ミレットエキスはただの健康食品

ミレットエキスに発毛効果なし

育毛サプリメントに多く配合されるミレットエキスは穀物の“キビ”の一種から抽出されるエキスを指し、欧州では「飲む育毛剤」ともてはやされているようですが、これで髪の毛が生えるようなことはあるのでしょうか?

確かにミレットにはミネラル、アミノ酸といった髪の元となる豊富な栄養素が含まれているのですが、それはしょせん健康食品の域を出ず、これで髪の毛が生えるなら健康のためと色々なサプリメントを飲んでいるおっさんや爺さんはみんなフサフサになるはず。

ぶっちゃけてしまえばミレットエキスの効果は結局は育毛サプリメントに説得力を持たせるための方便であり、当然ながら発毛効果は一切ありません。

こんなものに騙される人を少しでも減らすべく、「なぜミレットエキスで髪は生えないか」について詳しく取り上げていきましょう。

ミレットエキスに育毛効果があるとされる理由

多くの育毛サプリメントに配合され、欧州では飲む育毛剤として使用されていると言われるミレットエキスですが、当然そこには何らかの根拠があるはずですよね。

ミレットは穀物であるキビの一種なので炭水化物が豊富な印象を受けますが、実際はたんぱく質が大半を占めており、そのたんぱく質は体内でアミノ酸に分解されるため「たんぱく質が豊富=アミノ酸が豊富」という式が成り立ちます。

髪の毛はケラチンというたんぱく質で構成されており、このケラチンは体内において18種のアミノ酸を合成して作られます。つまり豊富なアミノ酸を含むミレットはケラチンの生成を促進させ髪の毛の成長を促す…という理論。

またミレットエキスにはミネラルやビタミンも含まれています。中でも亜鉛やビタミンB群はケラチン合成や毛母細胞の活性化を促すとされています。

豊富なアミン酸でケラチンの元を補充し、亜鉛やビタミンB群で合成を促進という理想的な材料が揃っているのがミレットエキス…というのが売り文句。

そう考えるとミレットエキスによって薄毛が改善するという説も理にかなっているように感じますが…

ミレットエキスがハゲに効果ない理由

髪の毛はケラチンで構成されており、ミレットエキスにはそのケラチンを作る材料が豊富に含まれているというのは紛れもない事実でしょう。

しかし、私たちが悩まされている男性型脱毛症(AGA)には効果がないと言い切れるだけの確かな根拠があります。

AGAにアミノ酸摂取は一切無意味

男性の薄毛の9割以上を占めるAGAはどういったメカニズムによって発症するかご存知ですか?

AGAは男性ホルモンの一種である「ジヒドロテストステロン(DHT)」が毛乳頭細胞内のアンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)と結合し、髪の毛の成長を阻害することで引き起こされます。

AGAの原因であるDHTを作り出すのは代表的な男性ホルモンであるテストステロンと5αリダクターゼ(5α還元酵素)。この2つが結びついてDHTが作られるのです。

そしてアンドロゲンレセプターの感受性や5αリダクターゼの分泌量は遺伝によって決まります。

遺伝性であるAGAを改善させるにはフィナステリドやデュタステリドのような5αリダクターゼを阻害しDHTの生成を大幅に抑制するか、もしくはミノキシジルのように強力な発毛効果により半ば強引に毛を生やす以外方法はありません。

これは世界各国で行われた臨床試験によって示された純然たる事実であり、科学的根拠も腐るほど存在します。

さてここで本題。この中にミレットエキスのアミノ酸や亜鉛といったものが関与する余地がどこにあるのでしょうか?

そもそもアミノ酸も亜鉛もビタミンB群も牛肉やレバーを食べていれば十二分に摂取できます。普段生活で不足する可能性などまず考えられないアミノ酸をミレットエキスで摂ってAGAが改善すれば苦労はしない。

ミレットエキスとAGA改善を関連付けるデータがない

AGAに対しミレットエキスが効果ない理由として「科学的根拠がない」という点も挙げられます。

科学的根拠というのは統計的に有意になるレベルの規模と客観性を持った臨床試験などにより「効果がある」と認められたもの。育毛剤の成分でよく見かける培養細胞やマウスを用いたものは科学的根拠とはいいません。

そしてこのミレットエキス、ヨーロッパで昔から飲む育毛剤と呼ばれ重宝されてきたとされているわりに、それを裏付けるデータが存在しないのです。

唯一脱毛症とミレット(キビ)を関連付けた論文が存在するのですが、その内容を見てみると、抗がん剤の副作用として代表的な脱毛症に対し、キビを投与すると脱毛症の程度が軽減したというもの。

参照:PubMed(英語)

しかし統計学的に有意と呼べるものではなく「可能性を示した」程度のもの。

何よりここでの試験は抗がん剤の副作用に対してのもの。仮にミレットエキスに抗がん剤による脱毛を軽減させる効果があったとしても、まったくメカニズムが異なるAGAと結びつけるのはあまりにも乱暴。

結局、AGAに対する発毛効果の科学的根拠は一切存在しないのです。

ヨーロッパ人ってハゲばかりじゃねぇか!

