「筋トレでハゲる」説が嘘とは言い切れない理由
「だらしない体をどうにかしたい」「若い頃の体型を取り戻したい」などの理由により筋トレ(筋力トレーニング)にはまる人がふえています。2020年に蔓延した新型コロナウイルスによる巣ごもりも後押ししたのは間違いないでしょう。
筋トレはやればやっただけハッキリと成果が見えることもあり、いつしか快感を覚えるように。しかし、一方でこんな懸念を抱いた人も多いのではないでしょうか。
「筋トレやりすぎてハゲるってことはないよな?」、と。
筋トレをすれば男性ホルモンである「テストステロン」が増えるのは知られた話。そして、男性の薄毛のほとんどを占めている「男性型脱毛症(AGA)」の原因が男性ホルモンであるというのもまた、多くの人が認識している事実だからです。
徐々に男性らしい筋肉質の体になっていくのは楽しい…しかし薄毛になってしまったり、ハゲの進行が加速したりするのは困る…そりゃそうです、「モテる体」を手に入れるために「モテないハゲ」になってしまっては本末転倒ですからね。
近年は「筋トレでハゲるという科学的根拠はない」という説が広まっていますが、一方で「ハゲない」とは言い切れない事実も。
- 「筋トレするとハゲる」と思われてきた理由
- 筋トレで薄毛になる根拠はない
- 筋トレとハゲに関連性がない理由
- 筋トレが薄毛改善に役立つことも?
- 筋トレでハゲになる可能性も
- 筋トレで薄毛にならないための対策
- 具体的な筋トレのメニューは?
- 筋トレで薄毛になる可能性は低い
「筋トレするとハゲる」と思われてきた理由
筋トレをするとハゲる―
科学や医学が発展・発達した現代においても根強く語り継がれている説のひとつ。最近は「科学的根拠はない」と一蹴される傾向にあるも、漠然と「筋トレしたいけどハゲたらやだなぁ…」と思っている人が意外なほど多いのもまた事実です。
そもそもなぜ「筋トレ=ハゲ」という図式が成り立ってしまったのか?
男性ホルモンの影響
筋力トレーニングとハゲが関連付けられる最も大きな要因は、筋トレによって男性ホルモンが分泌される(増える)という点でしょう。
筋トレをすると、代表的な男性ホルモンである「テストステロン」が増えることが分かっています。テストステロンは男性らしい体を作るうえで欠かせないホルモンであるため、筋トレでテストステロンが増えるのは当然といえば当然。
しかし、男性ホルモンというのは薄毛を引き起こすことでも知られています。女性に比べ男性の方が圧倒的に薄毛が多いのは男性ホルモンによるもの…と考えれば、納得のいく話ですよね。
ただし、薄毛…とりわけ男性の薄毛の9割以上を占めるとされる男性型脱毛症(AGA)を引き起こす原因物質は、男性ホルモンといってもテストステロンではなく、「ジヒドロテストステロン(DHT)」です。
DHTはテストステロンが変化して生まれるとはいえ、テストステロンが増えたからといってDHTが増えるわけではありませんし、仮にDHTが増えたとしても、「DHTが多い=ハゲ」ではない点に注意が必要です。
マッチョにハゲが多い印象がある
統計を取ったわけではないけど、なんとなくマッチョの人にハゲが多いイメージってありませんか? ボディビルダーのコンテストは、スキンヘッドの頭皮までテッカテカになっている印象というか…
でも、実際はそんなことなく、フサフサのボディビルダーも多いんですけどね。
ただ、“印象”というのは馬鹿にできないもので、髪の毛フサフサのマッチョもいっぱい存在することが分かっていてもなお、ハゲマッチョのイメージに引きずられてしまうもの。
心のどこかに「筋トレしたらハゲるのではないか…」という不安がトゲのように刺さって取れない…そういう人も多いのではないでしょうか。
筋トレで薄毛になる根拠はない
まず最初に、近年多くの医師や専門家が語っているように、筋力トレーニングを行うことで薄毛になるという科学的根拠は存在しません。
精力的に筋トレを行った結果薄毛になってしまった、ハゲが加速してしまったというデータや試験結果など存在しないのです。
しかし、それは裏を返せば「筋トレでハゲないという科学的根拠もない」ということも意味します。
