ヒハツエキスが薄毛に効かない事実
「育毛」とは名ばかりの育毛系サプリメントの成分は髪の毛が生える発毛効果どころか、抜け毛予防や髪の成長をサポートする作用すら期待できません。定番であるヒハツエキスもそんな成分のひとつ。
このヒハツエキス、育毛サプリメントによく配合されている成分とあって、育毛効果や発毛効果を期待する人も多いのではないでしょうか。
しかしこれほど無意味な成分もそうそうない。
ヒハツエキスによって髪の毛が生えるという幻想を抱き、そして落胆する人がこれ以上生まれないよう、この成分と育毛に一切の関係がないことを説明していきます。
ヒハツエキスって何?
あまり聞き慣れない「ヒハツ」という言葉。育毛サプリメントによく配合されているとはいえ、具体的にどういったものなのかご存知の方は多くないと思います。
ヒハツはかつて身を乾燥させスパイスとして広く使用されていたもので、コショウ科に属するツル性の植物。
今現在も沖縄県を中心に「ヒハツ」「ヒバーチ」「ピパーチ」といった名で流通はしているものの、これらの多くは同属別種のヒハツモドキを用いたもので、厳密にはヒハツではないものも。
現在はスパイスとしてよりサプリメントの成分として有名になっている感が。育毛サプリメントはもちろんのこと健康系サプリメントにも積極的に配合され、これ単体のものも多数存在。
金の香りがしてきました。
ヒハツエキスの効果とは?
もはやスパイスとしてより健康食品の様相を呈しているヒハツエキス。具体的にどういった作用があり、それが育毛にどういった効果をもたらすとされているのか。
それはTie2(タイツー)というたんぱく質がカギを握っています。
血行促進効果
Tie2は血管やリンパ管の安定に寄与しているとされ、ヒハツエキスを摂取することでこれが活性化し、血管やリンパ管の老化や劣化を防いでくれるとされます。
それによって毛細血管などが活性化し血行が良くなるとか。今話題のゴースト血管を改善させる効果もあるらしいですよ。
育毛剤や育毛サプリメントにとって血行促進効果は切っても切れない関係にあるのはご存知の方も多いのではないでしょうか。
乱れた生活習慣や喫煙、ストレスなどによって頭皮への血流が悪化すると髪の毛の成長に欠かせない栄養や酸素が滞り、髪の成長が阻害され抜け毛が増えてしまうというお決まりの脅し文句。
そんな状況を改善してくれるのがヒハツエキス!これを飲めば頭皮に酸素や栄養がバッチリ送られてハゲとはおさらば!やったね!!
………
血管拡張作用により血圧を下げる
ヒハツエキスには血管拡張による降圧作用も期待できるとか。芝パレスクリニックや大正製薬の研究者が共同で行った臨床試験の結果がこちら。
出典:PierOnline
プラセボを用い、かつ120名という被験者の数を考えるとそれなりに信用できる試験データと見ていいでしょう。つまりヒハツエキスには血管拡張作用で血圧を下げる効果があると。
この効果、育毛・発毛分野においてもどこかで聞き覚えがありませんか? そう、世界中で使用されている発毛成分ミノキシジルと同じなのです。
ミノキシジルは元々高血圧を治療するための血管拡張剤。その後に発毛効果が認められ発毛剤として使用されたという経緯を見るに、ヒハツエキスにも同様の効果が期待できそうでもあります。
血管拡張作用によって血流の改善も期待できますしね。
髪の毛に効果ないヒハツエキス
しかしそうは問屋が卸さない。
ずっと昔から髪の毛に良いとされる血行促進効果も、ミノキシジルと同じ血管拡張作用も男性型脱毛症(AGA)などの薄毛には効果なしという現実が。つまりはヒハツエキスなど無駄ということ。
その理由とは…
血行促進作用で髪は生えない
頭皮をマッサージしたり、血行促進作用がある育毛剤をせっせと頭皮に塗ったりして育毛に勤しむのはハゲの性といえるでしょう。なぜなら「血行を良くすれば髪の毛が生える」と昔から信じられ、そういった情報が溢れているから。
しかし、血行を良くして髪の毛が生えるという根拠は一切ありません。
考えてもみてください。頭皮の血行が悪くなった結果薄毛になるというのであれば、頭皮全体の髪の毛が満遍なく抜けるはず。それどころか眉毛やまつ毛、ヒゲが薄くならないと説明が付かない。同じ頭部の皮膚なのですから。
しかし私たちのハゲはどう?生え際から頭頂部だけですよね。
理由は簡単、そのハゲは強力な男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」によって引き起こされるAGAだから。そしてこのAGAに血行など一切関係ない。
