リリィジュは女性の薄毛に効果なし
累計500万本以上を売り上げていると豪語する女性用育毛剤リリィジュ。「それだけ売れているなら効果も間違いないのだろう」と思いがちですが、現実問題として薄毛女性の髪の毛を生やす効果はありません。
500円のお試しセットなど一見良心的なプランを打ち出すなど顧客の獲得に余念がないリリィジュですが、私達からしてみれば髪の毛が生えなければ何の意味もありませんよね。
また共同開発者として某医師が名を連ね信頼性を強調しているものの、そこには大きな疑問を抱かざるを得ません。
リリィジュが女性の薄毛改善に効果がない理由はもちろん、いくつかのツッコミどころも交えて効かない根拠を詳しく紹介していきましょう。
- 薬用リリィジュの全成分は?
- 有効成分は普通
- 桑白皮エキスと桐葉エキスに物申す
- 医師共同開発に感じる不自然さ
- リリィジュに副作用は?
- 「女性のため」は本当か?
- リリィジュを使っても髪の毛は生えない
薬用リリィジュの全成分は?
女性用であれ男性用であれどの程度の効果があるのかを検証するにはすべての成分に目を通す必要があります。ということで、まずはリリィジュの全成分を見てみましょう。
リリィジュ | |
---|---|
成分 | センブリ抽出リキッド(有効成分) β-グリチルレチン酸(有効成分) パントテニルエチルエーテル(有効成分) ニコチン酸アミド(有効成分) 桐葉エキス ソウハクヒエキス アセチル化ヒアルロン酸ナトリウム 酵母エキス-1 グルコシルヘスペリジン 乳酸セチル 塩化トリメチルアンモニオヒドロキシプロピルヒドロキシエチルセルロース クララエキス(1) 無水エタノール BG |
女性用育毛剤としては非常に少ない成分数になっています。
乳酸セチルや塩化トリメチルアンモニオ、エタノールやBGは溶剤やコンディショニング剤といった用途で使われるため育毛とはまったく関係のない成分。それを除外すると4種の有効成分を含めても10種。
医師が処方する医薬品の多くが特定の成分に特化している点を考えると成分の数が少ないことは決してネガティブな材料ではないものの、無駄に成分数が多いマイナチュレやベルタ育毛剤などを比較対象にしている人にとっては物足りなく感じるかもしれない。
もう一度書きますが、育毛剤の成分数が少ないことは問題にならない。問題は主要な成分にどれだけの効果があるのかという点なのです。
有効成分は普通
ではリリィジュの少ない主要成分について見ていきましょう。まずは医薬部外品の育毛剤と名乗る上で絶対に欠かせない4種の有効成分から。
ちなみに育毛剤の多くは有効成分3種であるため、リリィジュの4種というのはやや多い部類。言うまでもなく数は問題にならないが。
センブリ抽出リキッド
センブリ抽出リキッドとは平たく言えば「センブリエキス」、インターネットを主戦場にする育毛剤の大半に配合されているなんの発毛効果もないアレ。以前はバラエティ番組の罰ゲームにもよく用いられた苦いやつ。
主な作用は血行促進作用と抗炎症作用で、いわゆる頭皮環境の改善に役立つとされる成分になっています。
ただ、女性の薄毛の原因は薄毛を引き起こす男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」と女性ホルモンであるエストロゲンの減少なので、センブリ抽出リキッドを頭皮に塗ったところで髪は生えません。
β-グリチルレチン酸
センブリ抽出リキッド(センブリエキス)と並んで育毛剤に多く使用されるのが甘草(カンゾウ)から抽出されるグリチルリチン酸。
女性用育毛剤のみならず化粧品や男性用の育毛剤に多く使用されるもので、抗炎症作用が主な効果。とはいっても薄毛や抜け毛をもたらすほどの酷い炎症には完全に力不足の「とりあえず定番のグリチルリチン酸を入れとけばいっか」的成分。
個別の育毛剤に効果がないと訴える上でほぼ確実に出てくる成分で、毎度毎度「発毛効果など一切ない」と書いているのでもううんざり。
パントテニルエチルエーテル
パントテニルエチルエーテルはビタミンBの一種で、頭皮に影響を補給すると共に保湿効果があるとされています。
多くの育毛サイトではパントテニルエーテルに細胞の分裂を促すため髪の毛を成長させる効果があるなどと書いていますが、頭皮にこれを塗ってそういった効果が出るなんてデータは存在しません。
化粧品にも多く使用される同成分にそんな効果があったら顔毛やヒゲが濃くなって大変だろうに。
ニコチン酸アミド
ニコチン酸アミドもビタミンB群の一種になります。
昔から育毛剤の有効成分としてよく用いられていた成分で、センブリエキス同様血行促進作用や抗炎症作用があります。
言うまでもないが、ホルモンが影響している女性の薄毛においてこんなもんを少量塗ったところで髪など生えはしない。
女性用育毛剤リリィジュの有効成分について見てきましたがいかがでしょうか?
