ジンゲルシックスではAGAは改善しない

ジンゲルシックスに発毛効果なし

「ジンゲルシックスってなんだ?」と気になっている人は多いと思います。なぜならインターネットを中心に販売する育毛剤の中でNO.1の売り上げを誇るチャップアップに新配合されたから。

チャップアップを販売するソーシャルテックの独自成分と謳っていることもあり、期待に胸を膨らませている人も多数存在するかと。

しかし、男性型脱毛症(AGA)や薄毛に対する効果に明確な科学的根拠はなく、「発毛効果なし」と言わざるを得ない現実も。

色々とつっこみどころがあるソーシャルテック独自の新成分(?)ジンゲルシックス。その裏側に隠された真実を見ていきましょう。

ジンゲルシックスとは?

まず気になるのはジンゲルシックスとはどういった成分なのか?…という点。

結論から書いてしまえばジンゲルシックスは「赤ショウガエキス」。分類的には様々な育毛剤や化粧品で使用されている「ショウキョウエキス」ということになります。チャップアップでも成分表記はショウキョウエキス。

チャップアップが「独自成分のジンゲルシックス!」と前面に押し出していることから特別な成分である印象を受けますよね。しかしショウキョウエキスに一定の育毛効果があるという話は今に始まったことではありません。

だからこそ様々な育毛剤にショウキョウエキス(ショウキョウチンキ・ショウガ根茎エキス)が使われてきたのです。特にバスクリン(ツムラ)は力を入れており、1本1,000円以下のインセントにも有効成分として配合しているほど。

ジンゲルシックスの独自性

ジンゲルシックスの6-ジンゲロールは2倍

ショウキョウエキスは極めて普遍的な成分。しかしチャップアップのジンゲルシックスは“独自成分”と銘打っているほどなので何か大きな違いがある…と考えるのが自然ですよね。

一般的なショウキョウエキスは「大ショウガ」という、皮が黄色いショウガから抽出されます。これは辛みが少なく「6-ジンゲロール」というショウガ独自の成分含有量が少ないとされます。

一方の赤ショウガは辛みが強く、6-ジンゲロールの含有量は大ショウガの2倍とも。チャップアップの販売メーカー曰く、この6-ジンゲロールこそが育毛に大きな効果を示すから含有量の多い赤ショウガが良い…ということらしい

で、6-ジンゲロールが多い赤ショウガから抽出されたショウキョウエキスを「ジンゲルシックス」と命名しましたとさ。

ミツイシコンブから抽出したただの海藻エキスエキスを「M-034」と呼んでみたり、そのM-034にペルベチアカナリクラタエキスを加えて「アルガス-2」と呼んでみたりするのと同じ流れ。

後で詳しく解説しますが、赤ショウガエキスは別に特別なものではない。にもかかわらず「ジンゲルシックス」なんて仰々しい横文字を付けるのはインパクトと“箔付け”を狙ったからこそなのでしょう。

言い方を変えれば虚勢ですね。

ジンゲルシックスの効果

赤ショウガを使用したただのショウキョウエキスにわざわざ「ジンゲルシックス」なんて仰々しい名称を付けるくらいだから、名前負けしないほどの素晴らしい発毛効果や育毛効果があるんだろうね。

というわけで、ジンゲルシックスが薄毛やAGAにどの程度効果があるのか調べてみると、そこには驚きの結果が。

ジンゲルシックスの発毛効果は?

ジンゲルシックスの育毛効果

まずはジンゲルシックス…いわゆる赤ショウガエキスにどの程度の薄毛改善高効果があるのかについて。

結論から言えば気休めにもならない。数多存在する育毛剤の成分…というよりは、医薬部外品や化粧品成分のひとつという程度としか言いようがない。

そもそもなぜ赤ショウガから抽出されるエキス(ジンゲルシックス)に高い育毛効果があるとされているのか? それは一般的な大ショウガエキスに比べ2倍の6-ジンゲロールを含有しているから。それだけ。

育毛効果があるとされる6-ジンゲロールを2倍含有しているから、一般的なショウキョウエキスより高い効果があるだろう…これ、結構危険な発想ですよね。

大ショウガを使ったショウキョウエキスに関しては、ずいぶん昔に大手企業が育毛に関する試験を行うなど、AGAの改善や発毛に関する科学的根拠は存在せずとも、毛が生える早さが促進されるなどの結果は一応出ている。対象はマウスとかだけどね。