そもそも、血行が悪くなってハゲるという科学的根拠はないし、血行を良くして髪が生えるという根拠もデータもない。さすがに壊死するレベルで血を止めれば皮膚が腐って毛も抜けるだろうが。
ヒハツエキスの血行促進効果で育毛?笑わせるな。
一部には「血行促進によって男性ホルモンが活性化しAGAが悪化する」「血行が悪い方が髪の毛が生える」などとのたまう医師も。さすがにこれは信用できないが、血行促進で髪が生えないのは間違いない。
血管拡張作用では発毛しない
次にヒハツエキスが持つとされる血管拡張作用について。
血管を広げることで血流が改善したからといって髪の毛が生えることがないのは前述した血行促進が意味をなさないの同様。気になるのはミノキシジルと同じ作用であるという点ではないでしょうか。
しかし残念ながらミノキシジルの発毛効果は血管拡張作用によってもたらされているわけではありません。それはミノキシジル以外にも数多く存在する血管拡張剤によって発毛しない事実を鑑みれば理解できるかと。
ミノキシジルのみに認められる多毛症は、毛包に働きかけ毛母細胞の増殖や分裂を促すことが理由と考えられています。血管拡張作用で毛を生やしているわけではないのです。
ヒハツエキスとミノキシジルが同じ作用だからと期待しないように。
成分含有量がしょぼい
前述した血圧低下作用を確認したとする臨床試験で用いられたヒハツエキスは1日150mg。つまりこのくらいの量を使わないと目に見えた効果が出ないことになります。
ヒハツエキスに特化したサプリメントの成分含有量を見ると、商品によりばらつきはあるものの50~400mgくらいのものがほとんど。100~200mgくらいが平均と見ていいでしょう。
一方で育毛サプリメントに配合されている量といえば…ほぼ分からん。唯一公表しているイクオスサプリEXが5mg。他の商品は含有量を公表していないことから、これより少ないのは間違いありません。
100歩譲ってヒハツエキスが持つ血行促進作用や血管拡張作用が育毛に役立つと仮定したところで、5mg以下の量で効果があると思う?
育毛サプリメント全般に言えることですが、多くの成分を配合しているかわりに一つひとつの含有量を発表することは稀。それは含有量に自信が無いことの表れでもある。自信があれば宣伝のためにも公表するはずだからね。
発毛効果はおろか発毛効果すら望めないヒハツエキスをカスみたいな量配合しているサプリメント…こりゃ期待できるわー(棒)
ヒハツエキスの副作用
一定の血管拡張作用や血圧を下げる効果があるとされるヒハツエキス。医薬品のような作用が確認できるだけに副作用が気になるところでもあります。
ただ、臨床試験において副作用や有害事象は確認されておらず、安全というのが共通認識なっているようです。
一方、ヒハツエキスに含まれるピペリンという成分は医薬品と相互反応を示すことが確認されていることから、飲み合わせなどにより何らかの健康被害が出る恐れがあると結論付けている論文も。
効き目が緩やかとされる漢方薬ですら必ず副作用が存在するため、ヒハツエキスにそれがないとすれば「副作用なし=効果なし」という結論になる。だからといってハゲに効かないヒハツエキスに副作用があったらそれこそ二重苦。
まあ、育毛サプリメントに配合されるカスみたいな量であれば副作用など気にする必要もないだろう。副作用があろうがなかろうがハゲに効かないことを考えれば、ないに越したことはないしな。
ヒハツエキスはハゲに効かない
育毛剤メーカーなどが力を入れている育毛サプリメント。相乗効果でハゲが治りそうな雰囲気を演出していますが、そもそもサプリメントってただの健康補助食品だからね。発毛はおろか育毛にすら効果は一切ない。
そんな中に入っているヒハツエキスに期待する方がどうかしている。血行促進効果?血管拡張作用?それが私たちの薄毛にどう影響するというのか。
もはや常識のように語られている「血行促進作用で髪の毛に成長に必要な酸素や栄養を届ける」という文言は嘘ですからね。血流が多少悪くたってしっかりと届いているのはハゲ部分以外の毛を見れば明らか。
ヒハツエキスに無駄金を投資したところでハゲを食い物にする育毛関連メーカーを喜ばせるだけ。私たちの薄毛は悪化する一方です。
男性の薄毛のほとんどを占めるAGAを改善させるためにはフィナステリド、デュタステリド、ミノキシジルの3つの発毛成分を使う以外に方法はありません。
ヒハツエキスというまやかしの育毛(っぽい)成分に騙されないように。
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