キャピキシルはただの化粧品成分

キャピキシルに発毛効果や育毛効果なし

ここ数年育毛業界界隈でよく見聞きするようになった成分に「キャピキシル」の存在が挙げられます。複数の育毛剤や養毛剤がキャピキシルを配合していることもあり、気になっている人も多いことでしょう。

このキャピキシルは、カナダのLUCAS MEYER COSMETICS社がまつ毛の育毛のために開発した成分で、「アカツメクサ花エキス」と「アセチルテトラペプチド-3」を合成したもの。最近になって育毛剤にも使われるようになったという経緯があります。

キャピキシルを使った育毛剤や、これをおすすめする育毛サイトが決まり文句のように謳うのが「ミノキシジルの3倍の育毛効果」という衝撃的なキャッチフレーズ。しかしこれはM-034同様、なにか胡散臭さを感じますよね。

ではキャピキシルの真実と嘘に迫ってみましょうか。

キャピキシルの成分

キャピキシルがアセチルテトラペプチド3とアカツメクサエキスを配合して作られているというのは前述したとおり。それぞれの効果を見てみると…

アセチルテトラペプチド-3

アセチルテトラペプチド-3は4つのアミノ酸で構成され、高い細胞の修復機能で毛包の成長と定着を促し、かつ毛包を衰えさせてしまう原因となる炎症性サイトカインの生成を抑制する効果もあり抜け毛を予防する…とされる。

また、髪の毛の成長に関わる3型コラーゲンや7型コラーゲンといったたんぱく質を活性化するとも。

そう言い切れるだけの根拠は何なのか調べてみると、開発メーカーであるカナダのルーカス・マイヤー・コスメティックス社の研究によって出されたデータであることが分かる。

独自の研究で成果が出たものの、その後何の音沙汰もなく消えていった成分が様々存在するよね。アセチルテトラペプチド-3がそうだとは言い切れないが、客観性のない自社データほどあてにならないものもない。

実際、キャピキシルが開発されて以降も、アセチルテトラペプチド-3に関する追加のデータは出てきていません。他の育毛剤メーカーや化粧品メーカーなどは「検証する価値すらない」と見ているのではないでしょうか。

アカツメクサ花エキス

アカツメクサに含まれる「ビオカニンA」は、発毛剤に使われる成分であるフィナステリドデュタステリド同様5αリダクターゼの働きを阻害し薄毛の原因となるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を抑制する効果があると謳われている。

ちなみにこのアカツメクサはそのへんの野原に自生しているアレ。

アカツメクサ花エキスに効果なし

アカツメクサ花エキスに含まれるピオカニンAはイソフラボンの一種。そのイソフラボンはDHTの生成を阻害する女性ホルモン「エストロゲン」に近い働きをすることで知られています。

つまり、イソフラボンの一種であるピオカニンAはエストロゲン同様5αリダクターゼを阻害する…的な考えなのか?

エストロゲンがDHTの生成を抑制するのは間違いない事実ですが、イソフラボンを摂取することによって薄毛やAGAが改善したという客観的なデータは存在しません。

ましてやイソフラボンを頭皮に塗って男性型脱毛症(AGA)が改善するとか、無理にこじつけた連想ゲームという印象しか受けない。


キャピキシルはアセチルテトラペプチド-3とアカツメクサ花エキスの2つによって構成され、薄毛を強力に抑制・改善するとされています。

しかしそれは開発したルーカス・マイヤー・コスメティックス社が自社データを元にそう主張しているだけ。

現実的にはAGAや薄毛に効果なし…と考えるのが自然です。

キャピキシルがミノキシジルの3倍効果って本当?

キャピキシルについてもっとも気になるのは「ミノキシジルの3倍の効果」という点ではないでしょうか。本当にそれだけの効果があれば効果があれば発毛成分として認可されることも容易いと予想され、世界中で爆発的に普及しているはず。

キャピキシルに効き目は一切ない

キャピキシルがミノキシジルの3倍の効果が出たとする根拠は、上図のデータはキャピキシルを開発したカナダのLUCAS MEYER COSMETICS社のもの…つまり自社データであり全幅の信頼を寄せるのは危険と言わざるを得ません。

また、そのデータは実際に頭皮に塗布して調査したものではなく、細胞を採取して培養したものを使っており、この点でもM-034同様胡散臭さを感じてしまいます。

そして、これが一番気になるところなのですが、「ミノキシジルと同等の育毛効果」を謳うM-034同様、キャピキシルも「3倍の“育毛効果”」と謳っている点。

既存の髪の毛の成長を促したり、抜け毛を予防したりする効果は多少あるのかもしれませんが、新たな髪を生やす発毛効果は期待すべきではないでしょう。

ミノキシジルの3倍は大嘘

「ミノキシジルの3倍の効果」というのは、実際の人間の頭皮に塗布した場合とは程遠い培養した細胞を用いたもので、かつ客観性のない自社データ。では実際に人間の頭皮に使用した場合はどうなのか?

