成長因子で発毛とかハゲを舐めるな

近年、多くの育毛剤に配合され、AGAクリニックの一部治療でも使用されるようになった成長因子。しかしこれらを頭皮に塗ったり注入したりして発毛するなんて医学的根拠は一切ないため信用しないで下さい。

人間の体において成長因子は細胞の分裂や増殖を促進させる重要なたんぱく質であることに間違いはないものの、それを頭皮に使って髪の毛が抜けハゲてしまった部分に新たな髪が生えてくるなんてエビデンス(根拠)は存在しないのです。

でも、成長因子を頭皮に注入するハーグ療法は医師が行っているんだから、医学的に発毛効果が認められているんだろ?

そう感じている人もいるかもしれませんが、それは大きな間違い。

注入しても発毛効果が期待できない成長因子ですから、頭皮に塗布するなど論外。その辺を詳しく解説していきましょう。

成長因子とは?

まず、近年育毛剤などに使われる成長因子とはどういったものなのでしょうか?

成長因子(グロースファクター)とは、人間に限らずすべての動物に体内において、各部の細胞の増殖や分裂を促すたんぱく質のこと。

その種類は多く、育毛関連で使用されている主なものとして…

この辺が挙げられるでしょうか。

それぞれ働きや作用は異なるものの、細胞の増殖や分裂を促し成長を促進させるという点で共通しています。

髪の毛も毛乳頭細胞や毛母細胞から作られるものとあって成長因子を使った育毛に注目が集まっており、有名なイソフラボン+カプサイシンもIGF-1を増やして育毛するというもの。

まあ、あれを提唱した教授は19編の論文捏造疑惑で6ヶ月の休職処分をくらい、名古屋市立大学を退職していますがね。

頭皮に成長因子を注入するハーグ療法の嘘

細胞の増殖や分裂を促してくれる様々な成長因子を、注射や専用の機器によって頭皮に直接注入することから、高い発毛効果が期待できそうな雰囲気を漂わせているのがハーグ療法です。

しかも施術するのは医師とあってその信頼性に大きな期待を寄せる人も多いでしょう。その上、これを行うクリニックは「世界的に認められている」とか「多くの医学的根拠がある」と謳っているのだから、薄毛に悩む男性にとってこれほど心強いものはない。

しかし、何を持って「医学的根拠」と言っているんだ?

本来「医学的に根拠が認められた」というのは、多くの研究やデータが存在し、厳密な臨床試験を経て効果や副作用を洗い出し、国の機関が「効果が認められる」として初めて「医学的根拠」という。

しかしこのハゲ療法…もといハーグ療法は「世界で認められている」という割に、それが正式な治療として認められている国は確認できず、日本の厚生労働省はもちろん、米の厚生労働省にあたる米国食品医薬局(FDA)にも認められていない。

ちなみに、ハーグ療法を行うクリニックの多くは「日本医療毛髪再生研究会の認定を受けている」と信頼性をアピールしますが、この日本医療毛髪再生研究会はハーグ療法の研究を行っている一機関であり国が認定してるわけではない点に注意。

ハッキリ言ってしまえば「医師しか行えない方法を採用している民間療法」といえば分かりやすいか。費用も平気で100万円とかする。

成長因子を頭皮に注入することで高い発毛効果がありそうな“雰囲気”を漂わせていますが、そこに医学的な根拠がない上に、多くの場合厚生労働省やFDAに発毛効果があると認められているフィナステリドやミノキシジルと併用を推奨している

ハーグ療法による成長因子の効果をより確実にするために発毛剤の使用をおすすめしている…つまりフィナステリドやミノキシジルの使用はあくまでも“補助的”というスタンスだが、実績や医学的根拠からどう考えてもハーグ療法のほうが補助。

すごいぞ成長因子!

成長因子を配合した育毛剤はもはやギャグ

医師によって頭皮に直接注入するハーグ療法ですら発毛に対する医学的根拠はないというのに、育毛剤で頭皮に塗ってどうしようと?

