ビワ葉エキスで髪が生えることはない
育毛剤によく使われる成分として「ビワ葉エキス」なるものが存在します。これは文字通り果物の一種であるビワの葉から抽出されるエキスなわけですが、こんなもんで髪が生えれば苦労しない。
そもそもなんでビワ葉エキスで髪の毛が生えるという風潮になっているのか?
確かにビワの葉は昔から万病に効くとされ、湿布のような外用、お茶などにして飲む内服問わず効果を発揮すると言われ、葉はもちろん大きな種も重宝されてきた歴史があります。
ただしハゲに効くのかどうかが別問題。やたらと持ち上げられるビワ葉エキスの真実について解説していきましょう。
ビワ葉エキスがハゲに効果ありとされる理由
様々な育毛剤に配合されているビワ葉エキスに育毛効果があるとされる理由はいくつかありますので、代表的なものを見てみましょう。
■5αリダクターゼの阻害効果
「すげえ育毛効果だ!」と印象付けるために乱発されている典型的な文言である5αリダクターゼ(5α還元酵素)を阻害する効果。当然ながらビワ葉エキスにもあるんだってー(棒)。
男性ホルモンであるテストステロンと結びつくことで薄毛の原因ジヒドロテストステロン(DHT)を作り出す5αリダクターゼ。これの働きを阻害する効果があるとして有名な発毛成分フィナステリドやデュタステリドにあやかっている感むき出し。
育毛剤を作っている企業や製薬会社に「ビワ葉エキスは5αリダクターゼを阻害する(キリッ)」とか書かれるとついつい本気にしちゃいそうですが、探せど探せどその根拠を示すデータや論文が一切出てこない。
せめてノコギリヤシくらいデータがあれば「もしや…」という可能性もなくはないが、そんな客観的根拠が一切ない中で育毛関連業界や育毛サイトが必死に持ち上げてるのがビワ葉エキス。
誰か、その根拠を示すデータを知っている場合はぜひ私にお教えください、マジで。
■薄毛を進行させるFGF-5を阻害するFGF-7を増やす
数ある成長因子の中に線維芽細胞増殖因子(FGF)というものがあり、その中でFGF-5は脱毛を促す因子とされています。いわばハゲの憎むべき敵という位置づけ。
そんなFGF-5の働きを阻害し髪の毛の成長を促す効果があるとされるのがFGF-7という成長因子。そして…なんという事でしょう、ビワ葉エキスにはこのFGF-7の生成を促進させる効果があるのです。(自称)
ちなみに、5αリダクターゼの阻害効果同様FGF-7を増やすという客観的なデータは見当たらず、これを配合した育毛関連グッズを販売しているメーカーと、金のために育毛剤を売りたくて仕方ない育毛サイトが必死に書いているだけ。
誰か、その根拠を示すデータを知っている場合はぜひ私にお教えください、マジで。
■アミグダリンの血行促進作用で髪生える
ビワの葉がアミグダリンという成分を含有しているのは事実。このアミグダリンは一部では「ガンにも効果が!」的な胡散臭い文字も踊る成分。
このアミグダリンには血行促進効果や抗炎症作用があるとされ、髪の毛に栄養や酸素を届けたり頭皮環境を改善したりして髪の毛の成長を促すというお決まりの文言が並ぶ。
遥か昔から多くのハゲがマッサージなどで頭皮の血行促進を行うも結局ハゲ散らかしていった歴史があるというのに…まあこの効果は発毛剤ミノキシジルにもあるが。
ただ、ミノキシジルは元々血管拡張剤なのでそもそもの血行促進効果が桁違いであるうえ、ミノキシジルの発毛効果は毛母細胞や毛乳頭細胞の増殖や分裂を促す作用によるものなので、血行促進効果はそれほど重要ではない。
そもそも、血行を促進したからといって私たちが悩まされている男性型脱毛症(AGA)が治ることはないと専門家が明言しています。
アミグダリンに血行促進作用があるとしても、それが育毛や発毛に繋がることは考えられないのです。
■毛乳頭細胞を増殖する効果
おっと、ビワ葉エキスにもミノキシジルと同様に毛乳頭細胞を増殖させる効果があったようです、失礼いたしました(棒)。
もちろんデータは一切存在しない。
■バルジ領域のDNAダメージ抑制効果
近年育毛業界では「バルジ領域」が注目されています。毛穴の中ほどに存在するバルジ領域に存在する毛包幹細胞が分裂し毛母細胞に供給されることによって髪の毛の成長が促されるというもの。
しかし、この幹細胞のDNAが何らかの理由によりダメージを受けると毛母細胞への供給がストップし髪の毛の成長が止まってしまうとか。そんなDNAのダメージを抑制してくれるのが我らがビワ葉エキス!
