ニゾラールシャンプーに育毛効果は?
ケトコナゾールという真菌症に効果がある成分を使用した通称「ニゾラールシャンプー」。これは薄毛の原因になりうる脂漏性皮膚炎の改善はもちろん育毛にも効果があるとされますが本当なのか?
いわゆる育毛シャンプーと呼ばれるものは、総じて発毛効果は当然として育毛効果すらないのに価格だけは異様に高いというゴミ。となればニゾラールシャンプーも怪しく感じてしまいますよね。
ただ、ニゾラールシャンプーの主成分であるケトコナゾールは日本皮膚科学会の脱毛症診療ガイドラインでも取り上げらるなど、他の育毛シャンプーとは大きく異なる点も。
ニゾラールシャンプーは男性型脱毛症(AGA)に効果があるのか?価格は?種類は?私達ハゲが気になる点を詳しく取り上げていきます。
- 主成分ケトコナゾールとは?
- フィナステリド併用での有意性示せず
- ニゾラールシャンプーは市販されていない
- コラージュフルフルとどっちがいいの?
- ニゾラールシャンプーの価格は?
- 1本の使用期間と使用頻度
- 育毛シャンプーよりはニゾラールシャンプーを
主成分ケトコナゾールとは?
いわゆるニゾラールシャンプーと呼ばれるものはケトコナゾールを主成分としており、多くは含有量2%となっています。
このケトコナゾールは水虫などに代表される白癬やカンジダ症、脂漏性皮膚炎の治療薬としてクリームやローションとして使われる医薬品で、真菌による疾患に高い効果を発揮します。
脂漏性皮膚炎は酷くなると薄毛の原因になるため、頭皮にトラブルを抱える人を中心にニゾラールシャンプーは人気に。また高い抗炎症作用によって頭皮の炎症を予防し良好な環境を維持する目的にも。
しかしケトコナゾールを使用する目的は炎症の改善・予防だけではありません。
ケトコナゾールには発毛効果が?
真菌に対し効果を発揮するケトコナゾールは脂漏性皮膚炎や頭皮白癬による薄毛を治療・予防することができます。
しかしニゾラールシャンプーをこういった頭皮トラブルの改善を目的に使用している人ばかりではありません。なぜならケトコナゾールには発毛効果があるとする論文やデータが存在するから。
この成分を薄毛男性に使用した臨床試験で成長期の髪の毛が増えたとするデータや、6ヶ月~12ヶ月の使用により一部に著明な発毛が見られたり薄毛が改善したりといった結果も出ています。
それを踏まえて日本皮膚科学会が2017年に策定した男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでは「C1:行ってもよい」という微妙な評価を得ています。
いや、ホント微妙。
ケトコナゾールに薄毛を改善する効果があるとする試験結果がいくつか存在するのは事実であるものの、その試験で対象となっている人数が少なく試験内容も客観性に乏しいため統計的に判断が難しいというのが実情なのでしょう。
そのため脱毛症診療ガイドラインの中では「発毛効果に関して有効性を示す弱い根拠がある」という表現に留められており、その結果が「行ってもよい」という微妙な評価に。
しかもこの評価はあくまでもケトコナゾールを2%配合したローションを用いた「外用」…つまり頭皮に塗布する育毛剤での評価であり、ここで取り上げているニゾラールシャンプーではない点が気になる。
■一定の試験が行われデータも存在するが根拠に乏しい
フィナステリド併用での有意性示せず
ケトコナゾールを2%配合したニゾラールシャンプーの発毛効果を評価できない理由は他にもあります。
海外においてプロペシアに代表されるフィナステリド内服薬とニゾラールシャンプーを併用することでより効果を発揮するというデータが存在するという記述を目にすることがありますが、それを鵜呑みにしないで下さい。
前述の2017年版男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインにおいてこんな記述があります。
2%ケトコナゾールシャンプーとフィナステリド内服(1 mg/日)を併用した10名の男性被験者を対象とした観察期間 12 カ月の非ランダム化比較試験において、3人の皮膚科医師の診察による毛髪の成長もしくは脱毛程度を5段階で評価したが、フィナステリド内服(1 mg/日)のみと2%ケトコナゾールシャンプーとフィナステリド内服(1 mg/日)の併用群で有意差はなかった。
つまり、私たちが愛用してやまないフィナステリドとニゾラールシャンプーを併用しても、ケトコナゾールの有効性は確認できなかったというのです。
これは男性10名という統計学的に有効とはいえない人数を対象にした試験ではあるものの、日本皮膚科学会によって効果を否定されているというのは明らかな懸念材料と言わざるを得ません。
