お酒で薄毛になるという事実や根拠はない
巷では「酒を飲むとハゲる」という情報が飛び交い、半ばこれが常識になりつつあります。しかし結論から書くとお酒を飲んでハゲるという事実も根拠もありません。ハッキリいって無関係といわざるを得ないんです。
酒飲みから言わせれば「酒は百薬の長」とされます。適度な飲酒であれば体にとってメリットが存在するのは確かですが、デメリットも数多く存在します。過度な飲酒になれば悪い面ばかりが目立ちますよね。
そんなこともあり「体に悪いから髪の毛にも悪いだろう」という憶測で薄毛と結びつけられていますが、これを裏付ける根拠って何一つ存在しないんですよね。
なぜお酒を飲んでもハゲないと言い切れるのかについて詳しく解説します。
お酒を飲んでハゲるとされる理由
そもそもなぜ飲酒と薄毛が結びつけられているのか?
多くのサイトではいくつかの理由をもっともらしく挙げられていますので、まずは飲酒でハゲるとする理由を見てみましょう。
多くの栄養素を消費する
アルコールが体内に入ると、それは肝臓でアセトアルデヒドに分解され、それをさらに酢酸に分解、最終的に二酸化炭素と水にまで分解され尿や呼気として排出されます。
その分解過程でメチオニンやシステインといったアミノ酸やビタミンB1、ビタミンCといった栄養素を消費します。
アミノ酸は髪の毛を構成するケラチンというたんぱく質を作り出すために必要な栄養素ですし、ビタミンB群も髪の毛の成長に欠かせないものという認識が広がっているため、これらを消費する飲酒は薄毛を誘引するとされるのです。
アセトアルデヒドがDHTを増加させる
肝臓が処理できるレベルのアルコール摂取であれば問題ないものの、過度な飲酒によって肝臓のキャパシティを超えるアルコールを摂取すると、毒性の高いアセトアルデヒドが血液中に回ることになります。
これが二日酔いの原因になっているのですが、このアセトアルデヒドは男性型脱毛症(AGA)の原因となる男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」を増やすとされています。
多量にお酒を飲むことでアセトアルデヒドがDHTを作り出し、それが原因で薄毛になってしまうというのが飲酒でハゲる論の大きな理由になっているのです。
肝臓への負担
アルコールのほとんどは肝臓で分解されるため、お酒を飲むと肝臓の負担が増えることは誰しもがご存じなのではないでしょうか。
肝臓がアルコールの分解に追われると、肝臓が全身に送るはずの栄養の生産や補給が滞り、それが髪の毛の栄養不足を引き起こしてしまうとされます。
巷でお酒と薄毛を結びつける理由として語られるのは主にこの3つになります。これを見ると確かに説得力がありそうに感じますよね。
お酒と薄毛が無関係である理由
お酒でハゲるとされる理由とされるのは主に以下の3つ。
- アミノ酸やビタミンを消費する
- アセトアルデヒドがDHTを増やす
- 肝臓への負担
ではひとつずつ反論していきましょう。
酒で消費されるアミノ酸やビタミン程度ではハゲない
多くの人は髪の毛に関わる栄養が不足したり消費したりするとハゲると勘違いしています。
髪の毛はケラチンというたんぱく質で作られ、そのケラチンは18種のアミノ酸を合成して生成されます。そしてケラチン合成にはビタミンB群などが必要になるのも間違いありません。
しかし、ケラチンによって作られるのは髪の毛のみならず、全身の体毛やヒゲ、爪も同様。お酒を飲んでこれらの栄養素が消費された結果薄毛になるというのであれば、全身の毛や爪の成長も阻害されなければ理屈に合いません。
そもそも、男性の薄毛のほとんどを占めるAGAはDHTが原因で引き起こされるもの。お酒を飲んで全身の毛が薄くなるのであればまだしも、AGAの特徴であるM字や頭頂部だけ薄くなることなどありえません。
アセトアルデヒドでDHTが増えるという根拠がない
ネット上の多くのサイトでは「アセトアルデヒドが原因でDHTが増える」と書かれており、驚くことにこれを断定しています。
しかし、アセトアルデヒドがDHTを増やしたなんて研究結果やデータは探せど探せど出てきません。つまり、根拠など存在しないのにネット上に溢れる情報を鵜呑みにし、右へならえで書いているに過ぎないのです。
100歩譲ってアセトアルデヒドがDHTを増やすのが事実だとしても、それがAGAを引き起こすかどうかは毛乳頭細胞内のアンドロゲンレセプターの感受性に左右されます。
AGAになる人は酒など飲まずともハゲるし、AGAにならない人はアルコールによってDHTが多少増えたところでハゲません。
