バイオポリリン酸で髪の毛は生えない

バイオポリリン酸といえばポリピュアEXに配合される独自の特許成分。日本はもちろんアメリカやヨーロッパでも特許を取っているとあってすごそうな印象を受けますが、残念ながら発毛効果はありません。

特許を取っているにもかかわらず髪の毛は生えない…なぜそう言い切れるのか?

ポリピュアEXはネットを中心に販売する育毛剤の中でもチャップアップに次ぐ人気を誇っているので、気になる人も多いのではないでしょうか。

バイオポリリン酸の隠された真実…暴いていきましょう。

バイオポリリン酸の概要

バイオポリリン酸とは医学博士である柴肇一氏が17年の歳月をかけて生み出した成分で、ポリピュアEXのみに使われていることで知られています。

ポリリン酸自体はソーセージやかまぼこなど加工品の結着性や保湿性を高める食品添加物として使われるもの。

そのポリリン酸の中でも特定の分子量をもったものに育毛に関係する効果があることを偶然発見し、研究を重ねた結果生み出されたのが件のバイオポリリン酸ということになります。

極小ナノサイズで浸透力がとても高く、かつ毛乳頭細胞を活性化によって抜群の育毛・発毛促進効果が期待できる…という代物らしい。

ナノレベルによる浸透性で毛乳頭細胞に働きかける特許成分…なんかもう期待を煽りまくる文言が並んでおりますが、その実力やいかに?

特許内容を紐解いてみる

バイオポリリン酸の効果を見極めるには特許の内容を見る必要があるので、とりあえずざっと目を通してみました。しかし、専門家が書く論文ってなんでこうも分かりづらいのかね。

で、その中から読み取れるものはというと…

■酵母菌から抽出したポリリン酸は効果が高い

特許の概要の中では科学的に合成したポリリン酸と酵母菌から抽出したポリリン酸…つまりバイオポリリン酸の比較が行われており、バイオポリリン酸のほうが髪の毛の伸長するスピードが早いことが示されています。

バイオポリリン酸の効果
出典:Google Patents


こんな感じらしい。

これを見ると「バイオポリリン酸すごくね?」と感じる人もいるかもしれませんが、当然この話には続きがあります。長々と。

■毛包を培養した試験

ここでのバイオポリリン酸の研究成果はもとより、「ミノキシジルの3倍の育毛効果がある」として鳴り物入りでデビュ―したキャピキシルにも当てはまることですが、使っているのが培養した毛包や細胞なんですよね。

マウスじゃなく人間の毛包を培養している分まだましかもしれませんが、この手の試験ほどあてにならないものはない。

なぜなら、人間の毛包やそれに包まれている毛母細胞、毛乳頭細胞は毛根の奥深くに存在し、実際に頭皮に塗る場合はそこまで届くかどうかすら怪しいから。

毛穴を通って毛根まで届くだろうと思っている人もいるかもしれませんが、毛根がある毛穴の奥底は常に皮脂が分泌され外からの異物の侵入を防いでおり、育毛剤が毛穴の奥底に入っていくことはほぼ不可能。

脂と水が混じりあわないことを考えれば分かりやすいかと。

後述しますが、そもそも育毛剤などは頭皮のごく表面である角質層までしか浸透できない…というか、角質層のごくごく表面までしか浸透できないものがほとんど。

人間の頭皮はそういう状態なのに、バイオポリリン酸を含んだ培養液で直接毛包や細胞を培養させるなんてあまりにも現実離れしていると言わざるを得ません。

■目的は毛髪伸長の促進及び毛髪の成長期維持

100万歩くらい譲ってバイオポリリン酸が毛根まで届くと仮定して、じゃあ具体的にどういった効果があると謳っているのかというと「毛髪伸長の促進及び毛髪の成長期維持」。

勘のいい方ならすでに分かっていると思いますが。発毛剤のように新たな髪の毛を生やす効果ではなく、今ある髪の毛の成長を促しそれを維持させようというものです。

ま、要は発毛効果ではなく育毛効果というわけです。

培養毛包を用いて「髪の毛伸長しました!」と鼻息荒く書いているが、私たちが求める発毛ではない上に現実的に頭皮に浸透しない…これをどう捉えるかは各々の判断にお任せしますが、まあアレよね。

保湿成分で、角質層までしか浸透しない

特許を取得した独自成分としてポリピュアEXが大々的にプッシュしているバイオポリリン酸ですが、「バイオポリリン酸」と「ナノサイズによる驚きの浸透性」には共に「※」が振ってあり、右下にこんな文言が超ちっちゃく書いてあります。