一方、ジンゲルシックスの中身である赤ショウガエキスではまともな試験を行っていない。成分を提供している天真堂においても、せいぜい培養細胞に直接添加する程度のレベルの低い試験が関の山。

培養した毛包細胞に当該成分を直接添加して効果を検証するという方法は広く行われているものの、これがほとんど意味をなさない。キャピキシルなど「ミノキシジルの〇倍!」と謳う成分もほとんどがこれ。

ただ、海外メーカー発のキャピキシルなどは小規模ながらヒトへの試験も行っているからまだまし。一方、日本の育毛剤に使われる成分は培養細胞でちょこっと試験して「効果が実証されました」と謳う。

こういった、レベルの低い試験しか行っていない“育毛効果が期待できる成分”って星の数ほど存在します。育毛剤によく使われるビワ葉エキスやオウゴンエキス、センブリエキス、ニンジンエキス…

挙げだしたらきりがないが、それでAGAが改善した、髪の毛が生えたという話は聞いたことがない。

赤ショウガを使用したジンゲルシックスに6-ジンゲロールが豊富なのは間違いないとしても、そもそも赤ショウガエキスをヒトに使用してどの程度薄毛が改善したのかという試験は一切確認できない。

そんな成分に意味はない。

チャップアップを製造しているメーカー曰く、赤ショウガエキスには5αリダクターゼかっせ阻害作用や毛乳頭細胞増殖促進作用などがあるらしいが、もちろんその根拠は示されていない。

培養細胞にジンゲルシックスを添加してそれら効果が確認されているとしても意味がないし、それがエビデンス(科学的根拠)には決してならないからな。なぜなら頭皮に塗布する環境や条件とはあまりにも違うから。

ショウキョウエキスの発毛効果は?

ショウキョウエキスの育毛効果

赤ショウガを用いたジンゲルシックスは置いておいて、昔から化粧品や医薬部外品に使用されてきたショウキョウエキスはどうなのか?

調べた限り、1988年に三井化学がマウスを用いた試験結果を発表しています。

マウスの背部の毛を剃ったうえで、ショウキョウエキスと比較のエキスを別々のマウスに塗布した結果、ショウキョウエキスを塗布したマウスは毛が生えるスピードが有意に早かったとされます。

また、2008年にバスクリン(ツムラ)が行った試験では、ショウキョウエキスにボタンエキスなど計5種の成分を配合してヒトに塗布した結果、毛の成長速度や毛髪径、成長期毛率いずれも有意に増加したらしい。

…勘のいい人であればお気付きだと思いますが、私たち薄毛人間は健康な毛の生えるスピードが早まることなど求めていない。重要なのはハゲてしまった部位から再び髪の毛を復活させることができるかどうか…つまり発毛効果です。

既存の健康な髪の毛の成長を促進させる効果しかない医薬部外品の育毛剤というのは、薄毛に悩む人間にとって的外れなんですよね。だって成長を促進させる健康な毛自体が存在しないんだから。

赤ショウガから抽出したジンゲルシックスに比べれば、昔からあるショウキョウエキスはわずかながらまともな試験結果が存在する。しかしそれもAGAや薄毛に対してのものではないというのが実情。

ハゲていない人がイメチェン目的で坊主やスキンヘッドにして後悔し、早く髪の毛を生やしたいからショウキョウエキス入りの育毛剤を使うというのであれば、多少の効果は期待できるかもしれない。

しかし薄毛の改善には無意味と言わざるを得ません。

“独自成分”に対する疑問

ジンゲルシックスは本当に独自成分?

