フィナステリドは女性の薄毛にも効果がある
薄毛男性にとってフィナステリド(商品名:プロペシア等)は救世主だが、女性は使うことができない危険な薬…これは医師や専門家の間で常識となってます。
フィナステリドを女性が使うべきでない理由が複数存在しているのは間違いなく、それに対して異論を唱える余地はありません。しかし海外においては今も研究が活発に行われ、フィナステリドが女性の薄毛に効果的だとする研究結果が複数出ているという事実も。
それを知ってしまうと巷に溢れる「危険」「絶対に使うべきではない」という日本での情報は偏りがあり、かつ古いという印象は否めません。
女性がフィナステリドを使用することをおすすめするつもりはありませんが、ある条件下においては女性にも効果が出ているという事実をお伝えしたいと思います。
- 女性のフィナステリド使用に対するスタンス
- 女性がプロペシアを使えないとされる大きな理由
- 薄毛女性に有効性を示すフィナステリドデータ
- その他有効性を示唆するデータ
- 女性がフィナステリドを使える条件
- 女性に対する効果は世界的に認められていない
- 基本的に女性はフィナステリドを使うべきではない
- ミノタブよりフィナステリドという選択も
女性のフィナステリド使用に対するスタンス
プロペシアやフィンペシアなどに代表されるフィナステリド内服薬が女性にも効果があったとするデータや根拠を紹介する前に、当サイトのスタンスを明確にしておきたいと思います。
当サイトでは「プロペシアが使えない女性は他の発毛剤を」というページにおいて女性がフィナステリドを使用することは避けるべきというスタンスを取っています。
妊娠の可能性がある女性にとって危険な薬である事実、世界を見渡しても女性の薄毛に対してフィナステリドが有効だと認めている国はないことが大きな理由。
ここではフィナステリドが女性の薄毛にも効果があったという複数の研究結果やデータを紹介しますが、多くの女性がフィナステリドを使うべきではない状況は変わりません。
あくまでも「こんな研究結果がある」「限られた条件下では効果が期待できる」という可能性を提示するだけ。これを見て「私も使ってみよう」と安易にフィナステリドに手を出さないようお願い申し上げます。
女性がプロペシアを使えないとされる大きな理由
そもそもなぜ女性はプロペシアなどのフィナステリドを使用できないのか?
その理由は大きく分けて以下の2つ。
- 妊婦や授乳婦にとって危険な薬だから
- 女性に効果がなかったとする研究データがあるから
まずは注意喚起のため、これらの理由をひとつずつ詳しく見ていきます。
妊婦や授乳婦にとってフィナステリドは禁忌
女性がフィナステリドを使うべきではない最大の理由は、妊娠している、もしくは授乳中の女性の場合、胎児や乳児の生殖器の成長の悪影響を与える可能性があるから。
プロペシアやフィンペシアに代表されるフィナステリドの作用は、5αリダクターゼ(5α還元酵素)の働きを阻害することによって男性型脱毛症(AGA)の原因となる男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」の生成を抑制するというもの。
しかしこのDHT、薄毛を引き起こすため「悪玉ホルモン」なんて不名誉な呼ばれ方をすることもありますが、男性らしさを作り出す重要なホルモンであり、特に男児の生殖器の成長に大きく寄与するとされます。
妊娠中の女性であればDHTの生成を抑制することによって胎児の生殖器に異常が発生する可能性が指摘され、授乳中であれば母乳を介してフィナステリドが乳児に移行、同じく生殖器の成長に悪影響を与える可能性が。
この悪影響は妊娠初期から出ることが予想されますので、妊娠に気付いてからフィナステリドの使用を中止すればいいというものではありません。
妊娠、授乳中の女性はもちろん、妊娠を希望している人もフィナステリドを使用することは禁忌。これは疑いようのない事実です。
女性に対する臨床試験で効果が否定されている
2000年にアメリカで公開された論文によると、妊娠の可能性がない閉経後に薄毛に悩む女性137人に対してフィナステリド1mgを1年間投与した結果、効果があるどころか薄毛が進行したとされています。
この試験結果、プラセボ(偽薬)と効果を比較した信頼性の高いデータで、プラセボ群、フィナステリド1mg群どちらも1年後には毛髪数の減少を認めており、女性の薄毛にフィナステリドは効果がないという結論に。
この試験に加え妊婦や授乳婦には禁忌であることもあって、フィナステリドは女性が使うべきではないという結論に至っています。
薄毛女性に有効性を示すフィナステリドデータ
2000年に発表されたアメリカの研究によって女性への効果が否定されたフィナステリド。日本で女性のフィナステリド使用を否定する意見の多くがこの研究を引き合いに出し効果がないことを強調しています。
しかし海外ではこの後も薄毛女性に対するフィナステリドの効果を検証する動きは続いており、むしろ肯定的なデータが増えてきた感すらあります。特に以下の2つのデータは薄毛に悩む女性に可能性を示唆している。
