個人輸入の発毛剤が叩かれる本当の理由
現代社会において、薄毛が気になりだした人の多くは、その対策についてインターネットを用い色々と情報収集するのではないでしょうか?
そうするとよく目にするのが発毛剤に関する批判やネガティブな記事。とりわけ個人輸入で購入する海外製の発毛剤は様々な方面から叩かれまくりです。
フィナステリドやデュタステリドは日本の医療機関でも処方されていますし、ミノキシジルを使った発毛剤は薬局にも売っている。にもかかわらず、海外製の商品は徹底的に批判され、場合によっては「危険」とまで書かれる始末。
なぜ海外製の発毛剤はここまで叩かれるのでしょうか?
批判の内容には本当のことも多少含まれているものの、そのほとんどは海外製発毛剤の不安材料のみを過剰に叩き、危ないもの、体に悪いものだと錯覚させる印象操作というのが実情のようです。
海外製の発毛剤は偽物が多い?
ネット上の海外製発毛剤の批判としてよく目にするもののひとつに、「海外製のジェネリック発毛剤は偽物が多い」というものがあります。
2017年1月には、日本の薬局でもC型肝炎治療薬「ハーボニー」の偽物が混入していたとニュースになり、信頼性が高いはずの日本の薬局でもそういったことが起きるのかと衝撃を受けた人も多いと思います。
また、偽物が紛れ込んでいるものとして最も有名なのがED治療薬のバイアグラ。数年前に報道されたこともあり、記憶に残っている人も多いのではないでしょうか。
どちらも海外で製造される医薬品で、こういった事件が起きたことにより「個人輸入を用いた発毛剤にも偽物が紛れているのでは?」という懸念に繋がっているのは間違いないでしょう。
しかし、偽物騒動があったハーボニーやバイアグラと、フィナステリドやミノキシジルを配合した発毛剤では事情が異なります。
■1錠あたりの価格が大きく違う
2017年に偽物が日本の薬局に入り込んだC型肝炎治療薬ハーボニーは、1錠の薬価が約55,000円。55円じゃないですよ、5万5千円です。
また、男性にとっては深刻なEDを治療するバイアグラは一般的に1錠1,500円前後。
これだけ高価な薬だと偽薬を製造する旨味もあるのでしょう。
しかし、海外製の発毛剤に目を向けると、最も人気があるフィンペシアやミノキシジルタブレットは1錠約30円、デュタステリド内服薬でもベルトリドあたりなら1錠約50円ほど。
偽物の薬を作る側としては本物の薬価が高いほど旨味があるのは言うまでもなく、1錠数十円程度の安い発毛剤の偽薬をわざわざ作るメリットは少ないと言わざるを得ません。
日本での薬価が約250円のプロペシアに偽物が存在したという話は聞いたことがありますが、驚くほど安価なプロペシアジェネリックなどの海外製発毛剤に偽物が混入していたという話は聞いたことがない。
そう考えると、海外製でもあまり安くならない先発薬のプロペシアより、インドやタイ、フィリピンなどの大手メーカーが製造する安価なプロペシアジェネリックの方が安心なのかもしれない。
■個人輸入代行業者が成分鑑定をしている
医薬品の個人輸入代行業者に限らず、ネット販売を行っている業者が最も恐れるものって何だと思いますか?
