花蘭咲(からんさ)に発毛効果なし
ネットを中心に販売する女性用育毛剤の中でも屈指の人気を誇る花蘭咲(からんさ)。エビネ蘭エキスが特徴的な花蘭咲ですが、残念ながら髪の毛を生やす発毛効果はありません。
男性にとって薄毛は人生を左右するほど大きな問題ですが、「女性はハゲない」という間違った認識がいまだ根強くはびこる現状において女性の薄毛は特に死活問題。
そんな状況にあって非常に多くの女性用育毛剤が世に出回るようになり花蘭咲もそのひとつ。しかしこういった女性用育毛剤で髪が生えることはないのです。
なぜ花蘭咲で髪の毛が生えないのか?具体的に迫ってみましょう。
花蘭咲(からんさ)の全成分は少ない
花蘭咲の効果がどういったものか量るためにはどんな成分が使われているのかを見る必要がありますので、まずは全成分を紹介していきましょう。
花蘭咲(からんさ) | |
---|---|
成分 | 水 エタノール エビネ抽出エキス 1.3-ブチレングロコール エイジツエキス ローズマリーエキス サンザシエキス ワレモコウエキス チャエキス トリメチルグリシン トウキエキス フェノキシエタノール センブリエキス トウガラシチンキ パントテン酸カルシウム ニコチン酸アミド 塩酸ピリドキシン ユズエキス ビオチン l-メントール クエン酸 |
髪の毛や頭皮に効果的な成分で見るとおよそ15種程度。マイナチュレの41種やベルタ育毛剤の56種に比べると見劣りするかもしれませんが、成分の数と効果はイコールではないため問題にはならない。
むしろ数が多いほうが一つひとつの含有量が少ない恐れすらあるので、「〇〇種配合!!」と鼻息荒く宣伝している育毛剤こそ要注意。
だからといって少ないから効果があるというものでもなく、どんな成分がどれだけ入っているかが重要になります。
育毛剤を名乗る上で必要になる有効成分と売りのエビネ蘭エキスは下で詳しく取り上げるとして、それ以外の成分に目を向けると何の変哲もない自然由来成分が名を連ねている。
エイジツやらサンザシやらワレモコウやら育毛剤としてはあまり聞き慣れない成分が並んでいるが、これらは頭皮の保湿や抗炎症程度の効果しかなく、当然ながら発毛効果はありません。
花蘭咲の有効成分はいたって平凡
さて、ここから一つずつの成分についてもう少し掘り下げてみましょう。
花蘭咲は医薬部外品の育毛剤というカテゴリに属しており、化粧品に比べると抜け毛予防や育毛、発毛促進効果を謳うことができます。
その「医薬部外品の育毛剤」を名乗る上で必ず必要になるのが、厚生労働省が認める有効成分を一定量以上配合することであり、花蘭咲ではそれが下の3つ。
- ニコチン酸アミド
- センブリエキス
- 塩酸ピリドキシン
一つずつどういったものか見てみましょう。
ニコチン酸アミド
古くから育毛剤の成分として使われるニコチン酸アミドはビタミンB3であるナイアシンとほぼ同一の作用を持つビタミンB群の一種。
基本的な作用は血行促進で、血流を良くすることで髪の毛が生えると信じられてきた時代から使われてきただけあって時代遅れ感は否めない。
ちなみに、女性が唯一使える発毛成分ミノキシジルは本来血管を広げて血圧を下げる薬であるため結構促進効果があり、その作用によって髪が生えると思っている人がいるが大きな間違い。
ミノキシジルは毛根部分を包んでいる毛包に働きかけ髪の毛のもととなる毛母細胞の分裂や増殖を促進し、それによって強力な発毛効果を発揮します。
ただの血行促進効果しかないニコチン酸アミドに発毛効果など期待できるはずもなく、「血行が良くなって髪の毛が生えそうだねー」という気休めが主な作用。
センブリエキス
うんざりするほど多くの育毛剤に配合されているセンブリエキス。それら育毛剤の中に髪の毛を生やすものは一切存在しないあたりにこの成分の効果が伺える。
これもニコチン酸アミド同様血行促進作用が主なもので、非常に多くの育毛剤に配合され育毛サイトにもヨイショされまくっている成分の割に育毛や発毛に関するデータが一切存在しない謎成分。
どこかから「育毛に効果的らしい」という噂や話が広がって多くの育毛剤が採用し、髪の毛が生えそうなイメージが定着した期待先行型成分という印象…それがセンブリエキス。