※酵母エキス(1):保湿  ※角質層まで

つまり、バイオポリリン酸はただの保湿成分だし、ナノサイズによるすんごい浸透力も角質層までということになる。

育毛剤の成分のほとんどは保湿成分で、メーカー側はその保湿成分にすごい効果があるよういかに錯覚させるかが勝負になっている感があり、バイオポリリン酸も例に漏れず。

まあこの辺は薬機法(旧薬事法)の絡みもあるので、こういった表現しか使えない背景もあるのでしょうが。

しかし、もっと看過できないのが「※角質層まで」ですよ。

角質層まで 上でも少し触れましたが、角質層というのは皮膚のごくごく表面にあるたった0.02mmの層で、これが内部からの水分蒸発や外部からの刺激や異物の侵入を防いでいます。

右図を見ても分かるように毛包はもちろん毛根は遥か下にあり、角質層まで浸透したとして自慢のバイオポリリン酸は毛根にどう作用するのか聞いてみたい。

これに関しても化粧品や医薬部外品は角質層までの浸透力しか謳ってはいけないと薬機法で定められているので、こういう表現をせざるを得ないのはある意味仕方のないところでもある。

ただ、現実問題として角質層までしか浸透できないのは間違いない。

以前、イギリスの英バース大学の教授が20~200ナノメートルの大きさのポスチレンビーズに発光タグをつけ肌にしみ込むかどうかレーザー顕微鏡を用いて観察したところ、角質層にすら浸透しなかったという結果が出ています。

バイオポリリン酸はナノサイズを謳っていますが、具体的な数値までは出しておらず、分子量に関しても研究の中で「ある特定の分子量のポリリン酸」とは書いているものの、やはりこちらも具体的な数値は出ていない。

一般的に分子量500以下でないと肌に浸透しないといわれており、化粧品でよく使われるヒアルロン酸で約100万と話にならないくらいの高分子。100%肌に浸透しないことが分かります。

本当に高い浸透力があるなら具体的なサイズや分子量にまで言及すると思われ、そこに一切触れていないあたり、自慢の浸透力も説得力を一切持たない。

特許は効果を担保するものではない

バイオポリリン酸は日本はもちろん、アメリカやヨーロッパでも特許を取っており、その「特許」という響きから化学的にメカニズムが実証され、効果についてもある程度担保されているような印象を受けますよね。

しかしこれ、大きな間違い。

独立行政法人 国立健康・栄養研究所のQ&Aの中に面白い一文があります。

Q6 特許番号は科学的根拠ではないのですか?

A  特許番号は科学的根拠にはなりません。特許とは、前例のない技術、発明、アイデアなど (の発明者) に対して政府が一定期間の独占権を保証するものです。科学的な発明に対して特許が与えられることはありますが、特許をとっていることが科学的であることの証明にはなりません。

つまり特許を取っている事と科学的根拠がある事はイコールではないということ。

もうひとつ、国立健康・栄養研究所のQ&Aから抜粋すると…

Q11 情報がどれくらい信頼できるか、どうやって見分けられますか?

A 以下は、「科学的根拠のある情報」のまとめにもなります。参考にしてください。
1.具体的な研究か:体験談は具体的な研究ではない
2.研究対象はヒトか:細胞や動物の実験結果は、そのままヒトには当てはめられない
3.論文報告があるか:学会発表ではなく学術論文として専門誌に掲載されたものか
4.研究デザインはどうか:信頼性を評価できるだけの研究規模はあるか、統計的に意味はあるか
5.複数の研究で評価されているか:ひとつの研究だけでは信頼性が高いとはいえない

この中にいくつか当てはまっていないものがありますが、一番気になるのはやはり「2」の項目ですよね。毛包取り出してバイオポリリン酸を含んだ培養液に浸け「髪伸びましたー」じゃ話にならないということ。

ましてやそれは新たに髪を生やす発毛効果ですらないんだから…

バイオポリリン酸で髪の毛は絶対に生えない

ここまでバイオポリリン酸について書いてきましたがいかがだったでしょうか。

特許を取得しているバイオポリリン酸の効果を完全に否定するつもりはありませんが、それはあくまでも人から取り出し培養した毛包を用いたもので、なおかつ髪の毛の伸びるスピードなどでの話。

ハゲの頭に新たな髪の毛を生やす発毛効果は一切ないと断言します。

まあ、そもそもポリピュアEXもバイオポリリン酸の研究でも「髪が生える」「発毛する」とは一切書いていませんが、これで髪の毛が生えると勘違いする人も多いと思いますので強めに言っておきます。

仮にバイオポリリン酸が毛根まで届くのであれば髪の毛の成長を早め、維持する効果は多少期待できるかもしれませんが、前述のとおり角質層までしか浸透しない成分が毛根まで届くとは到底思えない。

ましてポリピュアEXは一回の使用量が少ないんだからなおさらです。

発毛成分ミノキシジルを用いた発毛剤ですら頭皮に塗布する外用薬では劇的な効果までは望めないのに、バイオポリリン酸でどうしようというのか。

しっかりとした発毛効果を欲するなら、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルの内服薬を使うべきなのは言うまでもありません。

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