フォリックスFR10の注目成分と効果に迫る
リアップX5プラスやカークランドなど定番のミノキシジル5%製剤では物足りない…そういった人に向け高濃度ミノキシジルを提供しているフォリックスシリーズからミノキシジル10%のフォリックスFR10が登場しました。
これまでミノキシジル濃度2~16%の6種を販売してきた同シリーズ。フォリックスFR10の登場によりより細かい選択が可能になりますが…正直言うと「今さら10%って必要か?」と感じなくもない。
世界中に様々なミノキシジル外用薬が存在する中でミノキシジル10%というのは稀な存在。それだけに新たな需要を掘り起こすことができる可能性も。
フォリックスシリーズでこのFR10のみに配合された「ビマトプロスト」の作用や効果、そして実際の使用感も含めフォリックスFR10について詳しく解説していきます。
- フォリックスFR10とは?
- フォリックスFR10の全成分
- 注目成分は?
- ビマトプロストの効果は?
- リポソームによる高い浸透力
- フォリックスFR10の副作用
- フォリックスFR10の価格
- フォリックスFR10の存在意義
- フォリックスFR10を購入してみた
- フォリックスFR10の使用感・匂いなど
- フォリックスFR10のまとめ
フォリックスFR10とは?
フォリックスシリーズは2017年まで存在した高濃度ミノキシジル製剤ポラリスシリーズの後継商品として登場したブランド。アメリカの「Sapphire Healthcare LLC(サファイアヘルスケア)」が製造・販売しています。
これまで販売されてきたのは下記の6つ。
商品名 | ミノキシジル濃度 | 主要成分 |
---|---|---|
フォリックスFR02 | 2% | ミノキシジル アデノシン プロキャピル |
フォリックスFR05 | 5% | ミノキシジル アデノシン プロシアニジンB2 |
フォリックスFR07 | 7% | ミノキシジル アデノシン プロキャピル |
フォリックスFR12 | 12% | ミノキシジル フィナステリド アデノシン |
フォリックスFR15 | 15% | ミノキシジル アデノシン プロキャピル |
フォリックスFR16 | 16% | ミノキシジル フィナステリド トリペプチド-1銅 |
ミノキシジル濃度が低いフォリックスFR02のみ女性向けで、あとは薄毛の状況に合わせて5~16%まで選べる男性用。
どのフォリックスにも配合される基本的な成分としてミノキシジル、アデノシン、アゼライン酸、プロキャピルなどがあり、FR12とFR16のみフィナステリドとトリペプチド-1銅(銅ペプチド)が配合されているのが特徴。
新たに発売されたフォリックスFR10は名前が示す通りミノキシジル10%。FR07とFR12の間を埋めることが目的で登場したと思われます。それだけにやや中途半端感があるのも確か。
ただ、フォリックスFR10には新成分となる「ビマトプロスト」という成分が配合されています。これがどこまで効果を発揮するのかに注目が集まります。
フォリックスFR10の全成分
新成分となるビマトプロストが注目されるフォリックスFR10。まずは全成分を見ていきたいと思います。
フォリックスFR10 | |
---|---|
成分 | 純水 変性アルコール プロパンジオール ミノキシジル5% 乳酸 ACレチノール アジピン酸ジイソプロピル ピロ亜硫酸Na アデノシン BG 水 PPG-26ブテス-26 PEG-40水添ヒマシ油 アピゲニン オレアノール酸 ビオチノイルトリペプチド-1 メントール セイヨウハッカ油 BHT アゼライン酸 酢酸トコフェロール ビマトプロスト トリペプチド-1銅 ポリソルベート80 リシン プロシアニジンB-2 D-ビオチン リン脂質 エスシン シトステロール 葉酸 シアノコバラミン ナイアシンアミド パントテン酸 ピリドキシン リボフラビン チアミン/酵母ポリペプチド |
全体的には従来のフォリックスシリーズと代わり映えしない印象を受けます。しかし何度か触れているようにビマトプロストは明確に異なる点。
また、ビマトプロストの陰に隠れがちですが「ACレチノール」の文字が気になりますね。これもこれまでのシリーズには見られなかった成分。レチノールということはビタミンAを指すのでしょう。
これ以外の育毛成分としてアデノシンやプロキャピル、アゼライン酸、プロシアニジンB2といったフォリックス定番の成分が名を連ねています。
これらも試験によってある程度の育毛効果が認められている優れた成分だったりするんですけどね。フォリックスに見慣れてしまったため普通に感じますが、その辺に転がっている育毛剤レベルなら目玉成分になるものばかり。
フォリックスとしてはやや大人しいミノキシジル10%とこれら注目成分が織りなす発毛効果はいかほどのものなのか?