ちなみに、男性と同じく男性ホルモンDHTを原因とする女性の薄毛のことを日本では女性男性型脱毛症(FAGA)と呼んでいますが、海外ではFemale Pattern Hair Loss(FPHL:フィメール・パターン・ヘアー・ロス)と呼んでいますので、文中では「FPHL=FAGA」という認識でお願いします。
2.5mgのフィナステリドで女性の薄毛が改善
2006年に発表されたイタリアの論文では、薄毛女性に1日2.5mgのフィナステリドを投与することで改善したと報告されています。
FPHLの症状を持つ閉経前の女性37名に対し、経口避妊薬とフィナステリド2.5mgを1年間使用した結果はこれまでの常識を覆すものでした。
- 大幅な改善…3名
- 中等度改善…8名
- 軽度改善…12名
- 改善なし…13名
- 悪化…1名
このデータを見るに、62%の女性に薄毛の改善が見られ、35%が変化なし、3%が悪化という結果になります。この数字は男性に対して行われたプロペシアの臨床試験のデータとほぼ一致するもの。
一方で懸念される副作用(有害事象)は報告されなかったとも。
ただ、一般的なプロペシアがフィナステリド1mgなのに対し、この試験では2.5mgと高用量のものを使用しており、かつ経口避妊薬の関連も不明であるため、さらなる調査が必要と結論付けられています。
2011年には女性に対するフィナステリドの発毛効果を実証
2010年には韓国のソウル国立大学によって女性に薄毛に対しフィナステリドの効果を検証する大規模な調査が行われています。
この調査はFPHLを発症する閉経前および閉経後のアジア女性87名を対象に行われており、使用する薬剤は高用量となるフィナステリド5mg。期間は12ヶ月間。その結果、女性の薄毛に対して改善が見られています。
- 大幅な改善…4名
- 中等度改善…10名
- 軽度改善…57名
- 改善なし…13名
- 悪化…3名
5mgと高用量ということもあってか81.4%の女性の軽度以上の薄毛改善がみられ、変化なしが15.1%、悪化が3.5%と良好な数字が得られています。数字だけを見れば男性が使用するプロペシア以上の成績といえる。
また、髪の毛の密度のみならず髪の毛の太さも増加が認められています。
一方、副作用が出たのは4人(4.6%)。その内訳は頭痛、生理不順、めまい、体毛の増加となっているものの、どれも軽度なもので短期間で解消されたとのこと。
これらの結果から、フィナステリドは薄毛に悩む女性の効果的な選択肢になり得るのではないかと結論付けられています。
その他有効性を示唆するデータ
上記の2つは女性に対するフィナステリドの有効性を示した代表的なもの。これら以外にもいくつかの論文を見つけることができます。
2004年に発表されたスイスの論文では、閉経後の女性5人に2.5もしくは5mgのフィナステリドを数ヶ月間投与した結果、すべての人に頭髪の改善が見られたとしています。
しっかりとした発毛効果が確認できた一方で副作用は認められていません。
対象人数が少ないことから有効性の実証とはいえないものの、治療に有効である可能性があると締めくくられているのが印象的。
低用量フィナステリドの試験も
女性の薄毛に対するフィナステリドの効果を検証した試験はどれも2.5mgもしくは5mgと高用量のものを使用しています。男性に対するフィナステリドの1日の上限が1mgであることを考えると、副作用の報告が少ないにせよ安全性に懸念が生まれるのは当然の流れ。
そんな状況からか、2012年には韓国から1.25mgのフィナステリドを用いた試験の結果が発表されています。
33~58歳の女性18人を対象に7ヶ月間フィナステリド1.25mgを投与した結果、明確な効果は確認できなかったものの、髪の密度と太さに改善が見られたり薄毛の進行が止まったりといった結果が見て取れたとも。
一方で依然報告されていた頭痛や生理不順といった副作用は見られなかったため、効果を確認するためにより多くの被験者と期間が必要になると示唆しています。
フィナステリド1.25mgでは2.5mgや5mgのような明確な効果は確認できなかったが、可能性は残したためさらなる大規模な試験が必要になるという見解に。
女性がフィナステリドを使える条件
女性に対するフィナステリドの効果を検証した複数の研究から見えてくることは、以下のようになります
- 2.5mgや5mgで有意な効果が期待できる
- 閉経後もしくは避妊薬使用など妊娠しない状況が重要
- 高用量のわりに副作用は軽度
- 男性が使用する1mgではあまり効果が期待できない
絶対条件として、妊娠しない環境が必要になります。
胎児に悪影響があることはすべての研究においての共通認識であるため、フィナステリドを女性が使用する場合は閉経後もしくは経口避妊薬の併用が求められます。
配偶者や彼氏がおらず、かつ性行為を行わない状況下であれば避妊薬の使用は必要ないでしょうが、パートナーがいる場合は妊娠の可能性も考慮し避妊薬やコンドームを必ず使用するべき。
高用量であるフィナステリド5mgを用いた試験では少数ながら副作用が確認されていることも留意しておく必要があるでしょう。
まあ、あくまでも「フィナステリドを使用するのであれば」ですけどね。
女性に対する効果は世界的に認められていない
これまでも書いているように、男性に対しては世界中で高い発毛効果が認められているフィナステリドも、女性に対しては発毛剤として認可している国はひとつも存在しません。