育毛剤は医薬部外品を名乗る上で厚生労働省が有効成分と定めたものを一定量配合する必要があり、育毛剤に配合される成分の中で最も含有量が多くなる場合がほとんど。
そんな育毛剤成分の中でそれなりの割合を占める有効成分において、リリィジュのそれはすべて男性用のものにも多用されるもので、これを見る限り「女性用」と名乗る根拠は一切ありません。
桑白皮エキスと桐葉エキスに物申す
成分数が少ないリリィジュの中でもっともプッシュしているのは前述の有効成分ではなく「桑白皮エキス」と「桐葉エキス」になっています。
有効成分は何の変哲もない汎用品を使用しているため、この2つがリリィジュの効果を量る上で重要になるのは間違いありません。で、桑白皮エキスと桐葉エキスの特徴や効果はというと…
桑白皮エキス
桑白皮(そうはくひ)エキスとはそのへんに自生している桑の根の皮から抽出したエキスのこと。桑白皮は漢方薬や化粧品にも広く使用されています。
なんでも休止期の毛を減らし成長期の毛を増やす効果があるとのこと。ニュージーランドのウサギに使用した際に発毛が確認されたらしく、これを発見したとするリリィジュの販売メーカー富士産業株式会社は「科学的根拠がある」と鼻息が荒い。
ウサギの体毛で効果が出たから何?
医学的に「科学的根拠(エビデンス)がある」とされるのは人間に対し厳密な臨床試験を行った場合であり、動物実験で効果が出たなど話にならないレベル。
桑白皮エキスは化粧品にも多く使われ、ウサギの「体毛」を増やしたとする効果が人間にも適用されるのであれば、これを配合した化粧品を塗った際は顔の毛が濃くなることになりますよね。しかしそんな話は一度も聞いたことがない。
発毛剤に使われるミノキシジルのように全身の毛が濃くなる作用があるため、外用薬は頭皮限定というのであればまだしも、「化粧品として顔に使えば毛は生えないけど頭皮に使えば生えます」とか何かの宗教か?
とりあえず人間の頭皮に対して二重盲検法などを用いた臨床試験を行い、明らかな有意差を認めてから出直してこい。
…と思ったら、一応男性55名、女性13名に対する臨床試験を行っているらしい。
その中では男性の60%、女性の53.8%に改善が見られたとされていますが、肝心の試験内容などは明らかにされていないから客観性はなさそう。
顕著に改善したとする下記写真においても、光の当て方や分け目の作り方の問題のようにしか見えないのだが…こういうのって使用前は強い光を当てて頭皮を目立たせるのが常套手段ですよね。周囲の色を見ても明らか。
特に右の女性の分け目が違うのが気になる。綺麗に分けるよりアバウトに分けたほうが頭皮が目立つのは当然。この写真だけでは実際の効果は量れません。
そもそもこの臨床試験では女性のほうが効果が小さいという結果が出ているんですけど、リリィジュって男性用育毛剤だったっけ?
桐葉エキス
リリィジュの目玉成分のもうひとつめが桐葉エキスです。
名前のとおり桐の葉から抽出されたエキスで、こちらは女性25人に対して臨床試験が行われています。対象は60歳以上が18例、40~59歳が6例、~39歳が1例。ずいぶん年齢層が高いな。
評価としては84%の女性に軽度改善以上の効果が出たとしています。判定方法は手軽に施行できるとの理由で写真判定。…写真判定とはまた大雑把な…
実際に改善例の写真を見てみましょう。
出典:富士産業研究開発センター
桑白皮エキスと違ってこちらは確かに改善が見られるようです。
改善度が曖昧なことや対象人数の少なさ、判定方法、試験の内容など医薬品の臨床試験に比べ稚拙かつ大雑把であることは否めないものの、この内容に偽りがないのであれば一定の効果は望めるのかもしれません。
ただし、この試験において桐葉エキスは「熱水で抽出し得られたエキスを0.5%(W/V)で50%エタノールに溶解する」と使用量が明記されていますが、リリィジュにどのくらい入っているかは明記されていないのはご愛敬…なのか?
リリィジュの開発・販売メーカーである富士産業株式会社は桑白皮エキスや桐葉エキスについて複数の論文を作成したり学会発表を行ったりと活発に行動しています。
…の割に桑白皮エキスや桐葉エキスは育毛剤の有効成分としてすら認められていません。その他の成分に甘んじている理由とは何なのだろう?