注目成分は?
ではフォリックスFR10の注目成分を具体的に見ていきたいと思います。
最大のトピックであるビマトプロストに関しては後で詳しく取り上げていきますので、ここではビマトプロスト以外の成分について解説しておきます。
アデノシン
日本においては資生堂が販売するアデノゲンやアデノバイタルのみに配合されるとあって知名度的には決して高くないアデノシン。しかし育毛成分としては唯一発毛効果がある程度認められているものだったりします。
M-034やアルガス2などなど一般的な育毛剤に配合されるやや胡散臭い成分と違い、資生堂の力により育毛剤の有効成分として認められていたアデノシンは、2010年に策定された男性型脱毛症診療ガイドラインにおいて、男性型脱毛症(AGA)治療に際し「行うことを考慮してもよいが、十分な根拠がない」という微妙な評価。
しかし2017年に刷新された男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでは評価をひとつ上げ、育毛成分としては最高となる「B:行うよう勧める」に。男性に対してのみですけどね。
その理由は2010年時には1件しか存在しなかった試験データが、2017年時には男性のもののみ3件に増えていたから。それによって一定の科学的根拠があると判断されたのです。
ただし、試験において太い髪の毛が有意に増えたことは確認されている一方、髪の毛の数は増えなかったとも。どちらかというと強い育毛効果といったところか。
ミノキシジルの発毛効果に比べれば見劣りするものの、補助的な成分としては理想的といえるでしょう。ちなみにこの成分はフォリックスFR10をはじめシリーズ全てに配合されています。
プロキャピル
アデノシン同様フォリックスシリーズ全てに配合される成分であるプロキャピル。
海外のメーカーが開発した成分ということもあり、日本国内の育毛剤にはこれを配合しているものは見当たりませんが、海外では一定の注目を集めている模様。
上記成分表を見てもプロキャピルという文字が見当たらないと感じた人もいるかもしれません。それものそはず、プロキャピルは下記の成分で構成されているからです。
- BG
- 水
- PPG-26ブテス-26
- PEG-40水添ヒマシ油
- アピゲニン
- オレアノール酸
- ビオチノイルトリペプチド-1
この中でもオレアノール酸にはザガーロの主成分であるデュタステリドと同様に、1型2型の5αリダクターゼを阻害しAGAの原因物質であるジヒドロテストステロン(DHT)の生成を良い精する作用があるとされます。
その効果によってプロキャピルを外用剤として用いた場合、ミノキシジルと同等以上の効果が望めると謳われているのです。下記がそれを示したとされる画像。
これだけ見ると確かにプロキャピルの方が効果的に見えますが、これは培養毛包を用いた試験なので実際の人間の頭皮とはあまりにも環境が違うため、大して参考にならないんですよね。
加えてフォリックスFR10に配合されているプロキャピルの濃度がどの程度のものか分からないため、過度な期待は禁物です。発毛の補助になれば御の字か。
プロシアニジンB2
青リンゴが含有するポリフェノールであるプロシアニジンB2には高い抗酸化作用があり、育毛にも効果的とされます。
海外ではプロシアニジンB2を用いた複数の試験が行われており、海外ではプラセボ(偽薬)を使用した群と比べ髪の毛の太さ、髪の毛の量共に有意に増えたと報告されています。
また、日本において富山大学と協和発酵が共同して行った研究の中で71%の人の髪の毛の密度が増加し、1平方センチメートルあたり22.8本発毛したとされます。
これが本当であればミノキシジル5%の1平方センチメートルあたり約22本増加に匹敵するな。詳細な試験内容や濃度が示されていないため科学的根拠と呼ぶにはあまりにも弱いですが。
とはいえ、国内外において培養細胞、マウス、ヒトに対する複数の試験が行われ一定の結果を残していることから、それなりに期待できる成分であることに違いはありません。
ミノキシジル10%
