているものの、そのすべてにおいて科学的根拠がなく、かつ国の機関に発毛効果を認められていない事実が。
毛包の成長促進効果を確認
培養した毛包に銅ペプチドを添加した試験において、人間の毛包の成長促進効果を確認したという研究結果が存在します。
毛包が太くなったり厚くなったりする効果は、銅ペプチドを用いた複数の研究において実証されている。ただし、マウスやラットを用いたものの方が多買ったりするんですけどね。
臨床試験で一定の効果を実証
実際の人間に銅ペプチドを用いた臨床試験も行なわれています。
銅ペプチドを基に合成した成分を、それぞれ100mg/ml、50mg/ml、プラセボ(偽薬)の濃度別に3グループに分け、6ヶ月間使用するという研究において、髪の毛の増加に一定の有意差が確認されています。
しかし内容的にはやや微妙なところ。
開始時(Baseline)と6ヶ月後を比べるとプラセボ群の増加率が低いことも見て取れる。髪の毛の増加率については統計的に一定の有意差が見られたとあります。
ただ、最も効果が期待できるであろう100mg/ml群においては、使用3ヶ月後と6ヶ月後に効果の差はなく、この間の統計的有意差が認められたのは50mg/ml群とプラセボ群(偽薬群)においてのみと結論付けています。
銅ペプチドで髪の毛は太くならなかった
髪の毛の数に関しては微妙ながらも多少の効果が見て取れた銅ペプチド。しかし、この試験において髪の毛の長さや太さに関しては有意差が認められませんでした。
これは髪の毛の太さを調べたもの。どの群においても6ヶ月間の間にほぼ同様の減少を見せており、統計的な有意差はないと結論付けられています。
結論としては、銅ペプチドで髪の毛は多少増える可能性があるが太くはならないということになるでしょう。
ミノキシジルの臨床試験では髪の毛が明確に増え、かつ太くなっていることを考えると、銅ペプチドの発毛効果は限られる、もしくはほとんど期待できないようにも感じます。
銅ペプチドで髪の毛は生えるのか?
日本ではあまり知られていない銅ペプチド(トリペプチド-1銅)ですが、海外においてはそれなりに研究されている成分です。
ただ、それらはマウスやラット、培養した毛包などを用いたものが大半で、実際の人間に対して使用した臨床試験は少ないのが実情。
前述した臨床試験においても、1グループあたりの人数は15人程度。フィナステリドやミノキシジルといった発毛剤の臨床試験では1グループあたり150人ほど割り当てられることから、統計的に見ても銅ペプチドの効果はあまり信用できません。
銅ペプチドで髪の毛が太くならなかったという点においても不安を隠せない。世界的に発毛効果が認められているフィナステリドやミノキシジルは、髪の毛を増やすのと同時に太くする作用もはっきりと確認されています。
2017年に策定された男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインにおいて一定の発毛効果が認められたアデノシンですら髪の毛が太くなっていることを考えると、銅ペプチドの効果を過信すべきではない。
とはいえ、どんな形であれ多くの研究によって一定の効果を示しているのも無視できない。たいした研究も行わないまま「高い育毛効果!」とか謳っている日本の育毛剤の成分に比べれば100倍信用できる。
複数の育毛剤や発毛剤に配合されている銅ペプチド。あくまでもミノキシジルなど発毛成分の補助と考えるのが妥当でしょう。
銅ペプチドを配合した発毛剤
目に見えた発毛効果が期待できない銅ペプチドですから、そもそも発毛効果が存在しない育毛剤に配合されていてもほぼ無意味。含有量も少ないだろうしね。
当サイトは基本的にエビデンス(科学的根拠)がある発毛剤しかおすすめしていないので、補助成分として銅ペプチド(トリペプチド-1銅)を配合した外用薬をいくつか紹介します。
フォリックスFR16
最強の外用発毛剤と言っても過言ではないフォリックスFR16。
ミノキシジル16%に加え、プロペシアの主成分であるフィナステリド、アデノシン、アゼライン酸、トリペプチド-1銅などを配合。
シリーズ唯一のクリームタイプとなっていますので、液が垂れやすいM字部分や生え際に適しています。
他のミノキシジル外用薬が効かなかった、プロペシアやザガーロ、ミノキシジルタブレットといった内服薬の副作用に懸念がある人などに試してほしい最強外用薬。
フォリックスFR15
ミノキシジル15%にトリペプチド-1銅やアデノシンなど複数の育毛・発毛成分を配合するフォリックスFR15。
ミノキシジル濃度的にはフォリックスFR16と大差ない強力な発毛剤ですが、フィナステリドを配合していないなどFR16に比べ幾分マイルドに仕上がっています。
フォリックスFR16と違い一般的なローションタイプであることから、頭頂部など髪の毛が残っている部分に塗りやすい。頭頂部用とM字用でFR15とFR16を使い分けている猛者も。
フォリックスFR16に比べ副作用面で安心感があり、かつ価格も若干ながら安いこともあって、フォリックスFR15はシリーズ中もっとも人気の商品となっています。
リグロースラボM7α
リグロースラボM7αはミノキシジル含有量7%と、銅ペプチドを配合するミノキシジル外用薬の中では比較的低濃度。
そのため、リアップX5プラスやカークランド、ロゲインなどミノキシジル5%製剤からのステップアップとして最適な発毛剤といえるでしょう。
一方で価格はリアップX5プラスの半額。フォリックスに比べ安価ということもあり、比較的新しい商品ながら一気に普及していくと見られます。
ちなみに製薬会社はフォリックスと同じアメリカのサファイアヘルスケア。安心感や信頼性に問題はありません。
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