デュタステリド内服薬の使い方や用法用量
日本ではAGA治療薬として2005年から処方されてきたプロペシア(フィナステリド)に代わる次世代の発毛剤として登場したデュタステリド内服薬ザガーロ。
先発薬であるザガーロは価格がネックで思いのほか普及していない印象を受けますが、個人輸入を用いることでジェネリックが8分の1程度の価格で購入できることもあって、フィナステリドから乗り換える人も多くなっています。
そんなデュタステリド内服薬、一般的な使い方として1日1錠となっていますが、1日のどのタイミングで飲めばいいのか、いまいち効果を感じない場合増量してもいいのかなど疑問に感じる点も。
どういう使い方をするのがベストなのか?過剰摂取の心配は?飲むタイミングの科学的根拠なども交え解説していきましょう。
デュタステリド内服薬とは?
デュタステリドは2015年9月28日に発毛剤として厚生労働省に認可され、2016年6月13日に発売されたザガーロや、それ以前から前立腺肥大症の治療薬で使用されていたアボルブの主成分。
プロペシアやフィンペシアの主成分であるフィナステリドと同じく元々は前立腺肥大症の治療薬として用いられていたデュタステリドですが、同疾患と男性型脱毛症(AGA)の原因が共にジヒドロテストステロン(DHT)であることから、AGA治療薬として注目を浴びるように。
作用はフィナステリド同様、男性ホルモンであるテストステロンに働きかけることによってDHTに変換させる作用を持つ「5αリダクターゼ(5α還元酵素)」を阻害しDHTを減少、それにより薄毛を改善させるというもの。
そう聞くと「フィナステリドと一緒じゃん」と感じると思いますが、そこには大きな違いが存在します。
フィナステリドとデュタステリドの違い
5αリダクターゼを阻害することによってAGAの原因であるDHTの生成を強力に抑制するフィナステリドとデュタステリド。
その5αリダクターゼには1型と2型が存在し、フィナステリドは2型のみを阻害するのに対し、デュタステリドは1型と2型両方の阻害作用があるのが特徴。
これにより血清中のDHT濃度を減少させる効果は、フィナステリドが約7割なのに対しデュタステリドは約9割。
また、フィナステリド1mg、デュタステリド0.1mg、0.5mgを用いた臨床試験においては優秀な結果を残しているのも大きな特徴。
プラセボ(偽薬)、フィナステリド1mg、デュタステリド(ザガーロ)0.1mg、0.5mgをそれぞれ約150人に使用したところ、直径2.54cm円内に非軟毛の数がデュタステリド0.5mg群において有意に増えたのが見て取れます。
この増加数が一般的なフィナステリド内服薬である1mgに対し約1.6倍だったことが、プロペシアに代わる次世代の発毛剤として期待される所以となっているのです。
デュタステリドの用法用量
さて、そんなデュタステリドの使い方、一般的な使い方は1日1錠(カプセル)。それは0.1mgであっても0.5mgであっても同様です。
ただ、ザガーロ以外のデュタステリド内服薬はすべて0.5mgですし、AGAクリニックや皮膚科においてもよほど希望しない限り0.1mgが処方されることはないため、実質「デュタステリド=0.5mg」と思っておいた方がいいでしょう。
適応
AGAに高い効果を示すデュタステリドですが、効き目を発揮するのは男性型脱毛症(AGA)のみです。円形脱毛症や脂漏性皮膚炎による脱毛など、AGA以外の薄毛には効果を発揮しません。
なぜなら、デュタステリドはAGAの原因物質であるDHTを抑制するための薬であるから。DHTが原因で発症する脱毛症はAGAもしくは女性男性型脱毛症(FAGA)のみ。デュタステリドは女性が使用することはできないため、おのずAGAの男性のみということに。
また、未成年に対する安全性は確認されていないことから、使用できるのは20歳以上の成人男性に限られます。