フォリックスFR10を検討するような人にとってミノキシジルの説明は不要かもしれませんが、10%と微妙な含有量ということもありメイン成分であるミノキシジルについても触れておきましょう。
ミノキシジル外用薬の本家であるロゲインや日本のリアップX5プラスを見ても分かるように、世界的に見てミノキシジルの標準的な濃度は5%。
それだけに臨床試験データは5%までしか存在せず、それを超える高濃度ミノキシジルの正確な効果は未知数というのが実情。
とりあえず5%のものを見てみましょう。
ミノキシジル5%の発毛効果
ミノキシジル5%の効果を示した臨床試験データについて、視覚的に最も分かりやすいのは大正製薬のリアップX5プラスのもの。
出典:大正製薬商品情報サイト
見ての通り1年間使用した場合の改善率は約98%。注目したいのはそのほとんどが軽度改善以上で、10%は薄毛がほとんど分からない状態にまで回復する著明改善というのもポイント。
プロペシア(フィナステリド)を使用した場合の有効率はミノキシジル5%と同じ98%ながら、改善が58%、進行なしが40%。どちらかというとAGAの進行を食い止めるのがメイン。ミノキシジルの発毛効果がいかに高いかが分かります。
ちなみにミノキシジル5%を6ヶ月使用した場合の1平方センチメートルあたりの髪の毛の増加数は平均22本。
そう考えると、ミノキシジルを10%配合したフォリックスFR10はその2倍の効果…と考えがちですが、さすがにそれほどの効果は期待できないでしょう。
下図はミノキシジル1%と5%の髪の毛の増加数を示したもの。
出典:大正製薬商品情報サイト
それぞれ約145名を対象に行った臨床試験では、ミノキシジル1%が平均して約15本、同5%が約22本増加しています。この結果から10%の効果を推測すると…計算方法は主に2つ。
フォリックスFR10は1%の5倍の濃度となる5%の2倍にあたる10%。1%と5%の差が1平方センチメートルあたり約7本とすると、1倍あたりの増加量は1.75本。となると5%の2倍のミノキシジル10%で期待できる増加数は1平方センチメートルあたり約23~24本という考え方がひとつ。
もうひとつはもう少し希望的な観測。
1%から4%増やし5%にした場合、1平方センチメートルあたり約7本増えるのですから、そこからさらに5%増やせば8本くらいの上積みが期待できるというもの。であるならフォリックスFR10の使用で1平方センチメートルあたり約30本の増加が期待できることに。
ミノキシジルに限らずどんな薬にも共通することとして、成分の濃度を2倍にしたからといって効果が倍になるわけではないという点が挙げられます。2倍にしても効果は1.1~1.2倍程度ということもざら。
そう考えるとミノキシジル10%であるフォリックスFR10の効果は1平方センチメートルあたり25本程度の増加と見るのが現実的ではないでしょうか。
ただし、ミノキシジル5%に比べ明確な効果を感じる人が増えるのは間違いないでしょう。最初に挙げた軽度改善や中等度改善の割合を示したデータが全体的に底上げされる感じといえば分かりやすいか。
レチノール
フォリックスFR10において地味に注目したい成分がレチノール。後述するビマトプロストと同様にシリーズの中でフォリックスFR10のみに配合される新成分。
レチノールはビタミンAの一種…というかビタミンAそのものと言っても過言ではない栄養素。顔のシミやしわ、たるみの改善が期待できるとあって主に美容面で注目されています。
そんなレチノール、ミノキシジルと併用することで相乗効果が望めるという研究結果があるのです。
2007年に発表された研究では、発毛効果があるミノキシジルと頭皮環境を改善させるレチノールを組み合わせて使用した結果、ミノキシジル単体に比べより高い効果が確認されています。
この作用は培養毛包を用いた試験で確認されたものなので、現状ではエビデンス(科学的根拠)があるとは言えません。ただ、これまでのフォリックスシリーズのマンネリ感を打破する可能性を秘めているのも確かかと。
ビマトプロストの効果は?