客観的に見て「どう考えても筋トレと薄毛は関係ないだろう」というのであれば、「科学的根拠がないから筋トレしても問題ない」となりますが、この問題に関してはちょっと気になる試験結果や説も存在する。
そういったことから「筋トレしても絶対ハゲない」とは言い切れないのです。
筋トレとハゲに関連性がない理由
まず「筋トレとハゲは関係ない」とされる理由について、具体的に、かつ論理的に掘り下げてみましょう。
テストステロンではハゲない
前述したとおり、筋力トレーニングを行うと男性ホルモンである「テストステロン」が分泌されます。それによってより男性らしい筋肉質な体ができると言っても過言ではないでしょう。
そして、いまだに「男性ホルモンが多い=ハゲる」と勘違いしている人が多く、テストステロンが増える筋トレと薄毛を関連付けて考える人が後を絶ちません。
しかし、これも前述しましたがテストステロンは薄毛の原因ではないのです。
考えても見てください、男性の体内でテストステロンが最も旺盛に分泌されるのは20代前半です。
でも20代前半の男性が薄毛になることって稀ですよね。むしろ最も髪の毛の直径が太い時期でもあります。「昔は針金のような髪の毛で地肌なんかほとんど見えなかったのに…」などと懐かしむ男性の多くは20歳前後の頃を思い浮かべているはず。
テストステロンは薄毛の原因になるどころか、男性らしい太くてしっかりした髪の毛を作り出すという話も。確かにそう考えれば、テストステロン分泌量がピークになる20代の頃が最も剛毛フサフサだったことの説明が付きます。
重ねて書きますが、テストステロンはハゲの原因にはなり得ないのです。
DHTが増えるわけではない
確かにテストステロンは薄毛の原因ではないかもしれない。しかし、テストステロンが増えれば、AGAの原因となる男性ホルモン「ジヒドロテストステロン(DHT)」も増える可能性があるのでは? そう考える人もいるでしょう。
テストステロンは直接薄毛の原因になるわけではないものの、薄毛の原因であるDHTの素であるのもまた事実。テストステロンが増えれば、それに比例してDHTも増える…と考えても不自然ではないでしょう。
ただし、テストステロンがDHTに変換されるためには「5α-リダクターゼ」という酵素と結びつく必要があります。裏を返せば、5α-リダクターゼが存在しなければDHTは生まれないことになります。
この5α-リダクターゼの量というのは個人差が大きく、それは遺伝によって決定されます。そして、筋トレをすれば確かにテストステロンは増えますが、5α-リダクターゼが増えることはないのです。
5α-リダクターゼの量に変化がなければ、テストステロンが増えたからといって、薄毛の原因であるDHTが増えることはありません。
アンドロゲンレセプターの存在
AGAの原因となるのは、男性ホルモンのひとつである「ジヒドロテストステロン(DHT)」であるというのは前述の通り。そのため、DHTが多ければ多いほどAGAになりやすい…のかと思いきや、事はそう簡単ではありません。
AGA発症には大きく「5α-リダクターゼの量」と「アンドロゲンレセプター(男性ホルモン受容体)の感受性」の2つが大きく関わっています。5α-リダクターゼの量が遺伝に左右されるのは上で書いた通り。
5α-リダクターゼの量が多ければDHTも多く生成されるのは想像に難くないでしょう。しかしDHTは毛乳頭細胞内のアンドロゲンレセプターと結合してはじめてAGA発症の引き金になるのです。
つまり、どんなにDHTが多くても、受容体であるアンドロゲンレセプターと結合しなければAGAは発症しないということ。
そんなアンドロゲンレセプターは、男性であれば母親のみから受け継ぐことになるX染色体に遺伝情報が存在することが分かっています。そう、アンドロゲンレセプターの感受性や量は遺伝によって母親から受け継ぐのです。
筋力トレーニングを行うことでテストステロンが増え、それによって万が一DHTが増える事態になったとしても、遺伝によって決定されるアンドロゲンレセプターの感受性や量は変わらないため、AGAを発症したり薄毛が進行したりすることは考えられないのです。
筋トレが薄毛改善に役立つことも?