それは「信用の失墜」です。
インターネット通販は消費者にとって、買おうとしている商品を実際に手に取って確認できないという大きなデメリットが存在します。そのため、業者の信頼性が何より重要になってくるのです。それが薬となれば尚更。
海外製の医薬品を扱う個人輸入業者の立場になると、「偽薬を売った」とあっては信用は地に落ちてしまうため、それを防ぐための対策を講じています。
その最たるものが「成分鑑定」。仕入れた発毛剤を無作為に抽出し、専門機関において成分を分析してもらい証明書を発行・公開しています。
大手の個人輸入代行業者を中心に、個人輸入で購入できるフィナステリドやデュタステリドなどの発毛剤の多くで成分鑑定を行っており、偽薬が入り込むのを防いでいるのです。
すべての商品を1つ1つ鑑定しているわけではなく、多くの商品の中から1つを抜き出しての成分鑑定なので、「これで絶対に安心」とは言い切れないものの、偽物が混ざっている懸念を払拭するには十分なのではないでしょうか。
1錠当たりの単価が安い発毛剤はそもそも偽薬を作るメリットが少なく、しかも個人輸入代行業者が独自に成分鑑定を行っているのですから、「海外製の安価な発毛剤には偽薬が多い」という噂は根も葉もない作り話と言っていいでしょう。
ネット上では、個人輸入で買うことができるプロペシアジェネリックやザガーロジェネリックは偽物の可能性があるという記述が多々見られます。しかしそれ、完全に憶測なんですよね。
事実、「フィンペシアの偽物が出回っている!」という情報は流れているものの、具体的な偽物の存在を示すものは皆無と言っていい。バイアグラやシアリスなどは写真付きで注意を呼び掛けているものが多いというのに。
もう一度書きます。1錠数百円~数千円するような薬であればまだしも、1錠30~50円程度のプロペシアジェネリックやザガーロジェネリックの偽物を作るメリットなどどこにも存在しないのです。
製造している製薬会社が怪しい?
本来「ジェネリック医薬品」というのは、先発薬の特許が切れたのち、他社が臨床試験データなどを流用し同じ主成分で製造した薬のこと。研究・開発や臨床試験を行う必要がほとんどないため低コストで製造できるのがメリットです。
一方、海外製のフィナステリド、デュタステリド内服薬は、先発薬であるプロペシアやザガーロの特許が切れていない時期から存在する。不思議ですよね。
理由は簡単、インドやタイなどのジェネリック医薬品の多くは「特許が切れる前から先発薬と同じ成分を使って勝手に作っている」から。
先進国では国際特許などによりこういった行為は許されないものの、インドなどは元々国際特許の条約に加盟していなかった背景があります。
また国自体が貧しく、高価な先発薬を使うことができないため、安価なジェネリック医薬品が必要不可欠。そのため特許を無視して勝手に製造する行為が常態化、先進国の先発薬メーカーも人道的な視点からそれを黙認することが多かったのです。
そう聞くとものすごく胡散臭い印象を受けるかもしれません。実際、この点を挙げて海外製ジェネリック発毛剤を「危険」と書いているサイトも散見されます。
しかし、フィンペシアやフィナロ、ベルトリドなど主要なジェネリック発毛剤を製造するシプラ社やインタス社などの製薬会社は、年間の売上高数百億~数千億円の大手。
比較的貧しい東南アジアはもちろん、アメリカやヨーロッパなど先進国にもジェネリック医薬品を正規に流通させ、生産拠点も様々な国に構えています。
日本ではシプラ社など海外製ジェネリックが流通することはないため、「怪しい」という印象を抱きがちですが、フィンペシアやデュプロストを製造するシプラ社はジェネリック医薬品を世界150ヶ国以上に流通させている大手製薬会社。
2018年にはフィナロイドやミノキシジルタブレットで知られるフィリピンの「ロイド・ラボラトリーズ社」と日本のジェネリック医薬品大手「日医工」が業務提携。
2020年にはザガーロジェネリックであるデュタスを製造する、インドの「ドクターレディラボラトリーズ社」と「富士フイルム」が提携。日本の大手企業が業務提携するだけの信頼性がある証拠と言えます。
余談ですが、フィンペシアやデュプロストを製造するインドのシプラ社は、日本のジェネリック医薬品最大手である日医工より売上高で上回っている。
国際特許を無視して安価なジェネリック医薬品を製造しているケースはあるものの、先進国を含め世界数十カ国以上に薬を流通させている大企業が製造する薬でも信用することはできませんか?