そもそも、酒を飲んでDHTが増えハゲるというのであれば、逆に体毛やヒゲは濃くならないとつじつまが合わないんだが…そういった話は聞かないよね。
肝臓に負担をかけたからといってハゲない
肝臓に負担をかけているから栄養が行き渡りづらくなってハゲる?アホか。
上で書いたことを繰り返すが、栄養不足で薄くなるなら全身の毛が薄くなるはず。そもそも男性の薄毛の原因のほとんどはDHTを原因とするAGAだと何度言えば…
AGAについてもうちょっと詳しく書くと、毛乳頭内でテストステロンという男性ホルモンと5αリダクターゼ(5α還元酵素)が結びついて作り出されるDHTが原因。そして5αリダクターゼの分泌量は遺伝によって決まるとされる。
そして、このDHTがアンドロゲンレセプターと結合して脱毛の原因となる物質を作り出すとされています。で、このアンドロゲンレセプターの数や感受性は母親から受け継ぐX染色体が左右する。
ハッキリ言って肝臓うんぬんが関与する余地などありません。
「AGA以外の薄毛かもしれないじゃん」と感じたあなた。AGA以外の薄毛は自己免疫疾患の円形脱毛症や脂漏性皮膚炎など重度な皮膚トラブルが原因のほとんど。M字や生え際、頭頂部の薄毛ならほぼ100%AGAだから安心しろ。
飲酒を止めてもハゲは治らない
禁酒しても治らない。間違いなく治らない。
仮に禁酒して薄毛が治った場合、それはそもそもお酒が原因の薄毛ではないしAGAでもない。禁酒と何らかの原因による薄毛の回復がたまたま重なっただけ。
とりあえず薄毛の状況を見て、生え際から頭頂部、側頭部、後頭部にいたるまでまんべんなく薄くなっているのであれば病気や薬の副作用も考えられますが、M字部分や頭頂部のみ薄いのであればAGAだから酒を止めたところでどうにもなりません。
素直にフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルといった科学的根拠がある発毛剤を使いましょう。
医師や専門家の見解は分かれる
AGAの原因と作用を考えればお酒が関与する余地はほとんどないことが分かるものの、医師などの専門家の意見は分かれているのが実情。
以前「日経Gooday」で取り上げられた記事では専門家が「関係ない」と断言していましたし、飲酒を含めた生活習慣とAGAに関連性はないとする医師も多い。
一方で、右へならえの理由によりお酒と薄毛を関連付ける胡散臭い育毛サイトに混じって医療機関や医師のサイトでも過度な飲酒で薄毛になると警告しているものが散見されます。
つまり、医師や専門家の間でも見解が分かれているということ。
飲酒と薄毛を関連付ける医師も明確な根拠やデータを持ち出しているわけではないため必ずしも信用できるとは限りませんが、関係がある、関係がないという意見が錯綜しているのは事実。
酒好きの人に薄毛が多い印象はなく、AGAのメカニズムから考えても影響するとは考えにくいものの、「関係がある」という医師がそれなりに存在する以上、無視することはできないといったところか。
酒でハゲることはない…が心配なら控えろ
何度も書くようですが、飲酒と薄毛を関連付けるエビデンス(科学的根拠)は存在せず、基本的にお酒で薄毛になると心配する必要はないでしょう。
薄毛に影響があるとする医師も適度な飲酒であれば問題ないという点においては共通しているので、健康に悪影響がない上限量とされる日本酒1日2合までなら安心して飲め。
酒好きな人がすでに薄毛になっているというのであれば、禁酒しても絶対に治らないから無理に控える必要もありません。
しかし、お酒が体に悪いのは事実。血行促進やらストレス解消やらきれいごとを並べたところで、健康に悪影響があるのは間違いありません。適度な飲酒でもメリットデメリットは確実に存在します。
ハッキリ言ってハゲとは関係ないが、少しでも心配なようであれば健康面のことも考えて飲酒は控えたほうがいいでしょう。
ネット上の育毛剤とでは飲酒をはじめ生活習慣やら喫煙やら様々な薄毛の要因を羅列していますが、AGAには無関係です。
それらを改善たところでAGAは治らず、そんなことをしている間にも薄毛は確実に進行し手遅れになってしまいます。
医療機関でプロペシアやザガーロを処方してもらうなり、個人輸入でフィンペシアやベルトリド、フォリックスなどを購入するなりして早急に対策するようにしてください。
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