一連の見解では頭皮に塗布するローションでは弱いながらも一定の発毛効果は認められるものの、シャンプーには発毛効果はないという結論になるでしょうか。
海外ではAGAに有効という結果も
日本においてはやや厳しい結果になっているケトコナゾールですが、海外においてはAGAや薄毛に対して有効だったという意見も目にします。
それは数ヶ月の使用で髪の毛が太くなったり、明らかに薄毛が改善したり…
ただ、その中にはシャンプーではなくローションのものも含まれているなど、必ずしもニゾラールシャンプーの効果を示したものではありません。
また、ケトコナゾールはあくまでも抗真菌薬であり発毛剤として認めている国は存在しないため、過度な期待を寄せるべきではありません。
■ニゾラールシャンプーの評価は発毛剤込みがほとんど
ニゾラールシャンプーは市販されていない
一般的にニゾラールシャンプーのケトコナゾール含有量は2%。これは白癬菌など真菌の疾患に対する治療薬であるクリームやローションなどの外用薬と同等。
それだけに真菌に対する効果は十分期待できそうではあるものの、日本においてケトコナゾールを2%配合したシャンプーは市販されておりません。
というのも、ケトコナゾールを2%配合した外用薬というのは水虫やカンジダの治療薬として用いられる医師の処方箋が必要な医薬品であり、薬機法によって市販の取り扱いを制限されているから。
ゆえにこれを2%配合したシャンプーが欲しい場合、海外から個人輸入するしか方法はありません。
幸い海外製のニゾラールシャンプーは複数存在する上に価格も比較的リーズナブルなので購入へのハードルは低くなっています。しかしケトコナゾール2%というのは日本において効果が高く副作用のリスクもある医薬品の範囲に入ることを忘れないで下さい。
コラージュフルフルとどっちがいいの?
ニゾラールシャンプーと同じ抗真菌薬が入った市販のシャンプーに「コラージュフルフル」があります。臭いなどに対し一定の評価を得ている商品なのでご存知の方も多いのではないでしょうか。
同じような作用を持つのであれば日本製のコラージュフルフルの方が良い気がしますよね。薬局などで簡単に買えるし。
コラージュフルフルに配合される成分「ミコナゾール」はケトコナゾールと同じように真菌に対して効果を発揮します。しかしコラージュフルフルのミコナゾール含有量は0.75%と少ない。
これは1%を超えてしまうと医薬品の範疇になってしまい市販できないことに対する措置と考えられます。
0.75%では抗菌作用も限られてしまい、当然AGAに対する効果も期待できないので、薄毛や脂漏性皮膚炎の対策として使用するならケトコナゾールを2%配合するニゾラールシャンプーの方が良いのは間違いないでしょう。
実際、コラージュフルフルの効果に満足できずニゾラールシャンプーに乗り換える人も多数存在します。コラージュフルフルのメリットを挙げるなら内容量が多いことくらいか。
ニゾラールシャンプーの価格 2024年4月更新
個人輸入を用いればケトコナゾールを配合したシャンプーの選択肢は複数存在。特に人気のある3つの製品に絞って価格や内容量を見ていましょう。
商品名 | 濃度 | 内容量 | 価格 |
---|---|---|---|
ニナゾルシャンプー | 2% | 100ml | 2,613円 |
ニゾラルシャンプー | 2% | 100ml | 2,273円 |
ケタゾンシャンプー | 2% | 200ml | 2,577円 |
最も人気があるニナゾルシャンプーがおよそ2,000円。一般的なシャンプーが300~400mlなのに対し100mlという量の少なさに不安を覚えるかもしれませんが、1~2日おきに使用するのが基本的な使い方なので1本で2~3ヶ月ほど持つことに。
一方でケタゾンシャンプーであれば内容量200mlで約2,700円とコストパフォーマンスはかなり良くなります。どれもケトコナゾール2%以外にこれといった育毛成分は入っていないため、長期使用を考えるならケタゾンシャンプーで十分な気もします。
ただ、匂いや使用感は異なってきます。このへんは好みが分かれるところ。
普通のシャンプーはもちろん、市販の育毛シャンプーに比べてもニゾラールシャンプーは明らかに高価であるものの、何の役にも立たない市販の育毛シャンプーを使うくらいならこっちのほうがましなのは確か。
1本の使用期間と使用頻度
一般的なニゾラールシャンプーの内容量は100mlとなっています。市販のシャンプーに比べずいぶんと少ないこの量でどのくらい持つのか?また週何回使用するべきなのか?