フォリックスFR10の主な成分をざっと見てもらったところで、同商品の目玉となりうるビマトプロストの解説に移りたいと思います。この成分如何によってフォリックスFR10の価値が決まると言っても過言ではないでしょう。
ハッキリ言って聞き慣れないビマトプロストという成分。これは育毛や発毛を目的に開発されたものではなく、緑内障の治療薬として使用されているもの。眼圧を下げることにより緑内障の進行を食い止めます。
このビマトプロストを主成分とする点眼薬「ルミガン」にはまつ毛が長くなる副作用が確認されており、それを主作用としたまつげ美容液として米の食品医薬品局(FDA)に承認されています。
そんなビマトプロストを頭皮に用いることで髪の毛を増やす効果が期待できるのではないかと目され、現在アメリカやドイツで男性型脱毛症の男性220名と女性型脱毛症172名を対象に臨床試験が行われています。
マウスを用いた試験や少人数に対する試験においてはすでに一定の効果が確認されているようで、大規模な臨床試験で結果を残すことができれば一気に広まる可能性も。
現段階ではビマトプロストで髪の毛が生えると言い切ることはできませんが、現在進行形で研究が進んでいる成分ですので、将来性も含めて期待したいところです。
ただ、同じくまつ毛美容液から育毛業界に転用されたキャピキシルは「ミノキシジルの3倍の育毛効果」なんて触れ込みで登場した割にガッカリ効果だったこともあり、ビマトプロストに過信は禁物か。
まあ、開発メーカーの自社データしかないキャピキシルと、国をまたいで大規模な臨床試験が行われているビマトプロストを比べるのもおかしな話ですが。
日本皮膚科学会は否定的
ただ、現段階においては微妙な評価なのは間違いなく、それは2017年に日本皮膚科学会が策定した男性型および女性型脱毛症診療ガイドラインでも確認できます。
ここでのビマトプロストの評価は「C2:行わないほうがよい」というもの。つまり日本皮膚科学会はAGAの治療にビマトプロストは使用するべきではないと評価しているのです。
ただ、その理由の解説を見てみると、ビマトプロストに類似したラタノプロストをAGAの男性16名に使用した試験では50%が改善、44%が変化なし、加えて画像解析ではラタノプロスト使用群で毛密度が上昇したとあります。
ラタノプロストでは一定の発毛効果は確認できたものの、髪の毛を対象にした外用薬としては認可されていないことから非推奨とされています。
そして類似のビマトプロストはまつ毛以外にも発毛効果を示す可能性は否定できないが、臨床試験による検証は行われていないため有用性が実証されているとは言い難く、「行わないほうがよい」という結論に達しています。
つまり、発毛効果は否定できないが根拠に乏しいという結論に。
ただし、前述したようにビマトプロストは今現在臨床試験を行っています。結果が出次第、その内容を追記したいと思います。
リポソームによる高い浸透力
フォリックスシリーズには「リポスフィアテクノロジー」という浸透技術が使用されており、それはフォリックスFR10も例外ではありません。
頭皮を含め人間の皮膚というのは最も外側にバリア層となる角質層が存在し、顆粒層、有棘層、基底層からなる表皮の下に真皮が存在、さらにその下の皮下組織に髪の毛を作り出す毛根が存在します。
バリア層である角質層は幾重にも層になっており、そのスキマを脂溶性のセラミドが埋め表面を皮脂が覆っているため、油分との親和性が高い一方で水分を弾きます。そういったことから浸透には脂溶性(疎水性)が求められます。
しかし角質層を突破してしまうと脂溶性は急激に弱まり、逆に脂を弾く傾向に。こういったことから肌の奥深くに浸透するには脂溶性(疎水性)と水溶性(親水性)の両方が必要になるのです。
フォリックスFR10が採用するリポスフィアテクノロジーに使用されるリポソームは親水性と疎水性の両方の性質を持つことから高い浸透性を発揮。成分を毛根までしっかりと届けます。
ミノキシジルと相性が良いリポスフィアテクノロジー