医師共同開発に感じる不自然さ
このリリィジュの開発には医師である桑名隆一郎氏が共同開発しています。しかし氏の動向を色々と調べてみると若干不可解な点を感じます。
リリィジュに使用されている桑白皮エキスには高い育毛効果があるとして日本医学育毛協会という団体が推奨しているようなのですが、この団体の理事がこの桑名隆一郎氏。氏は書籍などを用い桑白皮エキスを猛プッシュしています。
この団体は2008年に「その役割を終えた」として活動を休止しているのですが、その理由として挙げられているのが発毛剤プロペシアの登場です。
つまり、同団体は発毛剤が登場する以前から育毛に取り組んできて、その過程で桑白皮エキスなどの研究を行っていたが、圧倒的な効果がある発毛剤の登場によって役目を終えた(存在理由がなくなった)ということになります。
常識的に考えて医学的見地に立つべき医師が発毛効果のない育毛剤を共同開発したりおすすめしたりするなどおかしな話。しかし発毛剤登場以前であれば「少しでも効果がありそうな成分を研究する」というのは分からない話でもない。
実際桑名隆一郎医師著で桑白皮エキスについても言及している「よみがえる黒髪」という本の初版は平成7年。プロペシアはおろかリアップすら発売されていない時代のものになっています。
それだけ長い歴史がありながら有効成分にすら指定されていない桑白皮エキス。そしてプロペシアの登場で役目を終えた日本医学育毛協会。
桑白皮エキスは発毛の進化に付いていけなかった成分という印象は否めず、本来科学的な発毛根拠のある発毛剤を勧めるはずの医師がいまだに桑白皮エキスをプッシュし、かつ育毛剤の共同開発を行うというのは違和感を感じざるを得ません。
そういった点では桐葉エキスの方が期待できるか。
リリィジュに副作用は?
リリィジュに副作用はないらしい。もはや育毛剤の決まり文句だが。
“高い”発毛効果があるとする桑白皮エキスに副作用はほとんど認められず、同じく高い発毛効果があるとする桐葉エキスにいたっては副作用はとくに認められないと販売メーカーは明言しています。
副作用はないのに高い効果はあるんだ。
しっかりとした効果が立証されている薬には必ず副作用が存在し、効き目が比較的弱い薬であっても同様です。安全なイメージのある漢方薬ですら副作用は100%存在します。
で、リリィジュには副作用がないと?
効果や作用と副作用は表裏一体。副作用がないということは効果もないということに他なりません。
「女性のため」は本当か?
リリィジュが女性用育毛剤として売られているのはご存知だと思います。しかし本当に女性の薄毛に特化していると言えるのでしょうか?
というのも、女性用育毛剤として売られているもののほとんどは男性用(男女兼用)と成分的に大差なく、大人気のマイナチュレにいたっては元々男性に人気のチャップアップやブブカ、イクオスといったものと同じく天真堂のソヴール08というOEM用汎用育毛剤を使用していました。
現在は成分に多少の変更や追加を加えたもののベースは同じ。つまり「女性用」というのはターゲットを絞ることを目的とした方便であり、実際は男女兼用のものと何ら変わりないのです。
ではリリィジュはどうなのか?
