M-034 髪は生えないただの保湿成分
インターネットを中心に販売している育毛剤の中でも特に人気の商品に配合されていることから注目を集めるM-034という成分をご存知でしょうか?
M-034とはミツイシコンブから抽出されるエキスのことで成分の表記上は「海藻エキス(1)」とされ、もともとはOEM用の化粧品などをを製造する天真堂のソヴール08という育毛剤の効果を強調するために作られた造語のようなもの。
そのソヴール08はブブカやチャップアップ、イクオス、マイナチュレなど人気の育毛剤が自社ブランドとしてそのまま使用していた過去があり、中でもブブカとイクオスはM-034の効果を前面に押し出していたことから知られるようになりました。
キャッチフレーズは「ミノキシジルと同等の育毛効果」。
多くの実績がある発毛剤のミノキシジルと“同等”を謳うくらいですからさぞかし高い発毛効果がありそうなものですが、実際はどうなのでしょうか?
比較対象が“育毛効果”というM-034の悪意
M-034という言葉自体はソヴール08を作る天真堂が発信した言葉ですが、それをさらに誇張し「ミノキシジルと同等の育毛効果」とデータ付きで言い出したのがブブカ。下の図を見たことがある人も多いのではないでしょうか。
出典:ブブカ公式サイト
何も考えず「ミノキシジルと同等の育毛効果や発毛促進効果」と聞けば「髪の毛を生やす効果が大きいんだな」と感じると思いますが、そこには言葉のマジックが隠されています。
実は色々とツッコミどころが満載のM-034。そもそもミノキシジルと“育毛効果”や“発毛促進効果”を比べている時点で消費者を騙そうとしているとしか思えません。
それはなぜか?ミノキシジルに期待される効果は“発毛効果”だからです。
ミノキシジルとの比較に感じる違和感
外用剤として唯一、かつ世界的に男性型脱毛症(AGA)に対する効果が認められているミノキシジル。この成分は髪の毛が抜け落ちてしまった部分から再び髪の毛を生やす効果があります。それを「発毛効果」といいます。
AGAは放置すれば進行する一方の脱毛症で、私たち男性の薄毛のほとんどを占めています。男のハゲはほぼAGA。そんなAGAに対し強力な発毛効果で髪の毛を再び生やすのがミノキシジルというわけです。
そんな発毛効果こそがアイデンティティであるミノキシジルに対し、既存の髪の毛が生えるスピードという“育毛効果”を比べる…こんな的外れなことはありません。しかしそれを平然とやってのけるのがM-034なのです。
「ブブカやイクオスは育毛剤なので発毛効果は一切謳えないため育毛効果や発毛促進効果で比べるしかない」という声もあるでしょう。確かに医薬部外品の育毛剤は発毛効果を謳うことは薬機法で禁止されていますからね。
しかし、個人的にはそれを逆手に取ってこういうキャッチフレーズをあえて付けているような気がする。発毛効果を比べるわけにはいかないから育毛効果を比べ、消費者がミスリードを誘う…そういうことなのでしょう。
右下に小さく書いた「生えてくるスピードを実験した結果です」ということからもそれは明らか。しかし私たちハゲは今ある毛の生えるスピードを早めたいのではなく、抜けてしまった場所から再び髪の毛を生やしたいはず。
毛が生えるスピードを比べたものなのに「毛の再生率」といういかにも髪が新たに生えそうな言葉を使っているのですから確信犯としか言いようがありません。
ちなみにM-034という名を付けられたミツイシコンブエキスはただの保湿成分です。
■毛の再生率やミノキシジルと同等など紛らわしい言葉には悪意しか感じない
■ミツイシコンブエキスであるM-034(海藻エキス1)はただの保湿成分
出所が全く分からないM-034のデータ
これまでチャップアップやブブカなどM-034を使っている育毛剤がよく持ち出していた研究結果と称する画像に以下のようなものがあります。
これは各育毛剤が「自社の研究結果で…」と書いていまいたが、これらの育毛剤の大元となったソヴール08の公式サイトにも使われていることから、このデータの元々の出どころは天真堂なのでしょう。
しかしM-034の研究に関する画像はどこを見てもこの2枚しか存在せず、どこの研究所で調べたものかも一切明かされていませんし、そもそもこれは抜け毛を培養したもので本来の使い方とは明らかに条件が異なりますよね。
仮にこれが本当だとしても、実際の使用では頭皮から毛根にどれだけ成分が届くかも怪しいですし、先ほども書いたように私たちが欲しい効果は新たな毛を生やす発毛効果で、こんな机上の空論による脱毛抑制効果ではないはず。
そもそも、一般的にこういった比較試験はプラセボ(偽薬)を用い、かつ被験者やスタッフはどの外用剤を使ったか分からない状況で行われます。こうしないと客観的なデータは得られませんからね。
そのうえで最低でもミノキシジル群、M-034群にそれぞれ数十人を割り当て平均値を出さなければ信頼できるデータは出てきません。しかしそういった試験内容が一切不明なのです。
また、上に掲載したミノキシジルと同等の育毛効果を実証するデータに関しても、あれを掲載したブブカでは「岐阜本単研究所調べ」と明記してあるものの、どんなに調べてもこの研究所自体のデータに一切たどり着けない。
独立した第3者機関であればネット上に一切データが出てこないということなど考えられないので、実際は自社調べなのか、それとも私たちがうかがい知れない“何か”があるのか…
色々な方向から探してみた結果、岐阜県本巣市に工場や研究施設がある一丸ファルコス株式会社という企業の特許の中に似たようなグラフを見つけましたが、海藻エキスやミノキシジルの記述は見られないうえ、対象はマウス。
出典:asta muse
岐阜県本巣市に研究施設があり、様々な化粧品成分を開発している、そして特許のデータのグラフや経過日数と効果の関係はM-034のものに酷似しているとはいえ、成分の内容や塗布対象は異なっている…色々と謎ですね。
出典:ブブカ公式サイト
にしてもそっくりです。
仮にM-034のデータが一丸ファルコスのものだとするのであれば、ブブカが捏造している可能性が高くなりますし、違うのであればデータの出所は一切不明。どちらに転んでもM-034は信用できないことになります。
ミツイシコンブエキスM-034に効果はない
今現在天真堂のソヴール08をそのまま使用している育毛剤は女性用のヴェフラしかなく、人気のイクオスやチャップアップ、ブブカ、マイナチュレはソヴール08をベースに成分を追加し独自のブランドになっています。
これらすべての育毛剤は依然としてミツイシコンブエキス(海藻エキス-1)を使っていますし、ブブカやイクオスに至ってはその効果を前面に押し出しています。
ただ、イクオスやチャップアップは高額なアフィリエイト報酬でアフィリエイターに提灯記事を書かせることに注力しているだけの発毛効果の一切ない育毛剤。
ただの保湿成分をいかにも発毛効果がありそうな感じに見せる手法には明らかな悪意を感じますし、M-034を使っている育毛剤は人気の陰に広告費や宣伝費をばらまいているものが多いため、あまり良い印象はありません。
とりあえず間違いないのはミツイシコンブエキスであるM-034はただの保湿成分で発毛効果は一切なく、あってもせいぜい今の髪の毛の成長が促される程度のものなので、言葉のマジックを使った確信犯的な宣伝に騙されないようにして下さい。
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