まあ、有効成分であることは事実であり、血行も悪いよりは良いほうがいいに決まっているだろうが、そんなんで髪が生えれば苦労はしない。
塩酸ピリドキシン
塩酸ピリドキシンはビタミンB6欠乏症などに内服薬として用いられる成分で、頭皮に塗布すると血行促進や抗炎症作用が得られるとされています。
育毛剤の有効成分は塩酸ピリドキシンのように抗炎症作用を持つものが多くなっていますが、一般的に頭皮の炎症によって薄毛になることは稀である上、薄毛になるほどの炎症であれば育毛剤の成分ごときで治るはずもなく素直に病院に行くべき。
「抗炎症作用により頭皮環境の改善を―」というのは育毛剤成分を紹介する際のお決まりの文句ですが、現実問題として育毛剤の成分で治るような炎症でハゲることはなく、ハゲるほどの炎症であれば育毛剤で治すことができないというジレンマを抱えている。
つまり無意味。
ただ、育毛剤が頭皮に合わずかゆみやかぶれを引き起こす場合、それを抑える程度の効果は期待できるかもしれません。…やっぱり意味なし。
医薬部外品の育毛剤を名乗るには厚生労働省が有効成分として認めた成分を配合する必要があります。「厚生労働省が認めた成分なら効くのだろう」と感じる人もいるかもしれませんが、これら成分は一般的な化粧品などにも広く使われているように髪の毛を生やすものでは決してありません。
血行促進や抗炎症作用で塗った部分の状況を維持・改善するのが目的であり、いわゆる「頭皮を健やかに保つ」程度のもの。
これらを配合することによって「育毛」や「発毛促進」を謳うことができるものの、先ほども書いたように私たちが求める「発毛」とはまったく別物である点に注意して下さい。
発毛効果ないエビネ蘭エキス
花蘭咲の目玉成分は上記の有効成分ではなく「エビネ蘭エキス」。この育毛剤の名前の由来にもなっているであろうこの成分はどれほどすごいものなのか?
結論から書けば血行促進作用と保湿効果がある成分。それだけ。
当然ながらこれで髪の毛が生えたというデータは存在せず、他の成分同様頭皮の環境を整える性質のもの。発毛効果がないのはもちろん、育毛剤の有効成分そしてすら認められていないただの植物由来成分なのです。
花蘭咲は水とエタノールを覗いた場合エビネ蘭エキスが最も多く配合されているというだけで、これに発毛効果はおろか育毛効果すらほとんど期待できないのが実情です。
いくつかの育毛サイトで「エビネ蘭エキスは13ヶ国で特許取得」と書き、その効果を誇張しているものを見かけるが、「特許=科学的根拠」ではない点に注意。
特許というのは前例のないアイデアや発明などに与えられる独占権であり、効果があるかどうかはまったく別問題です。それは花蘭咲のみならずどの製品でも同様なので惑わされないようにして下さい。
花蘭咲に対する不満点
成分的に発毛することは100%ありえないと断言できる花蘭咲。
ゆえに薄くなってしまった場所から再び髪の毛を生やしたいと考えている女性にとっては意味のない商品である上、不満点は効果以外にもいくつか見つけることができます。
価格が高い
花蘭咲の価格は定期コースで税別4,800円。単品購入で税別7,000円と決して安いとはいえない価格設定になっています。発毛効果があるならまだ納得できるんだけどね。
しかも送料無料になるのが定期コースで税別5,400円以上に設定されているため、4,800円の定期便では送料648円がかかることに。定期コースで送料かかるなんて聞いたことないぞ。
税込にすると5,184円+送料648円で計5,832円。ハッキリ言って高い。
全額返金保証がない場合も
インターネットを中心に販売する育毛剤のほとんどに設定されている一定期間の全額返金保証ですが、花蘭咲にはそれが設定されている定期コースとされていない定期コースの2つが存在します。
「育毛剤の全額返金保証に騙されるな」で詳しく書いているように私自身は全額返金保証は見かけだけのクソ制度だと感じているものの、これがあると安心という人も多いと思われ、そういった人にとってこれはマイナスといっていいでしょう。