これ、大手化粧品メーカーであるコーセーが発表した内容。で、自社の育毛剤に配合しましたよっと。実際実験のデータや写真は存在するものの、これも培養細胞を用いたもの。
だからそれじゃ意味がないんだって…
これだけ様々な効果があるとされているのに、なんで揃いも揃ってヒトに対する臨床試験を行わないんだろう?都合の悪いデータが出る可能性があるからなのか、本当はやってみたけど思うような結果が出なかったため黙殺してるのか…
ビワ葉エキスの発毛効果を示すものが存在しない
上でも散々バカに…もとい指摘してきたように、ビワ葉エキスには発毛効果はもちろん育毛効果を示すデータがとにかく存在しない。
例えば海藻エキスであれば第三者の客観的データはなくとも、それを配合した育毛剤を販売する会社による胡散臭い自社データがあったりするものですが、ビワ葉エキスにはそんなものすら存在しないんですよね。
どの育毛剤メーカー、育毛関連サイトもステレオタイプに同じ効果を書いているだけで、その根拠は一切示してこない。
噂が広まりみんなが思い込めばそれが真実になる都市伝説的な?
おそらくビワ葉エキスを商品化したメーカーなどが培養細胞になどを用いて試験した結果5αリダクターゼの阻害作用や毛乳頭細胞増殖作用が確認できたという理由でしょうが、試験管内の結果など根拠になりません。なぜなら実際の頭皮とはあまりにも環境が違うから。
培養細胞や毛包を用いて5αリダクターゼ阻害作用やDHT生成抑制効果を確認した物質や成分は数あれど、それを実際に使用して髪の毛が生えたという話はとんと聞かない。ビワ葉エキスもそういった成分のひとつ。
そんなものに対し「こういった効果があるのです」と断定して育毛剤を買わせようとするんだから金の力ってすごいな。
ビワ葉エキスで髪は絶対に生えない
育毛剤に使われる成分はそもそも「発毛」や「髪の毛が生える」という表現を使えないため発毛根拠がないのはある意味当然。しっかりとした根拠が存在するなら発毛剤として認められているでしょうからね。
とはいえ、多くの育毛剤に使われるビワ葉エキスにまともなデータが存在しないってのはちょっと驚いた。だって発毛はおろか育毛効果を示すデータすら見当たらないのですから。
そういったデータも根拠もないが「これ入れとけば効果ありそうに見えるだろ」的な育毛剤メーカーの思惑が透けて見えるわ。
ビワの葉や種にはタンニンやサポニンといった成分が入っており、それなりの健康効果があるのは使用されて来た長い歴史を考えれば間違いなさそうなものの、ガンや薄毛に効くというのは胡散臭い民間療法レベル。
これらに「効果がある」と書いているサイトは金目的か、間違った情報を信じ込んでいるアレな人なので信用しないようにしましょう。
ガンに対し高額かつ胡散臭い民間療法など気休めにしかならないのと同様に、ハゲにとってビワ葉エキスはただの気休め。
ガンの新生物であれば手術で物理的に取り除き、白血病であれば抗がん剤治療を行わないと治癒はほぼ見込めないように、AGAに対する発毛・髪の毛が生える効果はフィナステリドやミノキシジルといった発毛剤にしか期待できないのです。
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