筋力トレーニングを行うことで薄毛になるという科学的根拠はなく、常識的に考えれば筋トレがハゲを引き起こしたり進行させたりする可能性はほとんどない…どころか、もしかしたらプラスに働く可能性も否定できません。
どういうことかというと…
豊富なたんぱく質の摂取
筋トレを行う場合、多くの人が利用するであろう「プロテイン」。ざっくり言ってしまえば「たんぱく質のサプリメント」ですね。
プロテインを使わずに筋トレを行うにしても、鶏のむね肉やささみなど、高たんぱく・低カロリーの食材を積極的に摂取するのがセオリー。なぜなら、筋肉の合成に多量のたんぱく質が必要となるから。
推奨摂取量は、筋トレを行っていない人の場合「体重1kgあたり1g」…つまり、体重60kgの人であれば1日60gほどのたんぱく質が必要とされるのに対し、筋トレを行う人は体重1kgあたり1.5~2g。
体重60kgであれば、たんぱく質は90~120g必要になる計算ですね。そのため、筋トレを行う人は積極的…場合によっては過剰な量のたんぱく質を摂る傾向に。
ここで思い返してほしい。そう、髪の毛はたんぱく質(アミノ酸)で構成されているのだと。髪の毛の材料となるたんぱく質を十二分に摂取することで髪の成長を促進させる可能性もある…という意見も一部に存在。
ただ、極限レベルのたんぱく質不足でもない限り薄毛を引き起こすことは考えられず、また、AGAとたんぱく質は全く無関係。さらに付け加えると、たんぱく質の接種で薄毛やAGAが改善するという科学的根拠は一切存在しません。
一方で「筋トレしてプロテインを飲むようになってから髪質が改善した」「髪の毛の伸びるスピードが速くなった」という意見も散見されることから、薄毛は治らずとも髪質の改善くらいの効果はあるのかもしれません。
これも科学的根拠はないから気休め程度ですけどね。
DHTが減るかもしれない
ジヒドロテストステロン(DHT)によって引き起こされる男性型脱毛症(AGA)。
一般的に加齢とともにAGAを発症する人が増え、50代ともなると約半数がAGAを発症するというデータも。
しかしここでひとつ疑問が。
DHTを生成する5α-リダクターゼやアンドロゲンレセプターの量が遺伝によって決まるのであれば、テストステロンが豊富な10代後半から20代の男性こそAGAを発症しそうなもの。なのに発症する人の多くは30代以降です。
なぜなのでしょうか?
この現象において有力とみられている説として、若いうちはテストステロンが豊富に分泌されるため、より強力な男性ホルモンであるDHTはあまり作られず、テストステロンが減少してくる中年期になると、それを補うようにDHTが増える…というものがあります。
母親の胎内で人間が創り出される時、すべての胎児は女の子の体を持っています。そこから男児の体に変化するのに必要なものこそが男性ホルモン。
そう、男性が男性らしさを維持するために男性ホルモンは必須なのです。それを物語るように、男性ホルモンが極端に減ると男性でも乳房が出てきますからね。
そんな男性の体において、加齢によるテストステロンの減少というのは由々しき問題なのでしょう。だからこそ加齢によって減ってしまったテストステロンを補うため、より強力なDHTを作り出すと見られています。
では加齢に逆行するようにテストステロンの分泌量が増えたら…そう、DHTが減る可能性も考えられますよね。筋トレによってテストステロンの量が増えれば、AGAの原因であるDHTの生成量が減るかもしれない。
これはあくまでも仮説ですし、科学的根拠もありませんけどね。
ただ、減ってしまったテストステロンを補うためにDHTが増えるのであれば、その逆もあり得るような気がしますよね。そこに裏付けは一切ありませんが。
筋トレでハゲになる可能性も