勝手に作ったインド製のジェネリック医薬品…日本人からしてみれば怪しいと感じてしまうのも無理はありません。ただ、その根拠のない先入観によって選択肢から除外してしまうのはあまりにももったいない。
一番の理由は結局お金
個人輸入を用いて購入できるフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルを用いた発毛剤が過剰に叩かれているのは前述の通り。しかし実際は海外製ジェネリックに留まらず、正規品であるプロペシアやザガーロですらネット上では批判の的に。
これには勃起障害や性欲減退といった副作用の存在が大きく影響しているものの、実はこれは口実に過ぎないのです。
確かに発毛剤はその強力な効果により副作用のリスクもゼロではありません。しかしそれは病院で処方される薬すべてに当てはまることですし、発毛剤自体その発現率は決して高くなく、医薬品の中ではむしろ安全な部類に入ります。
それにもかかわらず発毛剤が批判の的にされるのは、個人輸入の発毛剤が売れることで損を被る、もしくはそれ以外に売りたいものがあるから。
端的に言ってしまえば、結局「お金」が絡んでいるのです。
これについては「育毛剤がネット上で絶賛される理由」「育毛剤と発毛剤のアフィリエイト報酬の差」でも詳しく取り上げていますので、興味のある方はそちらを参照してもらいたいと思います。
要は、育毛関連サイトを運営する人間にとっては1つ売っても微々たる報酬にしかならない発毛剤より、1本売って5千円にも1万円にもなる育毛剤を売った方がはるかに旨みがあるという話。
当然育毛剤で髪の毛は生えない。しかし育毛サイトを運営する人間やメーカーにとって重要なのは「高い育毛剤が売れて儲かる事」なので、唯一髪が生える効果を持つ発毛剤を徹底的に叩き、副作用も発毛効果もない育毛剤を売ろうとします。
都合が良いことに、海外製の発毛剤にはそれを行う上で標的になるものが複数存在する。それが「海外製」「海賊版」「偽物」「副作用」といったワードなのです。
一方、日本の医療機関で処方されるプロペシアとザガーロは上記のワードのうち副作用しか叩けるところがない。
そのため、副作用の恐怖を過剰に煽りつつ、プロペシアが1ヶ月分7,000円前後、ザガーロ10,000円前後という、決して安くはない費用を取り上げながら、育毛剤の優位性を訴えかけます。
これまで書いてきたように、本来は個人輸入を用いた海外製の発毛剤に過度な心配をする必要なんてないんですけどね。
金の力は偉大…というか、人間の欲望は果てしない。
個人輸入の発毛剤を叩くサイトの特徴
多くの育毛関連サイトで叩かれまくっている海外製のジェネリック発毛剤。そういった批判を行うサイトには大きく分けて2パターンあります。
■とにかく育毛剤を売りたい
圧倒的に多いのがこのタイプ。
科学的に発毛効果が認められているのはフィナステリドやデュタステリド、ミノキシジルの3つのみなので、常識的に考えれば薄毛を治すために使用するのはこの3つ以外ありえない。
しかし、薄毛に対する人間のコンプレックスは凄まじく、対策グッズのマーケットは非常に大きなものに。その中で売り上げを伸ばすためには、“発毛剤以外の選択肢”を消費者に提供する必要があるのです。生える生えないは関係なく…ね
手っ取り早くそれを行うには、薄毛男性の多くが選択するであろう発毛剤の印象を悪くし、かつ育毛剤の素晴らしさをこれでもかと紹介すること。いわゆる印象操作です。
ネット社会の現代において、その印象操作を効率よく行うには「口コミ」という体で多くのサイトに取り上げてもらうこと。
多くのサイトで「海外の発毛剤は危険」「発毛剤の副作用は怖い」「育毛剤は素晴らしい」と書いていれば、それを信じてしまう人が続出するのも致し方ないこと。嘘や誇張も数が集まれば真実らしく見えてきますからね。
こういったサイトは個人輸入で購入できる海外製のジェネリックはもちろん、医療機関で処方されるプロペシアやザガーロ、ミノキシジルを配合した大正製薬のリアップシリーズを徹底的に乏しめ、最後にチャップアップなどの育毛剤を紹介してくるので非常に分かりやすいと思います。
発毛剤を叩いて最終的に育毛剤をおすすめする…こういったサイトは信用しないようにしてください。
■AGAクリニックを勧めるパターン
上記に比べれば少数派、かつやや良心的なパターンがこれ。