ただしこれは定期コースの初回2,400円で買えるコースだけで、公式サイトの初回から4,800円の定期便では45日間の全額返金保証が付いている模様。つまり返金保証がない代わりに2,400円か、返金保証付きで4,800円かという選択になる。
律儀で控えめな日本人の場合全額返金保証を使うケースは少ないと考えられますので、2,400円の方で買っておいたほうが良いと思われます。
まあ、花蘭咲の効果で満足できるのであれば…の話ですけどね。
花蘭咲はおすすめできない
女性の薄毛はストレスや生活習慣の乱れなど様々な要因が重なって起きるホルモンバランスの乱れとされています。
女性ホルモンであるエストロゲンの分泌が減ることによって同ホルモンが持つ髪の毛を美しく成長させる作用が弱まる上に、女性でも少量持っている男性ホルモンが相対的に増えてしまうことが原因。
ホルモンの影響によって薄毛になっているものを改善させるにはかなりの強い作用が必要となるのは想像に難くなく、女性の薄毛に対し発毛効果が認められている成分はミノキシジルのみとなっています。これは日本のみならず世界共通。
花蘭咲はじめ日本に多く存在する女性用育毛剤には抜け毛を減らしたり、今ある髪の毛の成長を促す程度の効果しかありません。この効果で十分であるなら花蘭咲の使用を検討してもいいと思いますが、髪の毛を増やしたい、発毛させたいと考えているのであれば発毛剤の使用を考えるべき。
育毛剤はあくまでも薄毛予防もしくは進行を緩やかにしたり食い止めたりするために使う守りの商品。これをよく理解した上で使用を検討する必要があります。
どんな発毛剤を使うべきか?
世界的に発毛効果が認められ、かつ女性が使えるのはミノキシジルを用いた外用薬のみなので、日本製にこだわるなら5,000円前後で買えるミノキシジル1%のリアップリジェンヌしか選択肢がありません。
海外製に目を向ければアメリカの女性用ロゲイン(同2%)が1本あたり3,000円弱くらい。リアップリジェンヌに比べミノキシジル濃度が高い一方で値段は安いので個人輸入に抵抗がないならこちらを。…と言うかロゲインはリアップより遥かに歴史のある本家本元のミノキシジル外用薬なので信頼性は極めて高いが。
最終手段としてはミノキシジル内服薬(ミノキシジルタブレット)か。
ミノキシジルは本来血圧を下げるための内服薬として開発されたものの、使用した人の多くに多毛症の副作用が出たことから発毛剤に転用された歴史があります。
そのため効果としては内服薬のほうが強いものの、元が血管拡張剤だけに血圧低下やめまいといった副作用の恐れも。ただ、5~10mg飲むことが多い薄毛男性に比べ女性は2.5mgでも十分な効果が期待できるのは救いかもしれません。価格も1ヶ月分で1,000円程度と安価。
それだけに色々な育毛剤を試して効果が出なかったが「絶対に生やしたい」という強い意思のある女性を中心に人気となっています。女性用の発毛剤でこれ以上に強力なものは存在しませんからね。
一方、ミノキシジルの副作用などに懸念を抱いている場合は、世界30ヶ国で使われ日本のAGAクリニックなどでも処方される飲む育毛剤パントガールの進化版ルグゼバイブあたりが候補に入るでしょうか。
とはいえそこは育毛剤。髪の毛が生えるというエビデンス(化学的根拠)は存在しませんし、価格もややお高めになっています。
それでも消費者を舐めている感がある日本の育毛剤や育毛サプリメントと違い、すべての成分含有量が明記されている上に十分な量が配合されており、発売するやいなやパントガールを一気に抜き去るほどの人気ぶりなのも確か。
数千円する単独のサプリメントを余裕で上回る量の馬プラセンタが配合されているなどルグゼバイブは美容面に対してもかなりの効果が期待できるので、気になる人はチェックしてみて下さい。
…花蘭咲に限ったことではありませんが、日本の女性用育毛剤って値段は高いわ発毛しないわ含有量非公表だわ、不誠実この上ない。日本製の安心感とサービスだけが取り柄か。
ハッキリ言って髪の毛が生えなければ意味がないんですけどね。
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