さて、ここまで「筋力トレーニングで薄毛になる科学的根拠はない」という視点で書いてきました。しかし、冒頭でも触れたように「筋トレで薄毛にならない科学的根拠もない」という点にも触れておく必要があるでしょう。
ネットなどで「筋トレ 薄毛」などと検索すると、表示されるサイトは「筋トレでハゲる科学的根拠はない」という否定的なものばかり。
当サイトも基本的には同じスタンスではあるものの、どのサイトも書いていることがあまりにも右へ倣えすぎて、逆に不気味に感じるほど。
実際、色々と調べてみると、筋トレによって薄毛になるという科学的根拠は確かにありません。しかし「果たして本当にハゲないと言い切れるのだろうか?」と感じさせるデータや試験結果や説も存在するんですよね。
そのあたりをちょっと紹介していきましょう。
DHTが増えAGAになる可能性
「筋トレによってテストステロンが増えたとしても5α-リダクターゼの量は変わらないためDHTは増えない」「仮にDHTが増えてもアンドロゲンレセプターの感受性は変わらないため薄毛になることはない」というのは前述したとおり。
しかし一方で、加齢によって減ったテストステロンを補うためDHTが増えた結果AGAを発症するという説も有力。
よく考えたら、これらの話って矛盾しているんですよね。
5α-リダクターゼやアンドロゲンレセプターの量が一定であるというのであれば、テストステロンの分泌がピークを迎える20代前半の時点でAGAになるか否か決まってしまいそうなもの。
しかし多くの場合、AGAを発症するのは30代以降。
なぜそうなのかについては色々な可能性が考えられるでしょう。
「DHTが必要ない若い頃は5α-リダクターゼの分泌量が少ない」「豊富なテストステロンがDHTに先んじてアンドロゲンレセプターと結合する」「DHTの悪影響以上にテストステロンの数が多く、作用も強いためハゲない」など。
男性ホルモンであるテストステロンの分泌量というのは個人差が大きく、場合によっては元々テストステロンの量が少ないためにDHTの生成量も少なくなり、AGAを発症しない可能性もゼロではありません。
もしくは、そういった様々な要素が複雑に絡み合った結果、AGAを発症するかどうかが決まるのかもしれません。
テストステロンの量、5α-リダクターゼの分泌量、アンドロゲンレセプターの感受性、もしかしたらまだ知られていないファクターが存在するかもしれません。そういったバランスの中でAGAにならずに済んでいる人も多いのかも。
そんな状況において、筋トレによるテストステロン増加が起きたら、それまで均衡を保っていたバランスが崩れてAGAが顔を出す可能性も否定できないのではないでしょうか。
テストステロンが直接AGAを引き起こすことはありません。しかし、DHTの前身であるのもまた事実であり、AGAに対し大きなカギとなるホルモンであるのは確か。
テストステロンが増えた結果DHTの量が減る可能性がある一方、テストステロンの増加に比例して若干ではあるもののDHTが増えると考える専門家や医師も存在します。
増えたDHTの量が微量であっても、アンドロゲンレセプターの感受性が高い人の場合、AGAの引き金になったり、薄毛を加速させてしまう可能性に言及しているケースも。
筋トレによって増えたテストステロン自体がAGAに直接関与せずとも、間接的にAGA発症・進行に寄与するかもしれない…
余談ですが、海外で販売されているテストステロン補充剤であるアンドリオールやセルノスカプセルの副作用には「禿げ・脱毛」の文字が確認できます。
禿げ・脱毛の副作用が発現する頻度は稀なのでしょうが、可能性は排除できないといったところなのでしょう。
あくまでも推測・可能性の話ではあるものの、「ハゲない科学的根拠もない」というのはそういうリスクをはらんでいることを意味します。
