マイナチュレは女性にも発毛効果なし
ネット専売の育毛剤で男性に人気といえばチャップアップやイクオスなのに対し、女性用育毛剤の代名詞といえばやはりマイナチュレでしょう。しかしこのマイナチュレに発毛効果は一切ないんです。
それどころか、いかにも女性のために作られているように宣伝しているこの育毛剤、実はそれすらかなり怪しかったりするのです。
なぜマイナチュレで髪の毛が生えないのか? そして女性用という言葉に信憑性がない理由などを詳しく解説してみたいと思います。
マイナチュレの全成分
マイナチュレに発毛効果がなく、しかも女性用ですらないという話に信憑性を持たせるには育毛剤にとって重要な成分から見ていく必要があるでしょう。
全成分はこちら。
マイナチュレ | |
---|---|
成分 | グリチルリチン酸ジカリウム 酢酸DL‐α‐トコフェロール センブリ抽出液 精製水 1,2-ペンタンジオール 1,3-ブチレングリコール 濃グリセリン フェノキシエタノール クエン酸 クエン酸ナトリウム ビワ葉エキス 海藻エキス(1) ボタンエキス シナノキエキス ヒキオコシエキス(1) ヒオウギ抽出液 クロレラエキス オウゴンエキス ローマカミツレエキス アルニカエキス オドリコソウエキス オランダカラシエキス ゴボウエキス セイヨウキズタエキス ニンニクエキス マツエキス ローズマリーエキス セージエキス トリメチルグリシン DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 ソルビット液 L-セリン グリシン L-グルタミン酸 L-アラニン L-リジン液 L-アルギニン L-スレオニン L-プロリン サクラ葉抽出液 ジオウエキス エタノール アロエエキス(1) キューカンバーエキス(1) セイヨウサンザシエキス セイヨウノコギリソウエキス タイムエキス(2) ラベンダーエキス(1) ノバラエキス ニンジンエキス ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 |
マイナチュレの成分量は41種と女性用育毛剤としてはもちろん、男性用と比べてもかなり多めの数となっています。
成分多くて髪の毛が生えれば苦労しないけどな。
成分の数は確かに多いものの中身の方は極めて凡庸で、育毛剤に詳しい人なら聞いたことがある成分ばかりが並んでいると思います。
そして発毛剤のような発毛効果が一切ない育毛剤の常でもある「成分の含有量が一切分からない」というのも他の商品と一緒。
マイナチュレの中で特徴的な成分といえば、男性の間で「ミノキシジルと同等の“育毛効果”」という印象操作により無駄にもてはやされる「M-034」こと海藻エキス(1)ですが、昆布のエキスで髪が生えるはずもない。
昆布エキスで発毛するなら、ミツイシコンブで一生懸命だしを取ってせっせと頭皮に塗りまくりますよ、私。
その他、多くの成分が入っているマイナチュレですが、それらは新たな髪の毛を生やす発毛根拠がないのはもちろん、今ある髪の毛を太く濃くする育毛根拠すらほとんどないのが実情。
マイナチュレの“女性用”はイメージ戦略
マイナチュレは一応男性にも使えることにはなっているものの、はっきりと「女性用」を謳っています。
公式ホームページを見ても「女性の髪の事を徹底的に考えて」というスタンスを貫いているものの、実はこの育毛剤、知る人ぞ知るソヴール08ベースということをご存知ですか?