ニゾラールシャンプーは基本的に脂漏性皮膚炎やフケの治療のために使用するもの。その際に使用する頻度は週2~3回程度とされています。
それ以外の日は市販のシャンプーを使用することになりますので、ニゾラールシャンプー1本で2~3ヶ月は使用できるでしょう。
AGAに対しての使用頻度は?
一方でAGAや薄毛に対してはどの程度の頻度で使うべきなのか?
ケトコナゾールの薄毛改善効果を検証した試験は日本を含め世界各国で行われており、その使用頻度はまちまちというのが実情です。
脂漏性皮膚炎の治療と同じように週2~3回を6ヶ月ほど続けた結果髪の毛が生えてきたり太い毛が増えたりといった効果が出たというデータもありますし、毎日の使用でAGAが改善したというデータも存在します。
もちろん何の効果もなかったというデータもね。
同じケトコナゾール2%配合の商品でも、ものによって使用方法が異なっていることもありなおさら判断に迷うところ。
薄毛の改善を目的に使うのであれば、頭皮への影響を伺うためにもまずは2日おき(3日に1回)で使用し、問題がなければ1日おきの使用にしてみることをおすすめします。
この使用頻度であれば1本で2ヶ月は使用でき経済的負担も軽くなるはず。もちろんフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった発毛剤を併用するべきでしょう。
■AGAに対する効果を期待するなら毎日の使用も
育毛シャンプーよりはニゾラールシャンプーを
ニゾラールシャンプーの主成分であるケトコナゾールには弱いながら多少の発毛効果が認められています。
それもシャンプーになってしまうと日本では「有意差はない」という結果に終わっているものの、海外では有効だったというデータがあるのも確か。
とはいえ基本的にニゾラールシャンプーで髪の毛を生やそうと考えるのは無理があるのは間違いありません。発毛を担うのはあくまでもフィナステリドやミノキシジルといった発毛剤であるべきでしょう。
どうしてもシャンプーに発毛効果を期待したいのであれば、ミノキシジルやフィナステリドを配合したシャンプー「フォリックスFR-S1」が最も適していると考えられます。
一方、ケトコナゾールはフケや脂漏性皮膚炎には抜群の効果を発揮しますので、頭皮にトラブルを抱え、かつ薄毛に悩んでいる人にはニゾラールシャンプーはうってつけの商品。
ケトコナゾール2%は医薬品ということもあってそれなりに強い作用を持つ成分であるため、まずは100mlで試してみて問題ないようであれば200mlのものや割引が効く複数買いを検討するようにしてください。
ケトコロストシャンプーがおすすめか
医薬品のケトコナゾールを配合するニゾラールシャンプーはニナゾルシャンプーなど薬用シャンプー的な商品の印象が強いものの、海外では比較的一般的なシャンプーだったりします。
そんなこともあって普通のシャンプー然としたケトコロストシャンプーというものも存在します。
これはケトコナゾール2%はもちろん、成長因子や栄養素を豊富に含むコロストラムという牛の初乳も配合されているため、より育毛効果が期待できるというもの。
内容量も500mlと一般的なシャンプーより多く、それでいて価格は3,180円。コストパフォーマンスの面でもニゾラールシャンプーより優れています。
もちろんこれだけで髪の毛が生えることはありませんが、フィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった発毛剤の補助としてニゾラールシャンプーを使用するならケトコロストシャンプーがベストと考えます。
頭皮の状態に何らかの不安を感じているようであれば、一度ケトコロストシャンプーの使用を検討してみてはいかがでしょうか。
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