ヨーロッパの男性はハゲばかり

ミレットエキスがAGAに効かない理由をもうひとつ提示しておきましょう。

ミレットエキスは欧州では遥か昔から「飲む育毛剤」として用いられていたなんて売り文句があるが、そんな素晴らしいものがあるヨーロッパはさぞかしハゲも少ないのだろうと思いますよね。

しかし実態はこう。

圧倒的ハゲ率のヨーロッパ
出典:薄毛・ハゲ治療ラボ


これを見るとハゲ率上位を欧米が13位まで独占しており、なかでもヨーロッパは上位13ヶ国中10ヶ国を占めるハゲの一大産地(?)。

まさに石を投げればハゲに当たる状況。

ちなみに日本はアジアトップの薄毛率だが、そこは詳しく触れないでおこう。

つまりミレットエキスが「飲む育毛剤」として知れ渡っているらしい欧州にあってハゲ率は世界屈指なわけで、「ミレット効果発揮してないじゃん」というのが本音ですよね。

欧州では薄毛と同様にジヒドロテストステロン(DHT)が原因で引き起こされる前立腺肥大症の治療薬としてノコギリヤシが使われているという話ですが、欧州のハゲ量産体制を見ればノコギリヤシの効果も疑わしいのは言うまでもない。

■ミレットエキスが育毛剤として用いられる欧州だが実際はハゲ大国

ミレットエキスの栄養素は大したことない

ミレットエキスにはたんぱく質(アミノ酸)が豊富でビタミンB群や亜鉛など育毛業界では髪の毛に良いとされる成分が入っているのは間違いありませんが、前述した通りたんぱく質やビタミンB群、亜鉛あたりの栄養素は牛肉などの肉にも豊富に含まれているという現実があるのです。

「肉大好き人間」なんていかにも不健康でハゲそうなイメージがありますが、そういった人ほどたんぱく質やビタミンB群、亜鉛などを大量に摂取しており、ミレットエキスで髪の毛が生えるというのであれば肉好きにハゲはいないはず。

実際には肉好きにデブハゲが多いけどな。

ベジタリアンやビーガンなど菜食主義で肉類は一切食べずたんぱく質やミネラルが足りていないという人であればまだしも、普通の人はアミノ酸やビタミンB群などの栄養が欲しいなら牛肉を適量食べておけば問題ありません。

特にアミノ酸やビタミンB群はわざわざミレットエキスなど使用しなくても不足することはありません。足りているものを過度に摂ったところで意味などないのです。

■アミノ酸やビタミンB群、亜鉛は牛肉などにも豊富に含まれている
■ベジタリアンでもない限りわざわざミレットエキスを摂る必要はない。

ミレットエキスでは絶対に髪は生えない

ハッキリ言ってこういった「髪に毛に良い栄養素がこんなに入ってますよ」系の成分で髪の毛が生えるわけがない。育毛効果すら期待できません。

前述のようにミレットエキスには特別な成分は入っておらず、含まれる栄養素の8割程度ががたんぱく質という成分構成であるため、わざわざミレットエキスが配合されているクソ高い育毛サプリメントなんて使う必要はない。

亜鉛やビタミンB群も一応入っていますが、これは「豊富」とは程遠く気休め程度。

また、健康食品としてのミレットエキスのサプリメントは1日300mg程度が多くなっていますが、育毛サプリメントに配合されているのは含有量が表示されているものでも100mg前後程度が関の山。

チャップアップサプリのように含有量表記していないものであればカスみたいな量しか入ってないと思っておいたほうがいいでしょう。

ミレットエキスを用いた育毛サプリメントといえば飲むタイプのメンズミレットがありますが、あれ8,000円とかするんだぜ?髪なんか生えないのに。

どうしてもミレットエキスを使いたのであればDHCなど安いものを探せば1ヶ月1,000~1,500円くらいのものがあるから、それを使いましょう。気休めにしかならないけど。

あなたが本当に髪の毛を生やしたいのであればフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった発毛の科学的根拠がしっかりとした発毛剤を使うようにしてください。この3つの成分以外に髪の毛が生えるものはありません。

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