パントガールで髪が生えることはあるのか?
世界30ヶ国以上で使われている飲む育毛剤パントガール。
フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった発毛成分は一切使われておらず、「こんなもんで髪が生えるのか?」という疑問は湧いてくるものの、フィナステリドなどが使えない女性を中心に世界中で使われているのは事実。
AGAクリニックで処方されるケースも多く、そう考えると発毛効果がありそうな気もしますが、実際のところどうなのでしょうか?
発毛剤の項目で書くべきものかどうか迷ったのですが、世界的に使われAGAクリニックでも処方されていること、日本の育毛剤とは性格が異なる点から一応ここで書くことにしました。
成分や臨床試験データからパントガールの効果を探るとともに、男性に効くのかどうかについても厳しく検証してみたいと思います。
パントガールの成分
“世界30ヶ国以上で使われる飲む育毛剤”という強烈な肩書を引っさげているパントガールですが、具体的にどういった成分が配合されているのでしょうか?
パントガール(1粒当たり) | |
---|---|
成分 | ビタミンB1 60mg D-パントテン酸カルシウム 60 mg 薬用酵母(Vigar-yeast)100mg L-シスチン 20mg ケラチン 20mg パラアミノ安息香酸 20mg |
日本の育毛剤と比較すると明らかに少ない印象を受けますね。まあ、日本の育毛剤は外用薬であるため、内服薬となるパントガールと単純比較はできませんが。
これは1粒当たりの含有量。パントガールは1日3回、1粒ずつ飲むことが推奨されているため1日に摂取できる成分はこれの3倍になります。
成分が6種類しかないので全部を簡単に見てみますか。
■ビタミンB1
ビタミンB1はビタミンのB1です。(当たり前)
育毛業界においてビタミンB群は重要とされており、そんな中でビタミンB1は糖代謝を促す効果があり、脳へのエネルギー供給や疲労回復などの効果があります。
…いや、ハゲと関係ないじゃん。
ちなみに1錠60mgで1日分180mgというのはサプリメントとして考えると非常に多量で、そのへんのビタミンB1に特化したサプリより遥かに多い。
なぜビタミンB1がそんなに必要なんだろう…?
■パントテン酸カルシウム(ビタミンB5)
パントテン酸カルシウムはビタミンB5のことで、パントガールの名前の由来になっていると思われる成分です。
効果はエネルギー代謝を促したり、コラーゲンの生成を助けたりといったもので、美容面でも積極的に使われています。
コラーゲンの生成を促すため髪の毛の土台となる皮膚や頭皮を健康に保つ効果が期待されそうな気もしますが、正直こんなもので髪の毛が生えるとは到底思えない。
ちなみに、パントテン酸は多くの食材に含まれており、普段の生活の中で欠乏するようなことはほとんどないと言われており、1日分のパントガールに含まれる180mgが必要なのかどうかは怪しい。
ストレスを軽減する効果もあるとされるので、そのへんも影響しているのか?