使用期間
ザガーロやアボダート、ベルトリドなどのデュタステリド内服薬は、服用後3ヶ月程度で薄毛の改善が認められることがありますが、正確な効果を評価するためには6ヶ月使用するべきとされています。
一方、ザガーロに関する公式な文書の中には「6ヶ月間使用しても薄毛に改善が見られない場合は投薬を中止すること」とある。
これはつまり6ヶ月間で効き目がなければ、その後も効果を発揮する可能性が低いことを示唆していると思われます。
しかし「改善が見られない」という表現はなんとも微妙なところ。なぜなら、デュタステリドに限らず発毛剤の効果によって改善はしないが進行もしない状況は往々にして起きるから。
実際プロペシアの臨床試験では1年間の使用で40%は進行なしという結果が出ている。基本的に進行する一方であるAGAの場合、進行を食い止めているだけでも薬の効果が出ていることになるのです。
デュタステリドを6ヶ月間使用して目立った改善が見られないとしても、薄毛の進行が止まっていると感じているのであればもう少し続けるべきでしょう。
デュタステリドを飲む最善のタイミング
1日に1回の服用が基本となるデュタステリド内服薬。しかし公式に飲む時間帯についての言及はありません。つまり、朝でも夜でもいいことになる。朝飲み忘れたのであれば昼に飲んでも問題ありません。
しかし、可能であれば毎日決まった時間の服用をおすすめします。
デュタステリドはプロペシアなどのフィナステリドに比べ半減期が長いという特徴があります。毎日飲み続けることで血清中のデュタステリド濃度が一定に保たれ、それがフィナステリドより高い効果を発揮する理由のひとつという見方も。
体内での分解が緩やかであるため、毎日飲む限りある程度の濃度が保たれることは間違いありませんが、飲む時間が異なると若干ながら血中濃度に“ムラ”ができてしまうのも確か。
より安定した効果を望むのであれば、飲む時間帯を決め可能な限りそれを守るべきと考えられます。
夜飲むのがベスト?
ある程度飲む時間を決めておけば基本的に1日のどの時間に服用しても問題ないデュタステリド内服薬。しかし中には「夜飲むのが良い」という声もあります。
その理由はデュタステリドを分解する酵素CYP3A4は夕方に最も活性化するという説があるため。それを避ける形でデュタステリドを夜使用すれば、服用から約90分後の血中濃度のピークからの落ち込みを緩やかにできるという。
しかし、薬というのは血中濃度が高ければいいというものではありません。血中濃度を高めたいなら量を増やせばいいだけですしね。
事実、デュタステリドを分解するCYP3A4を阻害する薬の飲み合わせや、グレープフルーツなどの食品を摂取することに対し注意喚起されています。それによって薬の血中濃度が上がり副作用のリスクが高まるためです。
ただ、夜飲むことによって血中濃度が劇的に上がるわけではないので、CYP3A4を阻害する食品や薬を飲んでいないのであればデュタステリドを夜服用することに何ら問題はないでしょう。
また、髪が作られたり成長因子が活発に分泌されるのは就寝後3時間という説があります。それを鵜呑みにするなら、デュタステリドの血中濃度が高いうちにその時間帯を迎えるのは有効なのかもしれません。
となると、デュタステリドは服用後約90分程度で血中濃度がピークに達するので、寝る前に飲むのがベストとなる。
飲む時間に関しては、基本的に毎日同じ時間を守っていれば問題ありませんが、少しでも効き目を強くしたいと考えるのであれば夜飲んでみるのもいいのかもしれません。
ま、気休め程度に。
デュタステリドの1日の限度量は?
フィナステリドに比べ約1.6倍の発毛効果があるとされるデュタステリド。しかし、それでも思うような効果が得られない場合もあるでしょう。
そういった場合、服用する量を増やすことは可能なのか? またそれによってより高い効果が得られるのでしょうか?