ルーカス・マイヤー・コスメティックス社ではこの点についても研究データを公表しています。

このあたりは言ったもん勝ちの様相を呈している日本の育毛剤メーカーに比べてしっかりしているよね。自社データとはいえ、ある程度のお金と時間をかけて研究・開発しているのだから。

しかしデータに関しては厳しい目を向ける必要があります。まずはこのデータを見て下さい。

キャピキシルとプラセボのデータ

これは実際に人間の頭皮に使用したもので、左のグラフが成長期の髪の毛の増減率、右が休止期の髪の毛の増減率を示したもの。

キャピキシルを使用することによって成長期の髪の毛が13%増え、休止期の髪の毛が29%減っていることが見て取れます。しかし比較対象はPlacebo(プラセボ)…つまり偽薬ということになります。ミノキシジルどこいった?

ミノキシジルと比較したのは最初に挙げた培養細胞を用いたもののみで、その後の比較対象はすべてプラセボということになります。なんでそこでもミノキシジルを使用しなかったのだろう?

常識的に考えれば、ヒトに対する試験で「ミノキシジルよりはるかに効果的」と示すことがキャピキシルの信頼性に繋がるはず。実際、培養細胞を用いた試験においてはミノキシジルと比較しているのだから。

にもかかわらず、ヒトの頭皮に塗布する試験では一転して対プラセボのデータに切り替えたということは、「ミノキシジルと比較する試験を行ったら、キャピキシルにとって都合が悪い結果になったのではないか」…と勘繰ってしまう。

明らかに不自然ですよね。

■キャピキシルのデータは開発会社のもので信憑性には疑問も
■M-034同様ミノキシジルと比べているのは育毛効果

試験内容が信頼に値しない

日本の育毛剤が使用する成分のほとんどは発毛根拠となるデータがないのに、あたかも髪の毛が生えそうな印象を与えている点が悪質。一方で海外製の成分はしっかりと研究し詳細なデータを添付しているものも多く好感が持てます。

しかしね、キャピキシルの試験内容は信頼に値するとは言い難いもの。

試験のデータでは成長期の髪の毛が増える一方で休止期の髪の毛が減るなど素晴らしい結果が出ているが、この試験の対象者はたったの30人。しかもキャピキシルを使用する群とプラセボを使用する群に分けているためそれぞれ15人ずつ。

プロペシアやリアップが1つの群にそれぞれ100~150人ほど振り分けていたことを考えると、この数字は決して多いとはいえない。統計学的にはあまり意味がない試験といえるでしょう。

それでも有意な改善を示す臨床データが何編が存在するのであれば、アデノシンのように一定の発毛効果が認められることもありますが、キャピキシルのデータは開発メーカーのものしか存在しません。

常識的に見ればこの程度のデータで発毛根拠があるなんて、とても認められるわけがない。実際キャピキシルを発毛成分として認めている国は1つも存在しない。開発メーカーの本国カナダですらね。

しかし、キャピキシルを配合する育毛剤を販売しているメーカーや、これを売ろうとする育毛サイトは「エビデンス(科学的根拠)がある!」と鼻息荒く書いている。

日本皮膚科学会をはじめ世界の公的機関に相手にされないような成分のどのへんにエビデンスがあるというのか?

キャピキシルのエビデンス【2021年最新版】

キャピキシルが世に出たのは2014年頃。

そしてこの記事を最初に書いたのは2018年であり、キャピキシルが育毛剤(厳密には養毛剤)に使用されるようになってから、せいぜい2~3年しか経っていませんでした。

その頃はキャピキシルに明確なエビデンス(科学的根拠)が無かったのは事実であるものの、それから3年以上が経過し研究が進んでいる可能性もあるかも…と感じ、新しいデータが存在しないか調べてみました。

結果は…皆無

カナダのルーカス・マイヤー・コスメティックス社で追加の試験を行った形跡はありませんし、他社や研究機関がキャピキシルの臨床試験を行うというようなこともない。完全に足踏み状態です。

分かりやすく言うと…放置

まあ、ルーカス・マイヤー・コスメティックス社的には育毛剤メーカーへのライセンス販売でかなりの利益を上げているでしょうし、本来の用途であるまつ毛美容液の分野でも十分に浸透している。