成長因子で発毛するなんて医学的根拠は存在しない上に、毛根まで届くかどうかすら怪しい育毛剤に成長因子って…不確定要素のオンパレードで、冷静に考えれば考えるほど「意味なし」という言葉しか浮かばない。

成長因子の分子量というのはものによって異なるものの概ね数万。一方、皮膚から吸収されるための分子量は500以下とされています。

当然皮膚から吸収されることはなく、あとは毛穴から入ることができるかどうかといったところですが…毛穴の中というのは常に皮脂が分泌されているため、育毛剤の浸透はあまり期待できないという現実が。

仮に多少浸透したとしても、成長因子に発毛するという医学的根拠はなく、こんなもの塗る意味が分からない。

やや論点からずれるが、成長因子を配合している育毛剤というのはそのほとんどがキャピキシルを用いたもの。キャピキシル育毛剤は厳密には育毛剤出すらないただの化粧品である上に、一切の発毛効果がないのに大半が1万円オーバーと、「無駄」という言葉を体現したような代物。

頭皮に成長因子を注入するハーグ療法でも新たな髪が生えることはないのに、育毛剤(化粧品)とか何の罰ゲームだよって話である。

成長因子を用いた商品の過剰な売り込みに注意

成長因子を頭皮に注入するハーグ療法は一般的な施術で50万円は下りませんし、育毛剤にしてもほとんどが1万円を超えるなど高単価であり、それが売れれば提供する医療機関やメーカーは大きな利益を得ることができます。

そんなこともあって成長因子が絡んだ育毛関連商品のアフィリエイト報酬は高い傾向にあり、自サイト経由でネット上からハーグ療法などを行うAGAクリニックに予約を取らせて来院させると1~2万円の報酬が支払われます。

成長因子が配合されている育毛剤も高報酬傾向で、標準的報酬は3,000~5,000円。一定以上のアクセスや成果が望めるサイトだとフィンジアのように15,000~20,000円支払われる場合も。

これだけ高い報酬が支払われる成長因子絡みの育毛関連商品ですから、多くの育毛サイトで“成長因子の素晴らしさ”が過剰に演出され、キャピキシル育毛剤を売ろうとしたりAGAクリニックに誘導しようとしたりするでしょう。

当然AGAクリニックによる直接的なハーグ療法の宣伝も活発に行われています。そこではハーグ療法がいかに素晴らしく確実な発毛法かが延々書かれているでしょうが、「本当の意味での医学的根拠はない」と理解していれば滑稽に映ることうけあい。

育毛に携わる人間や医師が成長因子をどれだけ褒め称えたとしても、そこに髪の毛が生えるという根拠など存在しないことを絶対に忘れないで下さい。

発毛すると認められているのは発毛剤のみ

発毛剤ですら進行した男性型脱毛症(AGA)の状態からフサフサになるような完璧な発毛は今のところ難しいのが実情で、それだけに色々な育毛剤や治療を探している人も多いと思われ、もしかしたら成長因子に希望を見出しているかもしれません。

しかし今一度基本に立ち返って下さい。

日本において髪の毛が抜けてしまった部分からの発毛効果が認められているのはフィナステリドとデュタステリド、ミノキシジルの3つのみであり、米のFDAにおいてはフィナステリドとミノキシジルの2つのみ。

世界的にその状況は大きく変わらず、成長因子で発毛などナンセンスもいいところ。

2017年中に「男性型脱毛症診療ガイドライン」の策定が予定されています。2010年以来7年ぶりとなるため新たな治療に対する評価がどうなるか注目を集めており、ここで成長因子が認められることがあれば、追記・修正したいと思います。

認められればな。

成長因子に発毛効果はない

ハーグ療法の施術を行っているAGAクリニックにおいても、比較的まともなところであれば「発毛効果」「髪が生える」といった表現は使わず、「発毛促進」や「毛髪再生医療」程度の表現に留めているはず。

これはいくら医師が行う施術とはいえ発毛を謳うと色々と問題が出てくるから。実際今ある髪の毛が太く長く成長する“育毛効果”であればある程度の見込めるのかもしれません。

もちろん、我々ハゲが求めている効果は“それ”ではありませんが。

ただ、質の悪いクリニックだと平然と「発毛」を謳っている場合もあります。フィナステリドやミノキシジルといった発毛剤との併用であれば確かにこの表現も間違いではないのかもしれませんが、先ほども書いたようにこれでは成長因子が補助であり、表現的にも非常に悪質。

育毛剤の成長因子は…これを配合したキャピキシル系はそもそも育毛剤ですらないので、本来育毛効果すら謳うことはできず、発毛効果を匂わすなどもってのほか。

だけど実際は成長因子でいかにも髪の毛が生えそうなことを謳っています。

何度も書きますが、成長因子で髪の毛が生えるなんて医学的根拠は存在せず、あるのは一部の研究で効果が出たとする不確かなデータのみ。AGAクリニック屋育毛サイトの誇大な売り込みに騙されないよう注意して下さい。

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