DHTが増えるという論文も
一般的に「筋トレで増える男性ホルモンはテストステロン」とされていますが、AGAの原因物質であるDHTも増えるという論文が散見されます。
ある試験ではスプリングサイクル運動によって、テストステロンの増加と同時にDHTが急激に上昇したとの結果を発表。
また、ラットを用いた試験ではありますが、筋力トレーニングでDHTが増えるという試験結果も存在します。
これ以外にも、5α-リダクターゼやDHTの産出量が増えるなどの研究結果も散見。
これらの多くは「筋肉内でDHTが増える」としており、また筋トレなどで増えたテストステロンやDHTは30~1時間で正常値に戻る旨も記載されているため、髪の毛に影響があるのかどうかまでは不明。
とはいえ筋トレによってテストステロンのみならずDHTも増加する可能性はある。
しかし、それによってAGAを発症、あるいはAGAの進行が加速するかどうかはアンドロゲンレセプターの感受性も関わってくる。
多くの男性が遺伝的に決定されたアンドロゲンレセプターをすでに使い切っていると考えれば、DHTが多少増えたからといって髪の毛に影響を与えることはないのではないでしょうか。
ただし、遺伝的に5α-リダクターゼの量が少なくDHTの生成量もそれに応じて少ない人が、筋トレによってDHT増加に見舞われた場合…アンドロゲンレセプターの感受性如何によっては影響が出てくる可能性も否定できないのかなと。
あくまでも筋トレで筋肉内に増えるというデータを信じ、かつDHTが毛乳頭細胞内でも増加すれば…という仮定での話ですけどね。
筋トレで薄毛にならないための対策
何度も書いているように、筋力トレーニングで薄毛が誘発される科学的根拠は存在しないため、基本的には「筋トレするとハゲてしまうのでは…」という心配は無用と言えるでしょう。
そうはいっても「ハゲる可能性がちょっとでもあれば気になる」という人もいるでしょう。そうはいっても筋トレは続けたい…そういった場合、どういった対策・予防策が考えられるでしょうか?
たんぱく質をしっかり摂取する
テストステロンやDHTといった男性ホルモンとは関係ありませんが、最低限摂っておくべきなのが「たんぱく質」です。
たんぱく質が多少不足したからといって薄毛になることは考えられないものの、十分摂っておくに越したことはありませんし、筋トレの効果を最大限引き出すという意味においてもたんぱく質摂取は重要になります。
筋トレを日常的に行うのであれば、体重1kgに対し1.5~2gほどが目安。
「いっぱいたんぱく質を摂れば筋トレの効果がより高まるかもしれない」「足りないよりは過剰なくらいの方がいい」という判断で多量のプロテインを摂取する人もいますが、たんぱく質の過剰摂取は腎臓に負担をかける点に注意。
短時間で集中的に行う
なるべく早く結果を出そうと、空いた時間を見つけては筋トレに勤しむ人も多いことでしょう。しかし、そういっただらだらと続ける筋トレは逆効果になる可能性があるばかりか、男性ホルモンを無駄に分泌し続ける結果になりかねません。
一般的に筋トレは30分~1時間ほどの間に集中して行うべきとされています。
高負荷で行う場合、そのくらいの時間が限界となりますし、長時間行っている場合負荷が足りず、有酸素運動に近い筋トレもどきになっている場合も。
だらだら続ける筋トレは疲労物質が溜まり筋肉の分解を招くとされ、また筋肉に蓄えられたグリコーゲンを使い果たした結果、エネルギーを得るために筋肉の分解が起きてしまうことも。
筋トレによってテストステロンのみならずDHTも増えるというのであれば、“AGAを回避する”という観点から見れば可能な限り最小限に抑えたいところ。
具体的な筋トレメニューは?