簡単に書くとこのソヴール08は株式会社天真堂が企業に向けて販売しているOEM用の汎用育毛剤で、男性に人気のあるチャップアップやイクオス、ブブカといったものもこれをそのまま使っていた歴史があります。
マイナチュレも販売当初から女性用を謳っていたにも関わらずこのソヴール08をそのまま使用していました。今でこそ多少の成分を追加・変更したものの、ベースはあくまでも成分量31種のソヴール08。基本的な部分はほぼそのまんまです。
マイナチュレとソヴール08はほぼ一緒
マイナチュレとソヴール08がほとんど一緒という証拠も載せておきましょう。同じ成分を赤字で表示します
マイナチュレ | ソヴール08 |
---|---|
グリチルリチン酸ジカリウム 酢酸DL‐α‐トコフェロール センブリ抽出液 精製水 1,2-ペンタンジオール 1,3-ブチレングリコール 濃グリセリン フェノキシエタノール クエン酸 クエン酸ナトリウム ビワ葉エキス 海藻エキス(1) ボタンエキス シナノキエキス ヒキオコシエキス(1) ヒオウギ抽出液 クロレラエキス オウゴンエキス ローマカミツレエキス アルニカエキス オドリコソウエキス オランダカラシエキス ゴボウエキス セイヨウキズタエキス ニンニクエキス マツエキス ローズマリーエキス セージエキス トリメチルグリシン DL-ピロリドンカルボン酸ナトリウム液 ソルビット液 L-セリン グリシン L-グルタミン酸 L-アラニン L-リジン液 L-アルギニン L-スレオニン L-プロリン サクラ葉抽出液 ジオウエキス エタノール アロエエキス(1) キューカンバーエキス(1) セイヨウサンザシエキス セイヨウノコギリソウエキス タイムエキス(2) ラベンダーエキス(1) ノバラエキス ニンジンエキス ポリオキシエチレン硬化ヒマシ油 |
グリチルリチン酸2K ジフェンヒドラミンHCI センブリエキス ビワ葉エキス 海藻エキス-1 牡丹エキス シナノキエキス ヒキオコシエキス-1 ヒオウギ抽出液 クロレラエキス オウゴンエキス ローマカミツレエキス アルニカエキス オドリコソウエキス オランダカラシエキス ゴボウエキス セイヨウキズタエキス ニンニクエキス 松エキス ローズマリーエキス 人参エキス グリシン アラニン プロリン セリン トレオニン アルギニン リジン液 L-グルタミン酸 サクラ葉抽出液 エタノール D-パントテニルアルコール フェノキシエタノール POE硬化ヒマシ油 ラウリルジメチルアミンオキシド液 濃グリセリン 無水エタノール BG DL-PCA・Na液 トリメチルグリシン ソルビトール液 |
これまでのグリチルリチン酸2Kをグリチルリチン酸ジカリウムに、センブリエキスをセンブリ抽出液、トレオニンをスレオニンに、各種アミノ酸の頭にあ「L-」を付けるなど同じ成分ながら表記が変わっているものも多数ありますが、ほとんど一致するのが見て取れるでしょう。
ソヴール08の成分数は31種、対するマイナチュレは41種。育毛とは関係ない成分以外で変更したのは有効成分であるジフェンヒドラミンHCIを酢酸DL-α-トコフェロールにしたくらい。
あとはセージエキスとジオウエキス以下9種を加えて脱ソヴール08のできあがり。
つまり男性用(厳密には男女兼用)育毛剤と大差ないのです。
実際、マイナチュレの中に女性用と謳えるような成分は私が見る限りほとんどなく、すべて男性用でも見る成分。マイナチュレの「女性用」はターゲットを絞って強く訴求するためのイメージ戦略にほかなりません。
天真堂というOEMを製造する会社が作った男女兼用の汎用育毛剤を使っていた過去があり、今も成分のほとんどはそのまんまという実情を知ると、マイナチュレの「女性のため」「女性のことを考えた」という言葉が恐ろしく滑稽に感じます。
まあ、こういったイメージ戦略はマイナチュレなどの育毛剤に限らず広く普及している手法。特に非難するつもりも理由もありません。ただ、そういう育毛剤であることを知ってもらい選択の参考にしていただければと。
「厚生労働省が認めた」に騙されるな
マイナチュレは公式サイト内で「厚生労働省が認めた医薬部外品」という表現を使い信頼性を高めようとしています。
この文言をどう受け止めますか?
何も知らない人であれば「厚生労働省が発毛効果を認めているすごい育毛剤」と感じるのではないでしょうか?
こういった表現はマイナチュレに限らずチャップアップなど複数の育毛剤で確認でき、100%間違っているわけではありません。ただあまりにも言葉足らずで、そこには上記のような消費者の勘違いを利用しようとしている感が否めません。
この表現に文言を正しく追加するならこうなります。
「厚生労働省が医薬部外品の育毛剤として販売を認めた」
厚生労働省はセンブリエキスやグリチルリチン酸ジカリウムなどの有効成分が規定通り配合されるなど医薬部外品としての条件をクリアしていれば育毛剤としての販売を認めます。お役所仕事ですからね。
当然その効果を検証し確かめるようなことは一切しません。
効果の話をするなら医薬部外品の育毛剤は「頭皮を健やかに保ったり抜け毛を予防したりする」という性質のものなので、これに関しては販売が認められた時点で成分的に効果が期待できるとしているのは間違いないでしょう。
ただし、髪の毛が生える、発毛するとは認めていません。一切認めていません。