自サイト経由で一部のAGAクリニックの予約を取らせ、来院させることができれば10,000円以上の高額な報酬が受け取れるため、個人輸入の発毛剤の危険性をひたすら書き連ね、正規品であるプロペシアやザガーロを処方するAGAクリニックに誘導しようとする手法。
海外製のジェネリックを勧める私ですら、日本の病院で処方される発毛剤と、海外製の格安ジェネリック、どちらが安全かつ信頼性が高いかと問われれば「日本のプロペシアやザガーロ」と答えざるを得ない現実があります。
そりゃ、正規の製薬会社が日本に向けて製造した医薬品を上回る安全・信頼を提供できる商品など存在しませんよね。
信頼性や安心感を重視した結果、発毛剤を処方する医療機関や皮膚科に誘導するという考えは決して間違ってはいません。ただし、そこに高額な報酬や科学的根拠のない治療法が絡んでいなければ、ですけどね。
というのも、AGAクリニックの中には、発毛剤の処方以外に胡散臭い育毛サロンまがいのことをするところも多いのが実情。
厚生労働省や日本皮膚科学会などのガイドラインに沿うのであれば、AGA治療は発毛剤の処方のみで対応するべき。しかし実際はあの手この手で患者から金をせしめようとするAGAクリニックも多いのです。
全国に数多ある良心的な医院や皮膚科では、プロペシアやザガーロの処方しか行いませんし、そういったところはアフィリエイト報酬を支払い育毛サイトに提灯記事を書かせてまで患者を獲得しようとは考えません。
育毛関連サイトで紹介しているAGAクリニックの多くは、発毛剤の処方以外に儲けを生み出す“裏”があると思っておいて下さい。
海外製の発毛剤は怖くない
前述したように、私自身信頼性・安全性においては日本の医療機関で処方されるプロペシア・ザガーロに勝るものはないと考えています。
しかし、これらは高い。あまりにも高い。
発毛剤の使用は「髪が生えれば終わり」というわけではなく、薄毛が改善した後もそれを維持するために飲み続ける必要があります。
それは私たちが「もうハゲでもいいや」と受け入れるまで続くため、人によっては十年単位で飲み続けることになるでしょう。そこまで想定した場合、日本の発毛剤ではいくらかかると思いますか?
仮に最新のザガーロであれば、1ヶ月10,000円前後必要になりますから、1年間で12万円。10年で120万円です。
仮にこれをデュタステリド内服薬で最も安いベルトリドに替えれば、8分の1~10分の1の出費で済むことになります。一度に買う箱の量にもよりますが、1年間で12,000~18,000円くらい。ザガーロと同じ成分・効果で、です。
確かに海外製の発毛剤は正式なジェネリックではないものの、先進国をはじめ70~150ヶ国に流通させている大手製薬会社の品質を、過度に心配する必要があると思いますか?
1錠当たりの薬価が安いため偽物を作る旨味も少なく、しかも個人輸入業者が成分鑑定も行なっている状況で偽薬が入り込む余地がどれだけあるというのか。
信頼性では確かに日本製に勝るものはありません。
しかし価格差を考えた時、その価格に見合うだけの価値があるのかどうかを決めるのは私達消費者なのではないでしょうか。
実際、費用面から海外製のジェネリック発毛剤を選択し、髪の毛が生えたという人は星の数ほどいます。
個人輸入で購入できる発毛剤なら、日本のプロペシアの価格(1ヶ月7,000円前後)で、デュタステリド内服薬+ミノキシジルタブレット+ミノキシジル外用薬すべて使ってもお釣りが来ますからね。
個人輸入でも信頼性を考えるのであれば、ザガーロと同じグラクソ・スミスクライン社製のアボダートや、海外製のプロペシアを購入するという方法もあります。
発毛剤に対し第一に何を求めるのか?
海外製の発毛剤を過剰に叩く育毛サイトは、印象操作を行ったうえで育毛剤を売りさばき、お金を稼ぐことばかりを考えているサイトです。
フィナステリドやデュタステリドといった発毛剤は、厳密な臨床試験を行い、確かな発毛効果と副作用の安全性をデータで裏付けたからこそ、処方薬として厚生労働省の承認を受けることができたのです。
そういった経緯がある発毛剤を押しのけ、ゆるゆるな基準の医薬部外品の育毛剤を勧めるというのは、私達ハゲを愚弄し食いものにする行為。
何が正しくて何が間違っているのか、その判断材料にして頂ければ幸いです。
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