外部からの細菌や雑菌の侵入や刺激から人体を守っている角質層は、たった0.02mmの厚さしかない一方で非常に優秀なバリア層として機能しており、分子量が500以下でないと浸透できない性質を持っています。
そういったことから医薬品の外用薬は分子量500以下で、かつ脂溶性の角質層にもしっかりと浸透するよう製造。ミノキシジルも例外ではなく同成分の分子量は209と非常に小さくなっているのです。
しかし前述の通り肌の奥深くに浸透するには脂溶性と水溶性両方の性質を持つのが望ましく、分子量が小さいミノキシジルとて無条件に浸透できるわけではありません。そう、何らかの浸透技術と組み合わせるのが好ましいのです。
市販の育毛剤などでは抽象的な「ナノ化」という表現を用い科学的根拠のない浸透力をアピールしていますが、元から分子量が小さいミノキシジルにそんな胡散臭いものは必要ありません。
そう、脂溶性と水溶性の両方を持たせれば勝手に浸透してくれるのです。
そういったことからフォリックスFR10が採用するリポスフィアテクノロジーとの相性は非常によく、他のミノキシジル製剤に比べ圧倒的な浸透力を発揮してくれることでしょう。
フォリックスFR10の副作用
薄毛に悩む人たちが発毛剤の使用を躊躇う理由として多く挙げられるのが副作用の存在ではないでしょうか。
ミノキシジル外用薬は日本において副作用が出る恐れが高いという理由により、薬剤師から購入や指導が必要になる第一類医薬品に分類されていることからも、ミノキシジルに恐怖を抱いている人も多いかと。
しかし、もしあなたがミノキシジルの副作用を懸念し使用に二の足を踏んでいるのであれば、考えを改めるべきでしょう。
ミノキシジルは本来血圧を下げる経口薬として開発されたもの。その副作用として現れる多毛症に注目し副作用が少なく効果を頭皮に集中できる外用薬として転用したものが発毛剤のミノキシジル外用薬です。
そのためミノキシジルを使用すれば血圧低下やめまい、動悸といった副作用が出る恐れがあるのは事実。しかしそれは服用した場合に限るもので、外用薬として使用する限りそういった副作用が出ることはまず考えられません。
下図のデータを見てください。これは3,072名を対象にミノキシジル5%製剤であるリアップX5を6ヶ月間使用し副作用や安全性をを検証したもの。
リアップX5の副作用 | |
---|---|
調査施設数 | 518 |
調査例数 | 3,072 |
副作用発現例数 | 271 |
副作用発現率(%) | 8.82 |
副作用発現件数 | 378 |
副作用の種類 | 副作用発現件数(率) |
一般・全身障害および投与部位の状態 | 192(6.25%) |
適用部位そう痒感 | 123(4.00%) |
適用部位発疹 | 43(1.40%) |
適用部位紅斑 | 31(1.01%) |
皮膚および皮下組織障害 | 70(2.28%) |
頭部粃糠疹 | 33(1.07%) |
接触性皮膚炎 | 32(1.04%) |
副作用発現率は8.82%とそれなりに高い印象を受けるかもしれません。しかし内訳を見るとミノキシジル外用薬を塗布した頭皮のかゆみや発疹、皮膚炎がほとんど。
ごく稀な例として各種検査の数値が上昇するというものがありますが、ミノキシジルとの因果関係はハッキリしていません。なぜなら健康状態の変化などによりミノキシジルを使用しなくても数値が悪化する人は一定数存在するから。
とはいえ、ミノキシジル1%と5%の副作用発現率を比較した複数の試験を見るに、5%のほうが高い傾向に。このことからミノキシジルに多少の刺激性がある点は否定できません。
そう考えると、ミノキシジル10%であるフォリックスFR10では上記データ以上の頻度になる可能性が。1%と5%の副作用発現率の差を考えるに、フォリックスFR10の副作用発現率は10%程度になるかもしれません。
ただ…頭皮にかゆみや炎症が起きる程度の可能性があるからといって薄毛治療を諦めますか?ミノキシジル内服薬のように血圧低下やめまい、動悸などちょっと怖い副作用があるならまだしも。