ここまで書いてきたように成分的に男性用とほとんど同じであるものの、桐葉エキスだけは女性に対しての研究を主に行っているため、他の育毛剤に比べれば女性用らしい性質があると言えなくもありません。
ただし効くかどうかは別問題。
「桑白皮エキスや桐葉エキスはこんなに素晴らしいんだよ」と必死にデータを持ち出していますが、肝心のリリィジュに関してはそういったデータが存在しないんですよね。
「女性のための育毛剤」を名乗るのであれば、被験者はもちろん試験に関わる医師などのスタッフもどの育毛剤を使ったか分からない上にプラセボ(偽薬)を用いた二重盲検法など厳格な臨床試験においてリリィジュがどれほど効果があったのかを示すべき。
じゃなければ、これまでの試験で用いた成分濃度をリリィジュにも適用した上で、しっかりと含有量表記するべき。
まあ、日本の育毛剤でそれを行っているメーカーはほとんどないけどね。
リリィジュを使っても髪の毛は生えない
リリィジュ含め医薬部外品の育毛剤というのはそもそも髪の毛を生やすことを目的とした商品ではありませんし、薬機法(旧薬事法)により発毛効果や「髪の毛が生える」という表現すら使えません。
それが可能なのは医薬品の発毛剤のみ。
「この成分はこれだけ効果がありましたよ」とどんなに謳ったところで、それはあくまでも自社調べ。客観性がない上に結果を都合よく解釈し、都合の悪い点は黙殺するのが企業の常であります。
リリィジュを販売する富士産業株式会社がそうであると決めつけるつもりは毛頭ありませんが、桑白皮エキスや桐葉エキスについて同社が謳う「副作用はないのに発毛効果はある」なんて都合の良いことが存在するのだろうか?西洋薬に比べ効き目が穏やかな漢方薬ですら副作用は必ず存在すると医師は明言するのに。
ハッキリ言います。リリィジュで女性の髪は生えません。
リリィジュなどの育毛剤とプロペシアやミノキシジルといった発毛剤の関係は、民間療法と医療機関による標準治療の関係性に似ています。
「効果がある」と販売メーカーが称するだけで発毛根拠のないリリィジュを使うか、膨大なデータにより発毛効果が立証されている発毛剤を使うかはあなた次第。
女性はプロペシアやザガーロといった発毛剤は使用できませんが、確実な科学的根拠を有したミノキシジルを1%配合する大正製薬のリアップリジェンヌ、海外に目を向ければミノキシジル2%でリアップより安いフォリックスFR02や女性用ロゲインなど女性にも使える発毛剤が存在します。
高くて効かない育毛剤をわざわざ使わなくても…というのが正直なところ。
あわせて読みたい関連記事
ネット専売の女性用育毛剤といえばマイナチュレが思い浮かぶ人も多いと思いますが、これに発毛効果はありません。それどころか元々汎用育毛剤を使い今でもそれがベースになっていることから”女性用”である根拠すら一切見当たりません…続きを読む
インターネットを中心に販売する女性用育毛剤でマイナチュレと人気を二分するのがベルタ育毛剤です。しかし人気とは裏腹に発毛効果は一切なく、しかも非常に高い価格、改悪した返金保証などおすすめする要素は見当たりません…続きを読む
世界30ヶ国以上で使われるパントガールをさらにパワーアップさせたルグゼバイブ。パントガールの成分、含有量そのままに高価な馬プラセンタを大量に配合し、牛の初乳コロストラムも追加。成分一つひとつを詳しく見ながら髪の毛が生えるかどうか検証してみたいと思います…続きを読む
「女性の薄毛に対しても最も効果が高い発毛剤は何か?」と問われれば即座に「ミノキシジルタブレット」と答えざるを得ないほど圧倒的な効果があります。価格が安いなどメリットも多いものの副作用のリスクも存在するため最終手段という位置づけになるでしょうか…続きを読む
プロペシアに代表されるフィナステリド内服薬は男性にとっては効果が高い発毛剤ながら、女性に対しては効果がなく妊婦には危険であるため使用するべきでないとされます。しかし海外の研究に目を向けるとフィナステリドが女性の薄毛に効果があったとするデータが複数確認できます…続きを読む
女性が唯一使うことができる発毛剤ミノキシジル。しかし女性は濃度1~2%のものしか使えないという説が一般的になっています。しかしアメリカやカナダでは女性向けの5%製剤が認可されています。より高い発毛効果を望む女性に向けその効果や副作用に迫ります…続きを読む
女性に人気の育毛剤のひとつに花蘭咲(からんさ)があります。エビネ蘭エキスが特徴的な同商品ですが、髪の毛を生やす発毛効果は一切ありません。加えて価格が安いわけでもなく本気で薄毛を改善させたいと考えている女性にはおすすめできません…続きを読む
育毛サイトのほとんどに設置されている育毛剤ランキング。そもそも育毛剤で髪が生えることはない上に、このランキングは報酬が高く運営者が儲かる順に並べているだけなのです。消費者を食い物にする育毛剤ランキングの裏側に迫ります…続きを読む
ネットで育毛剤を調べるとそのほとんどが絶賛されていることに驚きを感じると思います。しかしそれは効果が高いからではなく自分のサイト経由で育毛剤が売れた際の報酬が高いからで、いわゆる提灯記事ですので騙されないようにして下さい…続きを読む
女性用育毛剤としてそこそこ人気のあるハリモアですが一切の発毛効果なし。それもそのはず、育毛剤というのは髪の毛を生やすことが目的ではないため発毛しなくて当たり前なのです。しかし多くの女性はその事実を知らずに使っておりミスマッチが生まれています…続きを読む
育毛剤には男性用と女性用があり、性別に合ったものを使うべきとされていますが、これは大嘘。成分的にも効果的にも男性用と女性用はほとんど変わらず、違いはターゲットのみ。どっちを使っても一切の発毛効果なし…続きを読む