チャップアップには新配合されたジンゲルシックスについて、同育毛剤を販売するソーシャルテックが「チャップアップだけに使用されている弊社独自の成分」と胸を張る。

しかしこれ、完全なミスリードなのよね。

チャップアップは発売以来「天真堂」という独自ブランド向けの商品を開発・提供するメーカーに製造を委託しているのは有名な話。

イオンのプライベートブランドであるトップバリュの商品は、専門の大手メーカーに製造を委託していますよね。トップバリュのポテトチップスを製造しているのはカルビーといった風に。

チャップアップの場合、ぽっと出のベンチャー企業であるソーシャルテックに医薬部外品を研究・製造する規模や資金があるはずもなく、外部のOEMメーカーである天真堂に製造を委託するという形。

で、天真堂のホームページを見てみると…天真堂の独自成分として「Gingeria」なる赤ショウガエキスが掲載されている。

参照サイト:天真堂

天真堂は企業の独自ブランドとして製造や開発を請け負うメーカーなので、当然ながらチャップアップ以外にも赤ショウガエキスの提供を行う方針であるはず。ホームページに堂々と掲載しているくらいだからね。

つまり、赤ショウガを用いたチャップアップのジンゲルシックスは、赤ショウガエキス自体が独自成分なのではなく、「ジンゲルシックス」という名称の赤ショウガエキスが独自というだけの話らしい。

そもそも赤ショウガエキスに関してはオリザ油化株式会社も取り扱っているし、原材料となる赤ショウガ末は様々なメーカーが販売している。

つまり、天真堂の赤ショウガエキスも「Gingeria」という名称の赤ショウガエキスが独自というだけの話。まあ、具体的な抽出方法など細かい点を拾えば“独自”と言えなくもないのかもしれないが、それを言い出したら何でもありになる。

ちなみに、天真堂の“独自成分”であるGingeriaの売りは、高い抗酸化作用や美白効果となっており、少なくとも天真堂のサイトにおいて育毛には一切触れられていない。

化粧品に使われるという矛盾

ショウキョウエキスは化粧品によく使われる

赤ショウガエキスであるジンゲルシックスは、6-ジンゲロールが持つ血行促進作用などによりあたかも育毛に特化しているような印象を抱かせます。

しかしよく考えてみてください。チャップアップを製造している天真堂が赤ショウガエキスの売りとしているのは美白作用や抗アクネ作用など、顔に塗る化粧品を想定したものが多いことを。

仮にジンゲルシックスに薄毛を改善させるだけの強い発毛効果や育毛効果があるとしたら、顔に塗る化粧品に配合するのはあまりにもアレだよね。ムダ毛ボーボーだよ

強力な血行促進作用と発毛効果があるミノキシジルを顔に塗ることなんて考えられないように、もしジンゲルシックス含め赤ショウガエキスに強い育毛作用や発毛作用があるなら、化粧品に配合するなんてありえないはず。

育毛剤に配合されている成分の多くは基礎化粧品などにも広く使用されています。それら成分というのは抗炎症作用や血行促進作用があるだけで毛を生やしたり薄毛を改善させたりする力など存在しないこと裏付けている。

昔から化粧品や育毛剤に使用されているショウキョウエキスや、今回取り上げているジンゲルシックス(赤ショウガエキス)も同様。

これでもジンゲルシックスに賭けてみますか?

ジンゲルシックスで薄毛は治らない

2020年に行われたチャップアップのリニューアルに際し新たな目玉成分として新配合したジンゲルシックス。

M-034を増量しまくっているブブカや、海藻エキスを増やしアルガス-2からアルガス-3へと進化(?)しているイクオスEXプラスに対抗するためのてこ入れといったところなのでしょう。

しかししょせんはショウキョウエキス。M-034やアルガス-3といった海藻エキス同様、化粧品にも多く使われる成分だけに、毛を生やすような力はないと考えるべき。

前述したように、育毛剤によく使用されるビワ葉エキスやオウゴンエキスも5α-リダクターゼ阻害作用があるなどと散々宣伝されてきました。しかし、それら成分を配合した育毛剤は片っ端から産廃だった。

チャップアップをはじめ育毛剤の使用を考える人の中には、フィナステリドやミノキシジルといった発毛剤の副作用を懸念しているケースも多いことでしょう。そのため安易に「発毛剤を使え」とは言えません。

だからといってジンゲルシックスなるただのショウキョウエキスに過度な期待を寄せるのはナンセンス。

男性の薄毛の9割以上を占めるAGAを改善させたいのであれば現状発毛剤しか選択肢はありません。AGA対策のためにチャップアップなどの育毛剤を使用するのであれば、お金をドブに捨てる覚悟を持って臨みましょう。

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