推奨量はあくまでも0.5mg
フィナステリドの場合、AGA治療薬としての1日の限度量は1mgなのに対し、前立腺肥大症の治療薬としては5mgと大きな開きがあります。そういったことから、一部のハゲは1日2.5mgや5mg服用するオーバードーズ(過剰摂取)を実施する場合も。もちろん非推奨。
しかしデュタステリドに関してはAGA治療薬としても前立腺肥大症の治療薬としても0.5mgが推奨されています。
その理由はAGAや前立腺肥大症を引き起こすDHTの血清中濃度にあります。
デュタステリドの有効性に対する試験では0.5mgのほか0.05mgや0.1mg、より高濃度な2.5mgが用いられているものが複数存在し、その中で血清中のDHT濃度は0.5mg以上でほぼ頭打ちになることが示されているのです。
上図はザガーロと同じグラクソ・スミスクライン社が製造・販売する前立腺肥大症治療薬アボルブの試験結果。0.5mgと、その5倍にあたる2.5mgでの血清中DHT濃度はほとんど変わりません。
であるなら、量を増やす分だけ副作用リスクが高まると考えるのが妥当。デュタステリドは0.5mgを超える量を服用してもメリットがないというのが公式の発表なのです。
2.5mgでより高い効果が出たというデータも
一方、0.5mgより2.5mgのほうが効果があったというデータも存在します。
416名を対象にプラセボ(偽薬)、フィナステリド5mg、デュタステリド0.1mg、0.5mg、2.5mgの5つをいずれかを24週間使用した結果、試験領域の髪の毛の数は以下のような増減を示しました。
髪の毛の本数 | |
---|---|
プラセボ | -32.3本 |
フィナステリド5mg | +75.6本 |
デュタステリド0.1mg | +78.5本 |
デュタステリド0.5mg | +94.6本 |
デュタステリド2.5mg | +109.6本 |
こう見るとデュタステリド2.5mgはより高い発毛効果を示していますね。
この研究においても前述アボルブの試験結果同様、血清中のDHT濃度は0.5mgも2.5mgもほとんど変わらなかったが、頭皮のDHT濃度は0.5mgが51%減だったのに対し、2.5mgは79%抑制したことが確認されています。
一方副作用に目を向けると、デュタステリドの典型的な有害事象のひとつ「勃起障害」は確認できなかったものの、性欲減退に関しては0.5mg群で1名なのに対し、2.5mgでは9名と明らかに多くなっています。
2.5mgの方が効き目があるのは確かだが0.5mgと比べ劇的とまではいえず、効果と副作用のバランスを考え最終的には0.5mgがベストではないかと結論付けられています。
正しい使い方で安全な発毛を
デュタステリドの正しい飲み方、ベストな服用法などについて取り上げてきましたが、いかがだったでしょうか。
最も気になるであろう服用量に関しては、2.5mgが効果が高いというデータがある一方で副作用も強く、結局は0.5mgが最もバランスが取れているという結論で間違いないと思います。
仮に多めに飲むとしても、デュタステリド内服薬は0.5mgを超えるものが存在しない点もネック。
フィナステリドであればプロペシアやフィンペシアの5倍にあたる5mgのフィンカーやプロスカーが存在しますが、0.5mgまでしかないデュタステリドでオーバードーズしようとするとコストがかかってしょうがない。
そういった点においてもデュタステリドは0.5mgにしておきましょう。より効果を高めたいなら気休め程度に寝る前に飲んでみてはいかがでしょうか。デュタステリドの理想的な使い方はそれが結論になるでしょう。
デュタステリドの効果に限界を感じているのであれば、増量を考えずミノキシジルタブレットや高濃度ミノキシジル外用薬フォリックスFR16の併用をした方がずっと効果的と付け加えておきます。
おすすめのデュタステリド内服薬は?
それでも「ちょっと多めに飲みたい」というのであれば、ザガーロなどの先発薬は価格面で負担が大きすぎます。
そういった場合におすすめなのはベルトリド。
インドの大手製薬会社で、世界中にジェネリック医薬品を流通させるインタス社が製造販売するベルトリドは、100錠入りとして最安値であるうえ、3箱同時購入すると300錠入りのデュタスより2,000円以上も安くなる優れたコストパフォーマンスを誇ります。
一方、価格と信頼性を両立させたいならザガーロと同じグラクソ・スミスクライン社製の純正品アボダート。日本では前立腺肥大症の治療薬としてアボルブという名で処方される同薬は、正規品でありながら海外向けというだけでザガーロの3分の1の価格。
安さのベルトリド、信頼性と価格を両立したアボダート。デュタステリド内服薬をおすすめする上で真っ先に挙げられるのがこの2つになります。
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