マイナチュレが厚生労働省に認められたというよりは、医薬部外品の育毛剤はすべて厚生労働省に認められていることになります。一定の育毛効果が期待できる医薬部外品の育毛剤としての販売をね。
気を付けてほしいのは「育毛効果」というのは髪の毛を生やす効果ではないということ。髪の毛を生やす「発毛効果」が厚生労働省に認められているのはフィナステリドとデュタステリド、ミノキシジルの3つだけです。
この「厚生労働省が認めた」という表現。必ずしも間違いではないものの、印象操作をしようとしている感満載であるのは間違いない。
無添加という言葉のマジック
マイナチュレは「無添加」を売りのひとつにしており、この言葉を聞くと人工物や危険な成分は一切使っていない印象を受けますが、無添加なのはパラベンや着色料など11種の成分だけです。
一般的な化粧品の無添加の場合、肌や皮膚にトラブルを引き起こす可能性があるとして、かつて表示指定成分となっていた102種すべてを指したりするのですが、マイナチュレの無添加は勝手にダメージ成分認定している以下の11種のみ。
ちなみに、マイナチュレの有効成分の1つである「酢酸DL-α-トコフェロール」は旧表示指定成分の合成ビタミンEです。
無添加という言葉に明確な定義はなく、勝手に設定した成分を入れていないだけで「無添加」と名乗れるあたりに問題がある気が。
くら寿司のように、胡散臭い「無添」という言葉をネット上で指摘されただけで訴訟を起こすおかしな企業があるように、企業の利益のために無添加という言葉を都合よく解釈し使っている印象を受けます。ちなみにくら寿司は敗訴しています。
どうせなら「発毛成分も無添加」とハッキリ書いといてくれ。
男性用のものに比べれば良心的な面も
色々と批判的なことを書いてはいますが、私自身他の育毛剤に比べマイナチュレには評価する点もいくつかあると感じています。
もちろん発毛効果がないのは変えようがない事実ではあるものの、男性用のそれに比べホームページ上の文言は過剰ではなく、髪が生えると錯覚させるような過度な表現は慎んでいる印象を受けます。
これは“評価”というよりは男性をターゲットにした育毛剤が悪質すぎるだけで、相対的に“マシ”というレベルですが。
掛け値なしに評価しているのは180日間最大6本まで対象としている全額返金保証と、そのわりには比較的低価格に抑えている点。これについては本当に素晴らしいと思っています。
髪が生えないのにクッソ高い男性用育毛剤はほぼすべて初回の1本しか返金保証の対象にしていないのに対し、マイナチュレの6本は衝撃。実際私が運営する育毛関連サイトでは女性に対してはもちろん、男性に対してもマイナチュレをおすすめしているほど。
もちろん髪の毛は生えないが、こういった企業姿勢は評価する。そこへいくとライバルであるベルタ育毛剤は色々と残念。
女性も発毛剤でしか発毛は望めません
女性の薄毛は男性のそれに比べ治療しやすいという側面があります。
女性にしろ男性にしろ薄毛にはホルモンが大きく影響しており、ジヒドロテストステロン(DHT)という男性ホルモンが多いことが原因の男性の薄毛に対し、女性の場合もDHTは関係するものの、女性ホルモンであるエストロゲンが少ないことによってDHTの作用を抑えられないことが主な要因。
これを女性男性型脱毛症(FAGA)と呼びます。
そのため女性はホルモンバランスを整えることである程度の薄毛改善が期待できます。しかし育毛剤ではDHTを抑えることもホルモンバランスを整えることもできません。
女性の薄毛に関しても発毛剤の使用のみが髪の毛を生やす可能性があります。しかし女性は男性型脱毛症(AGA)の治療薬であるプロペシア(フィナステリド)やザガーロ(デュタステリド)の使用を禁止されており、ミノキシジルしか選択肢がありません。
このミノキシジルは毛母細胞や毛乳頭細胞の分裂・増殖を促進することで発毛させる作用があり、日本においては頭皮に塗布する外用薬としてリアップリジェンヌのみが存在していますが、これはミノキシジル1%と低濃度。
世界的に女性用のミノキシジル外用薬は濃度2%がスタンダードなので、しっかりとした効果を望むならアデノシンなども配合するフォリックスFR02や女性用ロゲインを使用したほうが効果的にも価格的にも満足できるでしょう。
また、それ以上に大きな効果を望むのであればミノキシジルの内服薬(ミノキシジルタブレット)が視野に入ります。
男性であればミノキシジル含有量5mgや10mgを使うのが一般的で、副作用リスクも高くなってしまいますが、女性の場合2.5mgでも十分な効果がありますので、本気で発毛させたいのであれば検討してみて下さい。
また、厳密には発毛剤ではないものの、世界中で使われる女性向けの飲む育毛剤パントガールを進化させたルグゼバイブもそれなりに実績があります。価格が高めなので費用対効果を考えればやはりミノキシジルタブレットに軍配が上がりますが、副作用リスクを懸念するならこちら。
マイナチュレは全額返金保証など評価する点はあるものの、含有量が分からず凡庸な成分を見ても発毛効果がないことは明らかなので、本気で発毛を目指すなら女性であっても発毛剤を使うようにして下さい。
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