これ以上試験を行わずとも十分稼いでくれている…といったところか。

育毛剤や発毛剤に救いを求める私達ハゲの立場からすれば、より信頼性のあるデータや実績が欲しいと感じるところですけどね。

結局キャピキシルは「発毛・育毛しない成分」のままという結論に。

副作用がないキャピキシル

もはや育毛剤の売り文句として定着しているものとして、「発毛剤と違い育毛剤には副作用がない」というメリットが挙げられます。

しかし、西洋薬はもちろん効果が緩やかなイメージがある漢方薬ですら必ず何かしらの副作用があるのは常識。多少でも薬の知識がある人間であれば、強い育毛・発毛効果があるのに副作用がないなんてありえないことに気付くはずです。

強力な発毛効果があるミノキシジルも、外用薬で使用される場合劇的に生えるような強い効果は望めない一方で、副作用も頭皮のかゆみや湿疹程度の軽いものに。それでも一応副作用のリスクはあります。

ミノキシジル本来の発毛効果を得るために「ミノキシジルタブレット」を服用すれば、本来の用途である「降圧剤」としてのネガティブな部分…血圧低下やめまい、動悸などの副作用が現れる可能性も。

また、プロペシアに代表されるフィナステリドや、ザガーロの主成分デュタステリドは薄毛の原因となる男性ホルモンの生成を抑制するため、性欲減退や精液の質低下など性機能障害の副作用リスクがあることで知られています。

一方でキャピキシルには副作用がないという。

遺伝という強い力によって髪の毛が抜け落ちてしまった部位から再び髪を生やすためには、それ相応の“力”が必要になります。しかし、私たちの体に何らかの強い力が加われば、どこかしらに無理が生じる…当たり前ですよね。

熱を無理に下げれば菌やウイルスに対する免疫力が低下する、強い薬を飲めば胃が荒れる、気持ちを落ち着かせる薬を飲めば、効き目が切れた時に精神的に不安定になる…薬のメリットとデメリットは表裏一体なのです。

常識的に考えて、もしキャピキシルにミノキシジルの3倍の効果があるのであれば、副作用がないことなど考えられません。ここに大きな矛盾を感じます。

ハッキリ言ってしまえば「副作用がない=効果がない」と受け取ってもらって構いません。

副作用がない…一見すると非常に魅力的に感じるこの言葉。しかしそれは自ら「効果がない」と認めているようなものなのです。キャピキシルには効果も副作用もない、と。

■本当にミノキシジルの3倍の効果があるなら副作用がないことは考えられない

キャピキシルの価格の高さは超デメリット

キャピキシル配合育毛剤は高い

薄毛の人から注目されるキャピキシルですが、価格は非常に高価と言わざるを得ず、使用している人は思いのほか少ない印象を受けます。

キャピキシルを配合した育毛剤のほとんどは10,000円を超えており、定期コースでフィンジアがギリギリ10,000円を切る程度。

フィンジアより後発のバイタルウェーブが8,200円と圧倒的な安さを実現しているものの、普通の育毛剤に比べればやはり高いのは間違いない。

5%でも一定の発毛効果が認められているミノキシジルを、15~16%配合しているフォリックスFR16ですら5,000円くらいで買えるのに対し、発毛根拠のないキャピキシルに10,000円の金を出すというのは、私の感覚からいくと正気の沙汰ではない。

リアップX5プラスネオと同じミノキシジル5%配合のリグロースラボM5なんて1本あたり1,700円ですよ。世界的に発毛効果が認められているミノキシジル外用薬がこの価格で買えるのに、発毛効果がないキャピキシルに1万円出す必要などない。

一応個人輸入で買える、海外製キャピキシル配合育毛剤「ボントレスヘアセラム」なら4,000円程度で買えるので、日本のものに比べるとかなりリーズナブルだが…

ボントレスヘアセラムの詳細

何度も書くようですが、キャピキシルにミノキシジルのような発毛効果は見込めず、かつ副作用を懸念する人が多いミノキシジルも、頭皮に直接塗布する外用薬であれば、副作用はせいぜい頭皮のかゆみや炎症程度です。

1万円前後もするキャピキシル配合ローション…それでも買いますか?

キャピキシル配合育毛剤 実はただの化粧品

実はキャピキシル配合育毛剤って厳密には「化粧品」だってこと知ってましたか?