まあ過剰摂取による弊害もないのでとりあえず摂っとけといったところか。
■薬用酵母
謎成分。
説明文を見ると「ビタミンやたんぱく質を豊富に含む頭皮ケアに効果的なオールラウンドな栄養成分」とあるので、なんか色々入っているっぽい感じ。
でもそれを言ったら納豆とかでも豊富な栄養素が含まれる髪の毛に良さげな食品ということになるので、過剰な期待は超禁物。
これが1日分300mgとか言われても具体的なものが一切分からないので「はぁ…」という感想しか出てこない。
■L-シスチン
アミノ酸のひとつで、髪の毛を作るケラチンというタンパク質の元となります。
ケラチンは髪の毛のみならず爪を構成するタンパク質で、またシミの原因となるメラニンの生成を抑えるなどの効果があるため美容関連商品でよく用いられます。
ケラチンを構成するアミノ酸の中でもケラチンはもっとも多く含まれるため育毛に良いとされますが、ケラチンはシスチンをはじめ18種のアミノ酸で構成されるためシスチンだけとっても意味がないのは言うまでもない。
ちなみにパントガールの1日分60mgのシスチンはまあまあの量で、カスみたいな量しか入っていない育毛サプリメントの数十倍は入っている。
■ケラチン
髪の毛の99%を構成するケラチン。「もうメンドくせぇからそのまま入れちまえ」的な発想…かどうかは分かりませんが、パントガールにはそんなケラチンも配合されています。
「ケラチンを直接摂れるならこんな良い事ないじゃん」と感じる方もいらっしゃるかもしれませんが、基本的に経口摂取したタンパク質はそのまま吸収されることはなく、アミノ酸に分解されてから吸収されます。
言うまでもなくパントガールのケラチンも髪の毛に変わることなくアミノ酸に分解され全身に回されます。
ただ、ケラチンを構成する18種のアミノ酸がしっかりと摂取できることに間違いはないので、意味はあるような気もしなくもない。
とはいえアミノ酸を摂って髪が生えるなら肉でも食っとけって話でもある。
■パラアミノ安息香酸
ビタミンB群の生成を補助する働きのあるパラアミノ安息香酸はパントテン酸(B5)や葉酸(B9)と相性が良い成分。
白髪を黒髪に戻す効果があるとか言われることもありますが、ハゲはそんなことを望んではおらず、ぶっちゃけ髪が生えるならすべて白髪でも良いと思っている。
白髪が多いことが悩みとか殺意が芽生えるレベル。
パントガールで髪の毛は生えるのか?
ここまでパントガールの全成分について触れてきましたが、成分を見るにこれで髪の毛が生えるとは到底思えないというのが正直なところ。
ほんとにこれが世界30ヶ国以上で使われる飲む育毛剤なのか?
6種類の成分しか入っていないこともあって一つひとつは十分な量入っているものの、肝心の成分が微妙にずれているというか、見当外れというか…
元々は高血圧治療のための血管拡張剤であったミノキシジルに強い発毛効果があったように、パントガールの成分にも表向きの効果からは分からない効き目や組み合わせの妙があったりする…のか?
都合の良いことを適当に並べている日本の育毛剤に比べパントガールは世界中で使われているのですから、それなりの実績があると見るのが自然ではあるものの、成分からはその片鱗を見ることはできない。
基本的には女性に向けた飲む育毛剤なので、女性であればある程度の効果が期待できるのかもしれません。
パントガールの臨床試験データ
成分的には特筆すべきものがない印象のパントガールですが、女性を対象にした臨床試験では優秀な成績を収めています。
女性の薄毛の大半を占める、頭部の髪の毛が全体的に薄くなる「びまん性脱毛症」の女性29人にパントガールを処方した結果、平均脱毛数は投与前に94本だったものが6週間後には53本、3ヶ月後には45本に減少しています。
また、びまん性脱毛症と髪の毛の損傷を有する1,629人の女性を対象に行った試験において約4ヶ月間パントガールを処方し、医師と患者双方にびまん性脱毛症の治療効果を評価してもらった結果がこちら。
なんでこの程度の成分構成でこれほどの結果が出るのか不思議ではあるものの、複数の試験において女性の薄毛に対する効果が確認されているという事実が。
成分の組み合わせや含有量に私たちがうかがい知れない秘密があるのかもしれません。
パントガールは男性にも効果あるのか?
世界中の薄毛女性から愛されているパントガール。男性にも効果があるのか気になりませんか?