フォリックスFR10含めミノキシジル外用薬というのはプロペシア(成分名:フィナステリド)やザガーロ(成分名:デュタステリド)含め発毛剤の中で最も副作用が軽微なものになります。
ちょっと厳しい言い方になりますが、頭皮のかゆみや軽い炎症くらいの副作用すら許容できないのであれば、薄毛治療は諦めたほうがいいと言わざるを得ません。
副作用が怖いとAGAにまったく無意味な市販の育毛剤に手を出し、手遅れになるまで薄毛を進行させてしまった人をたくさん見ている立場からすると、この程度の副作用で迷っている暇はないと声を大にして言いたい。
薄毛の程度と許容できる副作用を天秤にかけ、冷静に判断してみてください。
フォリックスFR10の価格
では次にフォリックスFR10の価格を紹介します。
アメリカ製であるフォリックスFR10には日本の育毛剤のように定期コースのようなものは存在せず、また現状では複数買いによる割引もない模様。つまりワンプライスということに。
商品名 | ミノキシジル濃度 | 価格 |
---|---|---|
フォリックスFR10 | 10% | 5,320円 |
ミノキシジル5%以外しか取り柄がない日本のリアップX5プラスやメディカルミノキ5が7,500~8,000円ほどすることを考えるに、ミノキシジル濃度10%にアデノシンやビマトプロスト、プロキャピル、プロシアニジンB2などの育毛成分が入って5,500円を切る価格というのはバーゲンプライスと言える。
ただ、海外製の発毛剤はフィナステリド製剤が1ヶ月分1,000円程度で買えたり、デュタステリド製剤が1,500円ほどで買えたりするので、そのあたりに比べると高いと感じるのも確か。
ミノキシジル外用薬より効果が高いとされる内服薬「ミノキシジルタブレット」も1ヶ月分1,000円くらいですしね。
ただ、フォリックスFR10はこれら内服薬に比べ副作用リスクが低く、かつ高い発毛効果が望める点が大きなメリット。可能な限り副作用を抑えつつ、より効果が高い発毛剤を使用したい人にはうってつけと言えるでしょう。
アメリカ製ということもあって信頼性は高く、それでいて日本の商品より遥かに安くて効果は高い。リアップX5プラスやメディカルミノキ5を使うくらいならフォリックスFR10を使った方がいいと断言できます。
フォリックスFR10の存在意義
日本のミノキシジル外用薬に比べると圧倒的なコストパフォーマンスを誇るフォリックスFR10。しかし海外製の外用薬と比べるとやや中途半端であり、存在意義が希薄と感じる人もいるかもしれません。
まずは主な海外製のミノキシジル外用薬の濃度や主要成分、価格を見ていただきましょう。
商品名 | ミノキシジル濃度 | 主要成分 | 価格 |
---|---|---|---|
フォリックスFR10 | 10% | ミノキシジル ビマトプロスト レチノール |
5,320円 |
フォリックスFR15 | 15% | ミノキシジル アデノシン プロキャピル |
5,550円 |
フォリックスFR16 | 16% | ミノキシジル フィナステリド トリペプチド-1銅 |
5,820円 |
リグロースラボM5 | 5% | ミノキシジル | 3,820円(2本) |
リグロースラボM15 | 15% | ミノキシジル Trichogen |
3,930円 |
フォリックスFR10はミノキシジル10%の割に同15%のFR15や16%のFR16とそれほど価格が変わらないんですよね。同じフォリックスシリーズだからアデノシンやプロキャピル、プロシアニジンB2などは共通ですし。
一方、リアップX5プラスやメディカルミノキ5と同じミノキシジル5%製剤は1本あたり1,900円で購入できるリグロースラボM5がある。成分はシンプルにミノキシジルのみだが圧倒的に安い。
また、ミノキシジルの濃度だけにこだわるなら同15%のリグロースラボM15の方が安い。せめてフォリックスFR10の価格が4,000~4,500円くらいであったならまた見方も違ったんですけどね。
空白地帯を埋めたフォリックスFR10
価格やミノキシジル濃度だけを見れば中途半端感は否めないフォリックスFR10。しかし別の見方をすれば色々とメリットも見えてくる。