医薬部外品の育毛剤を名乗るには、「育毛成分」と厚生労働省に認められたものを規定量配合している必要があり、育毛剤には必ず3種前後が配合されています。

代表的なものを挙げると、センブリエキスやグリチルリチン酸ジカリウム、酢酸-α-トコフェロール、ニンジンエキスなどがそれ。

しかし、キャピキシルを配合した時点で育毛剤と名乗れないのか、5%配合するためには規定の有効成分を切り捨てなければならないのかは分かりませんが、キャピキシルを配合したものは厚生労働省に認められた育毛剤ではなく、ただの化粧品です。

キャピキシルをおすすめするサイトやブログでは「高い効果を実現するための成分を優先している」なんてフォローしているものの、常識的に考えればメーカーとしては育毛剤と名乗りたいはず。

化粧品の養毛剤と医薬部外品の育毛剤では信頼性に大きな隔たりがありますからね。しかしすべてのキャピキシル製品でそれができていなということは、厚生労働省に認可されない何らかの理由があるのでしょう。

裏を返せばキャピキシルはその程度の成分であることの証左。発毛根拠がないこと、副作用がない程度の効果しか見込めないことなどを勘案するに、AGAに対し効果なし。価格が高いこともあり、使用する価値はないと結論付けます。

キャピキシルの総評

「ミノキシジルの3倍の育毛効果」と謳われているうえに、これを配合する育毛剤(化粧品)が総じて高価であることから、「キャピキシルはすごい成分」という印象をお持ちの方も多いのではないでしょうか。

しかし、この成分の背景や開発メーカーが公表しているデータを見てみると、「しょせんはただの化粧品成分」という結論に至るはず。

キャピキシルを異常に持ち上げ、これを配合したローションをおすすめしてくるサイトはすべて金目的で提灯記事を書いているに過ぎません。フェアな視点で見れば実績、価格、医学界からの評価などミノキシジルに勝っている点など皆無なのですから。

化粧品だからといって絶対に生えないとは言い切れないんじゃないの?」。そう感じる人もいると思います。確かにその通り。開発メーカーの自社データとはいえ、優位性が認められる試験結果も存在しますからね。

しかし今一度冷静に考えてみて下さい。

世界的にAGAへの有効性が認められているフィナステリドやミノキシジルと、ぽっと出でデータが極めて少なく、発毛根拠に乏しい化粧品成分のキャピキシル。常識的に考えてどちらの期待値が上ですか?

例えばあなたが病気になったとき、病院で処方される薬と、そのへんで売っているサプリメント、どちらを信用しますか? ミノキシジルとキャピキシルの信頼性はそのくらい大きな差があるのです。

しかもミノキシジル外用薬よりキャピキシルローションの方が高い…本音を言えば「こんなもん買う奴はバカだな」という印象しかない。

そして、キャピキシルの効果を過剰に演出し、薄毛に悩む人間の足元を見るような商売をしているメーカーや育毛サイトに対しても憤りを感じざるを得ない。

本気で薄毛をどうにかしたいのであれば、キャピキシルローションなど使わず、必ず発毛剤を使うようにしてください。

1万円あれば、1ヶ月分の海外製のデュタステリド+ミノキシジルタブレット+最強のミノキシジル外用薬「フォリックスFR16」をすべて購入してもお釣りがくるのですから。

副作用のリスクがないからといって、髪の毛が生えなければ本末転倒。生えないキャピキシルに散財するくらいなら、何もしないほうがお金を使わない分まだましです。

キャピキシルの代替品は?

副作用がないこと、そして「ミノキシジルの3倍の効果」という点に魅力を感じてキャピキシルを使用している、興味を持っている人が大半だと思います。しかし残念なことにキャピキシルには発毛効果はないというのが実情。そして無駄に高い。

じゃあ何を使えばいいのか?

前述したとおり、副作用が取りざたされるミノキシジルも外用薬であればリスクはかなり少なくなります。仮に副作用が出るとしても頭皮のかゆみや炎症程度で収まります。

発毛剤の副作用が怖いのであれば、まずは発毛剤の中でもリスクが少ないミノキシジル外用薬を使ってみてください。リアップX5プラスネオと同じ5%濃度であれば、頭皮に対する刺激もそれほど大きくはありません。

アメリカ製のリグロースラボM5であれば、2本セットで3,820円、1本あたり1,900円とリアップX5プラスネオの5分の1の価格で、リポソームを使用した高い浸透力も期待できます。アメリカ製とあって信頼性もまったく問題ありません。

まずはリグロースラボM5を使ってみて、頭皮の状況や発毛状況を見ながら、そのまま使い続けるか、もしくはより濃度の高いフォリックスなどに移行することを考えてみてはいかがでしょうか。

頑張ってキャピキシルを使っても薄毛やAGAが改善することはありません。それどころか薄毛は進行する一方でしょう。キャピキシルで時間とお金を無駄にし後悔する前に、真剣に発毛剤の使用を検討してもらいたいと思います。

リグロースラボM5の詳細

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