先ほど書いたことの繰り返しになりますが、パントガールに入っている成分の効果をそのまま受け取るなら髪の毛が生えるとは到底思えず、遺伝による強固な男性の薄毛に対してであれば尚更。
また、女性に対しての臨床試験は行われている一方、男性を対象にした試験は皆無。つまり男性に効くという保証はどこにもないのが実情なのです。
一応男性でも使用できることになっているものの、基本的に「女性専用」と銘打っているのでわざわざ男が使う必要はないかと。
あくまでもフィナステリドやデュタステリドが使えず、男性に比べ薄毛の原因も強力なものではない女性向けといったところか。
男がパントガールを使うメリットはほとんどない
パントガールは世界中で使われる海外製の育毛剤とあって発毛剤枠で書きましたが、入っている成分自体は極めて平凡かつありふれたもので、おそらくこれで発毛することはないでしょう。
価格面でも1ヶ月分6,000円を超えるなど決して安くなく、フィンペシアやミノキシジルタブレットが1ヶ月1,000円程度で買える現状、男性がこれを使うメリットはないと言っても過言ではありません。
女性に対してであれば一定の効果が期待できるのかもしれませんが、今となってはパントガールと全く同じ成分・含有量に馬プラセンタとコロストラムが入ったルグゼバイブがほとんど変わらない価格で買えるため、女性にとってもあまりメリットはないかと。
もし今現在パントガールを飲んでいて十分な効果を実感しているのであれば、止めたり他の育毛剤に代えたりといったことをする必要はありませんが、これから新規に始めようというのであればルグゼバイブがおすすめ。
男性であればデュタステリドを使っておけば発毛への期待も高まるでしょう。
あわせて読みたい関連記事
ネット専売の女性用育毛剤といえばマイナチュレが思い浮かぶ人も多いと思いますが、これに発毛効果はありません。それどころか元々汎用育毛剤を使い今でもそれがベースになっていることから”女性用”である根拠すら一切見当たりません…続きを読む
インターネットを中心に販売する女性用育毛剤でマイナチュレと人気を二分するのがベルタ育毛剤です。しかし人気とは裏腹に発毛効果は一切なく、しかも非常に高い価格、改悪した返金保証などおすすめする要素は見当たりません…続きを読む
世界30ヶ国以上で使われるパントガールをさらにパワーアップさせたルグゼバイブ。パントガールの成分、含有量そのままに高価な馬プラセンタを大量に配合し、牛の初乳コロストラムも追加。成分一つひとつを詳しく見ながら髪の毛が生えるかどうか検証してみたいと思います…続きを読む
「女性の薄毛に対しても最も効果が高い発毛剤は何か?」と問われれば即座に「ミノキシジルタブレット」と答えざるを得ないほど圧倒的な効果があります。価格が安いなどメリットも多いものの副作用のリスクも存在するため最終手段という位置づけになるでしょうか…続きを読む
プロペシアに代表されるフィナステリド内服薬は男性にとっては効果が高い発毛剤ながら、女性に対しては効果がなく妊婦には危険であるため使用するべきでないとされます。しかし海外の研究に目を向けるとフィナステリドが女性の薄毛に効果があったとするデータが複数確認できます…続きを読む
女性が唯一使うことができる発毛剤ミノキシジル。しかし女性は濃度1~2%のものしか使えないという説が一般的になっています。しかしアメリカやカナダでは女性向けの5%製剤が認可されています。より高い発毛効果を望む女性に向けその効果や副作用に迫ります…続きを読む
女性に人気の育毛剤のひとつに花蘭咲(からんさ)があります。エビネ蘭エキスが特徴的な同商品ですが、髪の毛を生やす発毛効果は一切ありません。加えて価格が安いわけでもなく本気で薄毛を改善させたいと考えている女性にはおすすめできません…続きを読む
育毛サイトのほとんどに設置されている育毛剤ランキング。そもそも育毛剤で髪が生えることはない上に、このランキングは報酬が高く運営者が儲かる順に並べているだけなのです。消費者を食い物にする育毛剤ランキングの裏側に迫ります…続きを読む
ネットで育毛剤を調べるとそのほとんどが絶賛されていることに驚きを感じると思います。しかしそれは効果が高いからではなく自分のサイト経由で育毛剤が売れた際の報酬が高いからで、いわゆる提灯記事ですので騙されないようにして下さい…続きを読む
女性用育毛剤としてそこそこ人気のあるハリモアですが一切の発毛効果なし。それもそのはず、育毛剤というのは髪の毛を生やすことが目的ではないため発毛しなくて当たり前なのです。しかし多くの女性はその事実を知らずに使っておりミスマッチが生まれています…続きを読む
育毛剤には男性用と女性用があり、性別に合ったものを使うべきとされていますが、これは大嘘。成分的にも効果的にも男性用と女性用はほとんど変わらず、違いはターゲットのみ。どっちを使っても一切の発毛効果なし…続きを読む