まず10%という、一見中途半端なミノキシジル含有量。
海外製のミノキシジル外用薬に目を向けると様々なメーカーから色々な濃度の商品が出回っていますが、内訳を見ると1%、2%、3%、5%、7%、12%、15%、16%となっているのです。
そう、7%の商品は複数あれど、その次の濃度は12%なのです。
男性用のミノキシジル外用薬で最も人気があるのは安価な5%と高濃度の15%。実際フォリックスはFR15、リグロースラボはM15が最も人気があります。
しかし、15%のものを使ってしまうともう後がないんですよね。最強外用薬のフォリックスFR16もFR15と大差ない16%ですし。
どんな薬でもはじめは弱いものから使用し、それが効けば御の字、効かなければ徐々に強くしていくのがセオリー。副作用リスクに加え体が薬に慣れてしまう恐れもあるため、できるだけ低濃度のものから使用するべきなのです。
これまでは7%の次は12%しか存在せず、一気に高濃度化する印象が拭えませんでしたが、フォリックスFR10の登場で段階を踏むのが容易になりました。
強ければ良いというものではないのだよ。
従来品が効かない人の希望に
フォリックスFR10はビマトプロストやレチノールなど、従来のフォリックスシリーズにはない成分を配合している点は大きなメリット。
全ミノキシジル外用薬の中でも、フォリックスシリーズはアデノシンやプロキャピル、アゼライン酸などなど一定のデータがある育毛成分をこれでもかと配合した最強の外用発毛剤であることは間違いありません。
ゆえにフォリックスが効かないことはミノキシジル外用薬が効かないことと同意。同シリーズは共通成分が多いことからもFR15やFR16が効果ない場合は“詰み”でもあったのです。
しかしフォリックスFR10はビマトプロストやレチノールという従来のものとは全く異なる成分を配合したことで、FR15やFR16が効かなかった人でも希望が持てる内容に。
…まあ、FR16使っても生えなかった人がFR10で生える可能性は決して高くはないのが実情なんですけどね。それでも試してみる価値があるのは確かなのではないでしょうか。
フォリックスFR10を購入してみた
ここまではあくまでもフォリックスFR10を客観的に評価したもの。しかし実際に使ってみないと見えない部分も多いため早速購入してみました。
梱包の箱や伝票にヘアケア商品と悟られるような商品名が書かれていることはないため、家族などに知られたくない人にも安心。ただ伝票は英語で記載されているため海外から送られてきたものというのはバレバレ。
そこが気になる人は局留めにしたほうがいいでしょう。
そして実際に手に取ってみると…私はこれまでフォリックスシリーズを何度も使っているため慣れていますが、初めて手に取る人は「思いのほか小さい」と感じるのではないでしょうか。
正面から見た箱の大きさはタバコ大程度ですし、容器は手のひらにすっぽりと収まるサイズ。
基本的にミノキシジル外用薬は60mlが世界標準となっているため、思ったより小さいんですよね。リアップX5プラスも箱や容器の蓋はやたらと大きいが、肝心の容器自体は小さいですしね。
「チャップアップとかイクオスなど日本の育毛剤なら120mlだよ!」と感じる? 確かに内容量に関してはその通りですが、まったく発毛効果がない水120mlより本物の発毛剤60mlのほうがいいに決まっている。
フォリックスFR10の使用感・匂いなど
では容器にスプレーノズルを付けて実際に手に取ってみます。
液自体はサラッとしており、色はやや黄色ががかっています。
気になる匂いは…フォリックスの前身モデルであるポラリスシリーズは匂いがきつめである点がデメリットでしたが、フォリックスFR10はほんのりアルコール臭がする程度。
塗って少し経てば匂いは消失するため周囲に気付かれるようなことはないかと。
使用感
1回につき5プッシュを1日2回行うとあって1プッシュで出る量は少な目。しかし髪の毛がないM字部分や生え際に使う際には近づけすぎると液だれの原因になるため、少し離してスプレーしたほうがいい。