ムキムキバキバキの体を作りたいというわけではなく、腹筋が割れ、適度な胸筋と筋肉質な足が手に入ればいいというレベルであれば、「それなりにきついと感じる回数×3セット」というのが通常のメニューになるでしょうか。
例えば、器具を使わない自宅での自重トレーニングを行うという前提で、毎日1ヵ所の部位のみを筋トレすると仮定すると…あくまでも軽めの筋トレなので参考程度に。
- 1日目:腕立て伏せ20回→休憩→腕立て伏せ20回→休憩→腕立て伏せ20回
- 2日目:腹筋20回→休憩→腹筋20回→休憩→腹筋20回
- 3日目:スクワット20回→休憩→スクワット20回→休憩→スクワット20回
- 4日目:腕立て伏せ20回→休憩→腕立て伏せ20回→休憩→腕立て伏せ20回
- 5日目:腹筋20回→休憩→腹筋20回→休憩→腹筋20回
- 6日目:スクワット20回→休憩→スクワット20回→休憩→スクワット20回
…といった感じ。
セット間の休憩時間は1~3分で、1セットの回数はご自分の体力や限界に応じて変えていきます。この方法であれば1日の筋トレの時間は10~15分程度で収まるため心身の負担が少なく、また毎日少しずつ行えるというメリットも。
一方、1日に各部位を集中して行い、その後2~3日休むという方法をとるのであれば…
- 1日目
- 腕立て伏せ20回→休憩→腕立て伏せ20回→休憩→腕立て伏せ20回
- 腹筋20回→休憩→腹筋20回→休憩→腹筋20回
- スクワット20回→休憩→スクワット20回→休憩→スクワット20回
- 2日目:休み
- 3日目:休み
- 4日目
- 腕立て伏せ20回→休憩→腕立て伏せ20回→休憩→腕立て伏せ20回
- 腹筋20回→休憩→腹筋20回→休憩→腹筋20回
- スクワット20回→休憩→スクワット20回→休憩→スクワット20回
- 5日目:休み
- 6日目:休み
もしくは…
- 1日目
- 腕立て伏せ20回→休憩→腹筋20回→休憩→スクワット20回→腕立て伏せ20回→休憩→腹筋20回→休憩→スクワット20回→休憩→腕立て伏せ20回→休憩→腹筋20回→休憩→スクワット20回
- 2日目:休み
- 3日目:休み
- 4日目
- 腕立て伏せ20回→休憩→腹筋20回→休憩→スクワット20回→休憩→腕立て伏せ20回→休憩→腹筋20回→休憩→スクワット20回→休憩→腕立て伏せ20回→休憩→腹筋20回→休憩→スクワット20回
- 5日目:休み
- 6日目:休み
こんな感じになります。
筋肥大を促すためには、筋肉の繊維を破壊し、その後の回復によってより強い筋肉が作られる「超回復」を起こす必要があります。そのため、しっかりと負荷をかけ、その後超回復を起こさせるための休養が必要に。
筋トレを効率よく行うためにも、万が一のAGA予防という観点からも、筋トレは短時間の間に集中的に行うようにしましょう。
筋トレで薄毛になる可能性は低い
かつて「筋トレはハゲる」という都市伝説が出回っていたものの、近年は「筋トレでハゲになる科学的根拠はないから問題ない」という論調が支配的になってきています。
基本的にそれは間違っていませんし、私自身筋トレを適度にとりれていますが、それによって薄毛の進行が加速したという実感はありません。そういったことから、筋トレとハゲに関連性はないと考えていいでしょう。
ただ、筋トレと薄毛の関連性を確かめるための試験や検証が行われたわけではないため、ハゲないという科学的根拠もありません。
そう、本当は「筋トレをしてハゲるという科学的根拠はない」というより、「検証が行われていないから分からないけど、メカニズム的に考えればハゲない可能性が高い」というのが実情なのです。
筋トレや有酸素運動などを行うことで、テストステロンに加えDHTが増加するというデータも複数存在することから、「絶対にハゲない」と言い切るのはいささか無責任な気もします。
とはいえ、仮にDHTが増えるとしても「筋肉内」とされていますし、その時間も30分~1時間程度と短時間。毛乳頭細胞内のアンドロゲンレセプターの感受性が重要となるAGAにおいて、これら要素は無視していいレベルなのでしょう。
ただし、人によってテストステロンの分泌量や5α-リダクターゼの量、アンドロゲンレセプターの感受性は異なり、絶妙なバランスによって薄毛が回避されている可能性もあるでしょう。
もうひとつ付け加えるなら、一口に「筋トレ」といっても、その強度や男性ホルモン分泌量は個人差があります。
それらを総合的に加味すると、「発生率はごく稀ながら、筋トレが薄毛の要因になる可能性は排除できない」という結論になるのではないでしょうか。
一方で、テストステロンが増えたり積極的にたんぱく質を摂取することで、男性らしい太い髪の毛が生み出される可能性も否定できないため、余計な心配などせず私は今後も運動やトレーニングを続けるけどね。
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