それは日本も例外ではない。2017年に策定された男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインにおいて女性のフィナステリド使用は否定されています。
DHTの生成を抑制する5α還元酵素阻害薬であるフィナステリドとデュタステリドは、男性の薄毛に対しては最高のA評価なのに対し、女性に対しては最低のD評価になっています。
世界を見渡せば女性の薄毛に対するフィナステリドの有用性を示すデータが散見されるものの、妊婦や授乳婦への悪影響を考えればこの評価も致し方ないでしょう。
ただ、2000年に発表された古い論文で効果を否定されて以降、効果を示すデータが複数出ていることを考えると、最低のD評価というのは効果のみを対象にしているものではないことが伺えます。
実際、専門家や製薬メーカーの見解を見ても、「妊婦または授乳中の女性への投与は禁忌」としているものの、そういった状況にない女性に対しては件の試験結果から「効果は期待できない」という表現に留めています。
こういった事情に詳しいAGAクリニックの中には、閉経後など絶対に妊娠しない状況にある女性に対してのみフィナステリドを処方する場合もあります。
閉経前の若い女性であれば、ピルなどの避妊薬と併用することで使用できなくもないが、おすすめはできない…そういった結論になるでしょうか。
基本的に女性はフィナステリドを使うべきではない
ここまで女性に対するフィナステリドの発毛効果を示唆した研究結果を主に掲載してきましたが、いかがだったでしょうか。
フィナステリドの効果を示唆したものが複数存在するのに対し、効果を否定したものは2000年の論文以外に乏しいというのが実情なのです。
ただ、それでも閉経前の女性にフィナステリドはおすすめできない。
パートナーがいない、妊娠を望んでおらず避妊薬を使用しているといったケースでも、2.5mgや5mgという高用量のフィナステリドに懸念があるからです。
男性の薄毛に対して1日1mgが上限だというのに、女性が2.5mgや5mgを使用するという点には抵抗感を抱かざるを得ません。
5mgというとフィナステリド本来の使用法である前立腺肥大症の治療に用いられる用量の上限になります。つまり前立腺肥大症の治療薬であるプロスカーやジェネリックのフィンカーを2分割、もしくはそのまま使用する必要がある。
発毛剤のコストを極限まで下げるために男性がこれらを使用するケースもありますが、その場合は4分割(1.25mg)にして使用するのが一般的。
これまでの女性の薄毛に対するフィナステリドの試験・調査では副作用がない、もしくは軽微だったとはいえ、薄毛であるという点以外は健康である女性が高用量のフィナステリドを使用するべきではないと考えます。
高い効果を示す発毛剤の使用を考えるのであれば、女性に対して世界的な標準となる2%のミノキシジルやアデノシンなどを配合するフォリックスFR02、アメリカなどでは女性にも使用されているミノキシジル5%配合で、かつ圧倒的な安さを誇るカークランドあたりを検討するべき。
日本製にこだわるのであればリアップリジェンヌでもいい。ただし、発毛効果が一切認められていないマイナチュレやベルタ育毛剤など市販の育毛剤はおすすめしません。薄毛の改善には無意味だから。
女性の命ともいえる髪の毛が薄くなり、医療機関でも処方されるプロペシアなどのフィナステリド内服薬を使用したい気持ちは十分理解できますが、まずはミノキシジル外用薬から試してみるべきでしょう。
ミノタブよりフィナステリドという選択も
女性に対しての発毛効果はミノキシジルしか認められていないものの、外用薬ではいまいち効果がないという人もいます。そんな人の最終手段として用いられるのがミノキシジルタブレット…つまりミノキシジルの内服薬です。
ミノキシジルは本来血圧を下げるための薬で、副作用のひとつに全身の毛が濃くなる「多毛症」があったことから発毛剤に転用された経緯があります。
ただ、本来血管を拡張する薬であるため体への負担を考慮する必要が。そういった経緯から、副作用リスクを大幅に軽減しつつ頭皮にのみ効果を集中させる外用薬のみが発毛剤として認められることに。
しかし「多毛症の効果を最大限享受するには内服薬がベスト」という考えから、ハゲの猛者を中心にミノキシジルタブレットを愛用する人が後を絶ちません。
発毛剤の選択肢が限られる女性の場合、AGAクリニックでも2.5mgのミノキシジルタブレットが処方されることもあり、当サイトでも選択肢の一つとして提案しています。
ただ、ミノキシジルタブレットにはめまいや動悸、血圧低下などの副作用リスクがありますので、閉経後の女性であればフィナステリドのほうが負担が小さいという考え方もできます。
とはいえ基本的に女性のフィナステリド使用は禁止されているので、そういったことに詳しいAGAクリニックなどで医師の判断を仰ぐべき。もしそれで医師が処方したのであれば、試しに使ってみてもいいのかもしれません。
あくまでも可能性を排除しないという意味での提案であることをご理解ください。
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