日本のミノキシジル外用薬と比較すると、リアップX5プラスやメディカルミノキ5などは容器の先端に1回分の量(1ml)を溜めて、先端を頭皮に軽く当てながら全てを使い切るタイプ。一方のフォリックスFR10は直接噴射するタイプ。
どっちが使いやすいかは人それぞれですが、ピンポイントに点で塗布し塗り広げるリアップX5プラスなどよりは一定の範囲に噴射できるフォリックスFR10のほうが使いやすいと感じる。
ただし、噴射の量は範囲、距離感を掴むまでは使いづらいと感じるかもしれません。薄毛の範囲やタイプによっても使いやすさが変わってくるため、このあたりは実際に使ってみないと分からないところか。
頭頂部はフサフサでM字部分や生え際にしか使わないというのであれば、液だれしないクリームタイプのフォリックスFR16のほうがいいかもしれません。
使用開始1ヶ月
ミノキシジル5%のリグロースラボM5からフォリックスFR10に乗り換え使用してみた印象も書いておきましょう。
高い発毛効果を持つミノキシジルを使用すると、ヘアサイクルを正常化する働きにより今生えている不健康な髪が抜け落ちる「初期脱毛」が起きる可能性が高いのはご存知でしょうか?
私自身初めてフィナステリドやミノキシジルを使用した時はある程度の初期脱毛が確認されましたが、フォリックスFR10への乗り換えに際しては以前からリグロースラボM5を使っていたことから明確な初期脱毛は確認できませんでした。
ただ、洗髪時には普段よりやや抜け毛が多くなった印象が。ミノキシジル濃度が5%から10%になり発毛効果が強くなった影響と見るのが自然か。
初期脱毛にネガティブな印象を抱く人も多いと思いますが、初期脱毛はヘアサイクルの正常化による現象。発毛剤がしっかりと効いている証なのです。
とはいえハゲている状況からさらに初期脱毛で抜けるというのは精神的にきついのも確か。しかし初期脱毛を乗り越えた先に薄毛改善の光が存在するのもまた確か。
フォリックスFR10使用から1ヶ月、若干の初期脱毛は見られるものの想定範囲内。引き続き継続して使っていきたいと思います。
3ヶ月~6ヶ月後くらいに改めて効果の有無などを報告します。
フォリックスFR10のまとめ
フォリックスシリーズの空白地帯を埋めるように登場したフォリックスFR10。それだけにミノキシジル濃度や価格設定に中途半端感が漂うのも確か。
ミノキシジル15%のFR15や16%のFR16がほとんど同じ値段で買えるのであれば、そっちでいいんじゃないかと。
ただ、これだけは言っておきたい。ミノキシジルは濃ければ良いというわけではないのです。10%と15%を比べれば15%のほうが発毛効果が高いのは間違いないでしょう。しかしミノキシジルの刺激も強くなります。
また、薬というのは濃度を倍にしても効果が倍になるわけではありません。
ミノキシジル1%とその5倍に当たる5%を比べても発毛効果は1.3~1.4倍にしかなりません。フィナステリドにいたっては濃度を濃くしても効果はほとんど変わらないという結果も。
高濃度のものを使うと体がそれに慣れ効果が徐々に落ちてしまう可能性も。
これまではミノキシジル5%が効かなければ12%や15%といった高濃度のものにシフトする動きが一般的でしたが、フォリックスFR10の登場で徐々に強いものに替えるということが容易になりました。
また、フォリックスシリーズ新配合のビマトプロストやレチノールの存在により新たな効果の掘り起こしも期待できる。
これまではFR12やFR15の効果に限界を感じた場合はフォリックスFR16やミノキシジルタブレットへの移行しか選択肢がありませんでしたが、新たな成分を配合したFR10に変更するという選択肢も加わったのではないでしょうか。
フォリックスFR10はシリーズの中でも後発だけに新たな試みが導入されています。5%や7%からの移行はもちろん、従来の12%や15%に限界を感じている人にも一度試してほしいと感じます。
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